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名前を付けて



「えーと、マタタビ」

「マタタビ! それが我が名! ありがとうございます姫さま!」

「え、えーと……クロ」

「クロ……。ありがとうございます姫さま! おーい、俺はクロだぞー! 今日からクロだー!」

「「「いえーい!」」」

「……えーと、じゃあ……にぼし……」

「にぼし! にぼし! わたしはにぼし! 姫さまありがとうございます!」

「幸坂さん……」

「言わないでください」


私が!

私が誰よりもこの残念な感じを分かってますからー!

まあ、でも、一応これで粗方名前は付け終えた、わよね?


「これで全員?」

「はい! 姫さま、お疲れ様です!」


ミューがきのみのジュースを差し出してくれる。

ああ、そういえばかなり喉乾いてるわ。

お礼を言って受け取り、喉を潤す。

あ、意外と甘くて美味しい……。


「後半ひどかったですね」

「い、言わないでくださいってば」


自分でも分かってるんですから〜!

水守さん時々意地悪なんだよなぁ、素で。


「姫さま、畑の件をトラジロウやソーリに相談されてはいかがでしょうか」

「あ、そ、そうだったわね」


いかん、タマが呼んだのが誰だか分からなかった。

自分で名付けておいてなんだけど、顔(?)と名前が一致するまで時間がかかるぞこれは。

再び前に出てきたのは白黒の虎猫とグレーで眉毛がもふもふな猫。

いや、ケットシー。

あれ、この子達どこかで見たような……?


「えーと……」

「幸坂さん、村長と長老のケットシーたちですよ」

「はっ! あ、そ、そうか! そうね! そうだった! ……えーと、なにを話すんだっけか……」

「………………。……幸坂さんはお疲れのようなので、俺から相談があるのだがいいだろうか?」

「にゃんにゃりと!」


……すみませーん……名前付けで一日分の気力と体力とあと何かが消費されました〜……。

全部絞り出したのよ、何かを〜。

水守さん、後は頼んだ……。


「……畑の管理ですか」

「ああ、次の大陸の浄化をするに至り、あちらの大陸で目覚めた種が自給自足の生活を安定して送れるようになるまで、最低限の支援は必要になるだろう。その為の食糧の備蓄をしたいのだが、この村の皆にも協力してもらえないかと思ってな」

「なるほど。そういう事ならば、我ら全力でお支えしますぞ!」

「長老、あ、いえ、ソーリ、何か食糧を増やす知恵はありませんか?」


ミューがグレーのもふもふに聞く。

あれ、えーと、あの子名前なんてつけたっけ?

ソーリ?

誰よそんな名前付けたのは〜、だっさーい…………私だよ。


「ふむ、備蓄生産性を高めるなら、東の山の水を使うのはどうだろう。神竜さまの魔力が込められた水だ。使えば作物がよく育つはず」

「アーナロゼの魔力か……。……ふむ、それなら、幸坂さんの『祈りの力』で育ったりはしないだろうか?」

「へあ?」

「…………。なんでもありません。それはまた今度」

「は、はい?」


なんかとりあえず大丈夫らしい。

というか、絶対気を遣われたわよね、今。

くっ、イケメンめ。

何にしても、私はもう働けないわよ。

疲れた無理疲れた。


「では、ああ、そのように頼む。……幸坂さん」

「は、はい」

「帰りましょうか」

「……もういいんですか?」


助かるけど?


「お疲れでしょう?」


と言われて手を差し出される。

あ、あう……こ、このイケメンめ、無意識にやってるの?


「……ありがとうございます……」


恥ずかしいものを感じつつ、ただ手を繋ぐだけで照れる歳でもないし、ありがたくその手を取った。

ミューは……久しぶりどころではない故郷の仲間たちとの再会。

今日はお手伝いしなくていいから、仲間とゆっくりしてきて、と頭を撫でて置いていく事にした。

まあ、何かあってもご近所だし。

平気だろう。


「…………」


と、ところでこの手はいつまで繋いでいればいいのかしら?

嬉しいけど、嬉しいけど……後からお金とか支払わなければいけないとかそんな事にはならない?

いや、水守さんはそんな人ではないし?

あ……あったかいしごついし男らしい手でむしろごちそう様です!

こんな、もう、お金払わなきゃダメじゃね?

くらいな……ねぇ?


「夕飯は何を食べたいですか?」

「え! ……えーと、そ、そうですねぇ……水守さんのご飯はいつでもなんでも美味しいですけど……うーん……」


あれ?

歩調、水守さんが私に合わせてくれている?

いつの間にか手を引かれるのではなく、水守さんが隣に来ていて、ただ手を繋いで歩いているようになった。

それでいてこんな会話。

うっわ、なんかまるで同棲してる恋人みたいじゃないのよ。

ひょえぇ……い、いいのこれぇ、まずくない?

勘違いしちゃうぞ、このぉ!


「久しぶりにうどんはどうでしょう? ……肉うどんが食べたい気分なんですが」

「肉うどん」


……水守さんが、食べたい物。

あんまりそういう事を言ってくれたイメージがない。

いつも私を最優先してくれていたから。

だから、水守さんが自分の食べたい物を言ってくれただけなのにめちゃくちゃ嬉しくなってきた。


「はい、はい! 私も食べたいです!」

「……」


からの微笑みは爆弾だぜ!

