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7-11.大流行と男友達

挿絵(By みてみん)


俺の家は沼地の高台にある。

周りは平地で、平地は泥っぽいので、あまり住みやすい土地では無い。

なので、元々、家も、ぽつぽつしか無かった。


だから、隠れ住むのにちょうど良かった。


ところが、急激に、高台の麓にかなり立派な町ができてきた。


規模が大きいわけではないのだが、こんなに急速に設備の充実した町が出来上がるのは、この世界の町としては破格っぽい。


町に名前はなく、城下町と呼ばれている。


うちは高台の神殿跡地に建ってる家であって城ではないのだが、町の成り立ちが城下町っぽいのでそう呼ばれてるようだ。


城下町はできたばかりで、ちょっとした食料雑貨は買えるが、基本は旅人が旅の途中で買い足すようなものを扱う店が2軒あるだけだ。


これでも既に、俺がこの世界に来て、はじめに住んでたキノセ村よりよっぽど充実していて品数豊富だ。

それ以外は、遠くの町まで買いに行くのだが、人が集まる場所には、ますます人が寄ってくる。


移動販売みたいのが来るようになった。

こうしてどんどん人が集まってくるのだ。


うちは手伝いの子を雇っているが、うちに来るくらいの娘だと、小学校の高学年か中一、中二くらいの年齢なので、まだ遠くの町にはなかなか行けない。


なので、移動販売の人に欲しいもの伝えておいて次に持ってきてもらう。

……で、今若い子に大人気の商品は何か!……と言うと、パンツだった。


そうだと思ってたよ!!


手伝いの子は、そんなに仕事無いのにとりあえず雇ってるだけだから、他にやることあんまり無いので洗濯とかしてもらう。

洗濯機とかないので手洗いだが、あんまり力無いので洗うのイマイチだと干す役になりやすい。

直接干してもらわなくても、既に干してあるやつ見ればすぐ気付く。

干してあるのが、かぼちゃパンツばかりだということに。


そして俺も気付いていたのだ。

俺の家の周りの家には、かぼちゃパンツが干してある。

これ全部、俺が好きだと思って干してあるんだよ!!


違うんだよ、それはそれが好きなんじゃなくて、あんまり魅力無いから安心できると思っただけなんだよ!!


しかも、庶民向けの下着に色なんて付いてないのに、色付きのかぼちゃパンツが干してあるんだよ。

わざわざ色付きのパンツ売りに来るんだよ。



俺はカラフルかぼちゃパンツが大好きな恥ずかしがり屋のトイレの神様だと思われてると思うともう心が折れてくてっと倒れてしまった。



しばらくしたら、住民が気付いて羊羹みたいなやつを持って荒ぶるエスティアを鎮めに来た。

「エスティア様がお怒りに……」とか言ったが、エスティアは関係ないので「私じゃない」と言った。


すると、なんだかごにょごにょ言い始めたので、またおっぱい祭りが始まってしまうかと心配したが、なんか俺が羊羹みたいなのを貰った。


俺が羊羹っぽいやつ貰ってどうするんだよ……と思いつつ佇んでたら、うちに手伝いに来てる子が3人やってきて、買ったパンツ見せに来た。


「働いていただいた給料で、これ買いました」

「トルテラ様がこの色がお好きだと聞いてこれにしたんです」

「いつか、これ着て皆でウグムの踊りをお見せします!」

と言うと、ダダダーと走り出した。


俺、色の話なんかしたことないのに、俺の好きな色が決まっているのだ。

もしかして伝承に先代勇者が好きなパンツの色とか書いてあるのか?あるわけねーだろ!!!と一人突っ込みをしつつ、俺はもう駄目だと思って倒れた。


「トルテラ様がお倒れになった。きゃー」


アイスが喜ぶと倒れるって言いふらしてるせいで、手伝いの子たちはキャッキャ言いながら帰っていった。


俺はパンツ見ただけで嬉しくて倒れる男だと思われちゃってるのだ。


……………………


何故か今日はリーディアが介抱してくれた。さっきまで放置プレイだったので、ちょっと嬉しかった。

やばい、リーディアに対する好感度が上がると、子供ができて俺は幸せに死んでしまう。



俺が萎えすぎて浄化の効果が落ちたせいで、「神の力が!」とか住民が騒ぎ出して、おっぱい祭り要員に招集がかかったので、俺はリーディアとダルガノードに出かけることにした。

うちの女たちの中で、リーディアだけはかぼちゃパンツ履いてないのだ。


勇者特急とタイミングが合わなかったので、リーディアが手配した馬車で行った。



「うちで働きたい女ならいくらでもいる。歳も選び放題だ」とリーディアが言う。


うちの手伝いで雇ってる子は皆、小学校高学年から中学1、2年生くらいかな?と思うくらいの子なのだが、その年齢に設定してあるのは、賃金がお小遣い程度で安いからだと思っていた。


「エスティア達が断っているのだ。妻が増えると困るからな」


実は、もっと上の子まで雇って欲しいと来るけど、妻が増えると困るから断ってると言う。

手伝いに来ると妻になる可能性が有るのかよ!


