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物の値段を調べるために長屋から遠くない下街をぷらぷらした後帰宅。ネビーは途中私を小物屋に残して「少し大事な用事があります」と別行動。昨日、ルーベル家からの帰宅時も少しあった。
帰宅後、ネビーは道着に着替えて稽古道具を持ってまたデオン剣術道場へ向かった。
自分の稽古だけなら道場でお着替えからが稽古だけど今日は指導から始まるからだそうだ。
長屋男性風、卿家男性風、地区本部兵官の制服、道着姿。これで全部なのかな? と思ってエルに聞いたら「後は本人や娘達の結納日や祝言日に紋付袴姿ですかね。最初はルルだと思っていたけど本人かな」と言われた。照れる話になってしまった。
ジオは夕食後にジンが迎えに行くそうだ。お風呂の焚き方の練習やレイスとユリアとお勉強や2人やあの辺りの子達と遊ぶ日にしたらしい。
来年からルーベル家の町内会の子達が通う小等校へ通うのでその前から友人作りでもあるそうだ。
私は洗濯物やお布団を片付けて部屋の掃除もしてエルに言われた夕食の献立を考えながら琴と三味線の基礎練習。
(これを必ず作るのではなくて何種類か考える。家にあるもので腐りそうな物から使う。貧乏過ぎて何でも絶対に食べるけどネビーさんの苦手なものは濃い味付けとあまりにも辛い物……。私と似てる。探らなくてもご家族があれこれ教えてくれるから助かる)
食べることを好んでいるので食の好みが合わなくて歩み寄れないと生活していくのは難しいと思う。あとは食べる事自体が苦痛な人はもはや無理。今のところ問題なし。
コンコンと扉を叩く音がして「ウィオラさんルルです! 遊びに来ました!」という呼び掛け。
「そこで聴き惚れていましたけどそろそろ夕食の買い出しに行くかなと思ったのでお邪魔しました」
「あと少しで買い物に行く時間くらいの基礎練習量だったので少しお待ち下さい。どうぞ」
ルルを部屋の中へ上げると彼女は私の近くではなくて机の前に座った。私に背中を向けて。配慮だと思ったのでお稽古継続。終わって片付けをしてから彼女に声を掛けた。
「昨夜は泣き酒したみたいですみません。全然覚えてないですけどルカ姉ちゃんが発見したと。桜の枝に白藤が増えていますね」
ルルは私に席を譲りながら照れ臭そうに笑った。
「いえ。神経が図太いので泣いていらっしゃるのに寝ました」
「らしいですね。酔って泣く私に絡まれているのに寝てたってルカ姉ちゃんが笑っていました。良かった良かった。それでこの白藤は? 小皿に乗せていくつか草も飾ってちんまり生花ですね。清楚というかお上品で私の飾り方とは違います。こういう手本を覚えて真似しても変になるんですよね」
「音楽もこのような芸術にも正解はないので似た感性で良いですね、と言い合えれば良いだけです。こういうものは心に響かなければ無視が礼儀です。仕事で批評する以外の批評は単なる好みですから言い方などにその人の本質が現れる、とは祖父の言葉です」
「へえ。そうか。別に直さなくてもこれがええなって言うてくれる方を探せばええんですね。そうか」
「最低限の礼儀とかほぼ万人がそれは苦手、とならない限りはそうです。道が険しく運も必要でしょうけど破天荒を貫けば新流派にもなります」
今日容姿の事でネビーに似たようなことを言われたな。あれは嬉しかったというか怒涛のかわゆい攻めが素敵でならない。
無自覚の時はしれっと何も考えずに言いました。誰にでも言います。みたいな感じだったのに今はコソコソ照れ臭そうに言うのがまた。
「卿家の町内会で新たな世界と思っていたけどさらなる世界が開けた気がします」
「今の私も同じです。ルルさんはここまでお1人で来られたのですか?」
「もちろんです。地元ですし人が多い時間は安心。コツは道の真ん中を歩くのと周りを見ておくのと顔見知りの兵官確認です。得だけど面倒な容姿に生まれました。氷蔵に置いておいた刺身を持ってきたので一緒に食べましょう」
お刺身があるなら主食はお刺身。魚は買わない。つまり魚屋は行かな……お弁当は?
