表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽物の魔法使いは大魔法使いと魔法開発史を再現する  作者: 雲居 残月
第16章 真相究明

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/143

16.3 カラクリ屋敷

 ウルミの実家がある近くまで来た。俺たちいつものメンバーと、暗殺組織ジンのフィーとゾーイで、ぞろぞろと街を歩いていく。

 飲食店や酒場を何軒か回った。


「ゾーイさん、においは見つかりましたか?」


 小柄な老人に顔を向ける。


「まだです。まあ、もともと根気のいる作業ですし」


 食料品店を巡り、この地域で探す予定の場所は全て調べ終えた。単眼鬼が飲食をしない可能性もあるが、まずはセオリーどおりに捜すのがよいだろう。


「ハズレか、次の地区に移動するか」


「待ってください。この地区の本当の面白さを、アステルさんたちは堪能していません!」


 ウルミは拳を握って主張する。


「いや、そういう目的で来たわけではないから」


「アステルさん、よく見てください。この地区の建物は壁の分厚い堅牢なものが多いんですよ。なぜだと思いますか?」


「金があるからだろう。貴族や富商相手の商売をしているんだから」


「それだけではありません。この地域の職人たちは、カラクリが好きな職人たちです。隠し部屋とかが、バーンとあって、売り家なんかでは、そういうのを探すのも楽しみの一つなんですよ!」


 俺は、フィーと視線を交わす。


「そういう場所にこもられたらお手上げだよな?」


「すでに人が住んでいる場所に潜り込むのは困難だろう。最近売れた家、長らく売れずに放置されている家、そうした場所は見ておいた方がいいな」


 不動産屋を探して情報を集める。ウルミの知り合いの不動産屋に行き、聞き込みをする。

 何軒か話を聞いたあと、面白い情報を聞けた。持ち主の夫婦が消えて、放置されている家があるという。親戚などはおらず、どうするんだろうと周囲の人たちは噂しているそうだ。


「怪しいな、行ってみよう」


 俺たちは教えてもらった家の近くまで行き、遠巻きに観察した。


 家を見ると、手入れされていないことが一目で分かった。壁は汚れており雑草が生えている。窓は板が閉じたままで開いていない。

 道に面した場所にはゴミが多く捨てられていた。きちんと掃除をしていないと、ゴミを捨てていい場所と思われて、次第に増えていってしまう。


「建物自体は思ったよりも大きいな。二階建てで地下室もありそうだ」


「私が前を通ってにおいを確かめてきます」


 暗殺組織のゾーイが通りに出て、家へと近づいていった。

 家の周りをぐるりと回って、別の道を通って帰ってくる。


「どうでしたか?」


「当たりです。『飢えた猟犬』が反応しました。家の中ににおいが続いています。玄関以外から出入りした形跡はありません。地下道などがあれば別ですが」


「今も中にいますか?」


「それは分かりません。ただ、可能性はあると思います」


 俺たちは打ち合わせをおこなう。建物に潜入するメンバーと周囲を囲むメンバー、後衛として控えるメンバーに人数を分ける。


 潜入するのは、俺とココルとウルミ、フィーとゾーイの五人。ウルミは戦闘には参加せず、扉の鍵を開けたり、隠し部屋を探したりすることをおこなう。


 周囲を囲むのはフィーの配下四人だ。後衛として控えるメンバーは、グラノーラとニーナの二人にした。

 ニーナには俺に触れてもらい『音声伝達』の魔法を使ってもらう。これで屋内のメンバーと、屋外のメンバーで意思疎通ができる。


 屋内組の五人で建物に近づく。道は往来が多い。一人一人確認するのは現実的ではない。俺たちのことを見ている可能性は低いだろう。

 建物の扉の前に来た。扉の向こうに仕掛けがないか、霊魂の目で確認する。


「特に仕掛けはない。鍵はかかっている」


 フィーが近づき一瞬で開ける。その手際に俺は驚いた。


 フィーを先頭にして屋内に入る。扉はわずかに開けておく。屋内の様子を探る。人の気配はない。

 廊下を抜けて、いくつかの部屋を確認する。


「この壁の前で消えている」


 『飢えた猟犬』の魔法を持つゾーイが指差す。何の変哲もない壁に見える。隠し扉があるのだろうか。


「ちょっと、待ってね」


 ウルミはうんうんと唸る。『取り外し』の魔法を発動させようと奮闘している。

 壁紙がずるりと滑って落ちた。壁面が露わになり、継ぎ目が確認できるようになる。隠し扉らしき四角形がうっすらと見えた。


「壁紙が貼ってあったのに、どうやって中に入ったんだ?」


 俺は疑問に思って声を漏らす。


「逆ですよ、逆! 壁紙を注文しておいて、自分が入ったあとに壁紙を貼らせたんですよ!」


 密閉させたのか。

 ウルミは壁の何ヶ所かを触った。ウルミは目を細めたり、輝かせたりしている。


「スイッチは、たぶんここですね~」


 壁の一部を押すと、隙間のあった場所が動いて奥へと後退した。その先に、下へと向かう階段がある。


「扉が開いたのは、下にばれているだろうな」


 俺はフィーに声をかける。


「だろうな。さすがに何か仕掛けをしているだろうし」


「えっ、開けちゃ、駄目でしたか?」


 ウルミがおろおろし始めたので落ち着かせる。


 フィーがポケットから短い棒を出す。棒全体が淡く光を発する。


「何だそれは?」


「魔力蛍光塗料を塗った棒だよ。蛍という虫を千匹すりつぶして作ったものだ。別に魔法だけが魔力の使い道じゃねえからな」


 精霊魔法に似た発想の道具か。おそらく希少な生物を利用した道具は、他にもあるのだろう。まだまだ知らない魔法の世界があるのだなと思った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