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日本合身後 11日目から20日目

徐々に態勢を整えてきているが、県をまたぐ有線通信は細い野戦ケーブルを中継器をかまし継ぎ足しで届かせてる。大量のデータ通信などとてもとても。無線よりもマシというレベル。川が有ると川幅によっては途切れる。データはUSBメモリで向こう岸に受け渡すなどの努力をしている。

個人レベルの電話などとても無理。

光ファイバーの敷設が急がれるが、100km単位の局間に使える光ファイバーケーブルと中継器が無い。いつになることやら。


 結合11日目。


 暫定内閣で決定した6項目の5を実行した。

 国境線を越える決意をし、百里から発進したRF-4EJが国境線を越える。RF-4EJは退役したがまだ飛ばすのだった。

 朝鮮半島上空では韓国に通知してあったが警告が来た。現状を知るために越境していると答える。スクランブルはまだ出来ないのであろう。機体は上がってこない。レーダー波を探知出来ないので、思い切って北へ侵入するが警告もスクランブルも無い。あまり低空に降りると携帯ミサイルが有るかもしれないので高度は維持したままだ。


 平壌が無い。は?もしかして使ったのか。核ミサイル基地が有ると推測されていた地域も無い。空撮をして帰還する。 




 結合12日目。


 東京都放棄が決定された。今の日本には東京都を復旧する力は無い。川崎市と横浜市中心部もだ。人も時間も限られていてそれらの地の復旧に割く余裕は無い。

 はっきり言うと、アレの始末が大変すぎる。2000万体以上の処理は事実上不可能だ。またアレを主食とする昆虫やゴキブリやネズミなどの小動物とそれを狙う蜘蛛や昆虫と野良猫と野鳥がかなりいいる。駆除が大変すぎる。

 その内、貴金属など残された金目の物を回収しようという連中が出てくるだろう。そいつらにやらせようかという案もあるが、やらないだろうという意見が多い。

 電力が足りない県への電力回線確保が優先される。それまでは非常用発電機で頑張って貰うしかない。燃料は大量にあるので自衛隊のヘリや輸送機で運ぶ。いつまで機体が稼働出来るかわからないが。道路の開通を早めてタンクローリーで運べるようにしたい。ただ自動車のタイヤも補充されているが、大型車両の整備やタイヤ交換が出来る人材が足りない。運輸関係も大型車両を中心に展望は悪い。タンカーも内航タンカーが回せるか航路や港湾の点検をしている。

 東京・横浜・川崎からは、せめて中央省庁や各種の企業や研究所からデータ救出を試みるとされる。バックアップと比較しないと差分がどれだけあるのかわからない。また、バックアップ先のサーバーが都内というケースも有ると思われた。

 8項目の内、インターネット網は回線を新たに引き直した方が早いと見られ可能な会社へ問い合わせている。生き残りの少ない地域や暴動の酷い地域に存在していた富士通・NEC・東芝といった大きく関連する会社の回復は不可能とされ、インターネット網の復旧はかなり困難と見られた。




 結合13日目。


 県境を越える道路を建設すべく、地図作りから始める。航空写真でおおよその当たりを付けて良さげな所から始める。



 内陸県への電力回線の確保は以下の組み合わせで行われることになった。一番山岳部が少ない地形を選んだためであった。

 茨城県から栃木県へ。

 千葉県から埼玉県と群馬県へ。

  群馬県は埼玉県の後になるだろう。

 静岡県から山梨県へ。

 愛知県から岐阜県へ。

 新潟県から長野県へ。

 和歌山県から奈良県へ。

 福井県から滋賀県へ。


 道路や資材と人材を必要量用意出来ないので構想だけである。早くても5年後と目された。


 各都道府県間の連絡は無線機で間に合う程度の情報量しかないので今のところ十分だ。それよりも一般家庭への電話回線の稼働が優先とみられるが、光回線で電話契約している家庭はインターネット網が復旧しないと電話も掛からない。NTTのメタル電話回線のみ復旧が始まっている。

 インターネット網は過去の回線への回復は無理で再構築から始めなければいけないが資材も人材も足りない。かなり向こうの話になるだろう。




 14日目。


 北で存在しない地域が確認された。再度飛んだのだ。

 台湾と無線通信が確保出来たので、聞いてみたが不明とのこと。台湾では航空機も船舶も稼働状態になるまで時間が掛かるので、日本が自衛隊機を飛ばすことになった。


 各地で県境突破用に重機の整備が始まる。トンネルは掘る事が出来ないので、かなり迂回した道になる。


 中国は、群雄割拠時代になるようだ。昨日辺りから通信の復活があり、かなり混乱している。『北京が無い』と。他にも核ミサイル基地の在った地域が確認されないという情報も漏らしている。

