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偽物の魔法使いは大魔法使いと魔法開発史を再現する  作者: 雲居 残月
第8章 魔獣狩り

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8.5 物体化の指導

 王都近くの森に、仲間たちとともに一泊二日の魔法修行に来ている。俺はココルとともに森の奥に行き、精霊魔法を身に付けた。


「あの、アステル様。何をマル先生と話されているのですか」


 ココルが、話についていけないという顔をしている。


「すまん、すまん。いろいろと魔法について腑に落ちたんだ」


「私は両手を縛られたままで、どうすればよいのか分からず、困ったままです。何か指導をしてください」


 ココルは俺に顔を近づけて懇願する。ちょっと顔が近くて赤面する。

 そういえば俺の周りは女性ばかりだなあ。成り行き上、そうなっているとはいえ、男の友人も作らないといけないなと思った。


「俺の修行は、ある程度区切りがついたから、ココルの修行の面倒を見よう。ココルは、魔力の物体化をしないといけなかったよな」


「はい!」


 俺はココルを観察する。両手を縛られている。


「おい、マル。両手を縛る必要はあるのかよ」


「ココルは身体能力が高いせいで、体の方が先に動いてしまうからな」


 いちおう修行のために意味があるというわけか。


「マル、何かヒントをくれ」


「おまえ、自分の修行じゃないと思って手を抜いているな」


「いや、そういうわけではない。俺はなぜ物体化ができるようになったのか、俺自身でも分からないんだ」


 マルはため息をついて頭をかいた。


「ココルを、霊魂の目で見てみろ。その上で考えろ」


 俺は言われたとおり霊魂の目でココルの姿を見る。

 服が透けて、体の線が露わになる。肉体と霊体は重なっている。それはなぜだろうかと考える。


 マルは俺に考えろと言った。これまで話したことや起きたことから答えが出ると思っているのだ。

 霊体だけの存在がいる。霊体と物体が重なった存在もいる。物体である死体からは霊体である霊魂がなくなったりする。

 マルは『霊魂義体』の表面に、微細な物質を生み出して姿を現している。物体は、霊体と重なり合うときに安定して作り出されるのかもしれない。


「いいか、ココル。霊撃の刃を作るんだ。その表面に、魔力で物体を作り、覆うことをイメージしろ」


「はい、アステル様」


 俺の考えが正しいのならば、いきなり物体化を目指すよりは、霊体を作り、重ねて物体を作る方が成功しやすいはずだ。


 ココルの前方に、空気の歪みが生じる。光の屈折率が変わり、景色がわずかにずれる。物体化が起きている。形状は短剣の刃に近い。


 マルが姿を現してココルに指示する。


「よし、目の前の木を切ってみろ」


「はい、大師匠!」


 ココルが一歩踏み出すと同時に、木の幹にわずかな傷がついた。ほんの微かな一筋の刃の跡。しかし、紛れもない物体化による傷だった。


 ココルが大きく息をはく。ものすごく疲労した様子だ。分かる。物体化は、著しく魔力を使う。


「二人とも、よくやった。今日の修行は終了だ」


 マルのお許しが出た。俺はココルの両手を拘束している縄をほどいてやった。


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