海2
宿から海へ続く通路を進んで外へ出て崖近くに建てられている宿だと発覚。崖の上にも建物が見えるのでそこは高い宿や金持ちの家かもしれないと感じた。
誰も居ないのでウィオラと手を繋いで階段を降りる。人が居ても繋ぐけど。
「海に沈む太陽を初めて見ました。綺麗……」
橙色に照らされて輝く海に見惚れるウィオラに見惚れる。それから海に視線を戻してこれもちはやぶるだなと心の中で呟く。
何度も見ているのにどうしてこんなに違う輝きなのか不思議でならない。
「菊屋から海に来た時は早めに帰る日帰りだったんですか?」
「はい。途中で宿泊です。夕方までいたことが無かったです。一区よりも治安が心配で」
「夕方には一区にいるようにしていたってことですか」
「必ず一区ではなかったです。日が沈む前にどこかの屯所近くの宿です。上地区は何ヶ所か泊まったことがあります」
「あっ。なんで南三区六番地だったんですか? 紹介されたって言うていたし女学校の空き問題もあるとはいえ。西側なので実家寄りではないです。南地区と言えば海でもっと海寄りとかいっそ海辺街などあるのに」
俺は今日、ウィオラに質問したかったことを色々聞くつもり。
「いくつか候補地がありまして国立女学校も視野に入れていました。でも知らない世界なので下街の方が良いなと。平家女性みたいに生きるつもりでしたので」
「そうなんですか」
これは俺の質問の答えになっていない。
「出張仕事で南三区六番地と五番地の境にある南三区立庭園で道芸をしたことがあります」
「ああ、あそこ。六番隊と五番隊の両方で管理なので仕事で行くことがあります」
「初日は六番地の下見と観光をして翌日は五番地と思っていました」
「いました、だから五番地には行ってないんですね」
「ええ。道芸のあとに六番地の国立女学校周辺を見て、考えたら国立女学校は一箇所ではないから五番地へ行っている場合ではないなと」
「その通りです。区立女学校もそうです」
「それで他の国立女学校も区立女学校も明日にしようと思って六番地を観光していました。六番地も広くて一日では中々見切れませんね」
「ええ。他の番地同様にうんと広いです。ちなみに観光は一人でですか?」
「いえ。女性花官さんを宿泊付きで雇いました」
「おお、そうなんですか」
身分証明書を抹消されていなかったから菊屋のの奉公人ではなくて大豪家ムーシクス家次女として業務提携みたいに契約したのだろう。
私兵派遣はムーシクス家総宗家の次女として手配出来る。そうなるとお金を積めば出来ることは多い。今よりもさらにバカな若い頃だと知識不足でこういう考察は出来なかった。
「佃煮屋を覗いて日々の食事に足そうかなとか、これは見たことがないみたいに楽しんでいたら愛くるしいぽたぽた模様の犬が来てくれました」
「ぽたぽた? ぽたぽた模様ってなんですか?」
なぜ南三区六番地なのか、という話から遠ざかっているし答えもないままだけどかわゆい笑顔で語っているからいいや。
「ぽたぽたはぽたぽたです。こう、ぽたっ、ぽたっと雫を落としたような模様です」
「ぽちぽち模様のことか。こう、丸が点々って」
「てんてん模様と言ったら菊屋でぽたぽた模様と教わったので南地区ではぽたぽた模様と呼ぶと思っていました」
「点々は言います。ぽちぽちはもう少し大きいです」
「そう言われました。大柄めだからてんてん模様ではなくてぽたぽた模様ですと」
「同じ南地区でも違う……。いやどこから売られてきたか分からないか。自ら来た者もいるでしょうけど」
「ああ、そうでした。南東農村区出身の方でした。嘘つきの街ですのでそれも嘘かもしれませんが」
「ぽたぽた犬が来てどうしたんですか?」