『生存のために我が省は独立する』と気の早い宣言まで出てきた。

「北京の確認に自衛隊機を飛ばすが良いか」と聞くと、多くの地域からかまわないとの返信。 




 15日目。


 P-1が大陸上空に侵入する。レーダー波は通常のレーダー波以外関知出来ない。警告無線も聞こえてこない。北京は・・


 無かった。


 推測されていた核ミサイル基地の有る地域も消えている。


 相当なお怒り様だ。もう持っていても核兵器は使えないだろう。




 16日目。


 P-1を小笠原経由でグアムに飛ばすことにした。硫黄島基地が使えればよいが。GPSは当てに出来ない。島づたいが安全だ。航法士には天測で飛んで貰う。天測も地球自体大きくなっているので当てには出来ないがGPSよりもよほどマシである。ひょっとしたら無い可能性もある。グアムが無いならハワイも無いだろうしワシントンも無いだろう。


 P-1は硫黄島の在るだろう辺りに巨大な島影を観測した。(地形が変わるって言っても変わりすぎじゃないですか)と乗員は思う。硫黄島は存在して、低空飛行の限りでは使えそうに思えた。無人ということなので発信器をパラシュートで投下する。

 呉から護衛艦が出動して硫黄島が使用に耐えるか確認することとなった。


 そして火山列島の南にマリアナ諸島は無かった。レーダーに反応なく目視でも見えず。(やはり使ったのか。こうなるとハワイも無いな)




 17日目。


 短時間に数回の地震が感じられる。但し震度2程度で被害は無いだろうと思われた。何しろ広域の地震観測システムがインターネット網断裂で役に立たない。無線が飛び交うがどこも震度2程度だった。

 また地球さんかと憶測が飛び交う。まさかね。

 

《 やあ、地球さんだよ。まさかまたお知らせするとはね。親切だろう。そう思うよね。今回は沈めた場所。川が途切れてしまったり、湖が無くなったり、海峡が海になったりね。そこで元に近い近い形で適当に創っておいた。創った土地は無主土だから誰の土地でも無いしどの国の領土でも無い。「そこは俺の土地だった。我が国の領土だった」は地球さんが許さないよ。地球さんは怒ったんだぞ。最初に手を付けた者が主権を主張すればいい。ではね 》


 また、地球さんか。

 ん?無主地?

 グアム、サイパンだ、急げ。




 18日目。


(7年眠らせておいてからの詳細検査と飛行試験も終わっていないんだが)C-2のクルーは思う。 

(人跡未踏の地に放り込まれるとは)空挺団の面々は思う。特急で訓練と資材の点検をし、C-2へ乗り込んだ。7年の間、訓練塔からの降下訓練しかしていない。C-2からは前の日に1回降下しただけだ。不安はある。C-2のクルーも手際が悪くなっている。7年間休日以外は、農作業7割だったし仕方がない。

 彼らはP-1の先導で島嶼に沿ってマリアナに向かっている。お互い航続距離に余裕がない。いざとなれば硫黄島への不時着も考えられている。まだ護衛艦が到着していないので滑走路の状況は未確認であり、非常事態以外は降りるなと。 

 

 サイパン・テニアン・グアムに一番乗りは日本だった。但し、在っただろう場所で地形も相当違う。そうだろうと見当を付けての出動だ。そして目にしたのは、自然しか無かった。人のいた形跡が無い。地球さんは本気だったとわかった。

 第一空挺団の面々を砂浜を見つけて物資ともども放り出し、P-1とC-2は帰って行った。幸いなことにのろしは起こらなかった。予備傘を使う羽目になったのは何人かいたようだ。さぞ恐ろしかっただろう。


 ハワイはさすがに遠かった。アラスカはもうカナダが手付けているだろう。日本としては大陸で地続きの所は最初から考慮に入れていない。だいいち遠すぎる。人口が4割まで減った日本にその能力は無い。アメリカとロシアと中国なんて国土が半分近く減った可能性もある。勿体ないが能力不足だった。




 19日目。


 国外各地と言っても中国だが。無主地を巡り紛争が発生していると通信解析の結果わかった。アメリカとロシアは混乱が酷いらしい。




 20日目。

 

 岩国基地に配備されていたUS-2が3機稼働可能になり、硫黄島を中継地としてマリアナ諸島各島へ日本の旗を刺しに出動した。

 19日に護衛艦が硫黄島に到着し設備は使えそうだと確認された。ジェット燃料のタンクも一杯になっていた。




通信インフラなどは2020年当時のままです。メタル回線は光回線への切り替え時に撤去されたはず。ISDNが使える公衆電話も含め生き残りは少ないでしょう。

7年間手入れされていない飛行場。使えるんでしょうか。ここは使えそうだということで。

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