24.3 霊茸
フィーたちと打ち合わせをしているとココルが戻ってきた。
「どうだったか?」
ココルは、フィーとゾーイに挨拶をしたあと話しだす。
「集会について情報を集めてきました。茸の鉢を集めて、新しい鉢を渡す、そして集めた鉢は、馬車でどこかに運ばれるそうです。一般の信者は、その先は知らないようです」
馬車を追うことになるのか。速度を上げられると厳しそうだな。ちゃんと追うには『飢えた猟犬』が必要になる。
「次の集会場所と時間は?」
「明日、掲示板のある広場でおこなわれるそうです。時間は朝早く、仕事が始まる前の時刻ですね」
早起きをして学校を抜け出すか。その後の追跡を考えると仮病をしないといけないだろう。またグラノーラに叱られるなと思った。
扉がノックされた。ニーナだ。事務所に入ってきたニーナは、箱を抱えていた。フィーたちがいることに少し驚き、軽く挨拶をしたあと話し始めた。
「シャントン商会に行って、調べてもらってきました。父が植物学者を何人か呼んで、見てもらいました」
俺は思わず恐縮した。そこまで手間をかけてくれるとは思っていなかった。
「それで、分かったことをメモしてきました」
ニーナは、メモを取り出して読み始める。
「この茸は南方のもので、霊茸と呼ばれる茸である。霊茸は総称であり、周囲の動物の魔力を吸って、魔法の効果を発揮する茸全体を指す。
おそらく霊茸の中でも奴隷茸と呼ばれる種類だと思われる。マガス王国原産で、戦争捕虜を奴隷化する際に使われることもある。
こういった内容でした」
俺は、ニーナの話を聞いて驚く。マガス王国の名は、この夏休みに見たものだ。祖父は討伐軍に参加して、マガス王国と戦った。そしてその国王を討ち取り、魔法を得て貴族になった。
ただそれだけなのだが、奇妙な縁を感じた。直接的に関係がある話ではないだろう。しかし、単眼鬼とは古くからの因縁があるように思えた。
「明日の朝、さっそく集会に行こう。茸に魔力は適当に詰めておく。隷属の魔法は、霊体の壁を作って防ぐ。
集会には俺が出て、フィーとゾーイとココルは近くから見張ってくれ」
「あの、私はどうすればいいでしょうか?」
ニーナが控えめに尋ねてきた。
「何人も学校を休むのはよくない。俺だけ休むから、ニーナは授業に出てくれ」
「授業が手につきませんよ」
そりゃあ、そうだよなと思う。
「みんな呼んで、一緒に学校を休みましょう」
珍しくニーナは強く主張する。
「あんまり、大人数でぞろぞろ移動するのは、やめた方がいいと思うぜ」
フィーが横から言う。
「すまない、ニーナ。そういうことだ。あと、全員で隠密行動をすると、静かにできないやつがいて困る。ウルミが静かに追跡できると思うか?」
「……そうですね。ウルミさんがいると、奇声を発して飛び跳ねて、敵に居場所を知らせてしまいますね」
ニーナは諦めた顔をする。
そこまで言っていないんだがと思いつつ、うなずいた。
明日のメンバーは、俺とフィーとゾーイとココル。それで決定して、さらに明日の詳細を詰めていった。




