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お見合い結婚します「紫電一閃乙女物語」  作者: あやぺん
おまけ「結納中編」

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友人1

ウィオラ視点

 ネビーが海辺街へ出張後に家に久しぶりに帰宅した翌日。

 私の日曜は休日で先週や先々週のように用事がないので祖父と共にネビーの出勤についていって、そこから遠くない立ち乗り馬車の停留所から一区へ移動。

 ユラに何度か手紙を送っているけど返事がない。私の住所を尋ねたのに音信不通なのが気になるので一度訪ねたかった。

 私から彼女への手紙への返事は三回無視されている。


 祖父と二人で来る予定がネビーが「地区本部へ何かお遣いがないか聞いてきます」と言って近くの茶屋で待機したら仕事があったそうで三人で来た。

 地区本部である大屯所へ出勤したネビーは「確認してきます」と告げてしばらくして近くの茶屋にいる私達のところへ来た。

 それで一区花街花屯所へのお遣いと仕事を手に入れたので、と三人で一区花街へ。

 人力車もあるけど節約と新婚旅行で沢山歩く予定なので鍛錬も兼ねて歩き。ネビーも見回り仕事を兼ねて歩くのでそういう意味でも徒歩。

 一緒に東地区へ行った時と異なり視察ではなくて見回り仕事中なので隣は歩かずに前を歩くように言われてバラバラ。


 ネビーは私と祖父だけで一区花街は心配だけど今の特殊勤務中は、どの地区兵官も私兵派遣は余程でないと受け付けていないと言われた。

 昼間に女性だけで観光する者もいるので過保護な対応なので無理なら諦めるけど少しでもついていけるならそうする、とこうして工夫してくれた。

 普段は無理だけど特殊勤務中で離脱者——倒れる前に休ませる——がいるから仕事があったと言われた。


 菊屋へ顔を出したらユラは不在で彼女は「しばらくしたら帰ります」と休暇を取ったという。行き先は特に告げなかったそうだ。

 もう借金が無いから彼女はどこへでも行ける。戻って働きたければ人気があるうちは楼主も内儀も歓迎するし帰ってくる予定らしい。

 そう言って二度と戻らない借金なしの遊女もいるからユラも帰るかは分からない。

 ネビーはこれから仕事があるし遊楼内へ入りたく無い。ユラが居ないならどうするかな、と思って店外からお店を見上げる。

 誰かが増えた、はともなく居ないともしかしてと胸がザワザワしてしまうので格子窓を覗く勇気は出ない。


「お菓子よりも話したい、と言われていましたがお喋りをすると後からへしょげますか?」

「ええ。本当の優しさとはなんでしょうか。私はいつも、いつもそれが分かりません」


 返事がない。自分で考えろ……とは言わなそう。ネビーは複雑そうな表情でお店を見上げている。


「俺も昔から悩みます。人に言ったことはあるけど逆に問われたのは初めてです」

「ネビーさんはどのような返事を貰ったことがありますか?」

「色々です。その中のどれがウィオラさんに響くかサッパリ。突き放すようですがこういうことは自分なりの答えや妥協や納得が大切だと思います。これがしたい、なら応援したり俺ならどう思うか言えますけど」


 ごめん、というような困り笑いを向けられてしまった。そんなことないと伝えたくて首を横に振る。


「線を引き続けてさらに線を引いたのは私です。今日はユラのこと、と思って来たので不在だったからおじい様と帰ります。付き合って下さってありがとうございます」


 せっかく来たから誰かと話、という気持ちはあるけど天秤にかけると激務中のネビーの心配を増やしたくない。


「ネビーさん。特殊業務で調査対象が多いからか花官がやたら多いので街を出るのは心配しなくて良いかと」

「ええ。過保護でした。猫の手も借りたいのはどこも同じで殴り込みに参加なんでこの街観光はしないで一区観光にして下さい」


 書類を持って勤務状況改善嘆願交渉をして来て欲しい。それが地区本部へのお遣い。ついでに人手を寄越せと頼むのも同じく。

 ネビーも含めて定期的に幹部がしているから交代したそうだ。出張直後で元の仕事へ戻る前に雑用仕事をさせられそうという頭が働いたから私にくっついて行くことを思いついたという。

 何かするから交渉事を聞いて欲しい、仕事はないかを確認したら花屯所で関係者聞き取りがあるからそこ関係や近くみたいに地区本部で上官に話したら殴り込み参加者に追加。


「はい。一区もほどほどにして帰ります。お気をつけ下さい」

「殴り込み後の行列を見たいですけど言われた通り帰ります」


 必ずとは約束出来ないけど十八時から二十時には六番隊の屯所へ帰れる予定なので待てるなら屯所で待って欲しい。食事をご馳走すると言われている。

 そのため今朝、彼と二人でエルに私は家事はしない、ネビーは出張戻り後で勤務がサッパリ不明だから自分のことは何もしなくて良いと話したと告げてある。


「はい。お願いします。ウィオラさん。この時間の花魁達や楽ちゃん達はなにをしているんですか?」

「花魁達は手紙の返事や稽古に勉強、時にお得意様の相手などです。楽ちゃん達は私が居なくなったので新しい先生を一人雇って同じ方式か、昔のようにそれぞれの稽古先へ通ったり花魁達と何かです」

