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【WEB版】異世界転生した元教師、【臨時教師】として崩壊した魔術学園を救う。『GA文庫様より11/15発売!』  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第82話 勉強会への参加


「イリス先生、ちょっといいですか?」


「は、はい!」


 昼の休憩時間となり、イリス先生がいる教室へとやってきた。


 授業と授業の間にも移動や休憩時間があるが、今の俺は3教科を教えているため休んでいる暇がないので、昼の長い時間にしか来ることができない。


 だが、今朝アノンから通達があり、算術の授業の教師を確保できたそうだ。ここから数日の間にノクスもその教師について調査してくれるから、それが問題なければ来週くらいに算術の授業を新しい教師に引き継ぐ予定である。


 今回の教師はアノンがちゃんと面接をしたし、ノクスが素行調査をしてくれるので、まともな教師であるはずだ。前の学園長が雇った教師はコネばかりでろくな教師がいなかったからな……。


「今日の放課後ですが、実は昨日の残っていた生徒たちからイリス先生に協力したいという申し出がありました。俺からイリス先生のことを生徒に伝えたわけではないのですが、どうやら昨日の様子を見てイリス先生の相談内容について察したようですね」


 もちろん守秘義務やイリス先生の立場もあるので俺の方からそんなことを生徒たちに言う訳はないが、シリルが昨日の様子を見て相談内容を察したようで、すでに放課後の勉強会のメンバーに了承を取って協力してくれるという申し出があった。


 一旦はイリス先生の相談内容ごと曖昧にはぐらかしておいたが、確かに生徒たちの協力があった方がイリス先生にとっても有益であることは間違いない。いくら俺がイリス先生にアドバイスを送ったとしても、実際に授業を受けるのは生徒たちなのだからな。


「もしもイリス先生がよろしければ生徒たちに協力をしてもらい、放課後におこなっている勉強会の時間にあがり症を克服する練習をしませんか?」


 予定では生徒たちの勉強会が終わる17時以降にイリス先生と授業の練習をおこなう予定だった。


 残業にはなってしまうが、イリス先生の件については生徒たちの都合には関係ないことだったからな。もちろん残業をするは嫌だが、生徒たちのために自ら俺へ頭を下げて協力を求めてきたイリス先生の姿勢を無碍にするほど鬼ではない。


 ただ、生徒たちが協力してくれるというのなら、いつもの勉強会で一緒に勉強をしつつ協力してもらうのが良いという判断だ。あとはイリス先生がそれを是とするかだな。


「わ、私なんかのために生徒たちが……。ありがとうございます、喜んでお願いしたいと思います!」


「わかりました。それでは授業が終わったら、昨日の俺の研究室にまで来てください」


 どうやらイリス先生の方も問題ないみたいだな。前世でも教師である俺が生徒たちから教わったり助けてもらうことはあった。それを決して受け入れられない教師も数多くいたが、それは事実なのである。


 それにしても、シリルたちから積極的に手伝ってくれるという申し出があったのは驚いた。本当に良い生徒たちを受け持ったことだ。






「ま、魔術史を担当しているイリスです。あ、改めましてよろしくお願いします!」


 そして放課後。


 すでにいつものメンバーが揃っている中で、イリス先生が俺の研究室へとやってきた。


「イリス先生は少し悩み事があって相談しに来てくれた。ここでのことは他の生徒には内緒にしておいてくれ」


「はい、承知しました。イリス先生、こちらこそよろしくお願いします」


「ひゃ、ひゃい。エリーザさん!」


 エリーザがお辞儀をすると、ものすごく動揺しながら再び頭を下げるイリス先生。


 昨日エリーザとソフィアはいなかったし、あの反応だとどうやら第三王女であるエリーザが放課後の勉強会に参加していることは知らなかったみたいだ。


「シリルも本当にありがとうな。実際に生徒であるみんなが協力してくれるのはとても助かる」


「ギーク先生にはこれまでたくさん助けてもらいましたからね。……決して私たちが帰った後にギーク先生が何か問題を起こすとか考えているわけではないですよ」


「………………」


 そんなジト目で俺を見つつ、あえて釘を刺さなくともそんな馬鹿な真似はしないというのに……。アノンのやつもそうだが、俺ってそこまで女性にだらしがないように見えるのだろうか……?


「ギーク先生はすでに3教科も授業を担当してくださっておりますので、これ以上他のことにお時間を取られるのはよろしくありません。ぜひとも問題を早期解決しましょう。私もそのためには協力を惜しまないつもりです」


「いや、心配してくれるのは嬉しいが、そんなところまでエリーザが気にする必要はないからな……」


 エリーザのその気持ちはありがたいが、生徒たちに心配されるとは俺もまだまだである。


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