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7-4.胸つつまし師弟の逆襲(発動編)

あまりに理不尽な仕打ちにおっさんは家出しますが、発見されてオマケが3人も付いてきました。タイミングよくアイスのナイフが欠けたので、刃物の町で新しいナイフを買いました。ですが、巨乳好き疑惑は解消されていません。無事疑惑を晴らし貧乳組を取り込み、拠点で待つエスティアとリナと戦わなければなりません。とても難易度が高いのです。


挿絵(By みてみん)


時間を少し(さかのぼ)り、家出したトルテラとテーラ、アイスが合流する、直前の場面となる。


リーディアが2人をトルテラのもとに連れて来た時には、既に暗黒モードが解けていた。

それには、こんなやりとりがあった。


…………


エスティアとリナに、トルテラは保護してある旨を伝え、少し時間が必要なことを伝えた。


このとき、エスティアもリナも、既に自身で反省していた。

落ち着いて考えたら、トルテラがやったことに対して、強く言いすぎていたことに気付いたのだ。

今回は、トルテラを責めるばかりでは不公平だ。


「10日ほしい」とリーディアが言うと、エスティアとリナは、10日は長いと思ったが、言い返せなかった。


そのあとリーディアは、すっかり”トルテラは巨乳好きだと思い込んでいる、貧乳2人組”が部屋の隅に固まってるところに行き、こう言った。

「胸を大きくする方法がある」


酷く落ち込んで暗黒面まで突入した2人だったが、その言葉に反応した。

とは言っても、2人の反応は逆だったのだが。

テーラは、”そんなの嘘だ”……と思った。


リーディアは「胸と、腹や肩を触って柔らかさを比べてみろ」と言う。


アイスとテーラは、自分の胸と肩や腹を確認してみる。

テーラも嘘だとは思いつつも、話だけは聞いておこうと思ったのだ。


「胸だけ柔らかいだろ」


2人は頷く。


「そこは筋肉ではなく、脂でできてるからだ。

 体全体の脂が増えると、胸も大きくなりやすいのだ」


「そういや、冒険者はだいたい脂肪が少なくて、おっぱい小さめだな」とアイスが言う。


すると、リーディアは、こう言う。

「アイスは全体的に脂が乗ればテーラくらいにはなるだろう」


「なんで、そんなこと知ってるんだ?」とアイスが聞く。


「軍にはたくさんの若い女がいる。中には仕事より胸のでかさの方が、大事な連中もいるのだ」


アイスには、あまりピンと来なかった。

「軍にいて、胸の大きさ関係あるのか?」


----


もちろん、軍に在籍したら即関係あるなんてことは無い。

だが、士官の場合は、将来的には夫を持つことが多い。


「もちろん直接は関係無い。装備のサイズが多少変わる程度だ。

 軍で稼いでその後、夫をもらう予定の連中も多いのだ。

 要は”男に、もてたいと思う層”というのがあるのだ」


「層?」


「層と言うのは、大雑把な地位みたいなものだ。

 例えば、夫を貰わないのが普通という地位の人たちは、

 胸の大きさを優先して気にする必要無いだろ」


テーラは頷く。


「確かに俺、今まで気にしたことなかった」とアイスが言うと、

