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【書籍化】転生魔女の気ままなグルメ旅~婚約破棄された落ちこぼれ令嬢、実は世界唯一の魔法使いだった「魔物討伐?人助け?いや食材採取です」  作者: 茨木野
二章

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105/142

105.一方その頃、追放者たちは



 さて、マリィが蓬莱山で次の目標を見つけた、一方その頃……。

 マリィを婚約破棄し、追放処分まで下したものたちはどうなってるのか……。



 まず、マリィの婚約者ルグニス。彼はこのゲータ・ニィガ王国の王太子であり、元マリィの婚約者だ。

 彼はマリィではなく、彼女の妹グリージョを新しい婚約者にしたのだった。



 さて、グリージョは姉を追放したあと、高笑いしていた。

 彼女は姉のことが嫌いだった。



 なぜなら彼女は落ちこぼれだったからである。

 この魔法の衰退した世界において、唯一の神の奇跡、それが【法術】。



 法術とは聖なる力のことであり、これを使って結界を構築することができる。

 魔法がない以上、街を守るためには、この法術による結界が唯一の防衛手段なのだ。



 それゆえ法術を高いレベルでつかえるものは重宝される。

 マリィの妹グリージョは、同年代の女の子たちよりも遥かに、法術の才能があった。



 それゆえに、増長した。

 だからこそ、姉が疎ましかった。



 自分のほうが法術使いとして上なのに、姉というだけで、王太子の婚約者に選ばれたことが、むかついた。

 はっきりとした実力差があるというのに、歳だけで、姉より評価がしたと思われるのが。



 ……だから、ルグニスに嘘を吹き込んだのである。

 結果姉はいなくなり、万々歳。



 これからきっと、素晴らしい人生が待っている……。

 と、心の底から思い込んでグリージョは、本当に愚か者だった……。


    ☆


「ぜえ……はあ……ね、眠い……死にそう……」



 グリージョがいるのは、王都にある大聖堂。

 そこで彼女は必死になって、法術を使って結界を維持していた。



「もう……三日も寝てない……つらい……死にたい……なんなのぉ……」



 目の下に大きなくまができていた。

 明らかに寝不足だった。



 寝ずに力を行使し続けているのには、理由があった。

 最近魔物の活動が、活発化してきているからである。



 なぜか知らないが、人里に魔物がたくさんあらわれるようになったのだ。

 しかしそれ自体は昔からよくあったことだ。



 ……問題は、結界の持続に、力が必要になってきたことである。




「おかしい……あたしは天才なのに。結界なんて寝ててもかるーく維持できてたのに……マリィがいなくなってから、それができなくなった……すごい……ぜえぜえ……力入れないと……直ぐに消えちゃう……」



 グリージョは気づいていない。

 彼女の力は、マリィによって底上げされていたということを。



 マリィは無意識に強化・付与魔法を使っていたのだ。

 というか、自らに使っていた魔法の余剰分が、グリージョを強化させていたのである。



 つまり、マリィのおかげで結界を楽々維持できていたのだ。

 姉を追放したら、強化の魔法がきれ、結果弱体化を招いたという次第である。



「これは……絶対、そうね。あの馬鹿姉が、あたしに呪いをかけたに違いないわ!」



 ということで、グリージョは先日、ルグニスにおねだりして呪術師を呼んできてもらったのだ。

 弱体化は、きっと姉が魔道具などで呪いをかけた影響であると、信じて疑わなかったのである。



 徹夜明けで、辛いなか、グリージョはルグニスに謁見する。



「だ、大丈夫か……グリージョ」

「え、ええ……問題ありませんわ王太子殿下。それより……呪術師は……?」

「ああ、もう来賓室に呼んである。行こうか」

「はいっ」



 グリージョは笑っていた。

 それは作り笑いでは決してない。



 グリージョはルグニス王太子のことが好きだったのだ。

 姉を追い出したのだって、ルグニスが欲しかったからという理由が割と大きい。


 あんな出来損ないの姉には、もったいない人材だ。



「最近疲れているようだが、大丈夫か、グリージョ?」



 ルグニスは気遣うように言う。

 優しくて素敵なカレシができた。



 姉になんて渡す物か……。



「ええ、問題ございませんわ」

「だが、部下によると寝てないと」

「それは……姉のせいですわ!」



 弱体化の原因を、すべて、姉に押しつけることにした。

 自分の技量が下がって、寝ていたら結界を維持できない……なんて死んでも言えなかった。



「まったく、あの女め、僕の大事な人に呪いをかけるなど! 捕まえて死刑にしなければな!」

「ああん……♡ 殿下ぁ……♡」



 ……とグリージョが有頂天でいられたのは、このときまでだった。

 ルグニスが呼んだ呪術師が、グリージョの体を調べて一言。



「呪いなんて、どこにもかかっちゃいませんよ」

「「は……?」」

「弱体化したのは、単なる実力不足じゃあないですかね」

「「はぁ……!?」」

「強化の術のあとがみられます。おそらくはそのお姉さんが、あんたを強化してくれてんたんじゃあないかと」

「「はぁあああああああああああああ!?」」

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