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【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

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122.異変




 マリィたちは打倒マーサのため、不死の山へと向かう。

 馬車に乗って蓬莱山のなかを進んでいく。



 椅子に座るマリィは物憂げな表情で窓の外を見て言う。



「おなかすいたわ」

『あんだけ散々食っといて、まーだ腹減ってるのかよ……』



 蓬莱山に到着してからというものの、スイーツ三昧であった。

 あの量のお菓子を食っていたらあっという間にデ(自主規制)。



「魔法使うとおなかがすくのよ」

「わっかりました! すぐに蓬莱山の果物でおいしいスイーツでも!」



 蓬莱山にとらわれ、無理矢理働かされていた奴隷たちから、スイーツを山盛りに分けてもらってるのだ。

 カイトはそれを使ったお菓子を作ろうとする。



「待って。私は今……しょっぱいものが食べたいわ」

「しょっぱいもの……ですか?」

「ええ。ちょっと甘い物連続はさすがに飽きたの。一回くらい食休みに、しょっぱくてがっつりしたものが食べたいわ」



 オセがあきれたように『食休みって意味知ってる?』と聞いてくる。

 マリィは胸を張ってどや顔で答えた。




「食事と食事の間の休みのことでしょ? 馬鹿にしないでちょうだい」

『ああ、言葉の意味は知ってるんだな。すまん』

「甘い物と甘い物の間に、しょっぱい物を挟むことで、甘い物連続で疲れてる舌を休ませるってやつね」

『おれの謝罪を返しやがれこんちくしょう……!』



 何はともあれ、マリィは腹が減っていた。



「カイト。ご飯」

『赤ん坊かおまえは……』

「赤ん坊はご飯欲しいときに、ご飯なんて言わないわ」



 どやぁあ……とマリィが得意げに笑う。

 オセはあきれかえっていった。



「魔女様すみません。お肉を切らしてまして……」

「適当に魔物を狩れば良いじゃない?」

「それが……どうにも魔物の気配を感じないのです」



 カイトは鋭敏な聴覚を持っている。

 近くに魔物がいればすぐにわかるのだ。



 しかし彼の耳に、魔物の声が聞こえてこないのである。



『小僧、ほんとか?』

「はい。ちょっと遠くまで耳を澄ませてみたんですけど……やっぱり、魔物の声は聞こえません」

『おかしいな……魔物がいないなんて不自然じゃあねえか?』



 ここへ来たばかりの時には、魔物が普通にいたのだが。

 しかし急に消えるなんておかしい。



『魔女様よ、マーサが何か企んでるんじゃあねえのか?』



 かもしれないが、マリィはどうでもよかった。

 彼女にとって最も重要なことは……。



「おなかが……すいた!」



 マリィはだんだん不機嫌になっていった。

 おなかがすいて仕方ないのである。



 マリィは早く魔物を倒したくて仕方ないのに……!



「近くに魔物の気配がないなんて……! もう! オセ! 何か良いアイディアは!?」

『あー……一旦元に戻るのはどうだ? 転移門ゲート使って現世に戻る。向こうなら魔物くらいたくさんいるだろ?』

「ナイス、あいでぃーあ! カイト!」



 マリィは窓から顔覗かせて言う。



「ちょっと魔物ぶっ倒してすぐ戻ってくるわ。座標をこの馬車に設定しておくから、あなたは馬車を進めておくこと」

「わかりました! リアラ皇女殿下の助太刀に行くのですね! お気を付けて!」



 ……どうやらカイトは、マリィが現世にいるリアラを、助けに行ってると勘違いしたらしい。

 ま、どうでもよかった。



 マリィは転移門を開いて、一旦現世へと向かうのだった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] いつも楽しく読んでます! お菓子の城は普通に食べてみたいかな(笑)
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