第68話「埋められた堀」
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「修哉さん...少しお話をしましょう?」
妙に吹っ切れた顔をした藤原が修哉の隣に座った。
なぜかとてつもなく嫌な予感がするが、MP切れのせいで体を動かすことができない。
「えぇと....藤原さ..」
「陽菜って呼んでください」
「...陽菜さんはもしかしてだけど記憶が戻ったの?」
修哉は藤原、改め陽菜に彼女の言動から推測できることを確かめるためにそう聞いた。
「はい、全て戻りました」
やはり記憶が戻っているらしい。
全ての部分に含みがあった気もするが、そんなことはすぐに修哉の頭から消えた。
「それならなんだけど....ちょっとこれを飲ませてくれる?口に注ぐだけでいいから」
そして修哉はなんとか手を動かしてMP回復ポーションを出現させると陽菜にそう頼んだ。
「ふふふ....修哉さん、私伝えたいことがあったんです」
陽菜は謎の笑みを浮かべながらなぜかポーションを自分の口に含んだ。
「陽菜さん?何をして...ムグッ!」
修哉は最初何をされたのかよくわからなかった。
(!?!?....いや、これって...え!?)
混乱している修哉をよそに陽菜が話し始める。
「ぷはっ....ふふふ、私ずっとあなたのことが好きでした」
「あの時、坂巻からあなたに助けられた時からずっと想ってました」
「前は「タワー」に邪魔をされて言えませんでしたけど、今度こそ伝えれます」
「....修哉さん、私と結婚を前提に付き合ってください」
陽菜は微笑んだままそう言い切った。
(..........もう何が何だかわからない)
修哉はまだあまり状況を飲み込めていなかった。
確かに陽菜に告白されたことは驚いたが、嬉しいことではある。
しかし、状況が状況なせいで色々なことが頭の中でごちゃごちゃになってしまっていた。
そもそもあまり人と関わってこなかった修哉に恋愛などわかるわけもなかった。
失礼を承知の上で頭の中を整頓して、熟考した上で声を絞り出す。
「......こちらこそよろしくお願いします」
それを聞いた途端、陽菜の微笑みがさらに深くなった。
「はい!.....もう逃しませんよ?」
最後に陽菜が言ったことを修哉は特に深く考えていなかった。
....じわじわと埋められてきた堀が今、完全に埋め立てられたことなど気づくはずもなかった。
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