「今、気になってるのは、アイスが”夫をもらう層”に入ったからだ」とリーディアが答えた。


アイスは何を言われたのかよくわからなかった。

冒険者には夫は居ないのが普通だ。

「俺が? 俺、前からずっと冒険者だけど」


「だが、夫は居るのだろ」とリーディアが返す。


夫と言われると違和感がある。

が、アイスはトルテラの妻なので、トルテラはアイスの夫なのだ。

「うん。トルテラ。俺、トルテラの妻だからな」


----


胸が気になる人たちと、気にならない人たちがいる。

テーラはそのあたりの事情を知っていた。

テーラは、夫をもらわない層と、夫をもらう層の両方と交流があったためだ。

気にする必要が無い人達がいるから、気にする必要を感じる人は余計に気にする。


「リーディアはどうやって大きくしたんだ?」とアイスが聞くが、リーディアは、

「これは勝手にでかくなったのだ。騎士の時にはこんなものは邪魔なだけだった」と答える。


これは本心だ。正直邪魔なものだった。

標準的な支給品では合わず、圧迫され呼吸に悪影響を与えることもある。

だが、羨ましがられることもあった。リーディアはそろをよく覚えている。

邪魔かどうかよりも、女らしさで目立ちたいという考えを持つ者も存在する。


女らしさ……男の体と差が出る部分、特に胸は目立ちやすい。


※連合内では特に、若い男は完全に隔離されているので女の胸を見ると驚きます。

 実際に喜んでいるかというとそうでもないのですが、女性の側からは、

 反応が大きい方が良いと感じられるのではないかと思います。


----


「じゃあ、方法は脂付ける……太るだけなのか?」とアイスが言う。


そこでリーディアは決め顔をしてこう言った。

「脂付ければ大きくなるが、もっと良い方法がある。好きな男に揉んでもらえば良い」


好きな相手に揉まれれば大きくなる。

そんな噂はテーラも聞いたことがあるが、1回で巨大化なんかするわけがない。


だが、気付いた。リーディアがこれを言うのは、大きくすることが目的ではなく、小さくても問題ないことを証明するためだ。理由は簡単だ。


アイスはちょっと考えた。アイスが好きな男……つまりトルテラだが、

胸を揉んだりしない。他の男はわからないがトルテラはしない。

「え? トルテラは、胸揉めないんじゃないか?」


それは、リーディアも知ってるはずなので、変だなと思う。


するとリーディアはこう言う。

「それはなぜだ?」

「え? 知ってるだろ、トルテラ興奮すると倒れるから」とアイスが返した。


「であれば、その大きさで問題ないのではないか?」

アイスはちょっと考えて「そうか。そうだな」と答えた。


よく考えたら、大きいと触るわけでも無く、大きくても小さくてもトルテラの反応は変わらない。


----


一方で、これにはテーラも満足だった。

”小さい胸が好き”それが証明されれば、テーラは満足だった。

テーラがショックを受けていたのは、小さい胸が好きなはずのトルテラが、リーディアの巨乳に反応していたからだったのだ。


テーラはこう聞いていた。”森に飛んでくる竜が人の姿をしていれば、小さな胸が好き”