「献立を考えましたけどどう思いますか?」
説明したら良いと思うと言われたけど「お弁当は昆布の佃煮とレイが作ったアサリの佃煮が主食で良いと思います」という返事。なので魚屋はやはり行かないことにする。
軽く支度をしてカゴなどを持って、割烹着の方がお嬢様感が減ると言われたのでそうしてからルルと部屋の外へ出たら合間椅子に人が沢山座っていた。年齢層は幅広いけど男性ばかり。立っている人もいる。何?
「目を合わせてはいけません」
「いゃああの、ルルさん。こちらの桜の枝を……」
「ありがとうございます。お申し込みは父か2人の兄か親戚の家へが常識です」
ああ、ルル目当て。ルルは今日も辛辣みたい。長屋へ来た事を知られている? 皆さんのお仕事は?
ふと見たらガントがいた。
「ほら、言っただろう。長屋にお嬢さんというかあの姿はお嬢様でさらにお嫁様。仕事を早く終わらせて良かったでしょう? 親方」
「うむ。眼福だ。ネビー君のために家を建てるのは誉れだけど相手によっては気に食わねぇと思っていた。でもお嬢様なら金食い女ではないしあの立ち振る舞いは俺には本物だと分かる。俺は金持ちの家も建ててきた」
「確かに嫁とか嫁さんとかかかあではなくてお嫁様と呼びたい」
「で、次はいつ屋根の上で芸妓になってくれるんだ? 聞いたか? なんなら俺達が安全な舞台をあの屋根の上に作るぞ」
「ネビー君の家に外から見える舞台を作りたいな」
「かわええなぁ。嫁さんに割烹着を渡してみようかな。着てくれるかな」
「俺のところは暑い! とか言いそう。見せてくれるのはええけど隠してこう覗くというかひん剥きたくなる時あるよな?」
何か聞こえてきたけどルルに「参考になるから聞いてええけど見ない。目が合ったら集まってくる」と言われながら背中に手を回されて押されるように歩いた。そのまま歩き続けて土手の上。
「しばらく見せ者でしょうね。勉強になるし女学校勤務が始まるまでこっちにいようかな」
「励みます、と言いたいですけどあのようなのは」
「お母さんが大人しく座って見学なら仕方ないって言いました。お世話になっている方々とか親しい人が悪さをしていなくて見るだけは許すしかないです。不審者は追い払いとして」
デオンのお屋敷預かりも少し検討しよう。どうなるか様子見。
「ルルさん、文通お申し込みは直接でもあの方法なら非常識ではないかと思いましたけど卿家では違いますか?」
「猿真似が気に入らないってだけです。私に合わせて花を変えるとか桜の形に切った紙とか素敵なのに。兄ちゃんは桜吹雪とか桜柄の着物を見たとか理由があったそうですしそういう感じで。北極星も浸透してきたから他の流行りとか。薔薇は本数で意味が違くて想いを込めたりするって聞いたので誰かしてくれないかなぁ」
八百屋へ向かいながらルルとお喋り。薔薇の話は年越し前に聞いたことがあるけど内容を知らない。何本ならどういう意味なのか不明。
「私の初恋はロイさんなんですよ。お母さんに私もリル姉ちゃんと同じようにロイさんのお嫁さんになる! って言うたら結婚している男を奪うのは畜生だから山に捨てる。諦めなさいって。意味が分からなくて3日騒いで泣いてお母さんとルカ姉ちゃんに色々言われてそうなのかってなってケロッと忘れました」
「そうなのですか」
「次はオーウェンさんっていうロイさんのご近所さんです。既婚者でした。中流層くらいからは結婚指輪というものがあることを覚えました。次はベイリーさんというロイさんの親友。祝言間近でした。次はナヨナヨ系だけどな、と思いながらかなり雅で素敵とヨハネさん。結納したばかりでした」
どんどん出てきた相手は恋に落ちたと思ったら失恋でわりとケロッと忘れたけど思い出すと悲しいには悲しいらしい。特に少し長かったベイリー。祝言まで長年婚約中だと知らなかったそうだ。
