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【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

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108.階梯



 マリィは嫉妬の魔女マーサの陰謀を止めることになった。

 別に、魔女を倒して世界を救う気はさらさらないものの、マーサのお菓子に性質変化させる魔法には興味があったのだ。


「それでー……魔女さん」

「なぁに、ロウリィ」



 マリィが湖のほとりに、椅子を置いて、寝そべって休んでいた。

 白髪の美少女にて、禁書庫の番人、ロウリィが尋ねてくる。



「これからの方針を伺っておきたいんすけど……」

「マーサのところへ行く、ぶん殴る、以上」

「やり方がノーキンすぎる……」

「ご不満?(にっこり)」

「いえいえ……(がくがく)」



 マリィの強大な魔法は、たとえ番人だろうと防ぐ術はない。

 パワーバランスで言えば魔女のほうが上なのである。



「そういえば……マーサって今、蓬莱山のどこに居るの?」

「今頃……あ、なんでもねーっす。地図だしますね」



 ロウリィがパチンッ、と指を鳴らす。

 すると湖のほとりに、地面から無数の本棚が出現した。



「な、なんだ!? 急に本棚が出てきたぞ!? 一体今のは……?」

「禁書庫の本っすよ、皇女さん」

「禁書……そうえばここは書庫であったな。どこにも見当たらぬから不思議だったのだが」

「本の管理は自分がやってるっす。自分が、本を存在ごと隠してるんすよ」

「なんと! 存在を隠すなんてすごい……」



 まあ、とロウリィが額に汗をかきながら言う。



「本来、この湖もまた存在を力で隠してたんすけどね」

「む? そうなのか。でもあっさり見付かったのだが……」

「それは魔女さんの看破の魔法がすげえからっすよ……」



 この湖には不可侵の結界が張ってあったのだ。

 それをマリィは易々と破ってきたのである。



「結界なんてあったの?」



 しかしマリィは解除してるという意識はなかった。



「無意識に、結界やぶってんたんすか……相変わらず規格外っすね……そんなの誰にもできねーっすよ……」

「できるわよ」

「あんたはね……! 例外なんすよ!」



 マリィはあまり、レベルについて興味なかった。

 彼女にとって魔法とは障害を越えるための道具(手段)でしかないのである。



「ほんと魔法使いって、すごい階梯とか気にするんすよ……」

「番人様、階梯ってなんでしょ?」



 カイトがロウリィに尋ねる。



「階梯とは、魔法使いの格付けっす。使える魔法の種類、強さなどで、レベル分けされてるんす。最低が、第一階梯。最高が、第一〇階梯」



 どうやら冒険者のように、魔法使いも格付けされてるようである。



「魔女さまは?」

「驚くことに……第一〇階梯っす……始祖の魔法使い、ヴリミル様と同じっす……レベチっすよ」



 魔法使いがまだ存在したいにしえの世界においても、マリィは規格外だったのだ。

 衰退世界においてはいわずもがな。



「すごいです、魔女さま! やっぱり凄い凄い!」

「どうも」



 彼女にとって他人からの評価なんて、どうでもいいのである。

 しかしカイトはその態度に、



「高い実力を持ちながら、それをひけらかすことなく、弱者を守るためだけに力を使う! くぅうー! 魔女さまはすごい、かっこいいですー!」



 とかんとか、勘違いしちゃうのである。

 リアラの従者キールは「こいつぁやべえ……」とあきれていた。

 オセも同意するように何度もうなずいてる。



 リアラ皇女はふと、気になったことをロウリィに尋ねる。



「魔女殿が第一〇階梯なら、嫉妬の魔女マーサはどのくらいの階梯なのだ? 同じくらいか?」



 確かに、同じくヴリミルの弟子ならば、同格くらいの力はあるように思えた。



「第四すね」

「全然弱いじゃないか!」

「いや……第一〇階梯の魔女さんがイカレテルだけで、第四もあれば英雄になれるレベルなんす……」

「で、では第一〇階梯の魔女殿は……」



 英雄をも凌駕する、規格外の存在と言うことだ。

 だというのに、マリィはのんきにトロピカルジュースをすすって、「うまぁい……♡」とかのんきにつぶやいている。


「なるほど……カイト殿の言うとおり、真の強者は力を誇示しないのだな。さすが魔女殿!」

「ですよねー! 魔女さまはすごいですよねー!」


 

 すごいすごいと持ち上げる信者二名。

 オセはため息交じりに尋ねる。



『んで、本題に戻るけど、マーサはどこにいるんだ?』

「蓬莱山中央にそびえ立つ、不死の山。ここにマーサはいるっす」

『不死の山ね……地図とかないのか?』

「あるっすよ」



 くいっ、とロウリィが指を曲げる。

 すると禁書庫の本棚から、一冊の本が飛んできて、マリィたちの前で滞空する。


 カイトがそれを受け取る。



「そこに蓬莱山の地図が書いてあるっす。参考にして欲しいっす」

「わかったわ」



 マリィがぐいっと伸びをし、パチンと指を鳴らす。

 するとマリィは水着から洋服の姿へと戻る。



「ロウリィ。これを身に付けてなさい」



 マリィは異空間から何かを取り出し、ロウリィに放り投げる。



「なんすかこれ?」

「通信用の魔道具よ」



 一見するとイヤリングに見えるこれは、遠くのものと会話可能となる魔道具。

 とてつもない高度な代物だった。



「やっぱ魔女さん、やべえ……」

「何かあったら連絡しなさい。それと、聞きたいことがあったらこっちから連絡するから。用事が無いときに呼び出したら死刑」

「ひぃい! わかったすよ!」



 マリィはうなずいて、カイトたちを見やる。



「さ、出発するわよ」

「「おー!」」

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