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3-6.やけに短いタンクトップの危険な香り

この世界の女性はあまり裸を隠さなかったりします。回りに男が居ないからです。

でも、周りに男が居ても気にしない女の子も偶に居るのです。

※気にしない子の方がスタンダードみたいです

挿絵(By みてみん)


リナの冒険者服を新調した。


前のやつは、崖から落ちた時にだいぶ傷んでいて、修理しても同じ場所が破れる。

なので、リナのを優先で新調したのだ。


以前から見ていて実感していたが、俺達よりも身なりの酷い冒険者も多い。

好きでやってるわけではなく、装備の更新すらままならない収入しか無いのだ。

冒険者の仕事は一見報酬が高めだが、消耗品の消耗がかなり激しい。

容易には買い替えられないのだ。


古い方も捨てたりせず、予備に持っておく。


これでも、俺が来てから、稼ぎはかなり上がったのだそうだ。


ちなみに熊は殺しても金にならない。

町まで持って行けば少しは金になるが、運ぶ手間が惜しいくらいのレベルなのだ。


冒険者服は、安くて丈夫な作業着って感じのもので、可愛くない。

安くて丈夫と言うよりは、丈夫な割には安いって感じか。

値段だけ見れば、町娘が着てるような服も大差ない。


リナもエスティアも可愛いのに、冒険者服しか持って無いのだ。


テーラは冒険者服の他に、普通の服も持っている。

膨らんだスカートでかわいいやつだ。

エスティアとリナにも冒険者服じゃない普通の服が欲しい。

いつか買ってあげたいと思うのだ。


アイスは冒険者スタイルが似合い過ぎてて、これで良い気がする。

それに、そもそも、アイスには服よりパンツが大事なのだ。

ボロボロパンツは俺の心に優しくないのだ。


※パンツ持ってるだけマシという見方もできます。


========


大鎧の遣いに認定されたので、今までは紹介してもらえなかった仕事が、新たにいくつか追加で選べるようになった。

大鎧様の遣いでないと、受けられない仕事というのがあるのだ。


こいつが凄く報酬が凄く高いのだ。

あんまり金に釣られるのは良くないと思うのだが、いつも銀貨と言ってるやつが小銀貨で、俺はこれが1万円相当くらいだと思っている。


この仕事の報酬は中金貨1枚。なんと小銀貨の100倍。

俺的に100万円相当の仕事なのだ。冒険者の仕事は銀貨1枚でも高目なのだ。


「どうしよう?」とエスティアが、

「どうするトルテラ?」とリナが問う。


エスティアとリナが珍しく俺の意見を聞く。

いつもは俺抜きで決まるのだ。

やっぱり皆大鎧の遣いは俺だと思ってるんだ……と思った。

実は俺も、俺だと思ってるのだ。


珍しくテーラが「受けて」と言った。


やはり今回は珍しく俺が決めて良いのか……

一応アイスの方を見ると、


「俺はなんでもいいよ」と言った。

アイスは金にもあまり興味無いのだ……いや、もうちょっと興味持って、金稼いでパンツ買えよ!と思った。俺の心の中で。


ちょっと遠出になるが、俺はこの依頼を請けることにした。

金貨は成功報酬だが、旅費が別に出るというのだ。


冒険者のエスティアのチームに、アイスとテーラも追加した。

今まで、一緒に行動していたが、登録手続きしてなかったのだ。

普通の仕事は経費が出ないのだが、今度のやつは5人までなら旅費が出ると言うので登録した。

登録してある人数しか、経費が出ないと言われたのだ。


住民さえ管理してない世界で人数分の旅費が出る。

この世界にしては、仕組みがしっかりしすぎていて違和感がある。


大鎧の遣いの関係だけ、システムが存在してる感じで、いかにも怪しい。

だが、テーラが受けてと言った。

たぶんテーラは何かを知っているのだと思う。

何を知っていて、俺に何をさせたいのだろうか?


テーラに、受けてと言った理由を聞いてみた。

一言「迷宮」とだけ言った。


目的地は迷宮だが、迷宮だと良いことがあるのだろうか?と思ってると


「迷宮に行っておいた方が良いと思う」と言った。


良くわからないが、俺は迷宮に行く必要があるようだ。


「私もまだ行ったことが無いから」と言ったが、テーラが迷宮に行ったことが無いから行ってみたいと言う意味なのか、でも、自分の気持ちだけで他人を巻き込んで”受けて”とか言うかな?と思った。


目的地はテンゲス迷宮と言う、管理された迷宮で、地図完備だけど敵が強いので奥まで行くのが大変という話だったが、この世界の普通レベルの冒険者でも、5人組なら気を抜かなければ十分行けるレベルだと言う。


