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やっちゃだめなこと

「ロキソニン氏、ちょっとこっち。」


七瀬さんが須賀君の肩を引き寄せコソコソと話している。…くっ、おしい!今のダサダサ七瀬さんと須賀君が肩を組んでも全然萌えない。


うぬぅ、ここは心の目で脳内補填しよう。七瀬さんはイケメンショタっ子………そんでもって敵幹部のコスプレをして……。見えたっ!


うひょぉー!萌えっ!敵幹部のショタっ子に肩を組まれ困惑する光太。クリクリとした敵の瞳がキュッと細められ挑発的な視線が光太を射抜く。「…ねえ、ボクの方がミーニャより可愛いと思わない…?」組まれてれいた腕がもう一本増え、魅惑の微笑が真正面から光太を見つめる。



………………へへっ、へへへっ。タマランです。

ご馳走さまです。ありがとうございます。これでご飯3杯イケマス。


「しっ、四ノ宮さん…?」


はっ!妄想の世界に入り浸ってしまった。須賀君と七瀬さんが困惑した表情でこちらを見ている。


「あっ、えっと、須賀君達の話は終わったの?」


「ああ、うん。ロキソニン氏に悲しい勘違いだと伝えただけだから。」


「俺はいっそ勘違いのままで居たかったけどね。」


ん?須賀君は何を勘違いしたんだ?っていうか、それは私のせいなのか?


「ほら見ろ、彼女疑問符を浮かべてるだろ。やっぱり全然解ってない。」


七瀬さんが笑いながら須賀君の肩を叩く。

ふむ、七瀬さんはスキンシップが多いようだ。良いでわないか、良いでわないか!これで七瀬さんがコスmenになったらそのスキンシップ能力を存分に発揮して欲しい。


「………四ノ宮さんに俺の気持ちはいつ届くのかな…。」


「某には皆目検討もつかないね。現に今も別のところに思考が飛んでる。」


ん?二人が何かぼそぼそ話しているけど、そろそろ私も写真を撮りたくなってきた。ついでにさっき写真を頼んできてくれた人がチラチラとこちらを見ている。


「あの、そろそろ店番交代しても大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だよ。店番してくれてありがとう。某達が居ない間にかなり売ってくれたから持ってきた本もあと少しだしロキソニン氏と二人で撮影してきなよ。某も売り終わったらそっち向かうし、今日のお礼に帰りは某の奢りで何か食べて帰ろう。んで、送ってくよ。」


七瀬さんがニッと八重歯の覗く笑顔を向けてくる。


「本当ですか?やった!ありがとうございます」


これでコスmen勧誘できるぜ!ヒャッハー。帰りは気を引き締めて七瀬さんが立派なコスmenになれるよう口説かなければ!


「じゃあ、行こうか須賀君。」


「う、うん。」


「あ、今から須賀君のことコスネームで呼ぶから須賀君も私の事コスネームで呼んでね。あとこれ、名刺作っといたから良かったら使って?」


自分のバックから須賀君の名刺を取り出す。この間撮った宅コスの写真を編集してコスネームとコス写真投稿サイトのIDと無断転載禁止等の注意事項入りの名刺だ。


「うわ、いつの間に名刺なんて作ってたの?っていうか、これ俺だよね?!なんか全然イメージ違うっ!超恥ずかしい!!」


「ふふふ。どぅ?良い出来でしょ。この間家に来てコス写真投稿サイトに登録してたときに名刺作らなきゃって思って、内緒で作ってたの。」


名刺に写る須賀君はどっからどう見てもイケメンコスプレイヤー様だ。白いカーテンに凭れ柔らかな日差しの中ふんわりと微笑む光太。うん。バッチシ!


「ねえ、四ノ宮さん。もしかして四ノ宮さんの名刺もあったりする?」


「うん。あるよ?」


「ちょっ、欲しい!頂戴!!」


「いいよ。まだ残ってるから。はい、どうぞ。」


須賀君に名刺を渡すと須賀君はニコニコと名刺を見ていたが、ハタと動きを止め弱冠青ざめた顔で私を見てくる。


「まだ残ってるからってことはもう、かなりの数の名刺を配ったの?」


「うん。店番してるときに写真頼まれたんだけど動けなかったから名刺渡しておいたの。」


「渡した相手って男?」


「う~ん。女の子は一人だったかな?あとは男の人だった。」


そういった瞬間、須賀君がガクリと崩れ落ちた。え?え?なに?どうしたの?


「俺の居ない間に………………。」


ん?もしかして私がいつの間にか写真頼まれたのが悔しかったのかな?折角かっこよくコスプレしたのに自分より先に頼まれて自身無くしちゃったのか?いや、でも須賀君超イケてるはずたがら買い物中に写真頼まれたりしなかったのかな?


