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偽物の魔法使いは大魔法使いと魔法開発史を再現する  作者: 雲居 残月
第11章 遺跡と遺物

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11.1 遺跡探索計画

 魔法学校の年末年始の休みは、それほど長くない。そのため、俺とグラノーラは王都に残って過ごした。

 俺については、魔法の修行に時間を使いたかったので帰省どころではないというのが本音だった。

 何としても学年末の試験までに、胸を張って魔法を使いこなせる状態まで持っていきたかった。


  ◆◆◆


 ――一月上旬。


 年が明け、学校は再開した。

 魔法の修行は続いている。魔法学校のグラノーラの部屋に集まり、学校の方式とはまるで違う訓練をしている。

 この部屋に集まっているのは、黒髪黒目の俺、アステル・ランドールと、さらさらの金髪に美しい青い目の伯爵令嬢グラノーラ・フルールと、青い短髪に眼鏡の富商令嬢ニーナ・シャントンの三人だ。


 訓練の様子は、三人以外には見せてはいない。まったく知識がない人が見れば、謎の儀式をしているようにしか見えないからだ。

 怪しい目で見られることを恐れて、俺たちはよく閉じこもっていた。そのせいで、他の生徒たちとの断絶はさらに深くなっていた。


 修行の休憩のタイミングでマルが出てきて、三人に姿を見せた。


「そろそろ霊体の固定について学ぶべきときだ」


「そういえば、先の事件のときに、途中まで口にして教えてくれなかったよな」


「私の口から語るよりも、実物を見て、自分で探ってもらう方がいいと思ってな」


「実物があるのか?」


「いや、ない」


「はっ?」


「探しに行ってもらう」


「どこに?」


「遺跡だ。魔法は道具に固定化されることもある。そうした遺物がありそうな遺跡に行って、魔法の道具を探し出してもらう。魔法の道具には、人工精霊が使われているからな」


「魔法の道具は、いつぐらいに多く作られたんだ?」


「五百年前、私が生きていた時代だな」


「五百年前かよ。ものすごい昔じゃねえか。そんなの、もうとっくに全て荒らされているだろうが。現代の魔法の値段を考えてみろよ。死に物狂いで手に入れる者がいくらでもいるぞ」


 俺はマルにツッコミを入れる。

 マルは、少し自信がなさそうな顔をし始めた。


「そ、そうかもしれないな」


「ちょっと無計画すぎないか?」


「すまん」


 マルに勝てる機会はそうそうない。ここぞとばかりに俺は畳みかける。


「あの」


 ニーナが控えめに手を挙げた。


「どうした、ニーナ?」


「魔法の道具は、数は少ないですが王都の一部で取引されています」


「そうなのか?」


「はい。それに、もしかしたら、マル先生の言うような遺跡もあるかもしれません」


 マルが急に元気を取り戻した。俺はニーナの話を聞く。


「私の魔法は、父が高額で貴族から買ったのは以前話しましたよね」


「ああ」


「父は、魔法のこもった道具についても売買しているんです。当然、遺跡についても情報を集めています」


 俺たちは耳を傾ける。さすがにニーナの家から魔法の道具をもらうわけにはいかない。高額なのは聞かなくても分かる。買うのも難しいだろう。何とか遺跡から安価に手に入れたい。


「商人は、街のあいだを馬車で行き来するときに、よく護衛を雇うんです。

 そうした護衛の中には、魔獣や魔物を狩ったり、遺跡を探索したりすることを、兼業でおこなう人もいるんです。そうした人たちのことを冒険者と呼んでいます」


 田舎では見ない職業だ。都会のように情報が集まる場所ならではの仕事だろう。


「彼ら冒険者は、たまに遺跡で当たりの道具を見つけてきます。だから物自体は残っているんです。ただ、見つかりにくいだけです。

 おそらく、魔法に詳しくないから見逃すことが多いんだと思います」


「ああ、なるほど」


 俺たちは全員でうなずいた。マルの修行を始めるまで、俺自身も自分の魔法を見ることができなかった。

 魔法に縁のない庶民の冒険者が遺跡に入っても、正しい探索ができるとは思えない。大方、高そうな品物を持ち帰って、運よく魔法の道具を引くしかないのだろう。


「だから、冒険者たちが立ち寄らない、もう空っぽだと思われている遺跡に行けば、今の私たちなら何かを探せると思うんです」


 一理ある。行ってみる価値はありそうだ。


「ニーナ。そうした場所のリストは用意できるか?」


「はい。実家に問い合わせてみます」


「週末に行って帰ってこられる場所にあるといいんだが」


「そうした場所を優先してリストアップしてもらいます」


「それじゃあ情報が集まったら、ココルも誘って遠出することにしよう」


 俺たちの遺跡探索計画がスタートした。


  ◆◆◆


 翌々日にはニーナの実家から遺跡のリストが届いた。そのリストをマルに見せて攻略する場所を決定した。

 遺跡探索は、翌週の土日に決まった。馬車で片道三時間ほどの場所に、あまり知られていない遺跡があったのでそこに行くことにした。

 かつては魔法の道具が出ていたが、今はもう誰も訪れていない場所だ。マルの見立てでは、魔法使いの研究施設があった場所だろうということだった。


 馬車や道具の手配はニーナに任せた。俺は図書館にこもって、攻略予定の遺跡について調べた。


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