それは誰なのか、も気になるし犬が来てどうなったのかも知りたい。今日は時間が沢山あって嬉しい。おまけに人が居ないから彼女が言いたくない菊屋生活を聞ける。屯所では話題に出しづらい。バカが変な噂をたてたら困る。人が集まると煙のないところから火が出る。
「人懐こくてアニも懐かしくて撫でていたら飼い主がいらっしゃいました。道芸の依頼主でした」
「道芸は依頼されてしたんですか」
依頼主にひょんなところで会うなんてそんな偶然もあるのか。俺も翌日お隣さんなのでそっちの方が驚きか。
三区六番地はかなり広いけど一区二番地と三区六番地の距離に比べたらかなり近い。
「はい。ぽたぽた模様の犬に私がわたあめみたいな毛並みと言っていたのでわたあめについて聞かれました」
「俺が食べそびれたお菓子です」
「私ももうずっと食べてないです。一緒に食べましょう」
もちち、は食べた。ふわふわもちもちで羊羹が混ざっている美味しい食べ物。
もちちを食べるウィオラの満足げなニコニコ顔もすこぶる癒し。あれは相当もちち好きだ。はちみつあんみつの時くらい幸せそうな笑みだった。
階段を二人でゆっくり降りていたけど砂浜へ出た。またちびカニがいるかもしれないから岩場へ行こう。崖だけど崩れなそうで進んだ先の岩場は歩ける気配。
「もちちもまた食べましょう。俺には買えないからお願いします。お金は払います」
「はい。大好評でネビーさんも大変お気に召したからまた送って欲しいと頼みました。代金はお父様が私を甘やかしたいようなので甘えます」
「娘におねだりされるのは嬉しいでしょう。親父がそうです。おっ、ここにももちちがありました」
もちちみたいな頬をつついただけでウィオラは照れた。
ふざけてもちちは美味いですからね、と頬にキスしようとしたけどなんとなく頬をむにむに触ってしまった。
最近先輩達がウィオラをもちちと呼ぶ。ちび助のもちち、は良いけどお前はもちちを食ったか? 祝言まで食べられないか、みたいなのはやめて欲しい。
からかいや噂は捩れるから俺の婚約者はふくらんだ餅のようで俺は太った女好きだから一見冷え冷えだった、なんて話が回ってきた。婚約者はもちもち肌だからもちち、は良いとしてなんだそれは。
結局、南三区六番地を選んだ理由は何で今の話と関係あったか?
まあ、南地区六番地へ来たことがあるとか国立女学校や区立女学校の下見をしたことは分かった。
「それで奥様が屯所近くの宿へ泊まるならトト川観光をおすすめしますと教えてくれました」
話は終わっていなかった。
「道芸は奥様に依頼されたんですか。男性客に頼まれたのかと思いました」
「男性客なら断っています。お店へどうぞです。それでトト川観光をしたら少し東地区みたいだと思いました」
ようやく南地区六番地を選んだ理由らしきことが現れた。ここまでの会話が面白かったのでこれで良い。
「トト川を気に入ったから紹介された物件の中であの長屋にしたって長屋の下見前からトト川だったんですか」
「家の近くはご存知のように水路や川が多いです。それもあって川の近くは良いです。小さな小さな小さな大河のようなトト川の近くは良いなと思いました」
「小さな小さな小さな大河って大きくないです。単なる川だ。あはは。大河も見損ねているから一緒に見ないと」
「今の長屋を見学するまで河原で暮らす発想は無かったです」
また拗ね。一緒に見たいです、はないのか。ウィオラは口説いてもわりと暖簾に腕押し、糠に釘。雅を意識して龍歌をもじってすこぶる好きだと伝えたのに無言だったのもそう。
俺とウィオラには温度差があるので仕方ない。
拗ねるたびにぶちぶち愚痴愚痴言ったら実に面倒くさい男であるので胸に秘めているしかない。
