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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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161/197

161:ハリー④

「おぅ、お前ぇらか。アキちゃんところに出入りしてるカラスとインコとシベリアンハスキーってのは」


 キコたちと一緒にいるようになって、いっぱい夜が過ぎたころ、猫が来た!


「アキちゃんって、誰だ!」

「ホームセンターの店員だ」

「あのお姉さん!」

「ちょっとハリー! 知らない猫に話しかけるんじゃないわよっ。猫はねぇ、猫は……あたしたち鳥の天敵なのよ!」


 そうなのか?

 でもこの猫、いいニオイがするぞ。ご飯のニオイじゃなくって、なんていうんだろう? ウオォン。


「まぁまぁ。とにかく話を聞いてくれ。ちょいと手が足りなくてな、手伝って欲しいんだ」

「誰が猫なんかの――「いいぞ!」あんたは黙ってなさいっ」

「クゥーン」

「まぁまぁキコ。話ぐらい聞いてやろうや。その猫も俺らと同じ、スキル持ちなんだぜ」

「むぅぅ……じゃあ聞くだけ聞いてやるわよ! 早く話なさい。さぁ、さぁ!」


 キコ、そんなに言ったら猫さん、話できないぞ!


「話ってのはな、河川敷の清掃活動だ。知り合いの区の職員に頼まれてな、ゴミ拾いをして欲しいってんだ。バイト代は払うぜ」

「お金? お金なんかじゃお腹は膨れないのよ!」

「その金で飯を買えばいいだろ。いつも世話になってるばかりより、たまには金を払って飯を買うのもアキちゃんへの恩返しにならねえか?」

「う……お、お金でご飯を買う……」


 ゴミ拾いをしたらお金がもらえる!?

 お金でご飯が買えて、いつもタダでご飯くれてる店員さんにもお礼が出来る!


「オレやるぞ!」

「そうかそうか。できりゃあ鳥連中にも手伝って欲しいんだがな。空からゴミの見つけてくれりゃ楽になる」

「オレは飛べないぞ! 犬だからな!」

「んなこたぁわかって――「わかってんのよそんなこと! ピヤァーッ」」

「痛いっ。痛くないけど痛いぞキコォォ」

「このバカ犬に免じて、手伝ってやってもいいわ。けどね、どこのどいつかもわかんない奴の手伝いなんてしないわよ!」


 え、手伝うっていったじゃないか!?

 なんで!?


「おう、そうかそうか。悪かったな。俺ぁ秀だ。たばこ屋の秀といやぁ、俺のことさ」

「た、たばこ屋の秀! おい、キコッ」

「そ、そんな大物が出て来るなんて……」

「私たちにも運が巡ってきたのよ、キコ。ここは恩を売っておいたほうがいいわ」


 ん?

 ん?

 たばこ屋?


「たばこを売ってるのか!?」

「んぁ? まぁそうだな、売ってるな」

「たばこは体に良くないぞ! テレビの中の人が言ってた!」

「ぶはっ。そうか、お前は飼い犬だったのか。そうだよな。シベリアンハスキーの野良犬なんて、早々いやしねぇだろうし。にしてもテンションたけぇな。だが意外と賢いじゃねえか。そう、たばこは体に悪い。悪いとわかってるのに、人間ってのは金を出して買うのさ」


 パパさんもたばこ吸ってたぞ!

 ママさんもたまに吸ってたぞ!

 アキラとタケシは吸ってなかった!


「で、やってくれるのか? くれねぇのか?」

「や、やってやるわよ。お金のためなんだからね! お金の!」

「ウオオォォォォォ! オレはやるぜ! ゴミ拾いやるぜ!」

「お、おう……」


 ゴミ拾いは明日!

 でも少し遠いからって、今日は秀さんの家まで行って泊めてくれるって。

 お泊り! お泊りか!


 アキラたちは時々、お泊りに行ってた!

 オレは留守番だ! 泥棒が入るといけないから!


 オレ、初めてのお泊りだ!


 あれ? でもオレ、家じゃない所で寝てるから、今もお泊りか!


「あぁー、楽ちんだなぁ」

「でしょー。座り心地もいいし」

「ちょっと毛がかてぇが、そうか、鳥にはこのぐれぇがちょうどいいのか」


 オレの頭にキコがいる!

 オレの背中に秀さんがいる!

 クロベェ、クロスケ、カンクロ、クトミが交代でオレの背中に来る!


 オレは誰が運んでくれるの!?


 ・・・・・・・・・・・・。


 オレか!


「さぁ、ここがオレん家だ。ばーさんと二人暮らしだが、ご近所付き合いもあるんだ。静かにしてくれよ」

「おぉ! たばゴフッ「静かにしなさいよっ」クゥーン」


 怒られた。

 キコすぐ怒る。怖い。


「あらあら。秀吉のお友達かい?」

「秀吉?」

「秀吉……」

「秀吉!?」

「ひで……ぷっ」

「ばーさん、あっちで休んでろっ。お前ぇらも笑ってんじゃねえ」


 秀さんは秀吉っていうらしい!

 おばあさんは優しそうな人だ!


 夜はここでお泊りだぞ! 秀吉さんがご飯もくれた!

 でも秀吉さんって呼ぶと怒られた!


 次の日朝早くからオレたちは移動。

 川の横にある原っぱのゴミ拾いが仕事だ。


 川の横にある原っぱ……ん?

 人がいっぱいだ! 

 あれ。誰か怪我でもしたのかな? 血のニオイが――。


「なんだよ秀吉。あれは警察ってやつじゃないのか?」

「秀吉言うんじゃねぇ。いったいどうなってんだ? ちょっと待ってな。聞いてくるからよ」


 オレたち以外にもたくさんゴミ拾いをしている人がいた。

 人間いっぱいと、あと犬だ! オレ知ってるぞ! あれはシェパードだ。友達にシェパード犬がいたから間違いない!


 ひでき――秀さんが人間の側に行ってお話をしている。

 しばらくして戻って来ると、秀さんは大きなため息を吐いた。


「なんでもよ、近くで殺人事件があったらしくってな。犯人っぽいやつがこの辺りで何か捨てたのを見たって住民がいるんだと」

「殺人事件! ちょっとちょっと、重大事件じゃない!」

「けどよぉ。そうなるとオイラたちのお仕事どうなるんだ? バイト代は?」

「その何かってのが見つからねえとなぁ」

「何かってなんだ!?」

「それがわかりゃ警察はいらねーんだよ」


 警察いらない? あの人間たちいらないってこと?

 あ、シェパードだ。聞いてみよう。



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