アイスとリナはこの世界ではかなり強い方らしいし、普通の人は大イノシシも狩らない世界みたいなので、たぶん俺から見るとたいした敵じゃないのかもしれないと思った。


俺はやっぱりテーラは何かを隠してると思った。


========


今回は遠出になる。

十分準備したつもりだったが、長期の移動はかなりきつかった。

今までは片道3日までしか経験が無かったのだ。


今までは、水の多いトート森周辺だったので気付かなかったが、延々移動してると、水で困ることが結構多い。

水は有るところにしか無い。

当たり前に聞こえるが、人が住むところには水があるが、住んでないところでは手に入らないときは、ぜんぜん手に入らない。


テーラの家は水が豊富だが、湿気が多い。

少し離れたところに小川があるのだが、滝の湿気が家のあたりまで来る。

滝と言っても2mくらいの落差しかないものなのだが、それでも、かなり激しく湿気が出る。


湿気で困るほど水がある場所と、ぜんぜん手に入らない場所とで差が激しいのだ。


それに有れば良いと言うものでもない。

でかい川とか沼があると、魚とかエビが捕れるのだが、けっこう飲み水に困ったりする。


基本そこらの川や沼の水は使わない。

トート森の川は湧き水なので、そのまま使っても問題無いが、普通の川の水は使わない。

どうしても水が必要なときは、川から適度に離れたところで穴を掘ると水が溜まるのでそれを使う。

川の水直接よりはマシだが、普通に川の水の味がする。

湯冷ましで飲むので、沸かして冷やして、飲めるまで時間がかかる。

とにかく何をするにも時間のかかる世界だ。

人生60年だとしても、この世界の人は日本の1/5くらいのことしか体験できないと思う。

男はそれこそダッシュで死ぬ勢いだ。


雨水はよく使われる。

雨水をためる大きな樽のようなものを設置した家も多い。

深く掘らないと水が出ない土地では、雨水に頼る。

濾過は知られてて、使ってるところもある。

維持に手間ががかかるらしく、あまり使わないようだ。


結局、普通はそんなに深く掘らなくても、水がでるところに井戸を掘って住む。

人が住む場所では水が手に入る。

だいたい共同井戸があって旅人も自由に使える。

街道は、そういう人の住むところを繋いで作られるので、けっこうグネグネ遠回りすることになる。


井戸水でびっくりしたのは、けっこう茶色い水が出る井戸が多いのだ。

俺は井戸水は透明だと思っていたのだが、そうとも限らない。

味も若干土風味だった。無駄にミネラル豊富そうだと思った。


でも、茶色の井戸水はエスティア達は平気で飲んでるのだ。

俺も飲むけど、ちょっと抵抗あるのだ。

エスティアとリナは元々トート森の外から来たので、茶色い水にも慣れてるのだと言う。


アイスの住んでた村も井戸水は多少茶色かったらしい。

テーラは知識としては知っているけど、茶色い井戸水は飲んだことが無かったと言う。

その割には普通に飲んでるが。


さらに水の持ち運びも、びっくりするほど難しい。

ペットボトルが、いかに優れたものであるかを痛感する。

水を持ち歩くのが大変なのだ。運べる水の重さより容器の重さの方が大きいかと思うくらい。

水が染み込むので、容器が無駄に重いのだ。ペットボトルがあれば……。


俺が子供の頃は、ビールやジュースが瓶で売られていて、重いし割れるしで不便だったことを思い出した。


========


この世界では、もしかしたらアイスの方が普通なのかもしれないが、一つ困った問題があった。

アイスが裸だと、俺が困ると言うことをちっとも理解してくれないのだ。


テントで着替えるときも、いきなり脱ぐし、放っておくとトップレスで過ごしてたりするのだ。


裸は辞めれと、その都度伝えてるつもりなのだが、どういうわけか、俺はパンツが好きで、おっぱいには興味無いと思ってるくさいのだ。


全然、意味が分からない。


ところが、せめて最低限これを着とけ、とアイスがたまに着てるやけに短いタンクトップを指定したら、ちゃんとトップレスを、やめてくれるようになったのだ。


そこで俺は気付いたのだ。


たぶんアイスは勘違いしている。

俺は、おっぱいは好きだが、刺激が強すぎて困るから、せめてタンクトップで隠しとけ、と言ったつもりなのだが、おそらくアイスは、俺がタンクトップが好きだから、それを着とけ、と言ったと思ってるのではないかと思うのだ。


俺は、心の中で最大限の遺憾の意を表明しつつも、何も言わないことにした。

アイスに脱いでる方が好きだと知られると、常時脱いでそうな気がするのだ。


そうなると、俺の寿命がどんどん削れてしまうのだ。


でも、やけに短いタンクトップでもちょっとずつ寿命が削れてるような気がするのだ。


アイスは、胸がすごくおしとやかで控え目なので、荷物ガサゴソしてるときとかに、胸のあたりに隙間ができて、見えてしまいそうで、凄く危険なのだ。そうすると動悸がするのだ。


そうすると匂いが出てしまうみたいで、アイスが喜んで、タンクトップ好きだろウリウリみたいなこと言ってきて、俺はそうじゃねえよ……とか思いつつも言えないので、だんだん気力が無くなって、くてっと倒れてしまうのだ。


すると、アイスは興奮して倒れるのと、気力が下がって倒れるのの差がわかってないみたいで、俺が倒れると喜んで興奮して倒れたと思うようなのだ。


でもアイスが優しく介抱してくれたので、俺はちょっとだけ救われた気がしたのだ。


でも、アイスを見上げたら、思いっきりタンクトップの隙間から、見えてしまったのだ。

俺はもう駄目だと思って気絶した。


起きたらアイスがスゲースゲーと大喜びしてたが、タンクトップ刺激が強すぎるから、日頃は隠しといてねと言ったら、これには何故か納得してくれた。おかげでやっと平和になった。



けど、あとで何故かエスティアにお説教されたのだ。

いつも思うのだが、俺が悪いわけでは無いと思うのだが、エスティアはお説教しないと気が済まない子なのだ。


「そんなに短いタンクトップが好きなの? 倒れちゃうほど好きなんだ」とか言われても、俺はタンクトップが好きなんじゃないんだ。

中身が見えちゃうのが問題なだけなんだ、と思うのだが、黙ってた方が平和なので、黙ってお説教された。

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