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【WEB版】異世界転生した元教師、【臨時教師】として崩壊した魔術学園を救う。『GA文庫様より11/15発売!』  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第74話 向上心


「こっちの簡易式ゴーレムの方は操作用の魔術式を教えるから、希望者は実際に動かせるようにしておこう。さすがに大きな方は危ないから動かさないが、構造に興味があるようなら近くでじっくりと見てみるといい」


「ギーク先生、やらせてください」


「私も操作してみたいです」


 魔導ゴーレムに興味を持っている生徒も多いようだ。いつもの実戦演習もいいが、こうやって魔術に関わりのある魔道具などを教材に扱ってもいいかもしれない。


 そこから興味を持ち、将来の道を決める生徒もいるかもしれないからな。いろんな道があることを教えるのも教師の仕事である。


「おい先公。今日こそ一撃を入れてやるからな!」


「ゲイルは相変わらずだな。他の者もいつものように演習場を使って魔術の練習をしたり、模擬戦を初めてもいいからな」


 ゲイルも若干大きい方の魔導ゴーレムに興味を示したようだが、俺との模擬戦を優先するらしい。何度も手合わせをしてすでに分かっているが、ゲイルは魔道具などに頼らず、直接戦闘にこだわるタイプのようだ。


 魔術のあるこの異世界では自分自身の力を極限まで磨きたいという者も多い。新しく覚えた雷魔術のを試してみたいというのもあるのだろう。口は相変わらずだが、魔術に対する姿勢は他の生徒も見習ってほしいところである。




「……ちっ、まだ届かないか」


「ふむ、今のライトニングテンペストは実に見事だ。これまで見せてもらった魔術の中で一番の威力と効果範囲だったぞ。以前に魔導ゴーレムの眼を通してすでに俺が見ていたということもあるし、落ち込む必要はない」


 ゲイルとの模擬戦が終了する。


 初めて模擬戦で使用した雷魔術は先日凶暴化したレッドオーガに放った魔術だった。広範囲かつ威力も十分なので、実戦でも十分に通用するだろう。


 おそらくだが、俺だけではなくエリーザとの実戦も意識しているな。先ほどの魔術なら、手数が多く高出力の魔術を連続で放つエリーザでも防御に回らざるを得ないはずだ。あの模擬戦での敗北からもしっかりと学んでいるようだ。


「今の時点で威力は十分なので、あとは詠唱時間をどれだけ短くできるかだな。こればかりは経験や日々の繰り返しも大事だから、引き続き鍛錬を続けることを勧めるぞ」


「ふん、余裕ぶっていられるのも今のうちだからな!」


 踵を返して演習場から出ていくゲイル。最近は俺もだいぶ慣れてきて、演習でどれくらいのダメージを与えればブザーが鳴るか分かってきたから、最低限のフィードバックで模擬戦を終えられるようになってきた。


 ちなみにゲイルは先週のこの時間に俺ではなくメリアと模擬戦をしていたな。凶暴化した魔物と戦っていたメリアを見て模擬戦をしたくなったようだ。ゴーレム越しに見ていたメリアの戦闘は十分に特待生の実力を見せつけていたからな。


 結果から言えばゲイルの勝利だった。前回の件で多少は魔物や対人戦に慣れてきたらしいメリアだが、まだゲイルと正面から戦うのは怖いようで、ビビりまくって本来の実力が出せなかった。ゲイルや一緒にいるクネルやハゼンは普段の言動がきつめだから、気の弱いメリアには少々酷なのかもしれない。


 ゲイルも本気を出せと怒っていたが、こればかりは個人の性格にもよるからな。とはいえ、仲間と一緒に強大な魔物と戦った経験のおかげで以前よりは良くなってきたみたいだし、この学園を卒業する前までに慣れればいいだろう。






 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


「すごいですね、本当に思った通りに動きますわ」


「ゴーレムなのにどこか可愛らしいですね」


 放課後の研究室。先週の演習場でおこなった放課後の勉強会に参加できなかったエリーザとソフィアに小さいほうの魔導ゴーレムを見せている。


 走るくらいの簡単な動作しかできない犬型のゴーレムだが、ゴーレムを操作するには多少難しい。それをたったの数回で動かすことができるエリーザはやはり魔術の才能がある。


 ソフィアの方は研究室の机の周りを走り回っているゴーレムの頭を撫でている。意外と小動物が好きなのかもしれない。


「大きい方のゴーレムは本当にすばらしかったです。現在研究が進められている魔導ゴーレムの性能を遥かに超えていました。さすがギーク先生とあの御方が共同で作り上げた魔道具だけありました」


「右腕が剣になっていたし、とっても格好良かったです。他にもどんな機能があるのか気になりますね」


「と、とってもすごかったです」


 他の3人も俺が作りあげた魔導ゴーレムを褒めてくれている。あの魔導ゴーレムは趣味で作った物だが、見せる相手もいなかったので少しだけ嬉しかったりもした。


「皆さんが本当に羨ましいです……。本当に家の用事なんて煩わしいですわね」


「も、申し訳ございません。姫様には学ばなければならないことも多くありますので……」


「ごめんなさい、別にソフィアを責めているわけじゃないわ」


 実際に大きい魔導ゴーレムを見ることのできなかったエリーザが悔しがっている。この国の第三王女だと、王族としてやるべきことは他の生徒よりも多いのだろう。


 うん、面倒な王族なんかに転生しなくて本当に良かった。ただ、王城には豊富な魔術の文献なんかもあるだろうし、素材なんかもいくらでも買ってもらえそうだから、それだけは羨ましい。


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