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【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

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119.馬鹿王子




 グリージョからマリィ捜索をうけた、元婚約者ルグニスだったが……。

 部下からの報告を聞いて憤慨していた。


 王城、ルグニスの執務室にて。



「なんだと!? 貴様もう一度言ってみろ!」



 報告に来た部下を、ルグニスが怒鳴り散らす。

 思い通りにいかないからと、かんしゃくを起こす子供のようだ。



「で、ですから……マリィ様を探す余裕がないと言ったのです」

「ふざけるな! 余裕がないだと!?」

「ふざけてません……殿下もご存じでしょう? 今王国は未曾有の危機を迎えております」



 大量の魔物が、国中にあふれかえり、いま国はピンチを迎えている。

 ルグニスもそのことについては知っていた。



「魔物の対処だけで手一杯です。騎士たちはみな見張りに、魔物との戦いにと、疲弊しきっております。そのうえで捜索なんてとても……」

「だったら寝ずに働け! 馬鹿どもの尻を蹴飛ばしてな!」



 部下はルグニスのあまりの理不尽なふるまいに、内心で腹を立てる。

 騎士たちはみな国民を守るため、必死になって働いてる。



 そんな彼らを馬鹿とよばれて、腹が立たない方がおかしい。

 ……だが自分は所詮、一介の騎士に過ぎない。



 王太子に逆らうことなんてできないのだ。



「……なぜマリィ様にこだわるのですか?」

「グリージョが探してこいといったからだ。マリィが妹の美貌と力に嫉妬して、呪いをかけたのだ」



 ……馬鹿か、こいつ?

 部下である騎士団長は、内心でそう思った。



 王国一の呪術師が、言っていたではないか。

 マリィは呪いなんてかけていないと。



 なぜその言葉を信じず、グリージョの根拠薄弱な言葉を信じるのだろうか?



「グリージョが体調を崩したら大変だ。その前に呪いをとかねばならぬ。今はグリージョが踏ん張って結界を維持してるが、このままでは結界が破壊されて……」



 そのときだった。



「で、伝令……! お、王都に……大量のモンスターが流れ込んできました!」



 騎士団長も、そして王太子も、唖然とした表情で伝令係を見やる。

 ……王都にモンスターが?



「ば、馬鹿を言うな! 王都にはグリージョの結界が張ってある! 魔物が入ってこれるはずがないのだ!」



 マリィから弱体化の呪いを受けたとして、グリージョは今日の今日まで結界を維持してきたのだ。

 グリージョの凄い結界が、壊れる訳がないのだ。



「し、しかし……現に魔物が……」

「くそ! 殿下、失礼します! 現場に向かわねば!」



 しかし……。



「待て! なおのこと、マリィ捜索に向かうのだ!」

「………………は?」



 騎士団長は立ち止まると、信じられないものを見る目で、王太子を見やった。



「な、何をおっしゃってるのですか……?」

「結界が壊れたのだ。これはマリィの仕業だ! すぐにマリィを見つけ出せ! でないと大変なことになる!」

「っ! もうなってるんですよ! 大変なことに! 結界は壊れたんです!」

「だからそれは、マリィの仕業だ! あやつを見つけだして、呪いを解けば、結界は元通りになる!」

「その間国民は! どうすればいいのですか!?」

「ほうっておけ! 多少の犠牲は必要経費だ!」



 ……ルグニスの発言に……。

 騎士団長は、冷ややかな目線を向ける。


「……馬鹿王子が」

「なんだと!? 貴様、不敬だぞ!」

「うるさい黙れ! おれたちは国民を守る! あんたの命令は、聞かない!」



 騎士団長は伝令係とともに部屋から出て行こうとする。



「ま、待て! 貴様、王命を無視するというのか! 不敬罪で捕まえるぞ!」

「大いに結構! おれは、馬鹿な王子の戯れ言なんかより、己の心の声に従って行動する!」



 騎士団長は今度こそ、ルグニスを置いて走り出す。

 ……ルグニスは散々馬鹿にされて腹を立てていた。



「くそ! 何が馬鹿だ! 馬鹿はどっちだ! マリィを連れ戻せば、グリージョが全部解決してくれる! どうしてそれがわからないのだ!」 

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