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お見合い結婚します「紫電一閃乙女物語」  作者: あやぺん
おまけ編

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祝言日の宿泊1

感想をいただいたので2、3話くらい投稿します。

書ければその後に異国旅行編も書きたいです。

 約1年前に泊まった佳夕(かせき)の間にこうして2人でまた宿泊出来て感激。そもそも神社で挙式から披露宴とずっと感動中。

 今日の婚礼準備の為に昨夜も泊まったけど昨夜は両親と同じ部屋で彼はここには宿泊していない。

 明日からの旅行用の荷物などは全てこの部屋に運んでもらってある。

 私とネビーは昨年と同じ場所に座った。女将がお祝いの言葉を告げてくれて2人とも照れ笑いした。

 

「フェリキタス神社は遠くないので旦那と一緒に仕事を抜け出してお二人を見させていただきました」

「それは気が付かなくてすみません」

「いえいえ。お二人やご家族とは宴席でご挨拶出来るけど挙式も見たくて。あとは福をつけて商売繁盛だとか従業員を連れてお店の宣伝です。約半年前の火消し6番隊の副隊長第三副官みたいに派手そうと思ったら案の定。楽しかったです」


 女将と軽く雑談をして部屋の説明はネビーが「覚えているので」と口にしたので省かれた。

 貸切風呂3箇所の使用時間や夕食や朝食時間を聞いて従業員がお茶を運んできてくれて女将と彼女が去って終了。

 宴席後なのでお菓子は要らないと話していたけど旅のお供にどうぞと金平糖の入った瓶を贈られた。夕食を軽めの代わりに旅行の昼食用に預けたお弁当箱に仕出し弁当を依頼してある。あと朝食は少し豪華にしてくれるそうだ。


「3日以内に金平糖を夫婦で食べるとずっと一緒にいられるって教わって贈るから買うなと言われていました。ロイさんとリルからなのか、かめ屋からなのか、両方からなのか」

「金平糖は縁起の良いお菓子ですし厄除けとも言うので喜ばれますけどそのような験担ぎがあるなんて知りませんでした」

「忘れる前に食べましょう。3日以内どころか3日連続だな。効果ありそう」

「はい」


 手招きされたので隣に移動。瓶の中には色とりどりの小さめの金平糖が入っている。

 蓋を開けるとネビーは桃色の金平糖を指でつまんで私の唇へ運んできた。恥ずかしいし照れるけどこのくらいはもう慣れた。


「確か噛みます」

「私はあまり飴を噛まないですけど噛むものなら噛みます。単に気になるから質問ですが噛む由来はありますか?」

「なんだっけ。忘れました」


 えいっと噛んで甘くて美味しいなと思っていたらしばらくキスされた。


「うん。甘いな」

「噛む話は嘘……」


 ですね、と口にしようとしたら口の中に金平糖をポイっと放り投げられた。


「ええ嘘です。縁起数字で3つな気がする」

「あの」


 今度の方が長いキスだった。無言で瓶を差し出されたけどこの意味は分かる。

 3つ目は私から彼の口に運んで、ということだろう。ネビーが好む色、黄色の金平糖を1つ指で摘んで手を添えながら運びつつ視線を泳がせる。

 ……食べてくれない!


「慣れてもなんだかんだいつも照れ照れかわゆいのでその調子でいて欲しいです。なぜ挙式は平気で鈴舞も威風堂々だったのか」

「て、手足が一緒に出たりしていたのになぜ今はそのようにすまし顔なのでしょうか」

「何度か考えたけど相手があたあたしていると冷静になる的な。多分それです。俺がおろおろしていたり緊張しているとウィオラさんは冷静。神社でも話したけど共倒れしませんね」

