表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽物の魔法使いは大魔法使いと魔法開発史を再現する  作者: 雲居 残月
第12章 カラクリ精霊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/143

12.3 大魔法使いの事跡

 その日の仲良し同盟のお茶会は、挨拶だけで終わった。

 青髪に眼鏡のニーナは、ウルミのような人間のあつかいに慣れているようだった。きっと取引先に、こういう感じの職人がいるのだろう。


 ウルミの魔法は、ニーナの魔法と同じように貴族から手に入れたものだった。ウルミの祖父が、商品の支払いができなかった貴族から譲り受けたそうだ。

 おそらくその貴族にとっても使えない魔法だったのだろう。貴族が『取り外し』の魔法を重用していたとは思えなかった。


 解散したあと俺は自分の部屋に戻り、机に向かった。パロスに借りた本のタイトルを確認する。


 マルが出てきて、机の上に立った。


「『大魔法使いの事跡』か。アステルよ、おまえは私の事跡に興味があったのか?」


「違う。当たり障りがない本を選んだんだよ。本当は『魔力還流理論』とか『精霊解体新書』とか、そういう名前の本の方がよかったんだが、こちらの興味を悟られてしまうだろう」


「ほうほう、私に興味がありすぎて、それらを諦めたと」


 今日はウルミで面倒くさい思いをしたが、今度はマルが面倒くさい感じになってしまった。


「いいから静かにしろ。俺は本を読む」


「くくく、私の事跡を読むがいい!」


 俺はマルを無視して、借りた本を読み始めた。


 数時間が経った。

 本を読み終えた頃には、深夜もかなり回った時間になっていた。

 無言で本を読み続けたため、マルは消えていた。マルがいないことを確かめて、俺は最後の数ページを読み直した。


 ――大魔法使いの塔は、ある日を境に忽然と消えた。多くの魔法使いが、その日以降目撃されていない。消えなかった者のほとんどは、ザラエルに従って王国を築いていた者たちだった。魔法の黄金時代は終わったのだ。


 机の上に置いた蝋燭の火が揺らいでいる。俺は本を閉じて考えた。

 マルは、自分の死について語っていない。俺もあえて聞こうとはしてこなかった。辛い過去がある可能性もあるからだ。


 俺はパロスのことを考える。パロスは、こうした魔法についての歴史を知っている。そして、俺がマルに習ったような知識を集めている。彼は俺たちにウルミという人材を紹介した。


「あの先生は何者なんだ?」


 魔法という森に分け入った先に、知らない集落を見つけたような気持ちになった。

 いったい、あの先生は、どこまで魔法のことを知っているのだ。そして俺たちの活動について、どこまで把握しているのだ。

 俺は蝋燭の火が揺らめく部屋で、腕を組んで無言で考えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