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7年目の春    北海道+東北編

 春よ7年目の春よ。


 地球さんが成長すると言って、バラバラにされた各地。それが7年目にしてようやく元通り?に繋がった。?は接続部が明らかにおかしいから。

 各地で探索隊が送り出され再会に涙した。

 1ヶ月後、自衛隊の連絡機による文書のやりとりでようやく各地の概要が明らかになった。



 以下は各都道府県共通に近く、一括して記載。


 上下水道の維持は電力と薬剤の不足から平時の状態を維持出来ず水質が悪化した。完全に停止した施設も多い。

 水洗トイレは上から水を入れ水圧で押し流すが、溢れてしまうことも多い。

 トイレットペーパは道内に生産拠点が無く、他の紙をなんとか柔らかくして流さないようにしっかり説明して使ってもらうことになった。ただ流してしまう事が多々あり、トイレの詰まりにより便器から汚水が溢れるとか、下水管が詰まり汚水の洪水が発生するなどかなりの件数発生した。

 屋内屋外とも衛生状態はなかり悪化した。

 女性用生理用品も生産拠点が無く、布製になっていく。

 避妊用具も在庫だけで医薬品不足から控えるよう要請が出ているが、多くの命が生誕した。ただ衛生状態の悪化と医薬品不足で、乳児死亡率や産後の体調悪化による死亡率が悪化している。

 医療機関の多くは電力と医薬品不足により、満足な治療が出来なくなっている。薬で抑えている患者はほぼもれなく症状が悪化。死に至った患者も多い。

 アル中や薬中が禁断症状でかなり危険な事をするので、押し込めたり食糧不足地域の一部ではそのまま食事を与えないということも起こった。

 食糧不足地域での自殺率が非常に高い。

 都市ガスは全く無い状態で新潟県と千葉県で一部に供給が有るだけだった。配管の都合で全県には回せない。煮炊きに薪を使い禿げ山になったり火災やガス中毒で死亡した事例も多い。火災になっても消防車が出動できず、周囲の人たちによる破壊消化が主流だが、近年の耐震性が高い住宅は多少のことでは壊せず自然鎮火を待つことがほとんど。住宅密集地ではかなりの面積が焼失し犠牲者も多い。

 野生動物も動物性タンパク源として狩られ食肉にされる。不味い美味いの前に食料だった。千葉県のキョンは滅びた。奈良の鹿も減ったようだ。ペットはさすがに食べなかった模様とのこと。いつの間にか消えていたりする事例はある。可哀想とかいう人間はいない。思っていても仲間はずれにされ食料が回ってこなくなるだけなので言わないのだろう。またそういう発言をネット上でしていた人間の多くはインターネットの維持不能で書き込めないし、都市部の人間は物理的にいなくなっている。

 

北海道と東北の7年


 

人口   分離時      接続時


北海道  520万人    390万人


 試されすぎる大地には国家石油備蓄基地と石油コンビナートがあった。勇払ガス田からわずかだが石油とガスの回収もできた。ただガスの量は少なくLNGを使用する発電所と都市ガスはすぐにガスが無くなり運転停止と供給エンドとなった。製油所からでるガスを一部施設に回すのが限界だった。石炭火力発電所も有るが国内製石炭に対応しておらず、また無理をして使おうにも炭田の閉鎖後年数が経っており採炭再開は危険であるとして見送られている。原発の運転再開をするが7年以上の発電を考えると燃料棒は到底足りるものでは無く、原発も運転率を下げて再稼働している。石油火力発電所もあるが備蓄されている石油との兼ね合いでこれも運転率を下げている。これにより都市ガスと電気に頼っていた家庭は冬季の熱源不足が深刻になる。備蓄されている石油は多いが全て燃料油に精製も出来ないので灯油・軽油・ガソリンの供給は配給制となる。7年を保たせるため配給量自体も自由に使えた頃の1割程度となり、厚着をして暖房温度を下げる、暖房時間を減らす、などして対応した。