「ええ。3つと言いましたので食べて下さいませ」

「いや早く食べさせて下さい。ほら、あと少し」


 何か企んでいるお顔をしている。と思っていたけど唇にえいっと金平糖を押し付けたら普通に食べられて終わり。拍子抜け。期待外れと思った私は少々()ねた。


「それにしても飲まされました。酒撒き時も飲まされたのにネビー君はどんどん飲むと良いですってプライルドさんのあれは酔い潰れて寝ろって事です。目論見通り気味」


 横になって膝の上に横向きで頭を乗せてきたので髪を少し撫でる。

 相変わらず柔らかい猫っ毛。少しだけ伸ばして髪型で格好つけると言っていたけど先週鬱陶しいからもう切りたいと口にしていた。


「私はこの髪型がわりと好みです」

「えー。そう言われたら切れないです」

「短いのも好みです」

「えー。そう言われたら切らないと」

「もう少し伸ばしてから切ったら印象がパッと変化してドキドキしそうな気がします」

「もう暑くて鬱陶しいのにそう言われると。えー。夏まで伸ばしてバッサリ切ります」

「お髭は伸ばさないで欲しいです」

「残業続きで放置気味の時にお髭を剃る時間もないなんて、みたいなのはそれですか」

「忙しい時は仕方ないですが最近お髭が流行りなのか周りに増えたので伝えないとと思っていました」


 ネビーは横向きから仰向けになった。


「それで()ねた奥様はいつ俺を襲うんですか? 3回目がまだですけど」

「えっ? ……お、奥様。はい奥様です」

「ウィオラさん」

「はい」

「おお。照れ笑いとその笑みと2度美味しい」


 目を細めた優しい笑顔で頬を撫でられた。少し頭を引き寄せられたし彼が目を閉じたのでどうして欲しいのか分かる。私もそうしたい。

 勇気! と思ったのにネビーが体を起こして少々好き放題された。恥ずかしいのもあるけど私は彼からだと少々強引めが好み。彼も多分私を転がしたり自分が強気な方が好み。たまにそういう事を言っている。

 なのに過去を知っているから私に恐怖心が湧かないように気を遣ってくれてきた。そういう1年だった。

 組み敷かれたり壁に押し付けられるとか、かなり強引になにかされるのは無しでいつも丁寧で優しい。

 そこから徐々に私の様子を見て少しだけ強気に変化したから平気というかときめくのだと思う。


「焦らすから。いつもいつも」


 ……⁈

 抱き上げられた!


「焦ら、焦らしたことなどありません」

「そもそも昨年ここで何度も焦らされました。まあそれを楽しんでいたんですけどね。あれはかわゆかった。木です。御簾(みす)です。して下さいって」


 運ばれる!


「少ししたら……。か、貸切お風呂の時間です。また滝見のお風呂で足湯ですよ。約束した」

「いやあ。ウィオラさん。足湯な訳ないじゃないですか」

「……えっ?」


 これはかなりの悪戯(いたずら)顔!

 御帳台(みちょうだい)の中へ運ばれて2つ並んでいる布団をチラッと見て私はブンブンと首を横に振った。

 まだ日が落ちる前なので明るい。そこにさらに光苔(ひかりこけ)が多めの灯籠(とうろう)まである。


「あか、明る過ぎます! まだ昼間です」

「昼でも夜でも関係ない事ですし酒を飲まされ過ぎたので」


 これは逃げよう。布団に降ろされた時が逃げる時。と思ったのに逃げられないように組み敷かれてあっという間に帯を前に移動させられて片手を軽く抑えられた。

 すごく楽しそうなお顔をしている。瞳がジリジリ夏の太陽みたいで色っぽい表情だからドキドキする。私はこのお顔に弱い。

 でも無理!