「ロイさんの友人のジミーさんまで続いてどうやら良いところの家の男は基本的に素敵だと気が付きました。兄ちゃんが長屋男かつ卿家の男みたいになっていくのでこっちの方が良いと思うようになりました。我が家が成り上がっていくのは結婚は家と家との結びつきって言葉通りだなと知りました。そうなるとこの人は両家にどういう得があるのかみたいな。頭でっかちになりどんどん理想も高くなっています」
ルルはさらに「私は最近見合い破壊魔人と呼ばれ始めています」と苦笑い。それなりに選べる立場で中流層と下街の間だとそれはそれで大変みたい。
自分の容姿や家族や親戚だと25歳くらいになっても後妻以外の優良物件がいるらしいからそれでまた妥協出来ないそうだ。
仕事より家庭が良い。今は手習や勉強が楽しいから続けさせてもらえるなら続けたい。
ガイが職場の雑用をコネで用意してくれてその内容もそこそこ楽しく、正確には娘ではないけど「娘は別嬪だろう」と自慢げだし雑用女性は職員の良縁相手としてあと数年は許される。
見た目が良いからお店の売り子、特にひくらしで働けるし実家周辺で女学校に行けない子を狙った私立寺子屋なども頭の片隅にあるという。
「昨日会ったクララさんは条件が悪くてもこの人と決めたり、兄ちゃんも家出娘で色々不透明でもこの人がええなので私に足りないのはそういう直感? 本能? みたいな。そういえば恋穴落ちはしばらくないなぁと。なのでついつい色々な方に会ってしまいます。論外は別として」
「それで雅な大工や雅な兵官にいっそ華族ですか」
「兄ちゃんがペラペラ喋ったんですね。私達と同じだから仕方ないか。兄ちゃんが目指している中官は兵官系の家だと腕はイマイチ系の人が目指すとか、卿家だと人気物件過ぎて中途半端娘では手が届かない。最近やっぱりなんだかんだ下街風が強い方が好みのような気がしてきました。私のせいだけどかなり兄ちゃんのせい」
ルルは膨れっ面になった。娘は父親みたいな人に惹かれるか真逆を求めるなんて言うけどルルの場合は父親が2人みたいなもの。
2人の良いところがあって欠点は無い方が良いとなると理性先行では中々難しいだろう。嵐のような恋愛中で理性が消滅しかけている私ならではの感想。
「まあ、ネビーさんは珍しい方だと思います。色々な女性に好まれるのも……」
八百屋の手前で若めの女性集団に遭遇。明らかに私達目当てという感じ。レイくらいから30歳くらいに見える女性が1、2……7人。
「ちよっと面貸しなさいよ抜け駆け泥棒女」
「こちらでどうぞ。抜け駆けしていません。泥棒でもありません。文通お申し込みをされましたし他の方とは一度も縁結びをしていないと言われています。誤解があればご説明します。泥棒の方はネビーさんとそちらから説明されたいです」
ジエム贔屓の同じ女学校の生徒とか何やらに輝き屋から帰宅時に遭遇と似ている。なので特に怖くない。
「えっ? ああ。うん。何が目的なのか吐かせてもらうから。そんな格好をしても無駄。あの長屋にお嬢さんなんておかしいし女学校の先生なんて大嘘に決まってる」
「そうそう。聞いたんだから。女学校の先生なら卒業生で良いところの家のお嬢さんで最初は給料も安いから1人暮らしな訳がないって!」
「あの芸は放心するくらい凄かったけどお嬢さんがあんなこと出来る訳がないのよ!」
「でもさ、私達みたいなのにも出来ないよね」
「そうそう。琴や三味線なんて弾いたことないし弾ける女もあんなじゃない」
なにやらヒソヒソ始まった。