情けないことを言ったからってウィオラの気持ちが変わることはない、言ったから返されるというそんな嘘やお世辞は聞きたくない。
それで教文学省南地区本庁で下調べ。家出した時は一年間貯金するのと女学校の先生になることを目標にしたけどあまりに箱入りお嬢様だったと痛感して家事や生活練習期間だと延長。
軽い男性恐怖症になっていると分かったので花街外の日常生活で支障がないくらいになろうとそれも女性兵官を雇って練習。
「そのように三年前くらい前からどこの学校とかどこで暮らそうと考え始めました。でも二年もいると楽ちゃん達が気になってきて」
「それで地蔵ですか」
「積極的に地蔵ではなくて消極的にです。採用試験日と楽ちゃんの水揚げ日が重なって泣いているから一緒にいたら採用面接の時間に間に合わなくなったとか、そういうことの積み重ねです」
彼女は悲しそうな表情で海を見つめて遠い目をした。裏切り者の薄情者と自分で口にしていたから見捨てた、という罪悪感があるのだろう。
「俺達は偶然の積み重ねで出会ったけどまた話が増えました。遡ると三年も前からか。その前は南地区を選んだ時。隣の部屋もラルスさんが確認した時は空いてなかったです」
「はい。色々と不思議なご縁です。ネビーさんの地区本部異動が早かったら新人歓迎会は菊屋ではなかったです。お隣さんになっても……。後から親しくなったのでしょうか」
こういうことはこれまでも何度かあった。ルーベル家と俺の関係、我が家との関係こそそうだ。
ジンだってひくらしの奉公人になっただけではルカや我が家と縁が結ばれることはなかった。
大旦那に気にかけられて真面目さを評価されて家族みたいな存在を作ってあげたいから職人見習いにしよう。それで父達の同僚になりルカと出会った。捨て奉公人のようだから、と大旦那はジンを心配して寄り添った。なのでジンは捨て奉公人でないとルカと出会っていない。俺に弟は出来なかった。
「どうでしょう。俺も何かが違っていたら今の仕事をしていないとか、地区本部へ異動後に一人暮らししていたかもしれないです」
「お嫁さんがもういた、ではなくてですか?」
顔を覗き込まれて笑いかけられて少し戸惑う。困り笑いなのがまた。
「お見合いを何度もしていた方ですから」
「ええ。全部破談にしました。ウィオラさん以外にお申し込みをしたことはないです」
普通の方法で恋人未満から脱出出来ないなら形だけ祝言作戦はあり、と思ったことがあるとは言いたくないのでつい髪を掻く。
あれを話すと自分の嫌でならないところや人が亡くなった話にテルルの病の危うさなどあれこれ語る形になるから言いたくない。ペラペラ喋る俺はここだけ話す、みたいなのは苦手。
嘘もわりと苦手だからそうなるとあまり喋らないで隠す、が選択肢になる。隠すというよりも多くを語らないの方だ。今の質問にも嘘は言っていない。
俺はウィオラ以外にお申し込みしたことはない。縁談は全て自分の意志で破談にした。これは紛れもない事実だ。
海を眺めながら何年か前のヴィトニルとの会話を事を思い出す。俺の名前、ネビーは親父側の祖父がネービで俺と入れ違いみたいに亡くなったから。
ねび勝る、という言葉があって成長に従って立派になる。 成長して美しくなる。 年よりも大人びる。そういう意味が込められている響きで漢字は最後まで根を上げるなで根尾。
なんかネズミの尻尾みたいと思うから俺はこの漢字は言わない。元々漢字は本名で、魔除けのために本名は言わないものだけど。
この話をヴィトニルにしたらネビー、ネビ、という響きは古い言葉で海軍と教わった。
別れの日に彼女に教わったけど彼女の名前は古い言葉で海だった。メイ……メニ……メア……なんだっけ。ずっと思い出さなかったから名前を忘れてる!
