113.蛮族
桃園以外にも、奴隷達が強制労働させられてる農場があると知った。
マリィはクッキー人形たちに教えてもらって、次なる農場へと向かう。
『ここです! ここにも別の人間たちが捕らわれてます……!』
「よしきた! 食らえ!」
マリィは農場を守る結界をぶち破る。
中に入って声を張り上げる。
「命が惜しくばリンゴをよこしなさい!」
『言動が完全に強盗……』
オセがあきれる一方で、農場にいた監視の人面樹たちが、次々と姿を現す。
『なんだ貴様は……!』
「見ての通りよ」
『不法侵入者か!』
「ちがうわ」『正解だろ……』
マリィはフッ、と笑って指を突き立てる。
「おとなしくこの場を明け渡しなさい。命だけは助けてあげる」
『何をごちゃごちゃと……! 野郎ども、であえであえ!』
わらわらと農場のなかにいた人面樹たちが、マリィのもとへと集結する。
だがマリィはパチンッ、と指を鳴らす。
ガキィイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!
『なっ!? 人面樹どもが一瞬で凍りついた!? 今のは極大魔法……絶対零度棺か?』
「いえ、ただの【氷結】よ」
『初級魔法で、50はいる人面樹を一瞬で凍らせるなんて……すげえ……』
マリィが人面樹たちを無力化した。
その姿を、影でこっそりと、捕らわれし奴隷(クッキー人形)たちが見ていた。
『あ、あんたは一体……?』
『おまえら大丈夫か!?』
『! 桃園の……?』
どうやらりんご園の奴隷と、桃園の奴隷は顔見知りのようだ。
『何がどうなってるんだ? あのお方は……?』
『救世主さま! 我らをお救いになられた!』
『おお! 助けがきたのか! ありがてえ……おありがてええ……!』
涙を流す奴隷達。
その姿を見てオセがため息をつく。
『リンゴ奪いに来ただけって知ったら泣くだろうな……』
「あなたたち、ここで働く奴隷達?」
マリィは捕らわれていたクッキーたちを見やる。
クッキーたちがこくこくとうなずいた。
「今日からここは私の島だから」
『『『はい!』』』
「さしあたっては、リンゴを回収してきなさい」
そのときだった。
『侵入者とは貴様かぁ……!』
農園の地面がもりあがると、そこから巨大な何かが出現した。
『でけえモグラだな』
『ぶぎぎぎ! 我こそはマーサ様の使い魔が一匹! 土の……』
「うざい」
マリィは右手を前に突き出す。
その瞬間、謎の透明な力がデカいモグラの腹を強く打つ。
『ぶべえらぁあああああああああああああああああああああああああ!』
巨大モグラは明後日の方向へと吹っ飛んでいく。
何が起きたのか、その場にいた全員がわかっていない様子だ。
『ま、魔女様よぉ……何したんだおまえ?』
「風槌でぶっ飛ばしただけよ」
『ああ、魔法を使ってたのか……しかし倒さないんだな』
「ええ、食べれないもの」
『相変わらず魔物を食える食えないでしか分けないなあんた……』
マリィにとって戦闘とはすなわち、美味しいご飯を食べるための素材集めなのだ。
しかしモグラなんて食べられるわけがない。
よってマリィは討伐せず、ぶっ飛ばしたのだ。
『しかし今の、マーサの使い魔とか言ってたな。しかも今の口ぶりだと、他にも使い魔がいそうだったぜ?』
「さ、あなたたち何ぼさっとしてるの? リンゴ集めてきなさい」
『うぉいい! 聞けよ!』
奴隷達は喜んで、リンゴを集めていく。
マリィはその姿を見てご満悦だ。
「これでまた、美味しいフルーツゲットよ……」
『おいおい大丈夫なのか、さっきのやつ、ちゃんと倒しとかなくて。情報が向こうにもれちまうんじゃあないか?』
「? だから? 漏れたところで、返り討ちにすればいいだけのこと」
あまりの強者然とした振る舞いに、オセはあきれてしまう。
一方奴隷達はマリィのその強い姿を見て、そこに希望を見いだす。
『魔女様ならばおれたちを救ってくれる!』
『ありがとう、魔女さまー!!』
だが別にマリィは奴隷となっている人たちを救う気なんてさらさらなかった。
「勘違いしないでちょうだい。別にあなたたちを救う気なんてさらさらないわ」
『『『なるほど、ツンデレですね!』』』
『なんか馬鹿ばっかりで頭痛くなってきた……』




