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はい、こちらダンジョン捜索隊~自分はレッサーパンダだと言い張る相棒の♀タヌキが、うっかり記録用録画を配信してしまった件。  作者: 夢・風魔
6章

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132/197

132:ニューヨークって寒いよね?

「寒い……」

「そうか? 快適だぜ」

「私なんて去年よりも早く、冬毛が生えそろったわよ」

「デブったよな」

「なんですって!!」


 サクラちゃんがブライトを追いかける。でもブライトは高い棚の上に避難して届かなくなってしまった。


「いい、ツララちゃん。雌の体型や体重のことを言う雄は、ダメ雄なんだからね。覚えておくといいわ」

「おいサクラ! ツララになんてことを吹き込むんだっ」

「父ちゃんはダメ雄?」

「まぁツララちゃん。賢いわねぇ」

「違う。違うぞツララァ」


 ニューヨークに来て一ヶ月。十一月になった。

 寒い。東京より寒くない?

 いや寒いんだよ。ニューヨークは東京よりずっと北なんだし。


「いやぁ、冷え込んで来たねぇ。ダウン持ってきてよかったなぁ」

「社長、持って来てたんですか」

「え? 三石は持って来てない? ニューヨークの冬は寒いぞぉ」


 日本を出発した時の季節でしか服を持って来てない。

 旅行カバンに冬服まで詰め込めるだけの空きスペースなんてなかったし。こんなに寒くなるとも思っていなかったんだよ。

 そういや社長の荷物って、見てないな。金森さんも何も持ってなかったし。


「三石くん。こっちで上着を買い直した方がいい。はい、これ」

「なんですか、この封筒」


 金森さんから受け取った封筒を開くと、現金が入っていた。

 

「ボーナスだ三石。現金支給にしてやったぞ」

「社長……ありがとうございますっ」

「サクラとブライトにもボーナス」

「やった~」

「僕らは別に服なんていらないしなぁ。ツララ、ヴァイス。何か欲しいものあるか?」

「わかんな~い」

「ケッ」

「わかんないよなぁ~」


 ダウンジャケット、買うぞ。






「こちらのデザインなどいかがですか?」

「……はぁ」

「これはほら、アレだよ」


 ニューヨークの服屋さんなんて、どこがいいのかわからない。

 だからニューヨークに住んでいて、同年代のオーランドに連れて来て貰った。


 オーランドがいうアレというのは、店内に張ってあるポスターのこと。

 何故かオーランドだ。

 オーランドがジャケットを着た写真が、ポスターになっている。


「あら、オーランドじゃない。どうしてオーランドのおっきな写真があるの?」

「モデルをやったからだよ、サクラちゃん」

「モデル? オーランド、あなたハンターでしょ?」

「モテルもやってるんだ。牧場経営とハンターとモデル」

「まぁそうなの!? いつも暇そうにしてるのに、案外忙しいのね」

「牧場の方は何にもしてねぇだろ」


 確かに顔はイケメン過ぎるぐらいイケメンだけど、まさかモデルまでやっていたとは。


「うふふ。当ショップではオーランドさんが専属モデルなんです。彼にモデルをやっていただいてから、売り上げが伸びたんですよ」

「へ、へぇ……」


 モデルが変わるだけで売り上げにまで影響するのか。

 

「悟くんもモデルやってみたらいいのに」

「え? いやなんで。モデルなんて誰でもやれるものじゃないんだよ、サクラちゃん」


 たぶん。


「じゃあボクとやってみる?」

「は? なんで」

「マフラーの写真、撮るんだ」

「はい。今日このあと、スタジオで撮影があるんですよ」

「サクラちゃんたちもどう?」


 店員さんの顔が引きつっている。

 そもそも、服を売っている店に動物が一緒っていうのがおかしいんだよな。

 最初はギョッとされたけど、オーランドが一緒だっていうことで入店を許可された。

 でもモデルにまでさせるのは、どうかと思うぞ。


 ダウンジャケットと下に着る温かい上着を数枚買って、そのままスタジオに同行することになった。

 なんせここまでオーランドの車で来てるんだ。帰るための足がないからついていくしかない。


 そして……。


「いやぁ、かわいいね。こっち向いて、サクラちゃん」

「まっ。かわいいだなんて……あたり前なんだけど恥ずかしいわ」

「かわいい! キュートだ! こっちのフクロウちゃんもかわいいねぇ」

「娘はどこにも嫁に出さないからな!」

「オラオラオラオラァ」


 カメラマンにも威嚇してるよ、ブライトとヴァイスは。


「はぁ、うちの雄どもときたら、困ったものね。あ、カメラマンさん。あとで一枚ずつお写真くださいね」


 そしてスノゥはしっかり者だ。


「はいはい。お兄さんも準備してね」

「あ、マフラーずれてる。手直ししますねぇ」


 ……どうしてこうなった?

 俺はオーランドについて来ただけで、モデルになるつもりなんてなかったんだ。

 なんで……なんでこんなことに。

 

「オーランドが初めて他の人と一緒に来たけど、こんな少年と友達だったなんて」

「……え?」

「君もクールねぇ。本当にモデルは初めてなの? 顔色も全然変わらないし、緊張しているようには見えないわ」

「いや、あの……少年?」

「学生でしょ?」


 ……え?


「ティーンズのモデルも欲しかったのよぉ」

「あなた、結構腹筋割れてるし、夏もののモデルやったらステキなのにねぇ。もう半年前に来てほしかったわぁ」

「ティ、ティーンズ!? いや待って、俺――」


 子供だと思われてる!?



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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 そう言えば欧米の人から見たらアジア人…日本人は若く見られるパターンがままあるって話聞いたこと有りますね。 悟くん成人はしてましたっけ…中3~高校生くらいに見られてる→二十歳として…
日本人は童顔だとよく言われますから生姜ないけど、悟くんって何チャイになったおぅ?( *´艸`)
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