それで、大きくならないように気を付けていたのだ(実際は、元々の体質)。

服装も、森に飛んでくる竜に合わせていた。

実際にトルテラはテーラが着ているような服が好きだと言っていた。

テーラの体形も好きなはずだった。

それなのに、リーディアの巨乳に反応していた。だからショックを受けたのだ。


「トルテラは小さなおっぱいが好きなの」

突然テーラが妙なことを言う。

「本当に小さいの好きかな?」

「ならば、試してみるか?」


「どうやって? たぶん逃げる」とアイスが言うと、

リーディアとテーラは頷いた。


「逃げられない場所に追い詰めれば良い」とリーディアが言った。また決め顔で。

テーラが「マータルレバー」と言う。

リーディアはニヤリとして「マータルレバーなら文句言われないだろう」と言った。


ニヤリは、テーラが行先を見抜いていたからだった。


マータルレバーと言うのは、日本でいう新婚旅行のかわりに、露出の激しい服着て猛烈に弱い敵を倒す冒険者プレイがお楽しみできる観光地だ。

あそこだと、少々羽目を外しても目立たない。そんなところだった。

町中が恥ずかしい。そんな町だ。


そして、3人は、家出中のトルテラに会いに行ったのだ。


========


ここからは、前回の話の続きに戻る。


刃物の町で、俺が日本に居た頃、”鉄”と呼んでいた金属……ここで言う黒鉄(くろがね)のナイフを買った。

研ぐ前の粗削りまでのもので、研ぐのは自分でやる。

研いだものも売っているが、高いことと、自分で育てたいということで、研ぐ前のものを買ったのだ。


テーラとアイスの熱意は職人の魂を揺さぶったようで、自分で研いだ方が良いと勧めてきて、研ぐ前のナイフを異様に安値で売ってくれたのだ。


そして、テーラとアイスは、これから毎晩刃物を研ぎまくるのだ。


========


とりあえず、刃物の町……というか工房の集まる集落って感じだったが、あそこから、ダルガノードまで歩きで戻ってきた。


ここから馬車で帰ると、すぐに着いてしまう。


家には無駄に戦闘力の上がってる仁王2人が待ち受けている。


どうやって戦うか、どうするかと考えていると、アイスとテーラがやってきて、アイスがなんかモジモジした感じで「ちょっとやりたいことがあるんだ」と言った。


ニュータイプのひらめき音が聞こえた気がした。

やばい、何か俺が酷い目に遭うイベントが発生してしまう!!


そして、続けて「トルテラのおかげで、今まで知らなかった凄いナイフが手に入ったから、ナイフ探しのお礼をしたいんだ」と言ったので、俺は不吉な予感がして逃げたくなった。


でも、その気持ちはテーラにばれてて「トルテラはお礼嬉しくないの?」と聞かれたので、

「はい。うれしいです」と答えた。


いつもだったら、性的嫌がらせを受けるところだが、今回はナイフだ。

頭まで剃られちゃうかもしれない。


いや、髪は無事だけど、眉剃られちゃうとか……眉無し老人とハゲ老人なら、ハゲ老人の方が普通な気がするけど、どっちも嬉しくない。


絶望してヘナっと倒れてたらアイスが介抱してくれた。……が、誤解が凄い。


「お礼って言っただけで倒れるなんて、そんなに嬉しかったのか?」とか言って、お礼が嬉しくて倒れたんだと思っていて、そうじゃねーよ!倒れるほど嫌なんだよ!と思いつつ、なんかいろいろダメな感じになって気を失ってしまった。