俺は手伝いの子に片っ端から手を付けたりとかしてないだろ!!


リーディアは脳筋のくせに物知りなので、いろいろ聞けて助かる。



前から気になっていた騎士のことを聞いてみた。

騎士は馬に乗ってることもあるが、基本歩きだった。

俺は馬に乗るのが騎士だと思ったのだが、騎士隊が馬に乗ってるのを見たことがないし、リーディアは馬に乗ることはあるが、そんなに多くない。


「騎士は馬に乗って戦わないのか?」とリーディアに聞いてみると、

「騎士は騎乗の権利があるだけで、馬に乗ったまま戦うわけではない。

 軍には兵種というものがある」と答えた。


格の問題と、戦法の問題があるらしい。

騎士は騎乗する権利のあるちょっと偉い兵士みたいな感じで、馬で移動したり、従者随伴で荷物持たせたり、移動は馬なり従者なりの補助付きで、雑用は他人に任せ、戦闘に特化した兵みたいだ。


騎乗で戦う専門家は騎兵だった。


紛らわしい。単なる階級ならわかりやすいが、両方馬に乗る。


リーディアは馬にはけっこう詳しかったが、思ったよりも騎兵の運用には制限が多かった。


騎兵団の行軍は馬があるから早いと思ってたのだが、だいたい昔の飛行機みたいな感じだった。

飛行場付近では素早く行動できるという感じ。

動きは速いけど、持久力が無いので、馬は陣地で休ませないと、どんどん弱る。


移動するときは、陣地用意する人が先に行って、陣ができたら馬が行って、あとから整備士みたいな世話係がうわーーーーと付いていく。

さらに、道が悪いと道路整備屋さんみたいのがゾロゾロついてくる。これが1セットで大隊になってるそうだ。

大隊の中にセットで含まれると言ったのかもしれない。

とにかくセットで運用するものだそうだ。


直接戦闘する人数に対して、食料消費が凄い。

馬を自動車に置き換えたら、人半分くらいで足りそうだ。


騎兵も50人いたら戦闘専用みたいなのは20人くらいで、あとは予備やら偵察とか連絡が30人。

馬は80頭くらいいて、陣地作る人が良い場所探すために乗り回してたり、荷物運んだりしている。


自領内では、けっこう早く移動できるが、外ではあまり早く動けない。

ダルガンイスト要塞の外にも騎兵団の陣地は何カ所かある。その周辺までならけっこうな早さで移動できる。そのため、陣地が非常に重要になる。


自由に走り回れるものかと思っていた。



馬は普通に人乗せて歩く位なら、そんなでもないが馬車を引かせると水や餌が大量に必要になる。

結局、馬車は整備された街道間しか走れない。なんか思ってたのと全然違った


日帰りで、馬に乗って遊びに行ったり、宿に預けたりすれば、乗り回すことはできるみたいだ。荷物積んで移動しまくるのにはあまり向かないようだ。


まあ確かに、馬車の走る速度は、俺が思ってたのと全然違っていたのだが。

あれが巡航速度なのだ。


ダルガノードに着くと、まずライゼンのところに行く。

ライゼンは何故か”リーディアが勇者になるに違いない”と思って支援していた男だ。

この世界では大変珍しい、俺と近い年の男なのだ。


城下町の話をする。


この世界は人口が少ないので人口1000人も居たら凄い大都市なのだ。

城下町は一時的に建設に来てる職人さんが多く、よくわからないが、200人くらいの規模らしい。

この短期間でそこまで成長するというのは有り得ないと言うことで、監視のえらい人が派遣される。

他人の領にそんなの送り込んで平気なのだろうか?


