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Blank-Blanca[ブランクブランカ]  作者: 奥山柚惟
第6章 前後不覚を取らぬよう
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お茶の間の攻防戦

 ログハウスの一階のリビングは広かった。ローテーブルを囲むようにソファーが三つほど置かれ、それとは別にダイニングテーブルも誂えてある。


 そしてなんとテレビがある。お分かりだろうか、テレビである。安定した稼ぎのある者しか手に出来ない、最新鋭の情報機器である。それも見たことのないほど大きな画面で、両サイドには高そうなスピーカーまで設置されている。


「テレビ、観る?」

「いえお構いなく」


 おっと、つい目線がそちらへ行ってしまっていたようだ。ガナンに声をかけられて慌てて居ずまいを正す。

 三人掛けのソファーに俺とイコが座り、ガナンは右手の一人掛けソファーに沈んでいる。そう、沈んでいるのだ、彼はどうも疲れ切っている様子でいるのだ。


「あんた、大丈夫か?」

「顔色そんなに酷いかい」

「隈が瞳の色より濃くなってる」


 ガナンは笑うが、冗談抜きにまったくその通りなのだ。まるで何日も寝ていないかのような。

 そのガナンの後ろで立っているのが、栗色の髪の女性ローズだ。銃を隠し持っている俺たちとは対照的に、胸元のホルダーに二丁、拳銃が収まっている。ラヒムをして「やり手のガンナー」と言わしめるほどの実力者、あまりやり合いたい相手ではない。

 だがベイはそうではないらしい。分かりやすく警戒心を露わにするベイは、俺とイコの背後で睨みをきかせている。仁王像でも置かれているかのようだ。


 すっかり小間使い然と働かされているラッドが紅茶を運んできて、ガナンが頭を下げた。


「まずはお礼を。ぶしつけな招待に応じてくれて感謝するよ。今、僕らは社内でも裏切り者の一味ということになっているのでね、あまり表立って動くことができないんだ」

「その辺りについても説明が欲しい。ラヒムたちが心配していたぞ」

「……うん。可能な限り、君たちには教えてあげよう。でもすべては答えられない。作戦上語れないこともあるし、僕らの知り得ないこともある。それは承知してほしい」


 目頭を軽く揉んで、ガナンは指を組んで上目遣いに見上げてきた。


「少し遠回りになるが、最初から順を追って話そうか。ボスのガヴェルは、施設から逃走した君を陰から支援していた。もちろん、表沙汰にそうとは分からないようにね。しかし君が十八歳を迎えたことで、様々な事情が変わってしまった。“少年”から“名前を公表できる一般人男性”に変わってしまった、だから追手は何なりと難癖をつけて君をつけ狙えるようになった。逆を言えば、こちらも堂々と保護できるようになったということでもあって──」

「それで、俺の護衛とサポートを申し出てきたと」

「そういうことだ」


 頭を整理するのにちょうどいい。ガナンの話に乗ってこれまでの状況を一度洗い、それからどう出るつもりか見極めよう。

 ガナンは軽く頷いて、続いてイコの方を向いた。


「一方、お嬢さんのことだ。こちらもボスが随分前から布石を打っていたようでね、ザッケス博士──君のお父さんに、研究にまつわる物をどこかへ隠すよう指示していた。娘である君に託したのは意外だったそうだけど」

「ふうん」


 イコの反応は鈍い。何か考えているようでもあるし、あるいは興味なさげにも見える。


「もう情報を得ているかもしれないけど、ナダたちキース族を閉じ込めて研究していたのは“エイモス社”という組織だ。ザッケス博士はエイモス社の薬品開発部門に起用され、裏でベルゲニウム研究に携わっていた……というより、させられていた。従わなければ、本人も、その家族も、命が危うかったんだ」


 やはりか。家族をダシに脅されていたのだ、ザッケスは。

 イコは何を思っているのだろう。そういえば、俺はイコの口からザッケスに関する話を聞いたことがない。父親が研究に関わっていたと明かしたほかは、“父親”としてのザッケスの話を、まったくしたことがない。


「それは分かった。けど、どうしてガヴェルがザッケスに手を貸したんだ? 知り合いだったのか?」

「いいや。正直、どんなお考えからそうしたのかまでは知らない。ただ、博士の意思がどうであれ、ベルゲニウム研究の中核を担っていたことは確かだ。本心から研究に参じていたのでないならば尚更、味方にしない手はあるまい……ということじゃないかな」

