5-8.勇者(故人)、巨人標本を運ぶ(後編)
前回の続きです。テーラとルルとトルテラの3人旅ですが、なんだかトルテラは酷いことばかりされてます。
ちょっと半端ですが5章はここで終わりです。そのままするっと6章に入ります。
テント生活も凄い。
まず、そもそも、”テントがまともに立たない”。
エスティアもリナもアイスも、テントは素早く建てることができる。
俺もそこそこできるが、慣れた2人が、組みでやらないと時間がかかるし、なんかふにゃっとしてヨレヨレで萎んだものになる。
そんなヨレヨレテントじゃ、雨の日はロープで吊らずに中に籠った方がマシなのだが、設置場所の問題なのか下からの浸水が多い。
道具や食料は、頻繁に不足して足りないものをわざわざ村に買い出しに行く。
ただし、女が2人までだと平和に寝られるので、そこは良い。
驚くことに、ルルはち○こ2度見する割には、直接俺に酷いことしないのだ。
キャゼリアが産んで、シートが育てた娘なのに、なんてまともなんだ!と思った。
安全なところでテント泊するときは要注意だ。
テーラが、何か仕掛けてくることがあるからだ。
「トルテラはこれが好きなんだよ」「えー?ほんとにこんなの好きなの?」とか言ってるのが聞こえたので、なんか怪しい気はしてたのだ。
よくわからないが、とても大事なことということで、俺がテーラのパンツを見る会が開かれた。
「トルテラは私のパンツが好きだから」とテーラが言う。
「うん、でも、俺、前に見たから」と答えると
「トルテラは私のパンツ好きじゃないの?」とテーラが言った。
「ほら、やっぱりパンツ好きじゃないんだよ」とルルが言うと、テーラが膝から崩れた。
まずい、なんか、いろいろと……と思い、
咄嗟に「はい。私はテーラのパンツが好きです」と言ってしまった。
すると、テーラがこっちを見るが、何故か立ち上がらない。
……仕方がないので諦めて「テーラのパンツ姿が見たいです」と言うと、立ち上がって、「トルテラは私のパンツ好きだから」と言った。
ルルは、「無理やり言わせただけじゃない!」と突っ込みを入れてくれた、俺はいいねボタンを100連打したい気持ちでいっぱいになった。
テーラがテントで、ガサゴソやってる間、俺はルルとたき火を囲んで待ってた。
「ごめんね。私が余計なこと言っちゃったから」とルルが言う。
ルルは意外に良い子なのだ。
まあ、きっかけはそうなのだろうけど、ルルが悪いわけじゃないと思うのだ。
「まあ、テーラはパンツ見せたいんだよ」と言うと、テントの中から「トルテラは……」と聞こえたので、慌てて「パンツ見たいです」と言ったら静かになった。冷や汗が出た。
よくわからないが、張り合ってるときのテーラには逆らうと面倒なことになるということがよくわかった。
少しすると、テーラが出てきた。
上はキャゼリアと無理やり風呂に入らされた時と同じ格好で、上は薄い下着で、下はかぼちゃパンツ姿で登場した。
光源が焚火なので下から照らされるので、パンツばかり明るく見えるという。
まあ、目的がパンツ見せることなら目的通りなのだが。
テーラはエスティアよりちょっとだけ背が低いくらいなのだが、全体的に小柄に見える。
この格好だと、特に小柄に見える。
胸も控えめだけどシルエットが女の子っぽくて凄く柔らかそうに見える。
かわいらしい。
いや、俺のような老人が、自分の娘より若いくらいの女の子を、そういう目で見てはいかん……とか思った。
「テーラがどう?」と聞くので、「はい。素晴らしいです」と答えた。
すると、ルルが「やっぱり好きじゃないんだよ」と言った。
おまえは、なんでそういうこと言うか!!と思ったが、
テーラは「そんなことないよ」とか言いながら近づいてきて、
石に座ってた俺を、石から地面に座らせ、今度はテーラが石に乗った。
俺は目の前がパンツでいっぱいになった。
なんか、かぼちゃのシワの1枚1枚までよくドアップで超高解像になった。
さすがにこれは刺激が強い、パンツじゃなくてテーラの股のあたりに近過ぎて危険なんだよ!と全力で叫んだ。心の中で。
これはいくら何でも危険だ、動悸が激しくなってきた。
まずい、俺はこんな若い子に……とか思ってると、この状態でテーラがキタキタ踊りの中途半端なやつを踊りはじめた。