「よ、夜に、夜にお願いします。その時はそちらの灯りに覆いもお願いします。あとお風呂が先です」

「見られ慣れてからお風呂の方がよかかと思って。どちらがよかですか? ぶっつけ本番で見られるかここで少し練習してから」

「せ、折衷案を考えます。お、お待ちください」

「折衷案? うん。待ちます」


 本当に楽しそうなお顔。ネビーは私の様子が怪しいとこうやって何をするけど良いかとかこれとこれならどちらが良いかと尋ねてくれる。

 私のこの慌てたり照れたりする事自体が楽しいのは知っている。


「お、お風呂は3回機会があります。もうすぐと夜と明日の朝です。夜に湯文字(ゆもじ)をこう、上の方から着て入ります。先に大浴場に行きます。なので入るだけです。そちらもなるべく隠して下さい」

「分かりました。それなら滝見風呂はまた足湯ですね。またって約束しましたから」

「はい。そうしたいです」

「明るいところで見られる練習はどうしますか?」


 軽く握られていた手首から手が離れて反対側の手は顔の横にあったけどそれも移動して両手で頬を包まれた。

 目の前に私の好みの表情で寸止めだからさらに弱い。思わず目を閉じてほんの少し顎を上げてみたけど予想通り何もされない。

 耳元で「質問に答えるのが先」と低い声で囁かれた。思わず身を捩る。


「あか、明るいところではこれまでくらいでないと……」

「それは譲歩ではないですね。俺としては丁度良いものがあると思うんですけど。ここで一先ず隅々まで見られるのと服を着て見られる。どちらか2択」


 ……服?

 瞳を開いたら唇を親指でなぞられた。


「2択は譲歩ではないです。服とはなんですか? ああ。今です。着ています。今までのことなら……。あか、明るいです!」

「あの家宝の衣装。着てくれないかと思って。見たいです」

「……それが目的でした?」

「ええ。この明るさで見られるのは無理だと言うだろうしお風呂も同じく。なのにまさかお風呂を獲得出来るとは。しかも見られるのもまぁ頑張るみたいな顔をしましたね」

「……」


 つまり私は口を滑らしたという事だ。


「隅々はまあ元から無理だと思っていたけどそれなりなら良さそうなので俺好みに脱がされるのとお祝いの日に晴れ着。どちらを選びますか?」

「こ、この好みとはどちらで見たのですか⁈」


 私は知っている。彼は別に私以外の女性の体に興味が無い訳ではない。世の中の男性達と同じ。

 口を滑らせなくなったけど出会った頃に女性には慎んで欲しいけど見えるのはそれはそれで眼福みたいに言っていた。見た中か見せられた中に「俺好み」があったのだろう。なんだか()ね。他の女性を見たとか見ているとか嫌。私はヤキモチ妬き。

 

「この日のために何をしようかご本人で妄想です。ウィオラさんもたまにしていますよね。急にへにゃへにゃ笑っているあのかわゆい時は何かを考えてる」

 

 唇も耳も首も触らないで欲しい。うんと焦ったい。つまり彼が焦らされたとふざけて言う時はふざけたように笑ってくれるけどこのように切ない気持ち。なので文句は言えない。

 代わりに「えいっ」と心の中で叫んで首に腕を回した。その前に逃げられた。上半身を上げた彼は帯に両手を掛けた。これをされたことは無い!


「それ、それは単に雅に花を贈られて思い出し笑いとかそういうのです」

「ふーん」


 信じていませんというような楽しげなお顔を浮かべられてしまった。

 素敵にキスされたとか素敵な抱きしめられ方をしたみたいにニヤニヤ思い出している事がある。

 思い出しではなくて少々妄想の時もある。目撃されているんだな。

 本当に帯を解かれる!