存在を隠すために偽名をつけられて、向こうもそうすると言われて俺は偽名なんて呼ばなくていいやと彼女の名前をほとんど呼んでいない。
俺は存在しているからイルで、芽が出るようにル揃い。そう思っていたら本名だった。
(おお。思い出せた。ル揃いだからメルさんだ。そうだ。ロイさんの幼馴染と同じ名前だ。ロイさんの初恋の人疑惑のメルさん。妬きもちリルには秘密の名前。それならまた忘れとこう)
ウィオラのような比較対象がいなかったので思い出さない日々だったし、そういう意味でも忘れたようだ。
ド忘れバカの俺はこういう連想で物事を思い出すようにしたり覚えるようにしている。
(イルは流石に忘れられない。初恋の皇子様って。突然現れて突撃してきたし。あのせいで俺は文通お申し込みに憧れはあるのに手紙を全拒否。蓋を開けたら縁結び不可能なんて二度と御免……ん?)
俺はウィオラをチラリと見た。似てるか?
少し似ているな。
たぬき美人とうさぎ美人はなんとなく似ている。気が強くなさそうな癒し系でもちもちすべすべそうな白い肌の俺に突撃してこない種類の女。
あと地味とかそんなに美人でないという失礼なことを言われそうなところも似ているかも。
ルルみたいな少々勝ち気そうな派手顔が多数派。気の強い女を屈服させたい、みたいな感情なのだろうか。見た目と違って奥ゆかしくて落差が良いの方かもしれない。
俺は俺でこの大人しそうなのに勝ち気になったり気が強かったり凛となる落差に燃える時がある。
(……それも似てる。大人しそうなのに待ち伏せして手紙でその次も勝手に会いにきた。そうやって突撃してきた。大人しくなさそうだと見た目通りだからそそられない。うざったい)
母やルカが普段は勝ち気なのに裏で弱々甘えたになるからそういう女性は家族みたいで嫌なのだろう。また新しい自分を発見。
(ああ。それでウィオラさんは俺がドツボに嵌る言葉を次々贈ってくれる。疲れているところに的はずれだったり俺としては嫌な言葉……。優しい気遣い屋なのにそれだから噛み合わない、気が合わない、面倒ってたまに思った……)
穏やかな海を眺めながら海軍と海で似た意味の名前だったのか、とか繋げなそうな縁を無理矢理結んでもの結局破断だったんだな、と少し感傷に浸る。
そりゃあ自分に素直な本能人間の俺は彼女に背を向けて逃げる。俺の一生の女は彼女ではなくて他にいる。いつか出会うと思った訳だ。
「ウィオラさんって漢字はなんですか? 婚約者だと教えてもよかですよね」
「名前の漢字ですか?」
「俺は根っこの根に尻尾の尾。最後まで根を上げない男になるように、だそうです。顔はリスなのにネズミみたい。それでねび勝るのねび。両親が考えたのは漢字だけで名前の意味は先祖です。俺は親父の父親とほぼ同じ名前なんです」
「ねび勝るからかなと思っていました。おじい様は少し異なったのですね」
「ええ。ネービです」
「私の名前はビオラという異国の弦楽器の名称です。古い時代はウィオラと呼んでいた楽器なので煌国よりも琴よりも伝統があります」
由緒正しき名家の娘がさらにそうなりますように、とかかな。娘の未来がありますように、子孫が続きますように、と。
「どこを弾けばもちちの音がなるのでしょう」
俺はウィオラの頬を指でつついた。ふざけてもちもち肌を触りたいだけ。照れてかわゆい。
「あの、その。ですので漢字はそのビオラになります。ビオラは花でもあるので漢字は二つです。魔を除けるに分散です。ビオラはその花びらの色から三色菫ですので三色菫。それから美しい音に羅針の羅です。羅は織物の種類で鳥網のことでもあります」
花の名前で美しい音で導く、美しい音を織って衣を作る、美しい音で捕まえる。そう言う漢字なのか。
ビオラは派手な花ではないくて素朴。しかし花びらの色が三色というとても不思議な花でもあるから花に詳しくない俺でも覚えている。ウィオラらしい漢字な気がする。
(海軍とは接点がない意味の名前。あっ。ウィオラさんは豊漁姫で俺は護衛に選ばれた。俺はウィオラさんの海軍。おお。海さんがウィオラさんを南地区へ呼んでくれた。おお。向こうはあるか?)