かぼちゃパンツのシワシワがフリルみたいに見えて、もう目が離せない。
俺は動く危険なものがあると、目が離せなくなるのだ。
フリルがゆらゆらとして、動悸が激しくなって眩暈で目の前真っ暗になった。
そして、俺はもう駄目だと思い倒れた。
すると「ほら、トルテラは私のパンツが大好きなんだよ」と言った。
「なに? 倒れちゃったよ、平気なの?」と言ったが、テーラが「トルテラは幸せ過ぎると倒れちゃうから」と言った。
目を開けると、テーラがご満悦な表情で介抱してくれてる。
だが、横を見るとパンツのドアップだ。
だから、パンツが近すぎるんだよ!!!と思って俺は気絶した。
気付いたら外に居た。毛布はかかってるけど背中が冷たい。
いつもだったらテントに回収されてるのだが、今回はテーラとルルの2人なので、外に放置されてた。
テントの中で見れば良かったと思った。
朝になって、ルルとテーラから、ちょっと離れたところで野営の撤収作業してるときに、ルルがなんか好きな匂いがしたとか話してるのが聞こえた。
あんまり匂いには慣れてないらしい。
そのあと「寝るときに匂いが出ると凄く良いんだよ」とかテーラが言ってたので、俺は逃亡したい気持ちでいっぱいになった。
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町に寄りたいと言うので、何かと思ったら、ルルのパンツがかぼちゃに変わった。
いや、俺は別に、見すぼらしくなければ、かぼちゃパンツである必要は無いのだが……
まあ、確かに前のやつより、かぼちゃの方が好きではあるのだが。
この世界のパンツはかわいくないのだ。
だから、かぼちゃの方が良いと言ってるだけなのだ。
夜はまたひどい目に遭わされた。
テーラが「こうすると匂いがするんだよ」と言って、俺をテーラの方に横向きに寝かせ、背中にルルの胸を軽く当ててきた。
俺は、背中に当たるのは苦手なのだ。
なんか凄く緊張してきた。
もっと強い方がいいかな? とか言いながら当ててくる、テーラよりちょっと……だいぶ大きい。
「ちょっと、くすぐったいよ」とかルルが言ってて、動悸が激しくなってきて、
ルルが「あ!匂いする」とか言いながらますますくっついてきて、
さらに、テーラが「でも、トルテラは私のおっぱいも好きなんだよ」とか言って前からも当ててきたので、もう駄目だと思って気絶した。
テーラはルルに「ね、言った通りでしょ」と言ったが、ルルは満喫中で聞いてなかった。
「凄いな、いいな」
2日連続でやられると疲労が激しいのだ。
しかも、この2人撤収とか苦手で俺がいないと作業が進まない。
全然撤収が捗らない。奇麗にたためば余裕で入るはずの袋に入りきらずにはみ出てるし。
俺に酷いことばかりするので、俺の中でテーラへの忠誠度がかなり下がっていて、謀反レベルに近付いていた。
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そんなトルテラの気持ちと裏腹に、テーラはもちろん、”トルテラは私のパンツが好き”と思っていた。
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見るからに不慣れて、馬車まで持った連中がたった3人で野営してると、”ひゃっはー”な人たちによく襲われる。
俺はたぶん戦闘要員として見られてないだろうし、ルルとテーラは、かなり弱そうに見えるだろうから良いカモだと思われやすいのだと思う。
「馬車と荷物と男は置いてけ」……と言いつつ、俺が年寄りだとわかると、老人はいらんから馬車と荷物を置いて行けと言うので、ひゃっはーな人たちにも避けられるほど、俺は価値が無いのか……と俺はちょっと凹んだ。
戦闘に関しては、ルルは全く駄目だがテーラは防御と、ちょっとした牽制には強いので、組み合わせとしては良かった。
テーラが馬車に隠れて大楯で防御してれば、ルルを守りつつ、怪我せずしばらく耐えられる。
女が二人、馬車の荷台に立てこもり、俺が一人で立ち向かうのは相当に珍しい光景らしく、娘を守ろうとする健気な老人みたいに見えるらしく、なんか、バカにされることが多い。
「爺さんが戦う気なのか?」
「お涙頂戴ってか? どうせ寿命が長くないってのはわかるんだがな、
歯向かうと、後ろの女が却って不利になるよ?