 させません! と両手を彼の手に添えた。


「晴れ着を選択ですね」

「き、着て、着ていませんけどあれは……そもそもあるのですか? 実家からは飾り布だけ持ってきました」

「こっそり頼みました」


 これ、多分本命は家宝の衣装の方だ。照れ笑いになって耳もほんのり赤いからそう。愛くるしいお顔。お祝い日に晴れ着を頼みたいなんて素敵な発想。

 さっき甘い甘いキスをされた後にそのまま「実はこっそり頼んで持ってきてあるから来て欲しい」と頼まれたかったな。


「脅さないで素直に頼んで下さい」

「脅しのつもりはなかったけどそれならすみません。頼んだら嫌だと言いました。俺はウィオラさんに嫌と言われるとすこぶる落ち込むから同じ事は言いません。言えません」


 今度はネビーが()ね顔。これは私が悪い気がしてきた。

 ネビーがわりと大規模な殴り込みに参加出来るタイミングで祖父と私の3人で私の実家へ行った際に純白衣装を発見。

 その時に「きっと綺麗だから一度着てみて欲しいです」と頼まれて「無理です! あられもなさそうで嫌です!」と咄嗟に何も配慮のない拒絶の台詞を投げつけた。

 無理と嫌は自分も言われたら悲しかったり落ち込みそうなので言葉を選ぶようにしていたけどあの時はつい。そうですよね、と優しく笑ってくれていたけどこれはかなり傷つけていたんだな。


「脅すなと軽く睨まれたので勇気を出してもう一回普通に頼めば良かったなと反省しときます。脅しか。そういうつもりは無かったけどすみません」


 困り()ね顔でネビーは立ち上がった私に背を向けてそのまま御帳台(みちょうだい)から出て行った。

 のらくら回答をしない上に「脅すな」と怒ったから()ねられてしまった。

 いや多分ずっと怒って()ねていたんだな。情けないとか我慢しようとか仕方ないと飲み込んで気にしないふりをしていたのだろう。

 私達はちょこちょここのような感じ。大体私が悪い。嫌な態度を取ったのは私なのに彼の方が悪いのは自分だ、というように先に謝ってくれる。気遣いに甘えてなあなあにするとこうして後で(こじ)れる。立ち上がって帯の向きを直してネビー探し。

 扉を開く音がしたので中庭だろうと思って外へ出て探したら池のところにしゃがんでいた。隣に並んでしゃがんで寄り添う。


「あの。あのような脅され方ならされたいです。脅しだと言葉が悪かったので……頼まれたいです。脅しという単語は必要無かったです。すみません」

「つい口から出た言葉は本心ですよ。ウィオラさんが謝ることではないです。読み間違えたとか、ふざけすぎたとか、俺の方です」


 彼は微笑みながら近寄ってきた彩り鯉に触れた。去年は逃げられたのに、逃げそうなのに彩り鯉はなぜかネビーの手に撫でられている。

 ここ1年でネビーは徐々に生き物に好まれていっている。合間机で将棋をしていたら猫が膝に乗ったり森を散歩したら鹿や兎やリスなどが近寄ってきたり、夏の海で「俺は泳ぎます!」とはしゃいだらイルカが何匹か登場とか。