味噌旦那に会ったことかないけど彼は俺より前から彼女と縁があって横入りしそうだった俺を家、仕事、得、親に気に入られる性格など何もかもで蹴散らした。
(つまり逆はないのか。彼女が俺で得したこと。酷いことばかりして沢山傷つけたからな……。特に最後は酷い……。何かあるとよかなんだけどな。切れたけど途中まで縁があったってことはきっとある。良縁ってそういうものだ)
こうなると俺は自己嫌悪の海に飲まれる。だから彼女のことを忘れるのだろう。本能が忘れようとするのにこうしてふと蘇って自己嫌悪。
「根を上げるは根っこが持ち上がりませんように、という龍神王創世記に出てくる言葉からです」
「読みました。両親に教えたら基礎無しで覚えているのと印象が違うからありがとうって言われました」
「読んだのならご存知ですね。苦しさに耐えられずに声を立てて弱音を吐くことを音を上げると言います。根っこの根ではなくて音です。人とは弱くて音を上げないことは不可能。なので根に変化です」
「……。そうなると音に尻尾の尾でもあります。ネズミっぽさから遠ざかりました」
というよりもウィオラの名前に近寄った。お揃いの漢字になる。
「魔を除けるのに分散になりますね」
「……」
穏やかな風なのに嵐が襲ってきたような感覚がした。お揃いの漢字にしてくれて、最後まで根を上げないけど音は上げるもの。
ウィオラはまた俺をずぶずぶ沼へ引きずり込むのか。もちちの生地はふわふわなのにしっかり弾力があって羊羹の固いところもある。ウィオラはやはりもちちだ。
お菓子は好きだけど俺は食事の方が好きで甘いものはあってもなくても構わないけど、もちちはかなり食べたいと思ったのはこういうことか?
「ネビーさん?」
「ん? なんですか?」
「お疲れでしょうか。帰りますか?」
「……。疲れています。疲れました。仕事は誇りだけどさすがに……。激務じゃなくてたまに現れるしょうもない奴や噂があって。雑用媚びで出世とか、出張で逃げる坊ちゃんとか。養子って知らない奴もいます」
俺はこういう愚痴を言うことはあまりない。耐えられないから吐露ではなくてどういう言葉が出てくるか気になる。
「人は見たいように世界を見て考えたいように考えますからね。気にしてなさそうな様子なので理解者や評価者がいらっしゃるし嘘に惑わされない方もいるのですね。それなら安心です」
バレた。なぜそんなに気にしていないってバレた。なのに十人十色だから気にしなくて良いと思います、みたいな台詞もさらっと告げた。
「まあ。そんなです」
「やはりお疲れなのですね。お髭を剃るのも気怠いくらいなんて。今夜は沢山寝て下さい。帰りましょうか」
「今疲労回復中なのでまだ帰りたくないです。ウィオラさんは俺の最良縁だとよかだなぁと思っていました。良縁は色々あるけど一番って」
「……」
また返事なし。拗ね。
しかも帰りますか? って帰りたいのか? 戻るではなくて帰るだから宿ではなくて家に? 帰りましょうかって俺とこの美しい夕暮れの浜辺を散歩はあまりなのか?
深いところにはブスブス刺さるのに浅いところは的はずれというか、単に俺への気持ちが小さい。
とりあえず俺を見ろ、という気持ちを込めて「もちちさーん」とウィオラの頬をつついておいた。
あまり気持ちが無いではなくて照れて話せないだけでありますように。直接的でも雅でも拐かせないって何をしたら良いんだ。