「前回は時間があると言って道芸で稼いで楽ちゃん達を買います。これまでのような勉強も多少させますでしたね」


 それで私は私と過ごしたい遊楽女(ゆうらくじょ)をあんみつ屋へ連行。


「ガイさんに話があると言われていて、ロイさんにも相談がありますし、ルルさんに稽古の約束をしているので今日は時間がありません。今の生活だとここは遠くて来られません」


 ユラは何かで急死した。今回はそういうことはないか確認に来た。私は線を引いたから今は自分のこと優先。

 ここへゆっくり、は八月の予定。職員も生徒も同時に休む夏休みを利用して実家へ帰るのでその前後にここへ寄るつもり。

 休んでも給与が減るだけだけど講師は二度となし、という評価をつけられたくないから実家へ帰るためにわざわざ休むことはしない。父から調査と捜査と音家襲名やウェイスの結納披露などでバタバタと言われているのもある。


「ええ。なので仕方ないと自分に言って……」

「あーっ! 人(さら)いです!」

「ウィオラ姉さん!」

「出戻りですか!」


 遊楽女(ゆうらくじょ)三名が訪問着姿の夕霧花魁と一緒にいて、私に向かって走ってきた。少し離れたところに用心棒らしき者がいる。


「君達! 人聞きが悪いぞ!」

「あらあらぁ。これはまた珍しいお客様」

「この制服の通り仕事で来ました。下っ端なんでお遣いや殴り込みに参加や調査です。ウィオラさんはユラさんの顔を見に来ました。それで彼女もあまり時間がないです」

「ユラなら昨日青い顔をして出て行ったわよ。子どもでも出来たのかしら。ここのところ休んだり吐いたりしていたし」

「……。そうですか。お菓子よりもお話し、と言われたけど今日はもう帰らないといけないのでこちらをどうぞ。仲良く皆へですよ」


 海辺街で買った貝殻の形の飴の入った瓶と貝殻の入った袋を手提げから出して三人の中では最年長の夕霧ひぃ子へ渡す。


「ありがとうございます。ウィオラ姉さん。また来ますか?」

「新しいお仕事で休みがあまりです。八月に夏休みがあるのでその時にもしかしたら二回です」

「お稽古先の先生は皆つまらないです」

「ウィオラ姉さんのお話が聞きたいです」

「ウィオラが居なくても夕霧姉さんが居るからと言っていたのはどの口よ、あんた達」

「いはいへす」


 夕霧ふぅ子とみぃ子の頬がつままれてしまった。


「夕霧姉さんは楽しいですけどまた増えたらさらに楽しいです」

「それにしてももう入籍したの。早いわね」


 夕霧花魁に左手を取られて持ち上げれた。さすが夕霧花魁、めざとい。


「梅結びのようで少し変わっているわね。悪くないけどなんかカビそう。金属ではないのね」

「その、婚約指輪です……」

「ふーん。婚約指輪。初めて聞いたわ」

「カビたら新しく作ってもらいます。竹細工職人の親父作なので」


 カビも心配だけどネビーは仕事で壊しそうなので失くさない、壊さない、汚さないという約束は出来ないから使えなくなったら新しく作ってもらうと言っていて、外す期間があるのは嫌だから既に予備が一つある。


「へえ。職人の父親って商家の息子さんではないの。お兄さんは雰囲気的に兵官家系でより上を目指した二代目以降かと思っていたけどまさか平家から成り上がり?」

「はい。平家から成り上がり者です。では、俺は急ぐので先に。ラルスさん、ウィオラさん。花官に常にくっついて下さい。じゃあな、君達。次は兵官さんって呼んでくれ」


 ネビーは遊楽女(ゆうらくじょ)達に手を振って走り出して去った。


「ふーん。平家成り上がり者。兵官豪家は稼いでいてもいなくても連続勤務年数十五年以降からなのに浮絵にルーベルって苗字があったけど。どう見ても三十歳以下。嘘つきねえ」


 さすが夕霧花魁。ネビーは商家の息子さんですか、と良く言われるのに雰囲気で違うとか連続勤務年数など凄い。

 私は連続勤務年数のことなんて知らなかった。稼いでなくても、ということは出世しなくても勤務態度などで豪家拝命で子どもに特権などがあるってこと。地区兵官の妻になるのだから詳しく調べよう。