……………………

……………………


起きたら、ずいぶん弱弱しい女と寝てた。誰かと思ったら、キャゼリアの助手だった。

なぜじゃ!と思ったが、助手は「ああ、もう起きちゃった」と言った後、例の「うふ」をやった。

これが多分コイツの決め顔なのだと俺は思っている。

アップで”うふ”しやがって、と思い、なんかちょっとイラっとした。


「おお、起きたか」とリーディアが言い、「添い寝は起きるまでだよ」と言って、テーラが助手を連行していった。


すると、助手は「ええ? ちょっと、まだお話、えー?トルテラー、先代勇者さまー愛してますーーー!」とか言いながら連れてかれた。

なんか、愛してるとか言い出した。なんなんだあいつは。


「なんで助手と寝てたんだ?」と聞くと、

「うるさいから、起きるまでって言って寝かしといたんだよ」

「どうせこういうとき、トルテラすぐ起きるだろ、見張ってたから大丈夫だ」とアイスが言い、続けて、「私もいるしな」とリーディアが言った。

何故か、無駄に良い顔をして。


なんか、色違いの5機が合体してロボットになるやつの、青いやつが言いそうな言い方で、すごくイラっとした。


まあ、あいつ(キャゼリアの助手)は妖怪並みにしつこいからな……

そう考えると、比較的俺に被害が少ない方法を選んでくれてよかった。

また首に巻き付かれると、剥がすときうるさいのだ。


今日は、ダルガノードで泊りだが、リーディアが気を利かせて、快適環境を用意してくれた。

まず体を流せる水場と、けっこう多めの湯。湯に浸かることはできないが体を洗うには申し分ない。


さらに、超でっかいフカフカベッドも用意してくれた。

ここダルガノードとダルガンイストでは、リーディアは相当融通が利く。


俺が寝られるサイズのこのベッドどっから持って来たんだよ……と思った。


「こんな俺サイズのベッドどっから持って来たんだよ」と言うと、「貴族用は1人用でこのサイズだ」と言う。

なんて無駄なんだ。この世界の普通サイズの女なら5人くらい寝れそうだ。


それにしても、やけにフカフカなのは、貴族用だからか?と思ったが、実際寝るとすぐ、このベッドの意図が分かった。蟻地獄だ。


俺が寝るとベッドが沈み、両サイドの女が斜面を重力で落ちてくる。

なるほど、これは小さな胸でも当たるように工夫されたものなのだ。

横にはテーラとアイスが寝ていて、リーディアはベッドに入らずに仁王立ちしている。

見張りとか介錯人とか、たぶんそういうやつなのだろう。


仕方なく寝転がる。あとはだいたい想像通りだった。

皆、体洗ったばかりでサラサラしてるし、さすがに上から重力で押されると当たるのだ。

胸が小さくても。しかも今日は、ちょっと薄手の寝間着で。


胸が大きいと、胸に体重が集中して圧迫される感じだが、小さいので、胸に体重がかかって押し付けてくる感は無いものの、逆に、何か突起が当たる感じがして、むしろ俺は、そっちのほうが気になってまずいことになった。動悸がして汗が噴き出た。

「うわ、当たってる、ちょっと離れて」と言って、引っ剥がす。危なかった。


何を思ったか、いきなり「小さいおっぱい好き?」とテーラが言うと、さっきの先っちょが当たる感覚が頭によみがえって、相当やばい感じになってきた。

すると、リーディアが俺の腕を掴み。

「ここは黙って受け入れるべきでしょう」と言った。


すると、アイスとテーラは重力で落ちてきて、なんか嬉しそうな顔をしてるのが見えた。

腕で防御してないと、わき腹のあたりに先っちょが、ちょんと当たる感覚がして、こんなの耐えられるかボケーーー!!と思いつつ気を失ってしまった。



「どうだ? 揉んで大きくしてもらうか?」とリーディアは聞くが、答えは思った通りだった。

アイスは「もういいよ」と言った。

テーラは「トルテラは小さいおっぱいが好きなの」と言った。いつも通りだ。


そのあと、「トルテラ、俺のおっぱい好きだったー」とか言ってアイスが泣いた。

……で、やっぱりトルテラの服で鼻水拭いてた。抱き着いて泣いてただけだが。



朝起きると、俺は布団に埋もれていた。

俺の上にリーディアが乗っていた。胸のあたりが痛いと思ったらリーディアの頭だった。

お前は妖怪掛布団か!!!と思って、どけようと思うが、何かがおかしい。

押そうとするとますます布団に埋もれるのだが、それを差し引いても変だ。

結局、リーディアに引っ張って起こしてもらった。


何故か俺は、猛烈に衰弱していた。

俺の衰弱っぷりがあまりに酷いので、この日は休養になった。


3人は大変機嫌が良く、俺が弱ってる横で頻繁に話しかけてくるし、延々お菓子の話とかガールズトークを繰り広げ、なんかこいつら女の子みたいだな……と思った。

って言うか、テーラ喋ってないのに会話成立してるっぽい。


こうして見てると、リーディアは案外普通の良い子だった。

あのウザい決め顔とかやらなきゃいいのに。

……と思ってると、目が合った。そして、思った通り、決め顔した。


だから、それがお前の評価を下げてるんだよ!!! いい加減気づけよ!!!と全力で思った。



次の日も朝起きたら、妖怪掛布団がかかっていた。

休養した意味ねーだろ!!!!!!!と全力で叫んだ。心の中で。


ただ、お礼の件は、中止になった。

お菓子と刃物の切れ味のガールズトークを聞きながら馬車で帰った。


俺には、うちで待ってる2人の仁王様と対決する気力が無いのに……

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