「あんた、よくガヴェルについて行ってるな……」


 何を考えているか分からない上司に、自分の身を投げうってまで仕えられるものだろうか。俺にはそんな経験などないから、少し羨ましくもある。

 ──いや、一人だけいた。コンビニの店長は心配になるくらいに良い人だった。例えばああいう人なら、きっと身を挺してでも守ろうと思う。


「それで……今は何を?」


 これまでのおさらいが終わったところで、ガナンに問う。

 一口紅茶を啜ってガナンは腫れぼったい瞼を持ち上げた。


「率直に言えば、君たちのサポートを命じられている。ボスは今、少し事情があってあまり身動きが取れない状態だ。僕らを切り離し、一見ボスとは離れたところで、引き続き君たち三人を支援するようにと」

「必要ないと言ったら?」

「必要ない? 本当にそう言っているのか? これまではいろんな情報がベイの元へ集められ、判断ができていた。今はそれがないんじゃないか。僕はチームの中でもオペレーター、あらゆるところから判断材料になり得るものをかき集め、それを適切な場所へもたらす役割をしている。僕と手を組めば、ある程度の安全なルートを行けると約束しよう」

「見返りは?」

「……ナダ。信用できないのは分かるけれど、僕らは別に取引を持ち掛けてるわけじゃないんだ」


 ガナンの眉がハの字に曲げられる。

 こうして話した手応えからも、一見すると人当たりの良い、善良な人物に思える。だがガラクトの旅を経、更にベイの前情報から──相当頭の回る抜け目のない男だと、俺は知っている。

 対して俺はそんなに頭が良くない。せいぜい頭のいいフリを決め込むほかないのだ。


(俺は頭がいい……俺は頭がいい……)


 自分の脳みそに暗示をかけて、努めて平静を装って茶髪の男を見返す。そしてきっぱり言い放った。


「あんたとはできるだけ敵対したくはないんだがな。しかしガヴェルが味方だという確証も、今となっては持ち得ないのだ。俺の過去にあの男がどう関わっているのか、俺自身の記憶で確かにしてから判断したい。それに」


 背後で(いかめ)しく見守るベイをチラと見遣って、続ける。


「お前たちのやり方は人を殺しすぎる。ベイを通して散々伝えた筈だな? キース族として、この件に関してこちら側が手を下すのは避けたいと。ところがどうだ、(こと)ガラクトに()いては強行手段もいいところだ。裏切り者の処理云々にしては、(いささ)か度が過ぎやしないか」

「……そうだね。君の言うとおりだ」


 苦虫を潰したようにガナンが唸る。いいぞ、この調子だ。古めかしいキース口調はバカを誤魔化すのに一役買ってくれているようだ。


()のご老人からすれば、こちらは孫ほども歳が離れた若造だ、危なっかしいというのも分かる。だがおいそれとそちらの“保護下”に身を置いたままでも居られない。そろそろ自立させてほしいとでも伝えてくれ」

「しかし──」

「それとも何か、俺を監視しておく必要でもあるのか?」


 依然、ガナンの顔は苦いままだ。

 ……が、反応が妙だ。図星をつく問いかけをしたつもりだったが、意図しているのはもっと別のことなのだろうか?


(何だ……何か変だ)


 考えてみれば、俺を監視する目的が分からない。意味がない。俺はただ施設に捕らわれていたというだけで、大して重要な何かを持っているわけではない。“俺自身が検体だ”ということ以外に持ち合わせがないのだ。

 俺の身に起きている異変を注視するため? ならば、能力を使ったり暴走を起こしたりした時に、何かしらのコンタクトがあったはず。

 それとも記憶が目当てか。いや、少なくとも主目的ではないだろう。封印した記憶の奥にある何らかが鍵となるならば、ガヴェルはもっと必死になって俺を守ろうとするだろうし、追手は捕縛ではなく抹殺を図るだろうから。


「ナダ?」


 黙りこくったままの俺を訝しげにイコが見上げてきた。

 その瞬間、脳みそが働くより先に、点と点が線で一気に繋がっていった。


 この人たちが……ガヴェルが守っていたのは、俺ではない。

 イコだ。“白い少年の護衛”という名目に隠して、その実は研究者の娘が持つデータを追手から遠ざけていたのだ。


「俺、ずっとガヴェルに訊いてみたいことがあって」


 動揺を悟られまいと、震えを抑え込んで口を開く。


「通信で少し話した時、『世界平和のためだ』と言ったんだ、あのじいさまは。ガヴェルの言うそれは何だ? 何を終着点とするものだ、キースの持つ能力がそこへどう(くみ)する? 平和などとは対極にある、この力が」


 外から野鳥の囀りが聞こえる。近くに巣でもあるのだろう、いくつもの鳴き声がハウスの中にも届いていた。

 拳が握り締められるギリギリという音がした。ガナンからだった。


「すまない。だがそれは言えない」

「内容次第で、俺があんたらの要求を呑むとしてもか」

「…………」


 顎の筋が浮きだっている。歯を食いしばっているのだ。

 俺は深く息をついて、背もたれに体を預けた。ガナンたちからすれば要求が跳ね除けられたことになり、俺は知りたいことを得られなかった。


 つまり交渉決裂。

 武器の交わし合いに至るかどうかは、俺とガナンの出方にかかっている。がんばれ俺、頭回せ。


「まあ、あんたが嘘をつく男じゃないのは分かった。その態度すら演技というのなら話は別だけど。さっきも言った通り、俺はあんたと敵対することを望んではいない。一番いいのは関わらないで放っておかれることなんだけど……」


