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【WEB版】異世界転生した元教師、【臨時教師】として崩壊した魔術学園を救う。『GA文庫様より11/15発売!』  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第65話 何者?


「さて、基本魔術の授業を始める前に少し先週のことを話そうと思う」


 週が明け、またいつもの学園の授業が始まった。


 先週あれほど怖い目に遭ったにもかかわらず、Bクラスの生徒は全員が登校している。生徒たちに深い心の傷が残ったりしていなくて本当によかった。


「今回の件には昔戦争で使用されていた魔物を凶暴化させる魔道具が使われた。人為的に騒動を引き起こし、俺を狙う計画だったようだ。みんなを巻き込んでしまって、本当に申し訳なかった」


「「「………………」」」


 生徒たちに向かって深く頭を下げた。


 今回の事件の責任はすべて俺にある。セラフィーナ伯爵家がまさかあれほどのことを引き起こすとは読めなかった。生徒たちは非常に怖い思いをさせてしまったし、きちんと謝罪はしなければならない。


「おい先公、そんなことはどうでもいい!」


「……ん?」


 俺の謝罪を遮るようにゲイルが立ち上がった。


「それよりも貴様が何者なのかをさっさと教えろ! あの雷の魔術、見たこともない人形に高性能なポーション。なぜあんなものを貴様のような平民が持っている?」


「………………」


 ゲイルは今回の事件を引き起こした首謀者や俺の謝罪よりもそちらの方に興味があるらしい。


「そうですね。あれほどのことをしでかしたわけですし、先生を狙ったという者はすぐに処罰されるでしょう。私もこの件の概要よりもそちらの方が気になります」


「わ、私はお父さんとお母さんを助けてもらいましたし、ギーク先生にはとっても感謝しています! で、でもギーク先生が教えてくれるのなら聞きたいです!」


 シリルとメリアも俺が原因であることについてはあまり気にしていないようだ。


 そうだな、生徒たちがそれを望むのならば、俺もそれなりの誠意を見せるとしよう。


「みんなの気持ちはわかった。実は――」




「まさか、ギーク先生があの()()()()()()()()()だったなんて、本当に驚きました!」


 ベルンが驚愕の声を漏らす。


 そう、弟子である。


 生徒たちに俺自身がギルであるということを話すか迷ったのだが、結局以前にエリーザとソフィアを助けた時に誤解された内容を採用することにした。


 嘘を吐くのは少し後ろめたいのだが、本当のことを話すと俺がこの学園で教師をすることができなくなるかもしれないし、なにより生徒たちが狙われる可能性まで出てくる。


 もしもこのことが外にバレたとしても、俺が弟子ということにしておけば、ギルの名に用がある者達は直接俺へ来るだろう。今回は生徒達を危険な目に遭わせてしまい、生徒たちが知りたいと望んでいたこともあって、Bクラスの生徒たちにはそこまでのことを話した。


 Bクラスは全員が防衛魔術の課外授業に参加していたので今日の授業中に話し、放課後の勉強会に熱心に毎日参加しているメンバーにもそのことを伝えた。


 ここ数年はずっと研究室にこもっていたため、俺がギルであるということを知っている者はかなり限られており、俺がギルと関わりがあるということを話すだけでも結構な誠意を見せたつもりである。


「やはり私の予想は当たっておりましたか。ですが私とソフィアだけの秘密でなくなってしまったのは少し残念です」


「さすがは姫様です! それにしても、凶暴化した魔物を一人で退けてしまうとは、ギーク先生は本当にすごい。その魔導ゴーレムという魔道具はこの目で見てみたかったですね」


「あ、あの魔導ゴーレムは本当にすごかったです! それに雷の魔術は私たちが苦労して一体倒すのがやっとだったレッドオーガを一撃で全部倒しちゃいました……」


 エリーザ、ソフィア、メリアがそんなことを言う。


 さすがに紫電狼は演習場で見せるわけにもいかない。下手をすれば演習場の魔導具を壊してしまうかもしれないし、ダメージを無効化する上限を超えてしまう可能性もある。


 魔導ゴーレムの方も力と速さがあり過ぎて手加減ができないため演習では使えないが、見る分には問題ないか。


「………………」


「シリル、どうかしたか?」


 さっきからシリルがボーッとしていた。というよりも、Bクラスの授業でこの話をした時からずっとこんな調子で少し心配になる。


「どうもこうもありませんよ! ギル大賢者様ですよ! ギーク先生があのお方の弟子だったなんて、もっと早く教えてくださいよ!」


「あ、ああ……」


 先ほどまで静かだったシリルがいきなりこちらに詰め寄ってきた。いつもとはだいぶテンションが違うのだが……。


「シリルもギル大賢者を知っていたのだな?」


「当たり前ですよ! 魔道具に興味を持っていてギル大賢者様を知らない者などいるわけがないです! これまでの魔術理論を百年以上進め、これまでに数えきれないほどの便利な魔道具をいくつも開発し、長い歴史のあるこの国でも一番名高いあのギル大賢者様ですよ!」


「お、おう……。そんなにも有名だったんだな……」


 シリルがこれまで以上にない熱で俺のことを説明してくれる。ずっと研究に打ち込んでいたから知らなかったのだが、世間ではそこまで評価が高かったのか。


 さすがにこの国一番の大賢者というのは大袈裟だぞ。シリルは魔道具に興味があるようだし、補正がかかっているのだろう。


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