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なろうの国のアリス  作者: 夕月 悠里
10章 魔法商事有限会社
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魔法少女の逆襲

「さて、あんたもようやく年貢の納め時ね」

「……飼い犬に手を噛まれる気分だよ。せっかく育ててきたのに残念だね」


 魔法少女と社長がにらみっている。


「まぁいいさ、代わりなんていくらでもいるし。キミ一人ぐらいいなくなっても何とかなるさ」

「あら、残念ね。他の魔法少女たちにもこの会社の真実を伝えてあげたわ。今頃下の階で暴れてるんじゃないかしら」


「……まったく、君たちときたら。どうしていつもこうなるかな。残念だよ。またやり直さないとね」


 社長はめんどくさそうな顔をし、そう言い放つ。そして机の上にあったボタンを押す。


「あん、やり直すだ? ここで終わりだよ。もうこんなことはさせねぇ」


 魔法少女が社長へ向かって走り出す。グローブを握りしめ社長へ拳を

振りかぶる。


 ガキン。


 拳はいつの間にか現れた壁によってはじかれる。社長の前には大きな壁ができていた。社長を囲むように現れた壁。


「はっ、しゃらくせぇ」


 そう言って魔法少女は叫んで壁に何度も拳をたたきつける。高速でたたきつけられる拳。壁に徐々にひびがはいっていく。そして壁が砕けた。


「は、どんなもんよ」


 ドヤ顔の魔法少女は壁の中の社長を捜すが見あたらない。


「ちっ、逃げたか」


 社長のいた場所の真下には穴があいており、そこから脱出したようだ。


「えーっと、どういうことなの?」


 そこには困惑しているアリスと魔法少女が残されていた。


◆ ◆ ◆


 困惑しているアリスに魔法少女はこの会社の裏側を教えてくれた。


 すべてはこの会社が諸悪の根元であるようだ。この会社は魔法少女を作り出して、その力に依存させる。給料が高く、綺麗になれる。アイドルだってできると面のいいことばかりを言って契約させる。


 なんでもそんなうまい話は無く、彼女たちの使用する力の源は彼女たちの命。魔法を使えば使うほど、寿命が短くなる。


 その会社は魔法を使用する手数料代わりにその命をかすめ取っている。そうしてその命を自分たちの寿命として蓄えているのだ。


 そして実は魔物と言われる存在は魔法少女の絞りかす。寿命以上に魔法を使ってしまうと人間としての存在が消え、そこには醜い化け物だけが残る。


 それを退治するのも魔法少女。


 いかに効率よく、命を搾り取るのがこの会社の役割。


 それを知った魔法少女は例外なく消される。その魔法少女も刺客を向けられたけど何とか生き延びた。


 生き延びて、他の魔法少女たちと結託して会社をつぶす算段をたてたそうだ。


 階下の爆発音はそのせいらしい。


 多くの魔法少女がそこかしこで戦っているようだ。部屋を出たアリスは魔法少女たちが、ぬいぐるみと戦っているのを目撃する。


「はぁ、やってくれたねまったく。せっかく築いてきたブランドが台無しじゃないか、結構時間がかかったんだけどね。どうしてくれるのかな」


 社長の声が会社中に放送される。


「まあいいや、今度はもっとうまくやるよ。ということで君たちは用済みさ。ばいばい」


 その言葉を合図に、会社のそこら中から魔物が現れる。黒々していてなにやら人型をしているが、意志のない人形のようにカクカクと動いている。


「ちっ、あのやろうまだこんなに隠していたのか。おいアリスお前はあたしのそばを離れんなよ。守れねぇからな」


 そう言って、魔物たちを殴り飛ばしていく。


「おらよっ!」


 迫ってくる魔物たちを殴り飛ばしながらアリス達は会社の外に脱出した。


 外では何人もの魔法少女たちとぬいぐるみが倒れている。

 無事な魔法少女もいる。メガネををかけたお下げの魔法少女が近づいてくる。


「リーダー、ご無事でしたか」

「ああ無事だが、社長には逃げられた」

「それは残念でしたね」

「くそ、あのやろうどこに行ったんだ」


 そのとき会社のモニター社長が映し出される。魔法少女たちはそのモニターを親の敵でも見るかのようににらみつける。


「さすがは最悪の魔法少女だね。魔法を使わず己の力だけでここまでやるとわね。まったくきみたちは。、いつもそうやってじゃまをする。せっかくここまで順調にやってきたのに台無しだよ本当にさ」


 残念そうに社長は肩をすくめる。


「これだけは使いたくなかったのだけどね。仕方ないね。せいぜい反乱を起こしたことを後悔するといいさ」


 社長がそう言うやいなや、ごごご、という音が会社から聞こえてくる。

 

 会社が変形している。


 まるでパズルのように会社がスライドし、折れ、何かに形作られていく。


「なにあれ……」

 

 会社は巨大なロボットに変形した。


 会社ロボットは魔法少女たちを踏みつぶそうとする。


「おい、逃げろ!」


 さすがの質量の暴力にはかなわないのか、魔法少女たちは逃げだす。離れて、魔法を使って攻撃するが、バリアでも張ってあるかのように攻撃は効かない。


「無駄だね。君たちの攻撃はそんなに出力が出ないように作ってあるんだ。このロボットを壊すには火力不足だね」


 ロボットのスピーカーから聞こえる社長の声。


「くそ。どうしたら」


 リーダーの魔法少女が弱音を吐く。その瞬間にもロボットは魔法少女たちに攻撃を加えていく。直接当たらなくとも、その巨大な質量が生み出す余波に巻き込まれて魔法少女たちは一人、また一人と倒されていく。



 そしてお約束かのようにアリスの試験管が光り出す。


「あっ、それは」

 

 魔法少女はその存在に気づく。


「おいアリス、それを掲げろ」

「えっ、なんで」

「いいから早く」


 言われるままにアリスは試験管を掲げる。


「みんなあの試験管に力を集めるんだ」


 その言葉に、魔法少女たちの力が集まる。試験管がさらに光を放っていく。


「えっ、なに、なんなの?」


 そしてどんどん大きくなる試験管は巨大なステッキハンマーになった。その大きさは会社ロボットにも相当する大きさになった。


「おいアリスそれを振りかぶれ」

「えっ、えーっと。えい」


 アリスがそのハンマーをロボットに向かって振る。そのハンマーがロボットに当たった瞬間、爆発を起こした。


「なっ、こんなの台本にないぞ! こんなところで、なんだあのイレギュラーは! くそー!」


 社長の断末魔が響きわたる。それとともに会社ロボットは砕け散った。



◆ ◆ ◆



 がれきの山となった所で、魔法少女たちが集まっている。


「ありがとうアリス……。助かった」

「えっ、とあまりの展開に頭がついていかないのだけど、役に立ったのならよかったわ」


 本当によく分からない展開だね。そんなほっとした時間も束の間だった。


「うん、なにか近づいてくるな。敵か?」


「裁判だよ、アリス、裁判の開始だ」という声が遠くから聞こえてくる。


 アリスのところに飛んできたのはブラックドラゴンだった。

「さぁ、来て」とブラックドラゴンはそういうと、アリスを連れて飛び出した。


「裁判? 今度は何なの?」


 アリスの質問には答えないで、猛スピードで飛んでいく。


 どうやら次は裁判が始まるようだね。

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