 仮にイコが彼らの目当てなのだとしても、俺を手放すのもまずい、そういうことなのだろう。


(でもな、ガナン、あんたたちに故郷の場所を教えるわけにはいかないんだ)


 この一点だけは譲れない。だが、戦闘は避けたい。ガナンの後ろに控えるローズを見て、もう一度息をついた。


「……どうも、タダでは帰してくれなさそうだな」

「ローズ。銃を置いてくれ。僕は話し合いで終わらせたい」

()()()がそうしてくれるなら勿論そうするところよ」


 ローズの目には殺気が宿っている。その鋭利な視線は銃口とともに俺の頭上を睨んでいた。ローズから目を離さないまま、片手を上げてベイを制する。


「ベイ。警戒はお前の仕事だが、やり過ぎるなとこの前も言ったはずだ」

「この女相手にやり過ぎることなんてねえ」

「あら、買ってくれてるのねベイズ。ガナンに手を出すとどうなるか、あなたが一番良く分かっているんじゃない?」


 一触即発。ここまで切羽詰まる事態は初めてだ。二人とも銃を下ろす気配はないし、聞く耳を全く持っていない。


 隣を見た。イコと頷きあった。


「いいよな、イコ」

「仕方ないね。汚い手を子どもに使わせるのは、このバカな大人たちなんだから」


 ガナンとローズ、それに黙って成り行きを見守っていたラッドの眉が寄せられた。

 一方ベイは浅黒い顔を青くした。この場で俺の「隠し兵器」を知っているのは、俺たちの陣営だけだ。


「おい……マジで()()やるのか……」

「当然。コレが最善、かつ最も平和的に解決できる手段だからな。お前が言うこと聞かねえからこういうことになるんだぞ。ガラクトで学んでねえのかよ」


 イコと一緒にそれぞれ服の内側をまさぐる。あまりに不可解な言動を目の前で取られると、人間、判断力を奪われるものだ。呆気に取られたまま誰も動かないでいる。

 取り出すのは拳銃ではない。


「コレ。なーんだ」


 ──缶詰である。

 ラベルが良く見えるように掲げて、口の端を釣り上げて見せた。


「……ブルーチーズと……魚の缶詰……?」

「そう──()()()()()と評判のな!」


 ガナンとローズはあまりピンときていないようだ。が、ラッドが椅子から転げ落ちた。ベイもじりじりと俺たちから距離を取っている。この二人はこの品がどういうものかを知っているのだ。

 だがムダだ。逃げ場などない。この缶詰にひとつ穴をあけるだけで、この小屋じゅうが世界随一の悪臭に支配される。


「おいおいおい少年、クールに行こうぜ。開けたらお前が爆心地、一番苦しむのはお前たちだぜ?」

「忘れたかラッド。俺の能力を。空気を操作すれば、臭いなんか屁でもねえ」

「臭いだけに?」


 イコ、一言余計だ。


「さあどうする? 悪臭に耐えながらのドンパチはさぞかし見物だろうな。ちなみに俺は食べ物を粗末にしない主義だ、戦って腹を空かせたあんたらに代わって、この缶詰を使ったフルコースを振舞ってやってもいいぜ」

「おいまさか……俺もか!?」

「言うこと聞かなかった罰ゲームだ、ベイ。ああでもお前には病院での借りがあるな、今回の件はそれでチャラにしてもいい。というわけだが──」


 ナイフを缶詰に翳して、ニヤリと笑ってガナンとローズを見下ろす。


「銃を下ろす気にはなったか?」

「……くっ……」


 何とも言えない表情でローズが拳銃を下ろした。ガナンは口元を押さえて震えていた。……笑っている?


