表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/197

149:マブい(美人)なダチ(友達)。

 手書きされた地図を頼りに先へと進む。

 出現するモンスターは、だいたい推奨レベル75ぐらいだ。

 西区の最下層……いや、今ではもうだったというべきか、その五十階の推奨レベルは60。

 そう考えると一気に推奨レベルが15もあがるのか。


「今回は赤城の旦那たちが北区の捜索に出てるから、戦力が落ちちまってるな」

「まぁね。でもレベル80から100あたりの隊員で固めてるし、何よりアニマル隊も加わって戦力も増してるから大丈夫だろう」

「ねっ、ねっ。レベルってなんなん? ウチにもあるん?」

「この前、スキルの鑑定をしてもらった時に冒険者カードっていうのもらっただろう? 持って来てるかい?」

「もちろんよ! サクラがお仕事の時には持ってなさいって言うからね」

「教えたの。えっへん」


 サクラちゃん、偉いぞ。

 二人はお揃いのリュックを背負っていた。ネット通販で買った動物用のものだって言ってたけど、なかなか実用的なリュックだ。

 ヨーコさんはそのリュックから冒険者カードを取り出した。


「モンスターを倒すとね、そのカードが感知して経験値っていう数字に置き換えるんだ。一定数値に達すると、レベルが上がるんだよ」

「目に見えるもんじゃねえから、気にしない方がいいね。レベルなんてそのうち勝手に上がるもんだからさ」

「ふぅーん。でも倒さなきゃいけないんでしょ? ウチ、モンスターなんて倒したことないし……」

「いや、大丈夫だよ。他の人が倒したモンスターでも反応するから」

「一緒に行動している人が倒しても、一緒にレベルが上がるってことよヨーコちゃん」


 ヨーコさんには攻撃スキルがない。でもナースは優秀なスキルだ。例え彼女が戦闘に参加しなくても、経験値の恩恵を受けさせる理由としては十分だ。

 ただ、今だに『妖狐モード』のスキルがわからない。

 日本だけじゃなく、世界のスキルデータにも同じものが存在していないっていうし。


 妖狐……九尾の狐にでもなるんだろうか?

 

「おーい。この先の行き止まりまで行って来たけど、誰もいなかったよ」

「わかった。道を引き返してさっきの分かれ道を左に行こう」


 行き止まりになっている道も確認しなきゃならない。

 ブライトが先行して飛んで、誰もいなかったら引き返して知らせてくれる。

 少しでも時間短縮と、体力を温存するためだ。

 そしてブライトは俺の肩で休む。また行き止まりの近くまでいったら飛んでいき、先を確認しに行く。


 こうしてしらみつぶしに見ていき、半日が過ぎた。






「三石」

「曽我さん、大塚さん、花園さん。お疲れ様です」


 ダンジョン内での野宿は、出来るだけ他のチームと合流して行う。

 階段ではないから常に誰かが見張りに立つ必要があるが、他のチームと合同なら一人当たり起きている時間が短くて済むからだ。

 実際にはひとりではなく、二人一組で見張りをする。


「はぁ、疲れたわぁ。ご飯たべたぁい。でも暖かいお風呂にも入りたぁい」

「俺はご飯! 俺はご飯!」


 黄色いセキセイインコのキコは、そのまま地面に突っ伏してパタパタする。

 ハリーは疲れていないのか、やっぱり元気だ。


「キコさん。お湯を沸かすから、お風呂にしますか?」

「いいの!? いいわねぇ」

「えぇー!? いいの?? キコちゃん、うらやましいわぁ」

「鳥の特権よ」

「ボクは遠慮するね。鳥だけど」


 鳥の特権というか、小鳥の特権じゃないかな。ブライトぐらいになると、小さな器じゃ風呂にもならないし。

 キコぐらいならみそ汁のお椀で十分だしな。


 その様子を、サクラちゃんがスマホで撮影していた。


「サクラちゃん。ここからだと地上に電波が届かないから、配信は出来ないよ」

「違うわよ。おばさまに無事を報告するためにね」

「母さんに? いや、メールも送れないけど」

「……そうだったわ!! 動画配信出来ないってことは、メールで写真送るのもダメだったのよね」

「隠しダンジョンから出れば届くけど」


 悩んだ末、サクラちゃんは撮影を続けた。


「いいわ。後でまとめて届くだろうけど、毎日の経過報告にもなるし。あ、オーランドにも送ってあげようっと」

「オーランドにも?」

「だって悟くん、全然彼に写真、送ってないでしょ?」

「サクラ、それって雄? ねぇ雄?」

「そうよ。でも人間の雄なの。アメリカにいる悟くんのお友達よ」

「なーんだ。悟のマブダチかぁ」


 マブダチ?


「そうそう。マブなダチなのよぉ」

「マブいダチね」

「「ふふふふふふふふ」」


 待って。マブいダチって、何?

 マブいって、美人だとかかわいいとか、そういうニュアンスの言葉じゃないのか?

 確かにオーランドは美形だけど。


 マブダチって、そういう意味だったのか。知らなかった。

 イケメンな友達だからマブダチ。

 なるほど。合ってるな。


 俺もたまには写真、送ってやるかな。


「ヨーコちゃん、かわいいポーズぅ」

「コンッ」


 ヨーコさんを撮影しているサクラちゃんと、撮影されているヨーコさんの写真。

 それをじと目で見るブライト。

 ヨーコさんの頭に乗って一緒にポーズをとるキコ。

 ご飯を美味しそうに食べるハリーっと。


 送信。


 ま、届くのはここから出てだけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