表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

106/142

106.



 

 マリィの妹グリージョは、王子ルグニスが呼んだ呪術師による診察を受けた。

 現在グリージョの法術使いとしてのレベルがかなり低下してる。



 マリィが弱体化の呪いをかけたにちがいない、そう思ったのだが……。



「呪いがかかってないだと? どういうことだ!」



 来賓室にて、ソファに座るルグニスが、正面の呪術師に尋ねる。

 呪術師ケイオス。



 彼女はこの魔法の衰退した世界において、【呪術】という独自の法術を使う。(厳密には法術ではないが、神の奇跡はひとまとめになっている)



 浅黒い肌に、仮面、そして体の周りには呪術に使う道具(呪具)がたくさんつけられている。

 ケイオスはため息交じりに言う。



「あんたのフィアンセを調べさせてもらったが、どっこも異常が見当たらないね。呪いの類いは受けていないよ。これはおいらが保証する」

「あ、あり得ないわ……! じゃあ……なんであたしはこんな、不調を抱えてるのよ……!」



 姉の呪いによって弱体化した、そう考えるのが一番合理的だ。

 合理的というか、グリージョにとって都合が良いというか。



 ケイオスは肩をすくめて言う。



「そりゃ単純にあんたの実力不足だろ」

「な、な、なぁ……!? 実力不足ぅ!」

「だろうよ、あんたの体の中にある、呪力……ああ、法力っていうんだけっか、それがあんまりにも少ない」



 法術を使う力、法力。

 体内に保有されてるそれが少ないという。



 そんな、あり得ないことだ。



「あたしはすごいの!」

「いーや、すごくない。すごかったのは、あんたの姉さんだね」

「あね……? あの出来損ないが、どうすごいっていうのよ!」



 グリージョもルグニスも、完全にマリィを見下していた。

 だから彼女が凄いなんてことは、あり得ないと思ってる。



「あんたを強化してくれてたんだよ」

「強化だって……?」

「ああ。おいらは特別な目をもっててね、呪いの痕跡を見ることができるんだよ」



 じっ、とケイオスはグリージョの体を見やる。



「あんたの体には、能力を強化する呪いの痕跡が残っている。この思念の強さから、たぶん一番身近なやつの呪いだろう。ゆえに、あんたの姉が強化してたってわかったってわけ」

「…………」



 今こいつは、なんといった?

 姉が自分を強化していた?



 ばかな。

 あり得ない。



 だって姉は出来損ないなのだ……。



「いやそれにしても強力なまじないだ。人間離れしてるよ。今でこそ呪いが薄れてるけど、彼女がそばにいたころは、それはもうとんでもない力を発揮してたろうね」


 

 ケイオスが大絶賛していた。

 魔法の衰退した世界における、呪術師の地位は高い。



 神の奇跡にならび、呪いもまた常人ではかけられないものだ。

 呪いを解除する呪術師は、聖女についで重宝されている。



 そんな呪術師の中でも、特に力のあるケイオスが推してるのだ。

 姉の才能を。



「そんな……マリィが……」



 ルグニスが、ケイオスの言葉を信じかけていた。

 すなわち、姉が凄くて、妹が凄くないと……。



 ……それは、まずい!

 グリージョは我に返って声を張り上げる。



「嘘です殿下! こいつは嘘を言ってるのです!」



 ずびしっ、とグリージョはケイオスを指さす。

 彼女はあきれたようにため息をつく。



「いや、嘘じゃあないんだが……」

「嘘よ! だってあんな能なしのクズを絶賛するなんて……さてはあんた、マリィとグルなのね!」

「はぁ~? ぐるだぁ? 何馬鹿なこと言ってんだあんた」


 

 ケイオスがマリィと繋がっていないと、ここまで絶賛する意味がわからない。

 きっとそうだ、姉の仕込みに違いない……!



 グリージョはどこまでも、姉の実力を信じないようだ。

 それはそうだ、実際にマリィの凄いところを、グリージョが目撃したわけではないのだから。



「ルグニス様! こんなやつの言葉に惑わされてはいけません! ただちにこいつも追い出すべきです!」



 グリージョに詰め寄られて、ルグニスは一瞬、戸惑う。

 ケイオスの言葉を信じかけていた彼は……。



「ルグニス様! マリィとあたし、どっちを愛してるのですか!?」



 グリージョが涙ながらに訴えることで、ルグニスは決める。



「そうだな……愛してるのは君だ、グリージョ。おい衛兵! その呪術師を追い出せ!」


 

 衛兵たちがうなずく。

 ケイオスはあきれたようにため息をつくと、自ら立ち上がって言う。



「忠告しておくよ。まもなくこの国に大いなる災いが訪れる。それを祓うためには、あんたの姉が必要となる」

「はんっ! この期に及んで世迷い言を!」



 ケイオスは、あきれたような顔で言う。


「じゃあな、愚かなる王子と、愚劣な聖女」



 そういって出て行くのだった。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

★1巻10/20発売!★



https://26847.mitemin.net/i766904/
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