 水力発電所の常時出力は合計で最大100万kW程度あり頼りになった。

 各地の太陽光発電は天候に出力が左右され、特に欲しい冬期に役立たずの日が多いし、夜間は役立たずだ。


 製油所から出る副製品の保存は全て出来ずに可能なものを残し、保存が出来ないものはコンビナートにある火力発電所で重油に混ぜて焼却処分とした。


 エネルギー節約のため人口集中策を執り、奥尻島や利尻・礼文などの離島と日本海側の留萌から北の住人を札幌周辺に避難させて、該当地の石油使用量を無くすなどもした。オホーツク海側も根室までは十勝方面に避難させようとしたが十勝方面では許容量が足りず、溢れた避難民ははやり札幌周辺へと。避難民は、その後希望により仕事に就いていく。

 都市部の食料生産に関係ない人員を食料生産に回すなどして、燃料と肥料の不足から来る食料生産の低下を人力である程度防げた。肥料は堆肥を積極的に作るなどした結果、食料はカロリーベースで供給過剰があり、生産を落としたほどだ。ただ肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。


 北海道の人口減少は寿命と病死の他は、多くが冬季の凍死や薪で暖を取ろうとしての火災と不完全燃焼からのガス中毒による死者であった。  




青森   130万人   80万人


 青森には国家石油備蓄基地があったが石油精製施設が無く、石油製品は市中備蓄のみとなった。 

 ガソリンと軽油は市民の移動用へ供給を停止したがその時には相当量が市中在庫から消えていた。残ったガソリンと軽油は農業・漁業と消防・警察へと回された。

 LNGもすぐに無くなり火力発電所は停止。市中の都市ガスも使えなくなった。LPGも同様ですぐに切れた。

 水力発電所は合計20万kW程度で余裕は無い。

 各地の太陽光発電は天候に出力が左右され、特に欲しい冬期に役立たずの日が多いし、夜間は役立たずだ。

 東通原発の再稼働で電力需要の4割を賄うことが出来たのだけが救いである。出力的には青森県の電力を賄っておつりが来るのであるが燃料棒の寿命を計算するとそれで一杯一杯だったのだ。小規模な自然ネルギー発電もあるが、水力以外は不安定なので当てには出来ない。電力は上下水道の維持と医療機関に優先的に回された。  


 食糧供給は平時なら足りていたが、分割後燃料と肥料の不足で供給不足を招いた。残されたガソリンや軽油では到底足りない。青森県でも食料生産に人員を駆り出し、最低限の食事が出来るように努力した。移動はわずかに動く鉄道と人力である。肥料は堆肥を作ることである程度は賄えた。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。

 津軽と小川原湖のシジミは県民のタンパク源として非常に有効だった。美味しいし。


 水は十和田湖が県境ということで無くなったが、水資源の豊富な地域であり川の水でも濾過煮沸すれば飲用水として使えた。湧き水はそのまま飲める場所もあり、水に関しての不足は無かった。ただ薬剤不足により上水道施設と下水処理場の能力が落ち市街地や河川では水質の悪化が起こっている。 


 石油備蓄基地の原油を簡易な精製設備で精製しようとしたが技術と資材の不足で実用になるようなレベルの精製は出来なかった。古いエンジンがかろうじて稼働出来るくらいで良質な燃料を必要とする新型のエンジンは出力不足や故障を起こし、結局それでも動く古いエンジンにしか使われなくなる。暖房用も使えるレベルの灯油も出来ず、ただ燃やすだけのボイラー用となった。ボイラー用としてもSOx成分が多いため設備の劣化が早くすぐに使われなくなる。


 青森県の人口減少は、冬季の凍死や薪で暖を取ろうとしての火災と不完全燃焼からのガス中毒が多かった。ただ少なからず餓死や栄養不良による死亡もあった。




岩手県   120万人   60万人


 岩手県にも石油備蓄基地があったが石油精製施設が無く、石油製品は市中備蓄のみとなった。ガソリンと軽油は市民の移動用へ供給を停止したがその時には相当量が市中在庫から消えていた。残ったガソリンと軽油は農業・漁業と消防・警察へと回された。

