表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽物の魔法使いは大魔法使いと魔法開発史を再現する  作者: 雲居 残月
第24章 教団調査

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

129/143

24.6 茸の追跡

 翌日、早朝にこっそりと学校を出て事務所に行った。木箱に収めた茸を持ってきている。また、タタカ洞窟で作った精霊瓶も、専用の革袋に入れて腰にぶら下げている。


 事務所に行くと、ココルも準備を終えていた。胸甲や手甲を着けて帯剣している。腰には精霊瓶も提げている。実際に外に出るときは、フード付きのマントを羽織る予定だと話した。


「私は、アステル様やグラノーラ様のように弓矢が使えません。なので、『風刃』の精霊瓶を作れたのが嬉しいです」


 ココルは表情を輝かせて言った。霊撃はできるが、物理的な攻撃方法がなかった。『風刃』のおかげで、その面は強化される。


 いちおう簡単な変装をしておこうということで、俺は用意しておいた顔が隠れる広いつばの帽子をかぶった。


 少しするとフィーとゾーイが来た。二人とも化粧で顔を変えている。また、尾行しやすい目立たない格好をしていた。


 まずはゾーイが『飢えた猟犬』の魔法を使う。追跡のために、茸の霊魂のにおいを記憶する。茸には、不審がられないように、ある程度の魔力を込めておいた。


 茸の魔法にかからないように、自身の体を薄い霊体の膜で覆う。また、自身の魔力の放出を抑えた状態で茸を持った。


「よし、準備はできた。行こう」


 俺たちは事務所を出る。まだ空は夜の気配が残っている。俺は三人と別れて、集会場所になっている市場近くの掲示板のある広場へと向かった。


 広場にはすでに十人ばかりが来ていた。八割以上が女性だ。

 魔法学校でも、天使教にはまっていたのは女性ばかりだった。女性の方がコミュニケーションが好きなので、広まりやすいのかもしれない。


 ココルが聞いてきた話だと馬車が来るはずだ。

 待っていると一台の馬車が広場に入ってきた。幌の付いた荷馬車だ。幌には、一目で天使教と分かるように教団名を書いた旗が取り付けてある。馬車は停車して、御者が降りて手を叩いた。


「みなさん、お久しぶりです。ガゼー地区担当の、天使教伝道師です。

 悪い気を、茸にたっぷりと吸ってもらいましたか? 回収して、きれいに浄化した茸をお渡しします。また、素晴らしく貢献してくださった方には、茸の鉢を二つ、三つとお渡しします」


 全員、すごい勢いで伝道師に群がる。馬車から部下が二人降りてきて列を作らせる。伝道師もその部下も一様に顔色が悪かった。

 立場は違えども、魔力を奪われているのは同じなのだろう。俺は列に並んで順番を待つ。自分の番が来た。初めての人ですねと言われたので、そうですと答えた。名前を聞かれたので、適当な偽名で答えておいた。


 茸を渡して、新しい茸を渡される。初回なので交換だけだ。

 他の信者を見ていると、誰々に布教したいからもう一つ欲しいなどと交渉している。ああいった積極性がある信者に茸を多めに渡しているのだろう。


 新しい茸を手に入れた信者たちは、解散を待たずに帰っていく。俺も帰る振りをして、馬車を追える位置に身を潜めた。


 全ての信者が帰ったあと、伝道師一行は馬車に戻った。おいおい説教とかないのかよ。茸をやり取りするだけなのかよ。雑な宗教だなと思った。


 馬車が動きだした。歩く程度の速さだから、少し離れた場所から歩いて追える。少し離れた場所には、ココルやフィー、ゾーイもいるはずだ。見失ったら、ゾーイと合流すれば追跡することができる。


 しばらく王都の中を進んだあと、人気のない場所で馬車は停まった。伝道師と部下が出てきて去っていく。

 中年男性がやって来て、幌に付いていた天使教の旗を取り除いた。馬車はたちまち、どこにでもある目立たない姿に変わる。中年男性は御者席に座り、馬に鞭を入れた。


 馬車は再び走りだす。今度は先ほどよりも速い速度だ。走らなければ追い付けなさそうだ。どうするか。走って追おうとすると肩に手を置かれた。


 振り向くとフィーがいた。少し離れたところに、ココルとゾーイがいる。


「走ると気づかれるぞ。ゾーイが追えるからいったん諦めろ」


「分かった」


 直接の追跡ではなく、魔法での追跡に切り換えることにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