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日本合身後  1日目から10日目

 地球さんが成長すると言って、バラバラにされた各地。2020年の出来事でした。それが7年目にしてようやく元通り?に繋がった。日本四十七都道府県合身である。?は接続部が明らかにおかしいから。

 合身後10日目までです。本文内は土地が繋がったので結合としています。

 いろいろ設定に齟齬とご都合主義がありますがお許しを。

 県バリアーは日本でこそですが、国に次ぐ行政単位としてです。他の国では州とか省とか。

 本日は2話です。6時にもう1話。


 結合1日目。西暦2027年4月1日。


 県バリアーが消えた。


《 やあ、地球さんだよ。生き残ったのか。おめでとう。地球さんは少し大きくなったからね。スッキリした。もう県バリアーのように移動を遮るものは無いので好きに移動していいよ 》


 山口の岩国基地と茨城の百里と北海道の千歳から動ける機体が航空写真を撮影に回っている。ついでに各県に健在である旨を知らせる飛行もする。この一道二県は備蓄基地と製油所が有りジェット燃料も精製出来た。但し氷結防止剤などの燃料添加剤は手持ち限りだが、ある程度の量は確保出来ていたのであった。空自の生存者も多く、少数だが機体を実働状態で維持出来ていた。離着陸でタイヤが痛むので飛行は年数回。普段はタキシングで飛行場を時々走行するだけだとしても。

 他にも機能が生きている自衛隊航空基地から自衛隊機が各地に向かって試験飛行をする。県バリアーが消えたかどうか漢試験だ。無事に県境と思われる地域を通過し隣県まで行けた。

 無線も生きている無線機で積極的に通信を行った。


 富士山を始めとする県境に在った山岳が皆双子になっている。




 結合2日目。


 朝っぱらから


《 やあ、地球さんだよ。君たちには生き残った記念として・・・・・そうだね。お情けで当面・・・そうだね、分割前7年分の物資もあげよう。7年掛かったからね。徐々にあげるよ。保管場所が無いだろ。なんて親切なんだろうね。地下資源はまっさらだよ。新品で誰も掘っていない。まあ、これは地球さんが大きくなったせいだけどね。量がかなり変わっているが減っていることは無いよ。それと地球さんにとって好ましくない物は今から地に沈める。他の生き物に良い影響が無いからね。言い忘れていたが地域バリアー、日本では県バリアーだね。それ核兵器で破壊しようとした愚か者がいる。爆発した奴は多くは無いんだけどね。ただ、放射性物質がまき散らされた。地球さんは怒ったんだよ。爆発させた愚か者がいる地域はもちろん沈めるよ。核兵器のある地域も沈めるよ。命令した奴のいる地域も沈める。ただ核兵器を作動させなかった地域の生き残り達はその国内に送られる。これはお情けだ。もう核兵器を作るんじゃないよ。各部を点検していて漏れに気が付いたんだ。ついでだから放射性物質がまき散らされるような場所も沈める。地球さんも万能ではないのさ。県境を見ればわかると思うが地形は変わるね。富士山が双子になった?増えたんだからいいじゃない。それも楽しんでくれ。県境に在ったダムや橋が壊れてしまったが壊れた奴は復活させよう。地形が大幅に変わって洪水がなるべく発生しないように調整はしておいたよ。海陸比は同じ程度で大きくは変えないよ。君たちが生きて行くには問題ないどころか感謝されるだろう。あがめよとは言わないが感謝はするように。海には魚が一杯だ。獣も多い。樹木もたくさん有る。この先、君たちが滅びようと地球さんは関知しない。君たちが滅ぼしてきた他の生き物と同じだ。じゃあね。頑張って生きてくれ。次に会うのは20万年くらい向こうだ。アディオス 》



 終わりか?

 これだけなのか? 