爆死するかと思った。

なぜ! そこで微笑みかけてくるんですか!

殺す気ですか!

顔から出るもの全部出るかと思ったじゃないですか!

血的な方向で!

ああああああもう! イケメン! 自覚して!

かっこいい! 好き!

ぁああぁぁ……!

こんなイケメンが……っていうか水守さんが、明日の朝、同じベッドで裸で隣に寝ていたら最高に幸せなんだけどなぁ!

え、そりゃあ私も全裸で! 全裸で!

大事な事なので二回言うけど二人とも全裸!

ハァ、ハァ……水守さん脱いだらすごいんだろうなぁっ!

そして絶対、優しいんだろうなぁ!

逞しい胸板とか肩とか腕とか、普段びっしり着込んでるから……うっ、想像しただけで妊娠しそう。

そんなプロマイドとか手帳に入れて持ち歩きたい。

なんならスマホの待受とかにしたい。

開く度に幸せになれる。

大体ずるいのよねぇ、この人。

ワイシャツの襟首から覗く喉仏までセクシーすぎるし。

隣で朝に「おはようございます」とか笑顔で言われたら鼻血出る自信がある。

というか、これほどの容姿でなぜ刑事なの?

モデルでも不思議じゃないし、モデルだとしたら全財産注ぎ込むレベルで注ぎ込むんですけど。

水守さんのセクシーショットだけの写真集とか出たら買うのに。

でも、でも、このまま独占していたい気持ちもある。

分かってる、そんなのは無理な事くらい。

じゃあ、やっぱり……やっぱり結婚するしかないんじゃない?

ああ、結婚したい。

ハァ、ハァ、ハァ! 水守さんと結婚したい!

毎朝隣で寝顔を眺めて朝一番に笑顔で……あと全裸で……「おはようございます」って言って欲しい!

水守さんの笑顔で「おはようございます」って言われたら悶え転げるけど!

そんな理想の夫婦生活——!


「…………なにか不穏なものを感じませんか?」

「え? か、感じませんよ?」

「そうですか……気のせいならいいんですが」

「…………」


すいませーん……間違いなく私でーす。

さすが刑事、第六感は伊達じゃねぇ……。

……いや、まあ、妄想しすぎた自覚はあるけど、こんな隣で手を繋いで帰るとか、されたら……ねぇ?

も、妄想も爆発するのは仕方なくない?

こちとら禁酒も相まって色々欲求不満なのよ。

お、男なら襲ってきてもいいじゃない。

どんだけ真面目なのよ。


「はっ!」

「?」


つーか、ミューがいないから今日は久しぶりに二人きりじゃない⁉︎(※アーナロゼはいる)

向こうが襲ってこないなら、私が襲って…………。


「どうしたんですか? 忘れ物ですか?」

「あ、いえ、ちょっと思い出し笑いを?」

「思い出し笑い」


いや無理でしょ。

相手は水守さんだぞ。

絶対無理でしょ。


「……はい。なんでもありません」


それに、そんな事して失敗したら……拒絶されたら……今の距離も台無しになる。

今後の生活に支障をきたす。

それは……絶対まずい。

水守さんあっての今の生活。

はーあ、私もかなり拗らせてるなぁ。


「…………」


いや、でもまあ、リハビリだと思えばいいか。

もーこの歳でこんなところに来て、焦ってどうこうなるもんでもないわよねぇ、ハハハ……。

いや、内心めちゃくそ焦りまくってるけど。

でも、やっぱり……好きだし……失敗したくない、今度こそ……。

それに、水守さんも割と拗らせてるだろうし、女性不信を。

だから焦っちゃダメなんだよね。

うん、分かってる。

今はただ、こうして水守さんから手を差し出してくれて、その手に重ねたまま同じ歩幅で歩いていける事を幸せに思おう。

悲しい事に、この世界を浄化していくのに時間はまだまだ掛かりそうなんだから——。


「水守さんの肉うどんが楽しみです」

「? ……はい、任せてください。ああ、でもネギはないので本当に肉だけですよ」

「あはは! それでいいです!」



貴方が作ってくれるものならなんだって!









『世界の卵と正義の味方〜異世界で聖女生活始めます⁉︎〜』を閲覧くださった皆様ありがとうございました。


ぬぁぁ、申し訳ないです。

しかし熱量が切れてしまったので仕方ない。

プロットをまったく考えずに見切り発車で始めたお話なのでプロット大事だなー、と思った次第。

最近はプロット考えずに見切り発車してもあとからプロットを作ったりするようになっていたんですが、このお話はざっくり考えていたプロットが100万文字超えるレベルだったのです。

こちらのお話は読者様にキャラの名前を頂いていたのでとりあえず完結はさせたかったのですが、力不足は否めない終わり方は申し訳ないです。

しかしながら、書きたかったシーンは妄想という形ですが書けたので、まあ、満足。


それでは、キャラのお名前を提供してくださった皆様、閲覧してくださった皆様、ありがとうございました。

古森でした。

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