表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】異世界転生した元教師、【臨時教師】として崩壊した魔術学園を救う。『GA文庫様より11/15発売!』  作者: タジリユウ@6作品書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/132

第35話 基本魔術の授業

3

「さて、まずは席に着いてくれ。今日の授業を始めるぞ」


「「「………………」」」


 今週の2日目。今日はまずCクラスの授業からである。


 俺がそう言うと、Cクラスの生徒は言われたとおりに席へ着く。このクラスでも授業を妨害しようとする者はチョーク弾で静かにさせてきたから、俺に反発する生徒も黙って席について他の者を邪魔しないように授業を受けるようになってきた。


「あの、ギーク先生。この時限は()()()()の授業のはずなのですが……?」


 いつもの勉強会にも参加しているベルンが手を挙げて質問してくる。


「ああ、基本魔術担当のマナティ先生は諸事情により退職された。そのため、新たな担当の教師が見つかるまで、この授業も俺が教えることになった」


 マナティが懲戒処分となったことはまだ掲示されていない。


 昨日マナティを拘束した後はあいつの記憶を読み取り、エリーザとソフィアの誘拐に関わっていた証拠をセットにして国の騎士団に通報しておいた。犯罪組織のアジトに残しておいた証拠とあわせて、クロード伯爵家と一緒に正式な処罰を受けてもらうとしよう。


 ちなみにアノンのやつまで一緒に来ると、怒りで屋敷ごと吹っ飛ばしそうなので俺一人で行った。あいつは怒るとマジで怖いんだよ……


「防衛魔術と授業がかぶっている明後日の授業はしばらく魔道具の授業と交換になるからよろしく頼む」


 国からの正式な発表があるまで、マナティが担当していた基本魔術の授業は新しい担当が見つかるまでは俺が担当することになった。毎週4クラスを2~3限分ずつだから、まだ多少は余裕がある。


 他のクラスの防衛魔術の授業とかぶっている授業は他の授業と交換してもらう予定だ。


「ギーク先生は防衛魔術だけでなく、基本魔術も教えることができるのですか?」


 別の生徒が手を挙げて質問をしてくる。


「ああ、問題ない。むしろ防衛魔術よりも基本魔術の方が教えるのは得意だ」


 基本魔術はその名の通り基本的な魔術の習得や属性といった魔術の理解を深める授業だ。他の魔術の授業の根本になる授業でもあるから、本来ならば大事な授業のひとつでもあった。


 少なくともあいつが教えているよりはマシだろう。あとは授業中に大幅に話が脱線しないように気を付けないといけないな。授業での多少の脱線は楽しいものであるのだが、俺の場合は魔術が好きすぎて大いに脱線してしまいそうである。研究者はいろいろと語りたいものなんだよ。


「気になることがあれば随時質問をしてくれ。それでは授業を始める」






「……まさかギーク先生がいきなり基本魔術の授業を教えるとは思っていませんでした」


「僕もびっくりしました」


「わ、私もです!」


 放課後のいつもの勉強会。開口一番に今日の基本魔術の授業の話となった。今日はBクラスとCクラスの基本魔術があったため、ベルンだけでなく、シリルとメリアもそのことを知っている。


「……私たちには昨日のうちに教えてくれてもよかったのではないですか?」


 シリルが不満そうに言う。


「すまんな、本当に急遽決まったことなんだ。その証拠にマナティ先生は昨日までは普通に基本魔術の授業をしていたからな。俺もたった一日で授業の準備をするのはかなり大変だったぞ」


 授業を休んで少しでも疑われたくなかったマナティは昨日の基本魔術の授業は普通に教えていたようだ。しかもエリーザとソフィアがいるSクラスの授業もあったんだから、本当に面の皮が厚い。


 とはいえ、アノンと事前に話してこうすることは決めていた。いきなり一人教師がいなくなるのだから、そのケアはしっかりしておかないとな。


「ですがギーク教諭が基本魔術まで教えてくれるのはとても楽しみですね。少なくとも以前までの授業よりも学ぶことは多いでしょう」


「た、確かにこれまでの授業よりはとても勉強になりました。マナティ先生が間違えて指導していた部分もありましたから」


「やや、やっぱりギーク先生は教えるのがとても上手です!」


 若干まだエリーザの反応にはドギマギしているシリルとメリアだが、まだ2日目だからな。少しずつ普通に接することができるようになることを祈ろう。


 今日はSクラスの基本魔術がなかったから、エリーザとソフィアは明日だな。


「まあ、そう言ってくれるのは嬉しいところだ。俺もあまり授業を脱線しないように気を付けるとしよう」


 俺の負担は多少増えるが、伯爵家という面倒な家柄で排除が面倒だったメリアのSOSを無視した教師を一人懲戒処分にできたのは大きかったな。エリーザとソフィアまで殺そうとして、本当に教師としてどころか人間として失格だった。


 他にもまだマナティみたいな教師がいるんじゃないかと心配になる。他の授業の教師の調査も進めていきたいところだな。




「今日もありがとうございました。それでは失礼します」


「し、失礼します!」


「ありがとうございました。また明日もお願いします」


「おう、気を付けて帰れよ~」


 17時となり、シリル、メリア、ベルンを見送る。


「さて、残ってもらって悪いな」


 そして少し話があるので、エリーザとソフィアには残ってもらった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

◇書影公開中◇

◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

(リンクからイラストが見られるAmazonへ)


― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