 死んだ人は生き返らないのかよ。

 補償しろ。

 好ましくない物ってなんだ。答えろ。

 富士山を一個に纏めろ。


 様々な人の疑問も嘆きも一切通らなかった。

 一部の人が録音に成功していて、内容は共用された。


 地球さんからの生き残り記念というか、各種物資が大量に積み上げられている。

 各種洗剤とトイレットペーパーと生理用品が助かる。米も保存食も水もカップ麺も山積みだ。上下水道用の資材や薬剤もある。医薬品や医療用品も山積みだ。

 各地で騒ぎになっている。気の早い者達は燃料を入手して自動車を動かし始めるが放置されていたタイヤは変形していて空気も少ないか抜けている。パンク用応急修理材を入れてみるが変形は戻らないのでボコボコ言わせながら動き出す。

「GPSナビゲーションが使えない、位置が狂っている」と騒ぎになる。

 一番下まで下がっていた油面がオーバーフローするほどの位置まで上がっているタンク群。各種ゲージが一杯であることを示すLNGタンクとLPGタンク。石炭が一杯の貯蔵所。

 ガス設備も電力設備も各地で点検が始まる。ただ県越えでパイプラインによる都市ガスの提供を受けていた地域では都市ガスの復旧は無い。

 生き残っている要員たちで火力発電所や上下水道施設の稼働準備が始まる。東京・神奈川・大阪は生き残っている要員が少なく稼働出来るかどうかわからない。


 各地の海岸で県バリアーにひっかっかっていたと見られるプレジャーボートなどが漂着する。中にあったのは餓死した死体だった。

 残された手記から県バリアーを抜けることは出来ても中に入ることが出来なかったとある。戻ることも出来なかったと。

 どこも他都道府県と空路でも海路でも連絡が出来なかった理由がわかった。

 北海道目指して飛び立った旅客機は、北海道側に到着記録は無かった。

 3日目までは電波が届いたようで、ラジオ放送を聞くことができたと。

 4日目は電波も届かなくなってきたと。

 確かに県バリアー発生後も3日目までは他県の無線やラジオが届いていた。救難要請と現状確認ばかりだったが。

 なるほど。3日目までに最高指揮権を持つ人物が県バリアーを破壊すべく発射指令を出したと。生き延びる方法として外部との交通を考えたか。




 結合3日目。


 福島では沈んでいくとパニックになった。

 これならチェルノブイリも沈むのか。スリーマイル島も。

 核を使った奴はどこの国だ。まだ国外との通信が確保されていないのでわからない。


 自衛隊機による空撮で得られた海岸線や海面の資料を基に海上保安庁の巡視船が海岸沿いを観察に出航した。稼働を維持出来ていた北海道と茨城と山口と愛媛の巡視船である。GPSナビゲーションがまともに使えないし海底の状況がわからないために速力は低い。

 測量船の復旧が望まれる。




 結合4日目。

 結合した新生日本だが問題が山積みであった。

 通信設備と人員が生きている県の自衛隊によると県によって酷い差があるようだ。多くの県には生きている通信衛星や気象衛星の専用傍受設備は無く、茨城の筑波山に頼る。ただ大気が綺麗になり天の川が綺麗に見える。天文観測結果から衛星の数はかなり減っている。特に低軌道の衛星は残っていないらしく確認出来ない。ISSも確認されない。高軌道でも姿勢制御が出来なくなっただろう衛星もない。

 県境部分は未開の地であり最大数十キロも有るらしいので、まだ隣県との邂逅は果たせていない。


 一部だが海外の状況も入ってきている。北とウラジオストックからの電波発信は傍受されず。中国も一部地域の電波は傍受できただけ。グアムとは連絡が取れない。しかし日本が傍受出来る限りでは結合後大量に出されるだろう電波はあまり受信出来ていない。


 また主導権の問題もあった。首都東京が壊滅。大臣や国会議員の生き残りはいても任期切れである。自治体の多くは選挙などやっている場合ではないとして、任期の延長を独自に決めたところがほとんどだ。異常事態なので通常の任期が適用されない可能性も多いが、国の代表を早急に決め国にとしての指針を決めなければいけなかった。