「クッ……ぶふっ、あはは、たしかに平和的だ! 凄いなあナダは。さすがの僕もこんな手は思いつかなかった。ねえローズ、今度機会があったらこの手使ってみよう」

「バカじゃない?」


 対してローズは冷たい。俺のことも一緒にバカにしているんじゃないか。

 ともあれ作戦は成功だ。戦闘を回避できたし、場も和んだ。俺がこれ以上脳みそを酷使する必要もなくなった。


「なあガナン、そういえば“裏切り者”の件は片付いたのか? 俺たちがガラクトに逃げたのは、飛び火を避けるためだったと聞いてるけど。というか本当に裏切り者なんていたのか?」


 ガナンは紅茶を一口飲んで、目頭を指で揉んだ。


「いたよ。ヴィゼンという男とその取り巻き。治安局に潜入捜査させていたんだけど、いつからか連絡が途絶えてね。おかしいなと思って調べてみれば、奴はエイモス社のスパイだったというわけだ」

「それで俺の足取りが追われていたのか」

「うまい具合に盗賊を配置して、君を攫おうとしたりね。いい塩梅に取っ捕まえて吐かせて──」

「ガナン。喋りすぎよ」


 鋭い声でガナンを窘めるローズ。しかしヒラリと手を振ってガナンはそれをあしらった。


「それで分かったことがある。僕が予想していた以上に、キース族という存在は根が深い。どうもエイモス社が君たちキースを捕えたのは、統括政府の指示あってのことらしい」


 “統括政府”──名目上は北大陸を統べる統治機構。

 広い大陸をすべて治めるなど実際は無理に等しいことだから、基本的には州ごとに知事を置き、自治区としている。それが地域間格差を深める要因の一つにもなっているのだが、南大陸との和平・不干渉が成立し、政府が発足して以来300有余年、未だ有効な解決政策は打ち出されていない。

 そのためか民草の間では「仕事しねえお飾りトップ」と揶揄されているが、……その働かない政府が、キースの能力を狙っている?


 少しも予想していなかったわけではない。俺も一枚噛んでいるだろうとは思っていた。が、むしろ中心にいるなどとは。


「証拠はない。少しもね。でも納得がいった。特段尖ったところのない経営戦略にも関わらず、エイモス社は近年急に業績を上げ始めている。特に製薬業、エネルギー業あたりでね。エステトン開発を始めに推し進めたのはエイモスだ、それに競合するかたちで他の企業も開発に乗り出した」

「そうだね。わたしも学校でケルン社とタッグ組んで、エステトンを動力にした車作ってた。スローガンは『打倒ッ! エイモス社』だったよ」


 思いがけずイコが頷いた。たしかに前もそんなことを言っていたが、イコ自身が関わっているとまでは聞いていない。


「……お前、車なんか作ってたの」

「そうだよ。『ケルン社×ピーター教授の“つよいくるまをつくろうプロジェクト”研究室』にいた」


 個性の強そうな研究で興味がそそられるが、またの機会に聞くとしよう。話が長くなりそうだ。


「電波性物質エステトンは、キース族の能力の発端であるベルゲニウムと対になるような物質だ。そんなものの研究開発がここへ来て活発になっている。臭うだろう。それも政府が絡んでいるとなると、戦争でも企んでいるんじゃないかって思うだろう?」

「まあな……でもどこと戦争するんだよ。統治の行き届いてない大陸東方部とか?」

「それを今、ボスが調べている」


 長く喋ったガナンは息を吐いた。ラッドに空のティーカップを差し出した。


「紅茶じゃ効かない。コーヒー淹れて」

「ダメっスよ。ローズさんに止められてるでしょ」

「ロージィ、今日くらいいいだろ、もうひと月近く我慢してる」


 ガナンが甘え声でローズを見上げた。

 ……うん?


「ダメよ」

「なんで」

「隈が消えてない」

「そう言わずに。カフェインは安眠に効くってこの前テレビで──」

「ねえナダ。さっきの缶詰、この人の鼻に詰めてくれるかしら。気絶でもさせなきゃこの人眠らないわ」


 発言が過激だ。何だか、俺の出会う女の人たちはいろいろと激しい人が多い気がするのだが、気のせいだろうか。

 それより、ううん?


 首を捻る俺とイコに、ベイが屈んで耳打ちしてきた。


「この二人、夫婦なんだよ」


 マジか。全然気がつかなかった。

 イコは悪戯っぽく目を輝かせた。


「おねえさん、人妻なの」

「イコ言い方! あーそろそろ夕方だなー、今日のところはお暇するかー、ベイ行くぞー」

「あら、晩ごはん食べていけばいいのに」

「いいよ。その人寝かせてやって。時々目の焦点合ってなかったから──」


 ふと外に意識を遣って、はたと違和感を抱く。

 鳥の囀りが止んでいる。夕方だから巣に帰ったのか? いや、それにしては静かすぎる。

 もっと神経を研ぎ澄ませる。俺が顔色を変えたのを見て取って、皆が口を噤んでめいめい気配を探っている。


「悪いナダ、気付かなかった……囲まれてるな」

「ああ。だけど、人間(ヒト)じゃない」


 二日前は確信が持てなかったが、今回ばかりはハッキリとそう言える。この群れ方、囲み方、思考力を持った獣のそれだ。


「狼だ。ラッド、お前、俺たちを尾行してるときに目をつけられたな」


 日が暮れる。室内が茜色に染まる中、夥しい数の獣の気配が小屋へと迫っていた。

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