もう一度考えて見ると良い」
「爺をいたぶる趣味はねぇ。何もしないから荷物置いてさっさとどっか行きな」
でも、そんなときは、”父ちゃんが守ってやるからな”的な気持ちになるので、割と戦いやすい。
油断して俺に寄ってくる盗賊を、盾ですくって投げ飛ばす。
「なん、どぅわ」
一人目が宙を舞い……ドサっと落ちる。
「どあっ、、、……い……痛てぇ」
その瞬間には2人目が宙を舞っている。
「やめっ」
2人目が落ちる頃に、リーダーらしき女が命令を出す。
「一斉にかかれ!!」
油断してるので、ほとんどは剣や槍で向かってくる。
盾ですくって投げ飛ばす。
ひゃっはーな女共が何人かかってきたところで、俺が負ける心配など無い。
多人数で1人を確実に殺す訓練でもしてない限り、苦戦することも無い。
囲まれると怪我はするが、盗賊レベルの女の力で、俺に一撃で致命傷を与えることはできない。
「おい、じじい、覚えてやがれ!」
これは不思議に思うのだが、この世界でも同じ定型文が使われる。
俺には、横浜で暮らしていたときと同じ言語に聞こえて、チンピラ風山賊を蹴散らしたときのセリフまで一緒なのだ。
なので、意訳を含む高度な翻訳なのではないかと疑っている。
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ただし、盾で投げ飛ばすだけだと、そんなに怪我はしないようで、遠距離から、矢で再襲撃してくることがある。
俺が少々怪我をしてるので、戦力が下がったと思うようだ。
多少の怪我ならその頃には治ってるし、矢は何本か刺さることもあるが、その程度の傷で俺が死ぬことは無いが、テーラとルルに当たったら大変だ。
一度、毒矢を食らって、調子悪いときに再度襲撃かけてきたやつがいて、囲んで弓で攻撃してくるので仕方なく点火で薙ぎ払ったことがある。
そのときはもしかしたら死人が出たかもしれないが、あのときは、気持ち悪くて、相手の命の心配をしている余裕が無かったのだ。
テーラは俺が点火使ったので心配していたが、俺の点火は点火には向かないが、敵を追い払うには向いていることが分かったので、良い経験だった。火事が心配なので、あまり使える機会が無いのだが。
盗賊でも一応女の子だし、なるべく相手に怪我させないようにと思っていたがやめた。
手加減すると何度も襲ってくるので、はじめに手近な奴を盾で殴って力の差を見せるやり方に変えた。
その上で俺は熊殺しだと言えば一目散に逃げていく。
もしかしたら、殴られたやつは大怪我したりしてるかもしれないが、まあ、襲ってくる方が悪いので気にしないことにした。
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ルルは「なんなの?あんなの普通の人間じゃ無い」
とか言ってたが、ちゃんとテーラがフォローしてくれた。
「もとから人間じゃないよ」
そうじゃねーだろ!!!
なぜか、テーラは俺は元々人間じゃないと思っているのだ。
俺は人間離れした力を持っているが、一応種族としては人間だと思うのだ。
ルルは、しばらくの間、俺をバケモノだと怖がっていたが、しばらくすると、慣れたんだか現状を受け入れたんだか、さほど怖がらなくなった。
それにしても、テーラは、もっとましなフォローの仕方ってものがあるだろう……と思うんだが。
ちなみにルルは、怖がってた頃も、寝るときはくっついてきた。
心と体は別とか、微妙な乙女心とか、そんなやつなのかもしれないと思った。
だんだん夜の攻撃が激しくなってきたが、それ以外ではルルはけっこう良い子で常識人だった。
両親が研究者なので、この世界での常識人とは違うのかもしれないが。
ルルはけっこう、男の年寄りを見る機会が多いのだそうだ。
ダルガノードには宦官も居る。宦官は処置済みの恋ができない男だ。
宦官はあまり髭が生えないのだと言う。
ホルモンの関係だろう。この世界の人間も、地球の人間とだいたい同じなのだと思った。
男性ホルモンは、男性器から出る。だから、切り取ってしまうと、男性的な特徴が出にくくなる。
至って普通のことだ。
髭は、毎日剃る。テーラの趣味だ。
水が、あまり無いところでは、顔も洗えないので、油っぽくて、嫌だろうと思うのだが、テーラは髭は剃らないと気が済まないようで、そうすると、必ずルルが隣で見てるので、3人とも完全に手が止まり出発の準備もできないのだ。
ルルは、はじめは見てるだけだったのだが、テーラがふんふんすると、ルルもふんふんするようになった。
テーラがペタっとくっつくと、ルルもペタっとくっつく。
なんなんだ、この2人は? と思っていたが、何日かしたら慣れて、なんか、これもいいかも……と思っていたら、ペタの後にふんふんしまくってた。
この程度で匂いが出てしまうとは。でも、姉妹と言うのも良いものなのだ。
俺は、娘を愛でてしまう、お父さん的な性質があるのだ。父性と言うのだろうか。
あと立小便が凄く珍しいらしく、背中しか見えないだろと思うのだが、なんか、遠目とか暗視とか使いまくって見られてる感が凄かった。
女にはわからないかもしれないが、緊張すると出にくくなっちゃうのでやめて欲しい。
テーラは、この旅の最中、冒険者スタイルだったのだが、ルルはいつも通り。
冒険者じゃないので冒険者装備が無いのだ。
テーラは普段着はふくらんだスカートだが、ルルは普通の町娘という感じの服を着ている。
冒険者服は、作業着みたいなものなので、ズボンだが、町娘っぽい服と言うのはスカートで、十分裾が長いので普通は中が見えちゃうことは無いのだけど、ちょっとした土手登ったりするときに、前にルルが居ると、なんか見えそうだなって感じの時がある。
すると、わざわざ振り返って「見たい?」とか凄く嬉しそうに言ってくる。
なんかイラっとした。
俺のち〇こ2度見したくせに!