 遮断されたままの電力網・交通網・通信網など復旧しなければならないインフラは多数在る。人材が不足し遅々としか進まない。


 ダムが各地で満水になっているため、県境に在ったためダムが事実上使えなくなり停止していた水力発電所の稼働準備が始まった。県境に在ったダム、佐久間ダムが一例だが、は地球さんの言うようにその位置にあった。しかし規模がまるっきり違う。川幅が違うのだ。橋もそうだった。2日目の夜に突然だ。

 電力の供給が無い各地でも取水用ポンプの非常用発電機が稼働出来た施設では上下水道施設が再稼働準備を始める。1週間以内に点検完了して再稼働を始めようとしている。

 



 結合5日目。


 北海道と茨城県と山口県と愛媛県と千葉県で運転率を下げていた火力発電所の通常運転が始まる。この地域は最後まで一部発電所が出力を下げて稼働していた。その地域でも停止していた発電所の稼働はずっと先だ。今までなかった電力が供給された地域では「点検してから使うように」と自治体街宣車で促しているが、気の早い者達は点検もせずに使い始めた。動かなくなっている家電製品も多いようだ。発火したという事態に人数は少ないが動けるようになった消防が出動する。まだ公衆通信網が復旧していないので、火の見櫓で見ているのだ。まだ水が来ていないし水源からも離れていた地域だったので消火をするにも時間が掛かることになって火元の住人や周囲の住人と揉める。殴り倒して活消火動を続ける。7年間でずいぶん野蛮になった。

 消防がまだ動けない地域は燃えるままだった。

 マンションやアパートなどでは火が出ても同じように消火困難な地域では燃えさかるままだった。

 ようやく生き延びることが出来たのに不注意で周囲を巻き込んで家も命も失ってしまう。


 北方四島に巡視船が派遣されるがほとんど生き残りがいないようで、海岸から盛んに手を振られた。双眼鏡で見る限りでは船は全部係留されている。無線で交信するが、モスクワはおろかウラジオストックとも連絡が取れないと聞けた。物資は突然現れたので不足は無いとも聞いた。




 結合6日目。


 部品も供給されて点検も済んだ自衛隊機が各地に向かって飛行する。まだ航空管制機能が正常ではないので飛行するのは自衛隊機だけだ。もちろん管制空域など無視するしかない。内陸県への連絡業務もほどほどの回数で始める。

 点検を終えた地域から電気と都市ガスの供給が開始される。死亡して家に誰もいない住宅もあり、それら住宅へガスの供給停止と電力の配電停止も行わなければいけない。人材が減ってしまったため全域で供給出来るのは相当先だろう。

 自衛隊の生存人員数が集計された。確認された行動可能な人員のみである。陸上自衛隊5万3000人、海上自衛隊9000人、航空自衛隊1万4000人。

 特に東京、神奈川、大阪は壊滅している。海上自衛隊の主力基地である横須賀がある神奈川県の壊滅が痛い。生存者は僅かだった。

 NTTの電話局が復旧しはじめたが、NTTアナログ回線でしか電話が通じない。光電話などのIP電話はインターネットが使えないため使えない。県越えはケーブル切断でダメだった。




 結合7日目。

 

 各都道府県で誰を国家の代表にするか話し合われる。もちろん自衛隊機で送迎された。場所は茨城空港。時間が惜しい。生き残ったみんなは忙しい。無駄に豪華な会場の用意など出来ない。

 分割当時の総理大臣は病死。内閣官房長官は暴動に巻き込まれたか餓死または病死と思われ行方不明。他大臣や国会議員にも病死・餓死なのか行方不明が多数あり国の一大事というのになかなか決まらなかった。結局分割時に経済産業大臣だった梶尾雅弘が臨時総理大臣となった。暫定的な決定である。元気な当時財務大臣もいたがさすがに87歳ではと遠慮して貰う。


 初日に決定したことは。


1. 内陸県への電力回線の確保。

2. 東京都復旧が可能か調査する。神奈川県と大阪府も。

3. 各都道府県の実態調査。

4. 各地に出現した物資の調査。

5. 自衛隊による隣接国の調査。

6. 県境結合部の地形把握。

7. 離島の調査。

8. 通信網およびインターネット網の確保。

9. 医薬品および衛生用品の製造再開。

10.食料生産の安定化。

11.上下水道維持のための資材と薬剤の確保。


 の最優先11項目だった。

 



