22.4 魔法再現器
俺たちは振動子を作った。そして、精霊語のフレーズを再現する魔力量の推移を記録していく。
その後、平らな紐状の霊体に魔力量の変化を記録して、なるべく忠実にフレーズを再現できるように調整を続けた。
全員の調整が終わる頃には、夕方になっていた。
「先に夕食をとってから続きをした方がいいよな?」
「お腹、ペコペコよ」
全員が疲労困憊だった。宿屋のロビーに行って食事をとり、それから再び俺の部屋に集まった。
俺も含めて、全員がかなり疲れている。今日はやることが多すぎだ。
「よし、霊餅生成器と、振動子と記録媒体を使って無言で魔法を発動させてみろ。全自動化はまだされていないので、半自動化といったところだな」
俺たちは、それぞれの精霊瓶の近くに、作った部品を置く。そして、それぞれの部品に向けて魔力を注ぎ込んだ。
自動で霊餅が出力されて、精霊語の命令が発声される。魔法が発動して、俺たち全員は歓喜の声を上げた。
「マジで魔力を注ぎ込むだけで魔法が発動したぞ」
「何か、あと一歩というところまで来たわね」
「すごいです、大師匠。これが貴族の方々が使う魔法の正体なんですね」
「感動です。本当に魔法が作れるなんて」
「すごい、すごい、めっちゃすごいっすよー!」
全員が口々に感想を述べる。
「ここまでできれば、明日には完成させられるだろう。明日は、魔力を注ぎ込む場所を一ヶ所に限定する魔力入力器を作り、そこから魔力をそれぞれの部品に分配する魔法回路を作る。
命令は一つしかないから、これで完成だ。今日はゆっくりと寝てくれ」
寝ろと言われて、俺たちはあくびを発した。興奮していたが体はひどく疲れている。精神も疲弊していた。これは素直に寝た方がよさそうだなと思い、俺たちは解散した。
◆◆◆
翌日の朝になった。俺たちは朝食をとってから、俺の部屋に集まった。
いよいよ全自動魔法の最後の仕上げだ。俺たちはマルに言われたとおりに作業をしていく。
まずは、精霊瓶の中に霊餅生成器を取り付けて固定した。そこからガラス瓶の外側まで管を作る。これは魔力を通すためのものだ。
また、振動子と記録媒体をガラス瓶の側面に接続して、そこからも魔力を通すための管を作った。この管が魔法回路になる。
次に、二つの魔法回路に魔力を分配する分岐管を作る。最後に魔力を注ぎ込む魔力入力器を作って取り付けて完成させた。
「みんなできたか?」
マルの問いかけに、できたと答える。
「これで、精霊瓶の入力器に向けて魔力を注ぎ込むだけで魔法が発動する。まずはアステルから試してみろ」
俺はガラス瓶に革紐を取り付けて、ベルトからぶら下げる。そして机の上に蝋燭を置いて指差した。
無言で魔力を注ぎ込む。その瞬間に蝋燭の芯の上で小さな雷が発生して火がついた。
「おおっ!」
全員が声を上げる。天然精霊だし、命令は一つだけだが、紛れもなく全自動魔法だった。
「これで完成だな。この精霊瓶を持って王都に帰るんだな」
「まだだ」
マルは浮かれている俺を止める。
「明日は一日休んでいいが、そのあと次の作業をする」
「次の作業って何だ?」
「それぞれ、この精霊瓶をあと二つ、合計三つ作るんだ。そして一番できのよい一つを携帯して、残りの二つを予備にする。
精霊瓶は、戦闘で割れることもある。敵に割られることもある。消耗品と思っておけ」
確かにそうだ。ただのガラス瓶なので壊れることもあるわけだ。
作り方は分かっている。バナシュに話して、もう一度奇房に行こうと決めた。