無防備の俺のち〇こを2度見した罪の大きさを考えると、本人が隠そうともしていない状況でパンツ見えた程度では、全く釣り合わないと思うのだ。
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2か月もかけて、ダルガンイスト近くまでやってきた。長かった。
ダルガンイストの手前で、怪物の受け渡しをした。馬車ごと渡す。
俺は目立つので、少し離れたところから見てた。
一人、変な動きをしてるやつが居ると思ったら、助手だった。
辺りを見回して俺が居ないのを見てがっかりして座り込んだ……って感じだ。
おそらく俺が標本運んできたことを知ってたのだろう。
仕方が無いので、テーラに助手を呼んできてもらった。
助手は俺を見ると凄い速度……ではないけど、たぶん助手の最高速……ペタペタと割と遅めで走ってきて抱き着いてきた。
おお!こいつもだ、抱き着く感じがふわっとしてる。
そうか! わかった。この”ふわ”は、弱そう感なのだ!
アイスに抱き着かれると、かなりドカっと来る。
リナもガシっと来る。エスティアはそんなでもない。
テーラはふわ。ルルはふわふわ。助手はふわふわぷるぷるくらいの感じだ。
なんか捻りを入れてくると思ったら、あのくるくる回るやつやろうとしたようだ。
俺が回らないのでやめてしまったが。
再会を否定してしまったようで申し訳なく思う。
俺の世界では、あれは無かったので、よくわからなかったのだ。
「トルテラざば、生ぎでで良がっだ」涙と鼻水が凄いことになってて、なんかセリフも鼻水も日本に居た頃読んでた海賊漫画みたいになってた。
この娘は、キャゼリアの助手だ。
たぶん迷宮の扉の調査で危険な役をやったご褒美で、一晩俺に抱き着いて寝る権利を行使したんだけど、ただそれだけ。
たったそれだけで、俺は、こんなに懐かれてしまったのだ。
たぶん香りはマジックにやられてしまったのだ。
俺が死んだと聞いて倒れて、ルルがキャゼリアのところに俺の生存報告しに行くまで、生ける屍みたいになってたらしい。
「トルテラさばの匂いがする」とか言ってる。
匂い嗅いでたのか! 俺は鼻水拭いてるのかと思ったわ! てか、俺はそんなに臭うのか! とかいろいろ思った。
なんなんだこいつは……あ、あれ?
俺は気付いてしまった。
名前も知らないキャラがわざわざ出てくるときって、後々重要キャラだったりするのだ。
ルルなんか、俺は知らなかったので、”ち○こ見る子”とか勝手に名前付けて呼んでたのだ。
いや、でも、気付いたってことは、フラグ立たないフラグかもしれない。
いや、フラグ的には普通に死亡フラグ? 死亡フラグはさすがに嫌だなと思った。
すると、助手が「私も強くなったら、一緒に冒険できるかな?」とか言い出した。
するとテーラとルルが手際よく追い払った。
さすが姉妹、連携が凄い。滅多に連携しないけど。
助手は「ルルシア、ちょっとやめて、まだお話が」とか言いながら排除されて行った。
今回の巨人と勇者絡みで思ったのだが、俺はあまり女と行動するには向いていない。
一人ならどうにでもなる時でも、女達が居ると行動に制限を受けやすいのだ。
それに、寝床も狭くなる。
そうだ、増やすより前に、あいつらに会いに行かなきゃならない。
エスティア、リナ、アイス。2か月以上会ってない。
アイスは途中合流だが、エスティアとリナは、俺がこの世界に来て、助けてもらってから毎日一緒に居たのに。
でも、まあ、また会えるだけ良かった。
俺はあの時もう2度と会えないと思ったから……