拠点はマイト候領にある。

マイト候は1回視察に来たが、興味無さそうに見てすぐ帰っていった。

たぶん、部下に言われて仕方なく来たのだろう。

たぶん、興味無いから、他国の視察団来ても気にしないかもしれないなと思った。


ライゼンと話をしていて涙なしには語れない衝撃の事実が発覚した。


この世界では夫のことをよく、”うちのジョージ”と言う。

元々、男の名がジョージばかりでそうなったと言うが、今はジョージなんて名前の男は滅多に居ない。

ところが、ライゼンの本名はジョージなのだ。


「私が子供の頃は皆ジョージばかりでした。今では、もう一人宦官が居るだけです」と言う。

ここは男は早死にする世界なのだ。

ジョージばかりって、もっと昔の話かと思ったらライゼンの若い頃の話だったのか。


ライゼンはジョージだらけだった頃のことを話してくれた。

つまり、ライゼンの青春時代の話だ。

ここの男は隔離された男子学校に行く。

ライゼンのジョージたちの話も子供のころ、学校での話だった。


これは男子学校見に行くしかないな。

※男子学校身に行くフラグが立ちました


========


ライゼンはキャゼリアの同僚なので、ライゼンの次はキャゼリアのところに行く。

すると、何故かシートが居た。

キャゼリアとは仲悪いかと思ってたのだが、良い悪いではなく戦友みたいな感じだった。

まあ、妻同士というのはこういうものなのかもしれない。


白い巨人の小さいやつの生け捕りの話かと思ったら、ビフェットウグムの聖人の話しをされた。

何故か人に崇められてるけど、実はただ踊っただけの意味分からない人の伝承だ。


シートは「伝承があって踊りもある。それならウグムの聖人も居るはず。だから、私も練習したし、テーラにも教えたのに」と言った。


この伝承があるから、一応、シートはウグムの踊り練習したしテーラにも教えたのだという。

”なんて無駄なことをするんだ!”と思った。俺はそのせいで酷い目に遭ったことがあるのだ。


そして、「本当のウグムの町は北だった」と言った。


あんまり意味が分からないが、まあ、踊りと言えば、北の町のキタキタ踊りと相場は決まっている。

俺的には。

俺の常識では北の町にはキタキタ踊りという謎の踊りがある。


で、いろいろ教えてくれるのだが、なんで今そんな話するんだ?と思ったら、ウグムの聖人はエスティアなのだそうだ。

なんだそれ。踊るだけで何もしない変な聖人がエスティア?

エスティアは南の町出身なので、ナンナン踊りだと思うのだが、俺が住んでるのは北の町がある北のマイト候領なので、ここで踊ればキタキタ踊りらしい。


「待ってたら、ちゃんと飛んで来たんでしょ? だったら、それで十分よ」とかキャゼリアがシートを励ます姿が印象的だった。


白い巨人の話はまた今度だそうだ。


助手はどうしたのか聞くと、今はりきって白い巨人の居場所を調べるために出かけてるのだそうだ。

助手が居ない間に俺が来て帰ったと聞いたら、たぶん倒れるだろうな……と思った。


エスティア達のお土産に、お菓子を買いまくる。

この世界、菓子はやたら高い。


俺の住んでた世界だと菓子はどこででも簡単に安価に手に入った。

なので、そんなに価値の高いものとして扱われることは無かった。


ここは高くて手に入る場所も限られるので、来ると毎回大量に買って帰る。

これ節約すれば、数年でけっこうな金額になると思うのだが。


========


俺は神殿跡地で浄化の能力が使える。

俺が元気なら、寝てても四六時中勝手に働く力だが、俺の体を中心に半径10mとかそのくらいの範囲しか効かないので、神殿跡地のストーンサークルの周りを回らないと全部のトイレに届かない。


浄化の能力はここでは神の力ってことになるみたいで、トイレがきれいになると俺は神だと思われてしまうのだ。

でも、トイレがきれいにならないと、俺を励ますためとか言って、おっぱい祭りがはじまってしまうので、仕方なくストーンサークルの周りを回るだけの簡単なお仕事をしている。


神の力で奇麗になるトイレなので、宗教施設みたいになってて、今も、俺の家がある高台の両サイドに凄い立派な礼拝堂と言う名の聖なる公衆トイレが凄い勢いで建設されてるのだ。


そんな中、珍しく俺に男の友達が2人できた。ライゼンと合わせると3人。


急に友達ができた理由は簡単で、聖なる公衆トイレは女用で男用がないのだ。

可哀想なので俺のを貸してあげようと思ったが、それはまずいというので、もう一個、俺用と別に男便所作ったのだ。


そのあと、いつだか川が増水して迂回したとき付いて来たマークも引っ越してきた。

男の友達が4人になった。うちの女たちは酒飲んで女子会やるので、俺だけ仲間外れなのだ。

これで男子会ができる。


まさか男の友達ができて喜ぶ日が来るとは思わなかった。

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