 

「夕霧さん。彼は卿家の養子になったので今は苗字があります」

「へえ、そうなの。彼は浮絵になっているので調べたら分かるから教えるってこと?」

「はい。私はウィオラ・ムーシクス。東地区の琴門豪家の次女です。ネビーさんを調べたら分かるので教えます」


 夕霧花魁は顔をしかめた。


「小賢しいのにウィオラは本名だったの。偽名だと思っていたわ。あんたは嘘が下手なようで矛盾のある嘘ばかり。だから逆に分からないのよ。ムーシクスって東地区の琴門名門一族じゃない。豪家って大豪家でしょうどうせ」


 知らない人は知らないけどさすが一区花街の高級遊楼の花魁。夕霧花魁はかなり記憶力が良くて博識なのもある。まあ、総宗家の次女とは思わないだろう。


「そうです。お嬢様と呼ばれて育ちました」

「ふんっ。騙されたわ。そこまでだとお姫様(ひいさま)って呼ぶのよ。琴と三味線は分かるけど他の芸はどうやって身につけたのよ」

「歌は家業の一部で舞踊は幼少より嗜んでいて、他に陽舞伎(よぶき)一座の花嫁修行です」

「むしろ陽舞伎(よぶき)名門一座や歌劇名門一座の娘の方だと思っていたわ。知識や言動などからして上流層もありえると思ったけど遊楼なんかに閉じこもりだし腕があるから花柳界のお嬢様かと」

「そう思われるのでその嘘に乗りました。ご存知のように話に乗ることで嘘つき三昧です」

「まさか上流層の琴門お姫様(ひいさま)とは。下手すると二度と家の敷居を跨ぐなでしょうあんた。お婚約者から逃げたって話が本当?」


 お家全体の為に完全隠居。生娘を貫いた伝説の花魁。借金漬けの子供達に施しをしていた。さらに腕を磨いた。そういう大袈裟な話で当主総会は黙ったと聞いたけど実際はどうなんだか。

 事業拡大をさせてくれる輝き屋当主と次当主は私の味方なので排除されない予定。

 夕霧花魁は祖父の存在を無視し続けている。


「子持ちになった婚約者との婚約破棄は私のせいということにする。破門で母の実家で隠居と言われて腹を立てて家出です」

「ふーん。隠居先がゆるゆるだから嫌がらせも兼ねて遠くへ行方くらませ?」


 ユラに聞いていると思ったけど知らないのか。それとも知らないふりだろうか。


「はい。実際は違いました。事情があって解決したのでもう帰れます。しかし婚約したので婚約中にまず南地区と東地区で半年ずつ暮らす予定です。南地区で暮らす間は見張りがつくことになりました。こちらは見張りの祖父です」

「菊屋の夕霧花魁。お噂はかねがね。ウィオラの祖父のラルスと申します」

「こちらの方は虎屋の元従業員です。ラルスさん、そうですよね? イルドさんと名乗っていらっしゃいましたけど」


 顔見知りかお互い一方的に知っている!

 夕霧花魁は記憶力が優れている。祖父の偽名イルドは息子の名前プライルドからもじったのだろう。


「目立つことはしていないのによくご存知ですね。隠居の身なので元婚約者が気にするまで孫娘の近くで様子を見ていました。家に連れ帰れない状況でなんだか上手く暮らしていましたので」

「目立つことはしていないって私の客の枝になったことがありますよね。私は客関係は忘れません。客の枝の娘とは。彼女は嘘つき娘ですから何も信じません。鐘が鳴ったのでそろそろ失礼します」

