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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
7章

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142:キィィィーッ!×2

 上野ダンジョンのショッピングモール内を移動し、ダンジョンの八階を目指す。

 ショッピングモールがダンジョン内を貫通したことで、一部は階段がなくなっている。

 だから各階に設置する転移装置は、十階から下にしか設置されていない。


「まぁだ下の階に行かないのか?」

「あと八階と九階のマッピングが終わってないからな。もし資源があったらオブジェのサイズとか調べておかないといけないからな」

「スタンピードの発生条件ですものね」

「そう。よぉい、じゃあ軽く走るかぁ」

「あ、じゃあ私も走るわ。通路だと悟くん、全力で走れないから並走も出来るわ」


 たまには運動しなきゃ――というサクラちゃんと並んで走る。

 普段、いつも肩車しているせいか、神速持ちだと言うことを忘れてしまう。

 そうだな。洞窟や通路タイプの構造だと、俺は軽くしか走れないんだ。だったらサクラちゃんには自分の足で走ってもらうのもいいだろう。神速が鍛えられるし。


 一時間ほど適当に走りまくったあと、マッピングした紙を見ながら穴埋め作業を開始。

 すると――。


「うわあぁぁぁぁっ」


 叫び声が聞こえた。


「おっ先ぃ!」


 ブライトが真っ先に反応した。

 反響した声は、どっちから聞こえてくるのかわかりにくい。それでもブライトは、正確に位置を把握して飛ぶ。

 そこはフクロウとしての能力なんだろうな。


 ブライトを追いかけると、今度はそのブライトの悲鳴が聞こえてきた。


「ブライト!?」

「急ぎましょう、悟くんっ」


 角を曲がった先に二人組の冒険者とブライトを発見。

 その彼らの前方には、青い炎を纏った巨大な熊がいた。


 デカい。八階層にいるようなモンスターじゃない!

 ネームドモンスター?


「よぉーこぉーせぇー」

「ななな、な、何をだよ!」

「たぁーべぇーもぉーのぉー。よぉこぉせぇ!!」

「ひ、ひいぃぃぃっ。さ、さと、悟!」


 食べ物を寄越せ?

 モンスターなら食べ物じゃなく、そのまま人間を食べるだろうに。

 なんか……おかしい。


「ふんふんふんっ……まっ。悟くん、アレ、キツネよ!」

「え? キツネ?」

「あぁ、間違いないわ。キツネのニオイがするものっ」

「んなっ。タ、タヌキ!?」

「ムカつくわぁぁ。なんて失礼なキツネかしら」


 ……タヌキとキツネって、やっぱり相性悪いんだろうか。

 いや、それよりもだ。


 熊だったソレは、どろんっと煙と共に姿を変えた。

 サクラちゃんの言う通り、キツネだ。

 だけど尻尾が二本?

 やっぱりモンスター?


「な、なんだよ。は、はは。ちっこいキツネモンスターじゃねえか」

「モ、モンスターって!? バカ言わんといてっ。ウチはキツネばい。正真正銘、キツネやけん!」

「は? 何言ってんだよ」

「そういや最近、尻尾が二本ある狂暴なキツネモンスターがここで見かけるようになったって言ってなかったか?」

「んー、お、そういえば。上層階に出るらしいな。でも前はいなかったのに、なんでだろう?」


 言葉を話すモンスター。そのうえ、複数の階層に出没?

 いや、同種のモンスターってだけな可能性も。


 でも――以前はいなかった。

 突然、生息モンスターが変更されるって、今までそんな事例、聞いたことがない。


「ギルドでもキツネモンスターの詳細を募集してたし、倒せば報酬が貰えるかも」

「だな!」


 二人が武器を構える。

 本当にこのキツネは、モンスターなのか?

 

「あの、待ってください。俺たち、捜索隊の者ですが――」

「捜索隊なん!? ね、あんたら捜索隊? ね?」

「え……そ、そうだけど」


 キツネが後ろ足で立ち上がり、くるりと一回転。

 た、しかに……あの立ち姿はスキル持ちの動物の特徴のように見える。


「君はスキル持ちのキツネか?」

「そう! ウチ、北海道におってん。そんで間違ってダンジョンに入ったと。そしたら尻尾二本なるし、人間の言葉話せるようになるし。おかげで仲間が気味悪がってん」


 と話すキツネの前に、狩ろうとしていた冒険者もさすがに手を止めた。


「ほ、本当にキツネ?」

「だと思います。こんなに喋るモンスターの方が、見たことありませんし」

「で、でもよぉ悟。さっきは熊だったんだぜ」

「そ、それはウチのスキルばい! ウチ、変化出来るとよ」


 見て見てと言わんばかりに、キツネは二本の尻尾を振ってくるんっと一回転。

 どろんっと煙が出て、そこから現れたのは人間の女性!?

 あ、でもキツネの尻尾だけ出てら。


「おおおぉぉぉぉぉ!!」


 二人組の冒険者が興奮したように声をあげた。


「熊と人間にしか変身できんっちゃけど」

「スキルレベルかなにかかな? でもなんでダンジョンに?」

「捜索隊探しとったと! そしたら何でか知らんけど、北海道から東京に来とったんよ!」


 ……は?


「北海道の捜索隊に保護してもらおうと思っとってん。とりあえず函館いう所に行こうと思って箱みたいな車に乗ったら、東京に来とってん!?」

「バカじゃないの」

「ちょっと、バカって言った? 今ウチのことバカ言うた!?」

「言ったわよ! 何をどうしたら北海道から東京に来るのよ!」

「うっさいわね! 人間世界に不慣れなんだから、仕方ないやろ!」


 今日のパトロールはこれで引き上げて、このキツネをどうにかしないとな。


「キィーッ!」

「キィーッ!」

★とかブクマ入ると作者は喜ぶ生き物です。ニチャァ(≖ᴗ≖๑)

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