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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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158/197

158:閑話ハリー①


「兄ちゃん、大人に見つかったら怒られるよ」

「大丈夫だって。入口のところまでしか行かないから。それより、ちゃんとハリーのリード持ってるんだぞ」

「う、うん……本当に大丈夫? モンスターいない?」

「大丈夫だって。入口のすぐ近くは滅多にいないってネットにもあったろ。もしいたとしても、階段は上れないんだ。階段の下までしかいかないって」


 ・

 ・

 ・


「どうだ? なんか変わったとろこはあるか?」

「んー……兄ちゃんは?」

「……ハリーの様子はどうだ?」


 オレ!?

 オ……オレ!? オオォォオ、オレ!?


「どうだろう? なんか驚いてるっていうか、落ち着きがない」


 オレ! ナ、ンダ……ア、頭……スッキリ!


「も、もう少しだけ奥に行ってみるか」

「えぇーっ。ヤダよ兄ちゃん。怖いじゃん」

「もうちょっとだけだって。な? 何かいたらすぐ逃げるって。ほら、一応武器だって持って来たし」

「それただのバットじゃん。それに兄ちゃんだけで、オレのはないじゃん」

「お前はハリーのリード持ってるだろ。ほら行くぞ」」


 ハリー……ハリーはオレだ! オレの名前だ! アキラが付けてくれたオレの名前!


 あ、待って。その先、変なニオイがする。

 行くなっ。行くなアキラ!


「うぅーんっ。兄ちゃん待ってよ。ハリーが動こうとしないんだ」

「あ? ったく。こいよハリー!」

「キャインッ」

「兄ちゃん、そのバットでハリーを叩かないで――うわっ。に、兄ちゃん。向こうからモンスターが!」

「え? う、うわぁっ。逃げるぞアキラ!」

「うわあぁぁぁぁっ」


 待って! 待ってアキラ!

 オレのリード忘れてる。待って!


 それにしても、うわぁぁ、おっきい虫だぁ。

 嫌なニオイがするけど、オレ、あいつと遊んでみたい!!

 でもアキラが帰るから、オレも帰らなきゃ。


 でもなんんだろうな。頭の中がスッキリした感じがする。

 それに世界だ。世界に凄くいろんな色がついた!

 オレの目、おかしくなったのか!?

 がーんっ!!


 でも、そうじゃなかった。


 帰り道で、オレはアキラと遊びたかったから言ったんだ。


「アキラ、アキラ、遊ぼー!」


 って。二人は驚いていた。オレも驚いたもんね!

 オレが人間の言葉を話せるようになるなんて、ビックリだ!


 オレのご主人、アキラとその兄ちゃんのタケルが言ったんだ。

 オレはスキルをもらったって。


 誰に?


 わかんない。でもスキルってのをもらったから、話せるようになった。


「アキラ! 散歩行こうっ。散歩!」

「雨降ってるだろ。宿題してるんだから邪魔しないでよっ。なんでハリーだけ……ずるいよ」

「クゥーン」


 何がオレだけなのか、わからない。


「あ、ママさん! オレお手伝いするっ。オレ手伝う!」

「あっ。バカハリー! ママに話しかけるなっ」

「え? え? ハ、ハリーが……」

「ママさん!」

「ハリーが喋ったあああぁぁぁぁぁぁぁっ」


 キャインッ。

 み、耳がキーンってしたぞ!

 ママさん驚いてる。オレもビックリだ!

 スキルって凄いな。人間の言葉が前より凄くわかるようになったし、話せるようにもなった。

 あと後ろ足で立つのも簡単になった。でもやっぱり歩きにくいから、オレは今まで通り歩くぜ!


「アキラ! ちょっと来なさいっ。あなたもしかして、ハリーとダンジョンに入ったんじゃないでしょうねっ」

「ち、違うよ! ハリーが勝手に――「一緒に入ったぞ! あとアキラ兄のタケルも一緒に入ったぞ!」余計なこと言うなよっ」

「クゥーン……」


 余計なこと? 余計なことってなんだろう?


「アキラ!! 何考えてるのっ。ダンジョンには……ダンジョンにはバケモノがいるのよ! バケモノに会ったりしたら、どうするつもりよっ」

「か、階段のところまでしか――」

「大っきな穴みたいな所歩いてたらな! デッカい虫がいたんだ!」

「アキラ、どういうことなの! ママに嘘をついたのねっ。ずっとダンジョには近づくなって言ってたのに。どうして言うことを聞かないの! どうして嘘をつくの!!」


 マ、ママさん、怒ってる。怖い。


「しばらく学校以外の外出もおやつも禁止よ! 学校もママが送り迎えするから、寄り道なんて出来ませんからねっ」

「そ、そんな。ママ、許してよママッ」


 アキラがママさんに叱られてる。どうしてだ?

 ママさん許してあげて。アキラにおやつあげて。あ、オレもおやつ欲しい!


「ママさんおやつ!」

「うるさいわね! 気味が悪いのよっ。いい、ハリー。外では絶対に喋るんじゃないわよ。いいえ、この家の中でだって話さないで。一言もよ!」

「えぇー!? せっかく話せるように――「ハリー!!」クゥーン」


 どうしてお喋りしたらダメなんだ?

 せっかく話せるようになったのに。


 でもママさんが怒ってるし、しばらくは黙ってよう。


 その日、夜遅くにパパさんが帰ってきた。

 パパさんとママさんは時々喧嘩をしている。スキルをもらう前でも、それぐらいはわかった。

 でも今日は喧嘩じゃない。


 アキラとタケル、それからオレのことで話し合っていた。


しばらく閑話!

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ハリーもしかして捨てられたのm(。≧Д≦。)m
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