「長屋にお嬢さんがいるわけないって兄ちゃんが頭を下げて来てもらったからいるんだよ。その話を聞いてないの? 家出して住み込み仕事の芸妓より教える方が良いからずっと採用試験を受けてて、そこに兄ちゃんが現れて押しまくって近所の女学校に頼んだから隣に来て半結納、できれば結納して下さいって土下座の勢い」
「ネビーって女学校にも頼みごと……出来そう。女学生って兵官達のお世話になってるよね」
出来ないと思う。ルルの騙しだ。ネビーくらいになると有り得なくはないかもしれない。ガイやロイ経由で役所に繋がれれば。目の前の女性が口にした兵官だからでは無理。
「でも卒業生しかなれないって聞いたわよ!」
「区立より格上の女学校を卒業してたら関係ないよ。一応公務員だけど私みたいに女学校に通っていない人は採用可能性ほぼ零の世界だけどウィオラさんは親がそこそこ無理して格上の女学校だって。ロカみたいにさ。ロカは私と違って望んで励めば女学校の先生を目指せるんだよ」
へえ、そうなんだみたいな話に変化していった。喧嘩になるのかと思ったらならなそう。
「土下座の勢いってそんなになんだ。なんで? なんでネビー相手でそうなるの⁈ ネビーが頼むなんて!」
「気が変わって実家に帰るかもしれないし、兵官は危険で乱暴もする仕事だから嫌な人は嫌だし、1区で暮らしていたから友人達の近くで先生になりたいとか色々あるんじゃん? 聞いてないけど。昨日の舞台を観たり本人の雰囲気で分かるでしょう? ウィオラさんだと兄ちゃんくらいの男性達が基準なんだよ。そりゃあ兄ちゃんも必死になるでしょう」
ぶんぶんと首を横に振ろうとして、長屋前のあの「お嬢様を見に来た」みたいな雰囲気を思い出して停止。
花街を出て下街世界へ飛び込んだ私にはわりとお申し込みがあったかもしれないのはおバカな私でももう分かる。
ふと思う。ジエムの婚約者としてわりと知られていた私にわざわざ文通お申し込みをする人っている? と。婚約理由が事業提携、拡大なのも知られていたし。私は私が思っているより女性としての価値は低くない?
また新しい考えが生まれた。
「ルルがそこまで言うなら悪女ではなさそうなんだ」
「さあ? 兄ちゃんは貧乏性でケチだからお金をむしり取ろうにも無理。だから本人任せ。犯罪をしなければ性格悪でも家族と気が合わなくてもなんでもええよ。兄ちゃんがええって言うんだから。兄ちゃんはバカだけど仕事で色々な人を見ているから単なるお人好しではないし。私は今日もわざわざ会いに来るくらいは好き。明日のことは知らない」
「だってさ。ほら言ったじゃん。ルカが味方している時点でそうだけどルルまでこうだから諦めな。横取り挑戦は構わないけど悪どい手を使ったら絶対に嫌われるよ。姉ちゃんも味方しない。だってネビーには幸せになって欲しい」
「大体高望みだって言うても絶対に絶対に諦めたくないのは仕方ない。それならお嬢さん風を目指せばええのにしないから。姉ちゃん達に聞いて欲しいとかそういう根性がそもそもダメだったんだって。前から言うてるのに」
喧嘩を売られに来たのとは少し違う様子。若めの女性2人がメソメソ泣き出してしまった。
「私だってお嬢さんに生まれていたら違ったんだから! お金のある家なら……」
「リルがいるじゃん。ど貧乏から玉の輿。町屋に引っ越した我が家の方が好機があったかもしれないのにあの時のリルだよリル」
「そうそう。私らあれで少し気をつけるようになったよね。トト川沿いの土手を歩く道着姿の男達に華族も通ってたなんてさ」
「じゃあねルル。私はもう結婚してるけど逃げられたくないし娘に玉の輿とか女学校とか色々思うからまた教えて」
「抜け駆け泥棒女って聞いたら今の話をしとく。私らみたいに昔々に初恋破れとかじゃないと大変だよね」
「握り飯屋の安売り始まるから行こう!」
「うん、またね!」