「酔い覚ましに風呂に入ってきます。滝見風呂はもらいます。まあ早く出ると思うからその後にゆっくりどうぞ」


 これは面倒くさいネビーになってしまった。かなり()ねている。それからへしょげている。

 過去の事よりも「脅し」と口から飛び出た言葉が私が思っている以上に彼の心を刺した。

 酔っててもふざけていても気を遣っただろうから気遣い大失敗と思ってそう。それで「そこまで言わなくても」とも思っている。

 基本的にあけすけないのに大事な事はそうやって飲み込んだり我慢。

 お風呂に入って自分の気持ちを飲み込んで思考を切り替えるのだろう。それでまた私に笑って「すみません」と言ってくれる。

 そこに甘えるとまた別の時に別の形で問題になるからここでなんとかしないと。私は何度同じことを繰り返すのか。それからネビーもそう。

 部屋に戻ったら浴衣の用意をしてお風呂に必要な荷物を持ってもう部屋を出て行く、というところだった。前に立ちはだかって止める。


「約束したから一緒に行きたいです。あの、それで自己解決しないでもう少し私に文句かなにか言って欲しいです」

「文句って特にないです。俺が俺の気持ちと折り合いをつけないで誰がそうするんですか」

「約束を破りたい程なら何かあるはずです」

「それは俺の問題です」


 ()ね顔継続。私を見ないで斜め下の畳を見つめて小さなため息。


「前にも言いましたけど2人の問題です。何もないお顔をしていません」

「ずっと真っ直ぐ一筋だと示してきたのに疑われたのは気分が悪いです。でも貴女が悪い訳ではないので。だから他の事も含めて頭を冷やしてきます」


 私の推測した機嫌を損ねた理由とは違う理由だと判明。脅しの方は謝る必要はないだから気にしていないということだ。そうだった。

 気にしてないとか謝る必要がないと言われたらその通り。

 追いかけて話しかけて良かった。まあこの1年間で学んだことだ。私の謝罪は大体的外れ。


「その私が悪い訳ではないから言わないというのは直して欲しいです。誤解の理由を間違えるので。疑ったのではなくていつもの妬きもちです。言い寄られてなにかされたのかなとか。ネビーさんにその気がなくても相手が集まること自体にモヤモヤするからです」

「ああ。そっち。それは俺も同じです。疑ったのではなくて……そうですか。知っての通り常識的なお申し込みをされてもイライラ。横取りや奪い合いは当たり前のことだから常識的なら仕方ないけど腹が立つ。そっちですか」


 ネビーは顔を上げて私を見て困り笑いをしてくれた。拗ねた理由の答えが分かって誤解なので話をすれば喧嘩はすぐ終わる。

 これは喧嘩とは呼ばないような気もするけど私達の喧嘩はいつもこんな感じ。話し合うというか伝え合えば終わる。

 私が勝手にヘソを曲げた、みたいに今と逆の場合もある。やはりそれも長引かない。


「お祝いの日に晴れ着を見たいとは嬉しいです。すとてときなので普通にというかきとすの後に頼まれたかったです」

「え?」

「それで先程の頼まれ事はまた別に。その、あの、2択ではなくてそれはそれ、これはこれで。読み間違えていません。あと、あま、甘えようとしたら避けられて焦らされて私も拗ねました」


 今までのところこうして素直に気持ちを真っ直ぐ伝えたら大体素敵祭りが始まる。

 うんと優しいから気を遣われて遠慮されているので私が踏み込まないと半歩離れた距離になってしまう。

 恥ずかしいからとのらくらしないで「悩み中です」みたいに言えば良かった。また失敗。彼も遠慮し過ぎて失敗。まあ私達はこうやして前へ進んできた。

 これは恥ずかしい。前で重ねていた手が自然ともじもじ動いて右足は畳をスリスリ。たまに思う。ここまで言わせないで欲しい。でも仕方がない。

 彼は気遣い屋で優しくて私も面倒くさい女性。他人だから頭の中の気持ちを読み取ることは出来ないから伝え合うしかない。


「あはは。ウィオラさんはいつまでキスって言えないんですか。素敵もなぜわざわざそのように。外はともかく2人きりの時にさえ。いやずっとその方がかわゆいからよかですけど。本当かわゆい。あはは」


 なんだかネビーの笑いのツボに入ったみたい。これもいつもよく分からない。拗ねから一転楽しそうなので嬉しいけど謎。


「そのうち言えます。ちなみにご存知でしょうか」


 これも言っておこう。伝わっている気がしていたけど予想外れに違いない。私の予測が当たることは少ない。

 その事を知っているのに話していないことに今気がついた。そもそもこれを話していたら今とは違っていただろう。


「ん? なんですか?」

「とても優しいから安心していて1人だけ特別なので……」

「……え?」

「わりと……」

「わりと?」

「勝手に強気にそちらのお好きなようにされるとか強引気味なのは好みです……。他の方だと絶対嫌ですけど」


 はずかし!

 久しぶりに両手で顔隠し。ドサっと音がしたので手を下ろして見たら彼が片手片腕で持っていたカゴと浴衣と帯が畳の上に落ちていた。

 あっと思ったら抱きしめられていきなりキス。かなりキス。優しい優しい気遣いも良いけどこれは素敵。

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[良い点] いちゃいちゃカップル。 …是非進んでください。
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