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幼馴染みだよ  作者: 塔子
6/17

【6】

小神殿の掃除や片付けをしながら2週間ほど過ぎた頃、この村での生活も慣れてきた。


私はここでも“サコ”と呼ばれ、親切な村人と交流し畑仕事に精を出す。


もともと土いじりとか好きだったので、問題無い。


料理もそこそこ出来るので、見た事の無い食材には驚きの連続だけど、見た目ではなく“味で勝負”と言ってラウルに振る舞う。



「サコが作ってくれるものなら、何でも美味しいですよ」



そういう感想が一番腑に落ちない。


そんな事を言うなら、激辛または激甘な料理を作ってみようかな。


……やめておこう。


この村でのラウルは神官で、誰よりも神に近い存在だ。


何か有ったら、腹痛でもおこしたら、私がヤバいでしょう。


自分の益にならない事はしない。それが一番だ。


それより、明日の分の焼き菓子の準備をしておこう。


大人達が働いている間、子供達はこの小神殿へ遊びにやって来る。


保育所代わりみたいなもの。


ラウルは遊びを通して子供達に読み書きなど教えている。


私も会話は不自由無く出来ているが、文字は異世界のものだ。


私も一緒に子供達とラウル先生の生徒の一人になる。


勉強が終われば、私の焼いたお菓子を出す。お待ちかねのおやつタイム。


子供達が本当に美味しそうに食べてくれているのを見ると、それだけで嬉しくなる。



「ねえ、サコのお腹は大きくならないの?」



何気ない一人の女の子の質問に思考が止まる。



「だって、うちのお母さん。大きくなってきてるよ」



えーっと、つまり、それって。



「男の人と女の人が仲良く暮らしていると、お腹が大きくなるって」



目から鱗だ。


村人達から私はそんな風に見られていたんだ。


確かに、ラウルと一緒にこの村に来て、一緒に小神殿で暮らしていて、まあ、喧嘩はしてないので仲良くは見えると思う。


今、この子供達の前で「それは、誤解です!」って言うのも大人気ないか。



「お、お腹が大きくなるには、神様に選ばれなくちゃいけないのよ」



仮にも、私は小神殿に暮らしているのだ。ここは神様の力を借りる。



「どんなに願っても、親になるには神様に選ばれなくてはね」



子供達は私の話をちゃんと聞いてくれている。



「それに、私は皆と一緒。まだ文字も書けないし読めないでしょう。神様は、そんな私のお腹を大きくしたりしないわよ」



と言えば子供達は笑い合う。



「そうだよな、サコはオレより字が読めねえもん」

「計算だって、あたしより遅いしね」



子供達はなぜ私のお腹が大きくならないか、理解してくれたみたい。


この話題は、今後出て来ないだろう。


良かった。心の中で安堵する。


全く、冗談でしょう!


私が妊娠なんて。


16で妊娠、出産、母親って、どうなのよ!


しかも、父親は――。







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