 結合8日目。


 早いところでは停止や運転状態を抑えていた上下水道施設が稼働を始める。水道管内部の汚れを排出するために地域を区切って上水道の点検用配管や消火栓からドバドバと放水される。それが済んだ地域から水道の供給が始まる。まずは家庭の引き込み管の排水からだ。相当汚れた水が出る。出てくる水道水は規定の水質には届かない最低限の濾過と消毒をされた水だが、それでもうれしい。家庭や施設で組み込みのフィルターが詰まってしまう事例が多発。事前にフィルターのことを考えていなかった。盲点だった。


 自衛隊機による空撮で各県境の状況が明らかになる。間隔は18キロから45キロと様々だった。一様に川があり蕩蕩と流れている。越えるのは大仕事だろう。

 隣県との陸上交通再開はいつの日か。




 結合9日目。


 自衛隊を主力とする県境調査隊が隣県調査隊と邂逅する。祝う。

 しかし内陸県の多くは状況が相当悪く、早急な電力供給が望まれている。既存ディーゼル発電機に燃料を回すことが出来るようになったが、病院などの重要施設のみであり民生用が全く不足している。

 自衛隊の輸送機やヘリで運べる大きさのディーゼル発電機を空輸することにした。海沿いの県で発電所稼働で電力が余裕となり、不要となった太陽光発電設備をバラして空輸も考えられている。自衛隊側は航空機が新規機体はおろか新規に部品の供給が当面見込めないこともあり、過剰な使用に難色を示している。


 各地で調査の結果、県境各所の鉄道や道路のトンネルは絶望的な状況だった。県境に数十キロ有る土地が障害で復旧は不可能と判断される。そこまでのサービスはなかった。

 千葉と埼玉では東京都との地下鉄が水没しており県境で水が流れなくなったのか水が腐ってきている。排水と内部の確認をどうするのか頭が痛い。

 東京都の状況は不明だがこれよりも酷いと思われる。


 暫定内閣で決定された項目の2。東京復旧の可能性。

 千葉から東京湾を船で渡り海岸や川沿いに奥へ行こうとしたが、あまりの壮絶な風景に帰ってきた。アレを片付けないと東京復旧は出来ないと。神奈川も川崎と横浜は似たような状態だった。東京大手町にはインターネット接続ポイントが集中しており復旧しないことには国内インターネット網が使えない。もっとも大容量で長さのあるケーブルが無く復旧は遠い。

 大阪はまだましという連絡もあり、ここでも東京をどうするか議論が始まる。


 6の県境結合部の地形把握は航空写真からおおよそを推定し、後は人力で頑張るしかない。




 結合10日目。


 離島調査はやはり自衛隊と海上保安庁が中心となり行われる事になる。 

 各地で無線局が復旧している。連絡が付くところもあれば付かないところもある。

 海上自衛隊と海上保安庁を中心に調査していく事になる。GPS信号は半分以下になり準天衛星みちびきも1基は受信出来るが他はダメだ。寿命で機能しなくなったと思われる。ひまわりの画像も届かない。新しい衛星の打ち上げなど何十年先かわからない。衛星画像と使った天気予報もGPSナビゲーションも使えないと見ていいだろう。瀬戸内海でも島と島の間隔が拡がっている場所があり水深や岩礁など海図が通用しない可能性もあるので、慎重に航海をする。

 天文台から観測結果として地球が大きくなっていると発表される。おおよそ直径で2000キロほどだと。

 GPSナビゲーションはもう使えない。


 



本日6時にもう1話。

7年分の物資を小出しにしてくれる。なんて親切なんだ。地球さんのお情け。

核ミサイルは独自に発射出来るんでしょうか。核爆弾や核弾頭自体の場合、物語だと独自に起動して爆発していますが。もちろん大統領などの国家最高指揮権を持つ者の認証が必要。

火力発電所はコンビナート内の発電所も含みます。

物語の始まりは2020年です。インフラ環境も2020年時点のものです。

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