 LNGもすぐに無くなり火力発電所は停止。市中の都市ガスも使えなくなった。13万kW出る釜石の石炭火力発電所は石炭がなくなり次第運転停止。

 都市ガスもすぐに使えなくなり、LPGも後を追った。 

 原発は無く、水力発電所などの自然エネルギー発電所が残るのみだった。水力発電所は合計でも最大30万kW程度で余裕は無い。 

 各地の太陽光発電は天候に出力が左右され、特に欲しい冬期に役立たずの日が多いし、夜間は役立たずだ。 

 地球さんによる強制分離から数日で電力供給はほぼ無くなった。残る電力の使い道は岩手県でも上下水道の維持が最優先だった。


 水は豊富だったが、北上川は薬剤の不足などで下水処理施設の稼働停止による水質悪化が激しく、下流部の一関周辺では臭うほどとなった。小規模河川や湧き水に頼る。

 岩手県も農業生産は燃料と肥料が無く人口維持には到底届かない。その中で努力したが限界はある。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずにかなり減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換したのであった。

 石油備蓄基地の原油を精製しようとしたが青森県同様の結果となっている。


 岩手県の人口減少は凍死と餓死が多く、寿命と病死を上回った。冬季の凍死や薪で暖を取ろうとしての火災と不完全燃焼からのガス中毒による死亡も多かった。 




秋田県   100万人    60万人


 秋田県にも石油備蓄基地があったが石油精製設備が無く、石油製品は市中備蓄のみとなった。ガソリンと軽油は市民の移動用へ供給を停止したがその時には相当量が市中在庫から消えていた。残ったガソリンと軽油は農業・漁業と消防・警察へと回された。

 LNGもすぐに無くなり市中の都市ガスは使えなくなった。LPGも同様である。


 電力は秋田火力発電所を再稼働させ、男鹿石油備蓄基地の原油を生炊きで使う。八橋油田の原油も多少は役に立った。故障気味であるが上下水道と病院の維持には十分な電力が供給された。食料保管用倉庫にも供給される。地熱発電所もあり6万kW近くの発電量を持つ。水力発電所は最大で40万kW程度の発電量を持ち頼りになる。

 各地の太陽光発電は天候に出力が左右され、特に欲しい冬期に役立たずの日が多いし、夜間は役立たずだ。

 食料関連以外の生産工場や電力を多く使う民間施設の大部分が停止しているので、一般住宅にはかなりの電力が供給された。


 石油備蓄基地の原油を簡易な精製設備で精製しようとしたが技術と資材の不足で実用になるようなレベルの精製は出来なかった。青森県、岩手県と同じ結果になる。


 農業生産は米に注力し副菜を少なくすることでカロリーの維持は出来たが栄養不良気味である。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずにかなり減らした。岩手県同様、かなりの牧草地をイモ畑に転換した。

 河川の水質は薬剤の不足から下水処理が追いつかずに悪化していった。

 水洗便所は上下水道と電力が生きており普通に使えた。ただ浄水場と下水処理場の薬剤不足で浄化能力が低下した。

 綺麗な水は小河川と湧き水が頼りだった。


 秋田県の人口減少の多くは寿命による自然減と病死と凍死であった。




山形県   120万人    60万人


 山形県には石油備蓄基地も無く、原発も無い。LPG基地も無い。唯一の石炭火力30万kW発電所も石炭が無くなり発電を終えた。バイオマスはあくまで補助であり主熱源とはなり得ない。水力発電が30万kW近くあるが需要には足りない。風力発電も出力は小さく、当初から電力供給は絶望的だった。

 各地の太陽光発電は天候に出力が左右され、特に欲しい冬期に役立たずの日が多いし、夜間は役立たずだ。

 電力は上下水道施設に回される。


 ガソリンと軽油は市民の移動用へ供給を停止したがその時には相当量が市中在庫から消えていた。残ったガソリンと軽油は農業・漁業と消防・警察へと回された。


 農業生産は十分すぎるほど有ったが、燃料と肥料の不足で全部人力となった。移動も輸送も人力だ。貴重な燃料油は冬期対策として無駄遣いは出来ない姿勢で臨んでいた。生産量は大幅に低下した。堆肥を積極的に作ったり都市部から人手を回すことで補い自給を目指したが、移動手段が人力なので限界もある。結局人口維持には足りなかった。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換した。


 配電される電力もガスも無いため太陽光発電設備のある電化住宅以外では煮炊きが出来ず、薪で煮炊きを始めた。乾燥出来ていない薪が多く酷い煙と匂いの中の煮炊きであった。暖房も無いため凍死する人も多かった。薪用に伐採しすぎ7年間で多くの山が禿げた。