「ロキは買い物してる間に写真頼まれたりしなかったの?」


「俺?あー…。うん、頼まれたけど買い物終わってからって言った。」


なんだ、須賀君も写真頼まれてたんじゃないか。じゃあ、なんなんだ?ウンウンと考えてる間に先程名刺を渡した男の人が近寄ってきた。


「すいません、写真大丈夫ですか?」


店番していたときから大分待たせてしまった。それだけ私のコスプレを気に入ってくれたのだろう。これ以上待たせるのは悪い。一先ず須賀君はほっておいて写真を撮ってもらおう。


「あ、はい。お待たせしてしまってすみませんでした。んーと、あちらの空いている壁面で撮影でいいですか?」


写真待ちの男性と壁面に移動しポーズを取る。折角なので自分カメラを男性に渡し、ついでに撮影してもらうことにした。男性は二つのカメラで何枚か撮影するとお礼を言って去って行った。 ふと周りを見渡すと須賀君が可愛らしい女の子達に写真を頼まれていた。

おーおー。モテとりますなぁー。あっ、ピン写じゃなくて一緒に撮影してら。「キャーカッコイイー」なんて黄色い声も飛びがっている。いーなぁー可愛い女の子と写真……。私も女の子にモテたい。上目使いの恥じらった顔で写真お願い去れたい!!よし。今度は男装しよう。須賀君ばっかりに良い思いさせてたまるか。


「あの、写真いいですか?」


次にするコスプレの事を考えていたら声をかけられた。あ、この人もさっき名刺渡した人だ。


「あ、すいません、こっちもいいですか?」


「あ、自分も写真お願いします。」


おふっ!一気に三人から頼まれた!須賀君には負けれられないと慌ててポーズを取りカメラに向かって微笑む。


「「……イイ…………!」」


笑った瞬間、野太い囁きが周りから聞こえた。須賀君の所が黄色い声ならこっちはドドメ色の声な気がする。まあ、喜んで暮れてるなら全然良いんだけど、やっぱりちょっと黄色い声も欲しい。

そう願っても増えるのは男性カメラマンばかり。いつの間にか三人から八人に増えている。


「あの、すみませんポーズ指定しもいいですか?」


いくつかポージングを代えて撮影しているうちにポージング指定の声が掛かる。


「余り際どいのじゃなければ良いですよ。」


「マジですか!じゃあ、ミーニャが6巻の表紙でやってた乙女座りとかお願い出来ますかね?」


あ?6巻の乙女座り?…………ああ、あれか!乙女座りして腰を反らせて右手は床について左手は右二の腕を押さえて胸を強調するあのポーズか!

ミーニャは確か胸が他のキャラよりは小さめの設定で、バトルモードの衣装では、毎回なんとか谷間を作ろうと寄せて上げて頑張っている。そのミーニャの日時を描いたポージングが6巻の表紙だ。だけど、私の胸は結構大きい方だと思う。そんなポーズしたら乳がすごい強調されるんじゃなかろうか。


まあ、とりあえず折角なのでポージングを取ってみる。地面に座り右手のポジションを決めようと体を動かしている間もカシャカシャとシャッター音が聞こえる。…こんな中途半端な所撮っても全然面白くないんじゃなかろうか。

右手を付いて左手を右二の腕に添えると「「おお…!」」とまた野太い声が上がる。しかも先程より大きいざわめきだ。いやいや、ちょっと胸を寄せて上げただけだろ?際どいレイヤーさんはもっとアレなポーズ取ったり、蠱惑的な表情で魅了するんだろうからそんなにザワつく事はないんじゃなかろうか?

とりあえず、表紙のミーニャの表情を真似ようと少し恥じらった顔でカメラに視線を向ける。

座ったせいか写真を撮る人が背伸びして上から撮ろうとするせいなのか、はたまた多くの男性に囲まれてしまったせいなのかはわからないが、カメラのレンズが自分に向かって一杯向いてるのがちょっと怖くなった。なんか悪いことしてマスコミに追われてる犯罪者みたい…………。


「ありがとうございました。」


写真を撮った男性が幾人か去って行ったが、今度は女の子が声をかけてきた。


「あの、すみません私もポージング指定しても大丈夫ですか?」


あ、この人さっき唯一名刺渡した子だ。

メガネっ子可愛いなー。身長は私より小さいけど落ち着いてるから私より年上かな?

うんうん。女の子の頼みなら何でも聞いちゃいますよ!

私が承諾すると女の子は背中の撮影を希望してきた。


「さっきもチラッと拝見したんですが伊織さんて背中のラインすごく綺麗ですよね!ミーニャの衣装って背中の編み上げが透けててちょっとセクシーじゃないですか、背中が綺麗じゃないと着れないから羨ましいです!」


うほぃ。そんなに褒められると照れちゃうぜ!でも背中を誉められるのってかなり嬉しい。なかなか自分で見えないところだけど、その分コスプレしたときに結構見られるだろうからと入念にケアしてきた。

時には母親に協力してもらって泥パックしてみたり、マッサージもしてもらってからなぁ。

そんな努力の結晶の背中を撮影してもらうべく後ろを向いて少しだけ女の子の方に視線を向ける。

カシャカシャとシャッターを切る音が聞こえ、終わりかと思った瞬間微妙な場所からフラッシュが光った。

バッと振り返れば、かなり低い位置から撮影を許可していない男性が私を撮影していた。


「あの、ちょっと………」


ローアングルからの撮影を止めて下さい。と言う前に相手がそそくさと逃げ出した。

一応下着が見えないようにアンダーペチコートは履いてきたが、それでも気分は良くない。慌てて画像を消してもらおうと足を踏み出したとき、女の子に囲まれていた須賀君が飛び出し、相手の男性の首根っこを捕まえた。






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