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【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

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117/142

117.真相



 さて、王国の避難民たちは、帝国の軍人たちに護送されながら、マデューカス帝国へと向かっていた。



「あの……皇女様……」

「む? どうしたのだ?」



 避難民のひとりが、魔法バイクにのるリアラに尋ねてきた。



「どうして、皇女さまが王国にいたのですか?」



 隣国の皇女が王国にいること事態おかしい。

 また、モンスターが襲ってきたタイミングに、都合よく現れたことも、引っかかりを覚える。



「皇女様に無礼であるぞ! 命の恩人だというのに!」

「まあよい、キール。彼らの不安も尤もだ。事情を知らぬものたちからすれば、我らの存在が妖しく思えるのだろう」



 他の避難民たちは気まずそうに目線を反らす。

 たぶん質問者以外のひとたちも、疑問に思っていたのだろう。



「すべては魔女マリィ様のおぼしめしだ」

「あのぉ……その、マリィ様というのは?」

「君たちもよく知ってると思う。マリィ=フォン=ゴルドー嬢である」

「! ご、ゴルドー公爵の、ご令嬢様ですか……!?」


 

 避難民たちがざわつく。

 マリィは悪い意味で有名だった。



 法術(治癒術のこと)を使えぬ欠陥品として、周りからも家族からも虐げられていたはず……。



「にわかには信じられません……マリィ……様が我らを助けてくれたなんて」

「ふむ……しかしワタシをここへ派遣したのはマリィ様だ。そして我らに力を授けたのも」



 帝国軍人たちの手には、魔法銃が握られている。

 魔法獣とは魔道具の一種で、魔力を流すと、特定の魔法を発動できるという代物。



 しかし魔道具の作り手のレベルが低下した現代では、せいぜい下級魔法をインプットするのが関の山。



「上級魔法が付与された魔法銃を、マリィ様が授けて下ったのだ」

「! それは……どうして?」

「決まっておられる。この銃を使い、王国の民たちを助けよ。そういうメッセージだとワタシは受け取った!」



 その話を聞いていた避難民たちが涙を流す。



「マリィ様……お優しい……」

「追放されても、元いた国の国民たちの行く末を憂いて……」

「我らはマリィ様のことを見下していたというのに……」



 王国民たちは己の行いを恥じた。

 リアラはそれを見て微笑む。



「魔女殿は心の広いおかただ。きっと、あなたたちを許してくださるだろう。いや、もう許しているに違いない。許していないなら、我らに力を貸して、ここへ派遣することもなかったろうからな」

「「「おお……!」」」



 リアラは胸を張って語っている。

 それを聞いて王国民たちは感銘を受けているようだ。



 ……しかし、だ。

 キールは真実を知ってる。



『よぉキール』

「! オセ殿」



 キールの右手には1つの指輪がはめられている。

 にゅぅう……と表面が伸びると、手のひらサイズの子猫となった。



 オセは影使いの悪魔だ。

 これは彼が創った影の分身とでもいうべき存在。



 強い力があるわけではないが、本体との通信が可能となる。



『下界のほうはどんな様子だ?』

「ロウリィ殿の言うとおりでした」



 ロウリィとは禁書庫の番人のこと。

 下界、つまり今リアラたちの居る世界に危機が迫っていると、ロウリィづてでマリィたちは聞いたのだ。



 しかしマリィは下界に帰ろうとしなかった。

 


『あの食欲魔女さん、食べられる敵じゃあねえと戦う気ゼロだからよ。皇女様に面倒ごとを押しつけたんだよな』



 そう……確かにマリィに命じられ、リアラたちは下界にきた。

 しかしマリィは別に、世界を救うために行動したのではなかったのだ。



「まあ……しかし魔女殿に魔道具をかしてもらったのは事実ですからね」

『自分の命令で誰かが死なれたら寝覚めがわるいって理由と……あとは王国には美味しい料理店がそこそこあったから、潰して欲しくなかったんだろうよ』



 ……とまあ相変わらずのエゴイストであった。

 リアラはマリィの行動を超好意的に解釈し、こうして周りに広めているのである。



『ま、こっちのことはおれらに任せな。そっちのことは頼むぜ』

「はい。ご武運を」

『悪魔に武運を祈られてもな……』



 そう言って黒猫は消える。

 キールはお人好しの悪魔に感謝した。



 魔道具を預けるように提案したのは、他でもないオセなのである。

 あくまであるはずなのに、とてもお人好しだなぁと思うキールであった。

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