「はい。夕霧さん。また今度。いえ、お名前はなんですか? 私はこの通りです」


 誰でもは信じないけど夕霧花魁のことは五年間ずっと見てきている。私は身分証明書をチラッと見せた。


「ふーん」


 嫌みたいで名前は教えてくれなかった。夕霧花魁はこの街生まれのこの店育ち。

 身請け話がきても借金が無くなっても出て行かないのは外の世界を知らないのもある気がしている。彼女は健康でいられればいずれ菊屋の遣り手になったりするかもしれない。


「南三区六番地の屯所でネビーさんの婚約者を訪ねたら私に辿り着きます。そこそこ忙しいので来て欲しいです。宿代は出せないからそちらの自腹か私の長屋部屋で川の字です」

「長屋? 長屋部屋って何よ。お隣さんって聞いたけど長屋?」

「はい。おじい様と二人暮らしになりました。私はご存知のように守銭奴でネビーさんは貧乏性で生まれ育ったところを離れていません」

「地区本部兵官とお姫様(ひいさま)が長屋。つくならマシな嘘をつきなさいよ」

「職場でも言われましたけど観光地で楽しいのに皆さんなぜそのように信じられない、という顔をされるのか不思議です」

「観光地?」

「夕霧さんはきっと絵でしか見たことがないから偏見があるのだと思います。長屋を見たことや暮らしたことのある方はいますか?」


 遊楽女(ゆうらくじょ)のうちひぃ子が小さく頷いて「ボロくて臭くて観光地なんてものではないです」と俯いた。


「ひぃ子さん。長屋も種類があるので観光地みたいな長屋もあります。美しい川にちび畑に花畑や林と綺麗です。ただ、蛙と蛇と虫なんかと戦うのは大変です」

「戦う、ねぇ。来たばかりの頃、けもじな虫が出たので恐ろしいから助けて下さいって言って自分でしなさいって大笑いされてたわねあんた」

「私が代わりに退治しようとしたら夕霧姉さんに止められました。懐かしいです」

「はい。箒とちりとりで戦って箱入りお嬢様を少々卒業した瞬間です。戦うように言ってくださりありがとうございます」

「観光地なんだか知らないけど今は興味ないわ。そっちが来なさい。八月の夏休みとやらで。あんたが来るまで私の(らく)達はざらめあんみつ禁止だから」


 それではさようなら、と夕霧花魁にお辞儀をして遊楽女(ゆうらくじょ)達の頭を撫でて手を振った。

 今日は涙は出ないと思ったけどジワジワ涙が溢れてきた。

 黙って会話を聞いていた夕霧ふぅ子とみぃ子の「まだ行かないで」や「ウィオラ姉さん」という声などが涙の後押し。


「今は興味ないらしいぞ。今は」


 ぽんぽん、と祖父は私の頭を撫でてくれた。


「夕霧さんはあの店育ちで遊楽女(ゆうらくじょ)達や遊楽女(ゆうらくじょ)達上がりを姉妹だと思っています」

「そうなのか」


 ウィオラ姉さん! と名前を呼ばれて振り返る。夕霧ひぃ子が駆け寄ってきて私に飴の瓶を差し出した。


「家に貰いに行くので返します。貝殻はお部屋に飾ります」

「そう? それなら待っていますね」

「夕霧姉さんが逃げたら殺されるからウィオラ姉さんみたいに縄付きにすると言いました。夕霧姉さんがお金がかかるからウィオラが稼いで買いなさいって」


 これは私だけ行くことはないから、という返事だ。


「見張り代だけ払うし婚約者の兵官に頼るとお伝え下さい。夕霧さんならそう言うでしょうけど私が特別稽古や指導をするとお店の方に伝えて下さい」


 借金登録者の遊楽女(ゆうらくじょ)が花街外へ出る手続きは複雑でお店はお金をかなり取る。それで水揚げで高値で売る予定なので見張りもつける。それにもお金が掛かる。

 でも兵官や卿家に頼れば手続きはなんとかなりそうだし、私の特別稽古や指導の価値が分かっている菊屋は代金を減らしそう。


「はい。私は逃げません。逃げても帰る家は無いです。もう前の生活は嫌でこの先することの方が良いです。お店が立派だし稼ぎ頭になる分嫌なお客は少ない予定なので」

「そう。逃げないなら街の外でも会えますね。もう先生ではないのでこれからは友人としてウィオラやウィオラさんと呼んで下さい」

「……。またいつか会いたいです。ウィオラさんの話は楽しいからまたお手紙で良いので教えて下さい。それに花街外での昔とは違う、普通みたいな生き方ももっと知りたいです。でももう沢山教わったから……。これで最後でも……。沢山ありがとうございました」


 彼女はあと二年で水揚げ。夕霧花魁の遊楽女(ゆうらくじょ)の中で一番お姉さん。

 ひぃ子は私に抱きついた後にあっという間に夕霧花魁の方へ戻っていった。四人に手を振られたので手を振り返す。


「おじい様。もしも焦がれても行けない場所を見せるのは残酷ですか? 私はそう思って躊躇(ためら)いました」

「相手の気持ちを勝手に決めつけるなど傲慢(ごうまん)だな。原動力になるかもしれないし、接客で役に立つかもしれないし、人それぞれだ」

「ええ。ありがとうございます。偽善なのも相手次第なのも分かっています。甘えました」

「偽善なんて言い方はやめなさい。そこも傲慢(ごうまん)だ。相手を下に見ている。単に友人と友人が可愛がる姉妹に会いたいから工夫ってだけだろう。身分格差の友情は大変だな」

「はい。偽善なんて性根が悪かったです。ネビーさんも言っていました。難しいことは考えずに友人って」


 また頭を撫でてくれて祖父は「昼間からこれだけ花官がいれば何もないだろうけど一応」と手を繋いでくれた。

 涙が溢れて止まらない。またあのお店に閉じこもりたくなる。

 家に帰れないと思っていて捨てられたような気持ちを抱いていた私にとって安らぎでもある場所だったから——……。

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