24.4 報告と相談
魔法学校の宿舎に戻ったあと、グラノーラの部屋に行った。ニーナに茸を渡した子爵の娘の、王都の家について調べてくれたらしい。やはり、家族全員が天使教にはまっているということだった。
俺は、外で集めた情報と、明日の予定をグラノーラに伝えた。
「また、学校をさぼる気なの?」
「すまない、お嬢」
「私が仮病のアリバイ作り?」
「そうなる。本当にすまない」
頭を下げてお願いする。
「天使教、霊茸ねえ。その茸が、南方のマガス王国原産ってわけね。ふーん、もう少し情報を集めた方がいい?」
「何か当てがあるのか?」
「南方出身の人に聞けばいいじゃない」
「この学校に、南方出身の生徒がいるのか?」
「先生よ。いつも黒い服を着て、南方の褐色の肌を目立たないようにしているでしょう。部屋にこもって本ばかり読んでいるから日焼けではないはず。パロス先生って、たぶん南方出身よ。
二世か三世かもしれないけど。あの先生、博識じゃない。いろいろと知っているかもしれないわよ」
俺はグラノーラの言葉に驚いた。そして妙な胸騒ぎがした。
俺は、天使教の背後に、単眼鬼とともに、さまざまな事物に詳しい第三者の存在を感じていた。
魔法に詳しく、南方の植物にも詳しい人物となると限られる。パロスは現代の魔法に詳しいだけでなく、過去のマルの時代の魔法にも精通している。
いや、南方出身というのはグラノーラの推測にすぎない。本人の口から語られたわけではない。しかし、もし南方出身で、単眼鬼と関係があるとしたら、ある程度距離を置いた方がよい相手ではある。
「お嬢、パロス先生の魔法は、人の心を読むものだ」
「えっ、私が授業中にお菓子のことを考えているのも、ばれているというわけ?」
グラノーラは落ち着きを失って、警戒するように言う。
「いや、おそらく読めるのは同時に一人だけだ。距離はかなり近い範囲だ。そして、今考えている表層部分だけしか読めない」
「アステル、何でそんなに詳しく知っているの?」
「学年末試験で、魔法の試験の担当がパロス先生だったんだ。それで、先生の魔法を真似たから知っている。互いに心を読み合った」
「なるほど、だから知っているのね。これ以上にない説得力ね」
グラノーラは納得した。
「もしかしてアステル。この件に、パロス先生が関わっていると思っているの?」
「可能性は低いが、ゼロではないと思っている」
「じゃあ、自分の霊魂をガラス瓶のようなもので覆っていった方がいいわよ。そうすれば、心を読めないと思うから」
そうだ。パロスの魔法は、霊体の架け橋のようなもので、二人の頭部の霊魂を繋ぐものだった。霊体の防壁があるのならば効果を防げる。
「覆うのは、おそらく頭部だけでいいだろう」
「それなら、少し簡単ね」
窓の外を見る。もう外は暗くなっている。
「まだいるかは分からないが、パロス先生の研究室に行ってみる」
俺は、箱に収めた自分の霊茸を持ち、校舎のパロスの研究室に向かった。