 電力が無いため電灯も使えず、朝日が昇ると働き始め日が沈む前に家にいる。酒もタバコも食い過ぎるほどの食べ物も無く多くの人が健康になった。


 下水処理場の機能が薬剤不足で低下し、河川の水質は最上川水系で悪化が酷く水源を取っている田んぼの米は不味くなった。

 綺麗な水は小河川と湧き水が頼りだった。


 人口減少の多くは凍死と衛生状態の悪化による病死で餓死が続いた。寿命による自然減よりも多い。




宮城県   240万人    100万人


 宮城県には石油備蓄基地は無いが製油所が有りわずかだが備蓄があった。火力発電所はLNGがすぐに尽きて稼働を停止。都市ガスも供給エンド。

 電力は女川原発を再稼働させたが燃料棒の都合で3割程度の発電量となっている。水力発電所は4万kW程度で補助でしかない。各地の太陽光発電は天候に出力が左右され、特に欲しい冬期に役立たずの日が多いし、夜間は役立たずだ。

 県内の生活に関係ない工場や店舗などの操業を禁止して、上下水道の維持と病院への電力を確保した。必要量に近い電力が確保出来た。一般家庭全てまで回す電力は発生していない。


 ここでも薬剤の不足から上水道の水質低下や下水処理場の機能低下がある。電力だけは確保されており維持がようやくだが、維持も出来なかった県に較べると恵まれていた。それでも大都市仙台周辺の河川と仙台湾海岸沿いはずいぶんと汚染されてしまった。


 食料生産は足りておらず70%程度の自給率が、燃料と肥料の不足から30%程度まで低下した。仙台市民を農業に従事させるも移動手段が鉄道のみで鉄道沿いで歩きか自転車で動ける範囲しか展開出来ない。必要量の30%を維持するのも困難で県民の半数という規模の餓死者も出た。7年後に繋がったときは県民のほとんどが栄養不足であった。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換した。


 分割初期に仙台市で暴動が起きたが、知事の権限で鎮圧した。暴動を起こした者達への一般市民の反応は冷ややかで、ほとんどの場合怪我をしていても見捨てられた。見捨てなければ自分たちの脅威になると。


 人口減のほとんどが餓死と凍死で自然減と病死を上回っている。暴動による死者は数千人。




福島県   190万人    150万人


 エネルギー関連は原発はあったが廃止されている。水力発電で300万kWを確保出来ているが、全ての需要には届かない。各地の太陽光発電は天候に出力が左右され、特に欲しい冬期に役立たずの日が多いし、夜間は役立たずだ。小規模な自然エネルギー発電所は当てにならない。

 上下水道の維持が優先され病院や冷凍冷蔵倉庫にも優先的に回される。


 福島県には民間石油備蓄基地があったが石油精製施設が無く、石油製品は市中備蓄のみとなった。ガソリン・灯油・軽油も市中在庫のみですぐに消えた。

 石油備蓄基地の原油を簡易な精製設備で精製しようとしたが技術と資材の不足で実用になるようなレベルの精製は出来なかった。古いエンジンがかろうじて稼働出来るくらいで良質な燃料を必要とする新型のエンジンは出力不足や故障を起こし、結局結局それでも動く古いエンジンにしか使われなくなる。暖房用も使えるレベルの灯油も出来ず、ただ燃やすだけのボイラー用となった。ボイラー用としてもSOxが多いため設備の劣化が早くすぐに使われなくなる。というおなじみの結果となった。


 燃料も肥料も無い中、農業生産の努力をしかなりの食料が生産された。

 肉と牛乳と鶏卵は飼料の不足で飼育数を維持出来ずに減らした。かなりの牧草地をイモ畑に転換した。

 薬剤不足で下水処理能力が低下し浄化しきれない汚水で猪苗代湖は酷い水質汚染を起こした。上水道も水質は悪化し、綺麗な飲み水は湧き水に頼る。

 分割初期に小規模な暴動が起きたが、知事の権限で鎮圧した。暴動を起こした者達への一般市民の反応は冷ややかで、ほとんどの場合怪我をしていても見捨てられた。見捨てなければ自分たちの脅威になると。


 人口減のほとんどが自然減と病死と凍死で餓死を上回っている。暴動による死者は数千人。



06:00に「基本的な要素」を投稿しています。

ストーリーに関係する考え方ですが飛ばしてくれても問題ありません。

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