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【WEB版】異世界転生した元教師、【臨時教師】として崩壊した魔術学園を救う。『GA文庫様より11/15発売!』  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第88話 問題なさそう


「前よりもすごく聞き取りやすくなりましたし、授業の内容も頭に入ってくるようになりました」


「ええ、私もそう思います。以前と比べると、まるで別人が授業をしているようです」


「ほ、本当ですか!」


 放課後の研究室。


 今日の魔術史の授業の感想をベルンとシリルがイリス先生に伝える。


「イリス先生、すっごく良かったです!」


「そうですね、あとはもう少し声が大きければもう大丈夫だと思います」


「は、はい、頑張ります! メリアさん、エリーザさん、皆さん。本当にありがとうございました!」


 イリス先生が生徒たちに頭を下げる。メリアの方もイリス先生と一番長い時間目線を合わせて話していたこともあって、多少は人見知りだった性格が改善したのかもしれない。


「声の大きさなら声を大きくするような魔道具があればいいんじゃないですか、ねえギーク先生?」


「そうだな、ノクス。ただ、せっかくなら自分の声で授業をした方がいいし、もう少しだけ頑張ってみてもいいかもしれない」


 エリーザも俺と同じことが気になっていたようだ。確かに声の大きさは音を増幅する拡声の魔術を使った魔道具を作ることができる。


 ただ、前世の大学のようなおおきな講堂ならともかく、この学園の教室は肉声で十分に声が届く。自分の声で授業をするのも上がり症を克服するための良い訓練にもなりそうだし、できる限り頑張ってもらった方がいいかもしれない。


「はい、頑張ってみます! ノクス先生やギーク先生にも本当にお世話になりました」


「いえ、僕で力になれたのなら何よりですよ」


「ノクスはともかく、俺はそれほど力にはなれなかったから、あまり気にしなくていいぞ」


 イリス先生の上がり症を克服するための訓練内容は提案したが、実際に訓練をしてくれたのは生徒たちやノクスだ。


 俺の方もルシアン先生への算術の授業の引き継ぎをしたりと別のことをしていたから、あまり手伝うことができなかった。


「とんでもないです! 最初にギーク先生へ相談したおかげで皆さんが力を貸してくれました。ただの同僚である私にここまでしてくれて、ギーク先生には本当に感謝しています!」


「そ、そうか……」


 イリス先生がこちらに詰め寄ってくる。


 前世では同僚の相談を聞いたりこちらから相談をしたりすることは多かったのだが、こちらの世界の教師間の関係は非常に薄く、交流なんてほとんどないようなものだった。イリス先生からしたら、無償でそこまで協力してくれるとは思っていなかったのかもしれない。


 俺としては生徒たちがより良い環境で学べるのなら、それくらいお安いご用だったのだがな。


「イリス先生、少し離れましょうか。イリス先生みたいな魅力的な女性に迫られたら、ギーク先生も困ってしまいますよ」


「へっ? ……あっ!」


 ノクスがそう言うと、イリス先生が俺から少し距離を取った。


「す、すみません! 私みたいに何をやっても駄目な女が本当に失礼しました!」


 イリス先生がうなだれてしまう。


 イリス先生はたまにこうやって後ろ向きなモードに入ってしまうことがある。それも学生時代に周りの女生徒から胸が大きいことをからかわれ、いろいろと酷いことを言われたようで、上がり症の原因にもなっていたことだから仕方がない。


 こういう時はポジティブなことを考えることが第一である。


「ほらイリス先生、また背中が曲がってきていますよ。学生時代に言われてきたことなんて全部忘れてください。イリス先生はとても魅力的な女性なんですから、もっと自分に自信を持っていいんですよ」


「み、魅力的!?」


「「………………」」


 なぜか横にいる生徒たちから視線を感じる。


 というか、ノクスはこちらの方を見てニヤニヤしていないで、一緒にイリス先生を持ち上げてやってほしい。


 俺よりもイケメンのノクスに褒めてもらった方が効果はありそうなんだが。


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