解散らしい。全員商店街の路地へ入っていった。わりと拍子抜け。
「ウィオラさん、涼しい顔でしたね」
「私は嫌いでも元婚約者は美男子だったので色々と。私は怒られる程冷めていくので相手の神経を逆撫でする性格です」
「照れ屋と恥ずかしがり屋と度胸や根性は別なのが不思議です。でも怒られる程冷めるだから褒められるとのぼせますか? 緊張し過ぎると冷めていくとか」
「女性としての照れや羞恥心は慣れていないからで舞台関係は慣れているからかと。男性慣れした私はどうなるのか不明です」
「蛙? きゃあ怖い。ルルさんお願い。ではなくて私もしますというお嬢さんは2人目なので私はそこがとても好きです。明日のことは誰にも分かりませんからね。では八百屋へどうぞ。手助けするなと言われているのでここら辺にいます」
2人目なら1人目がいると思って聞いたらロイの親友、ルルが昔あっさり失恋したベイリーの妻エリーらしい。
かつて長屋へ来てルル達と遊んでくれて蛇投げをして大はしゃぎ。ルルはそういう姉が欲しかったのに妹だったと私に呆れ顔をした後にニコッと笑ってくれた。
酔って泣いて喋った内容は覚えてないと言っていた。同じ台詞なので本心かな。
八百屋での交渉は下手というか平均。長居すると邪魔者として覚えられるし夕食の支度時間もあるので可能な範囲で粘ってみたけど前の方と同じで終了。
エルがルルがいるなら任せると彼女は何やら勉強らしきことを始めて、私はルルと夕食を作り。
1日中火種を消さないようにして新しく火力を増やすコツを聞いたり、私の献立が不思議らしくて東地区料理らしいと判明とか色々。
夕食を皆で食べて褒められたりこの味は馴染みがないから毎日だとどうだろうとか、私流とエル流を両方覚えたら楽しみが増えるみたいなお喋りをしつつ噛む時は沈黙。今朝と同じで賑やかだけど落ち着く食事。
朝お風呂に入ったのに夜も入るのはどうなのかと悩んで、悩みを相談する癖をつけようかとルカとルルに問いかけ。
髪を毎日洗わないなら夜型に戻すために今日はしっかり拭いて諦めるかお金が許すなら夜も入って明日からまた夜型生活。
当然の話だけど話しながら「お湯を混ぜた水で水浴び未満くらいにしてそのまま洗濯」と思いついてそうすることにした。ルルが手拭いを部屋干ししていたので思いついた。
翌日は似たような朝を過ごしてネビーとロカと通勤練習をしてヘンリ・ロブソンに菓子折りを持って一言「結納予定です」みたいにご挨拶。
ヘンリもデオンと同じく笑い皺など人柄の良さが滲み出ているような顔つきをしていた。私も長生きをする人生ならああいう年の取り方をしたい。なれるかな。
長屋へ帰りながら「私が実家に残るなら囲い込みにはなりませんよね?」と今さら抱いた疑問を尋ねた。デオンはお預かりしてもらうから挨拶をしておくのが礼儀だとして。
「ロイさんが罪悪感がつのって悩みのタネになれば連れ戻す隙が出来ると言うたので」
「それは言わない方が良かったのではないでしょうか」
「そうですけど俺は苦手です。でも必死になりたい気持ちがあるから半々です。その手は使えるかもと実行するけどネタばらし」
「悩んだり疑問に思ったらまず聞いてみようかな、と思える方だと感じ始めているので明日のことは分かりませんけどまた聞きます」
「あとは出発準備をしてルルとレイを拾って、せっかくだからガイさんの仕事が終わるまで1区観光をしますか。役所付近はまだ全然行ったことないです。はちみつあんみつのお店がおすすめらしいです」
あんみつ!
「あんみつは毎月1度のご褒美です!」
「それなら行かないといけませんね」
こうして私達はそれぞれ準備をしてネビーと2人で長屋を出発して近い方から順番でルルを迎えに行き、レイもかめ屋へ迎えに行った。




