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首輪と××と私と  作者: 犬之 茜
奴隷解放編─地下闇落─
34/40

闇市へ

 動きがあったのは七日後の週末だった。

 奴隷店を訪ねた週末は空振りになっていた。


「親父さんの考えが当たりましたね」


 当初は深夜に行動すると踏んでいたが、閉店から二時間を少し過ぎた時に数人の男たちがやってきて、全員に緊張が走った。

 正確な時間が解らず、閉店から二人ペアで交替して見張りを行っていたが、週末だけは全員で見張りをしていた介があった。


「歩いて連れていくみたいだね」

「ええ、馬車だと追跡は困難でしたが、どうやら近くに闇市があるみたいですね」


 路地裏から男たちの動きを観察していると、先頭に一人、後方に二人が並び間に全裸の男性が三人一列に並ばされていた。移動に支障がないように足には枷はないが、両腕を拘束されておりそれを鎖で三人が繋がっていた。もちろん逃走防止のためだろう。

 先頭の男が何かを言い終えて、一行が歩き出した。


「慎重に追いましょう」


 ようやく一歩踏み込めると全員が思ったが、表情には出さなかった。ここで緊張を緩める訳にも、逆に高めて動けなくなっても駄目だと自らを戒める。

 闇市があるならば、きっと裏にはロバリーたちが絡んでいるだろう。

 それほど巨大な奴隷商団なのだ。いや、ひょっとすれば、小さな商団はロバリーの傘下になっている可能性すらある。皆が知っている名前だが、口を閉ざしその名前は言いたくないと思われれるその人物は、それほど巨大な組織を作り上げた。


「どこに向かうんだろうね」


 ゆっくりと動く一行にヴィスカが焦れる。

 今は七夜の月だけあって日の入りが遅いため、夕刻に閉まった後もまだ目で追える程には明るい。

 そのお陰で一行を観察しやすいが、逆に見つかる可能性もあるのだから、セロたちも周囲を警戒しながら追跡を行っていた。

 

「隠す気配がありませんね」


 周知の事実なのか、それとも奴隷商の一行だと思われているのか、堂々と街道を進んでいく。

 途中で兵士らしい格好の兵士が廃れていく王国風の敬礼を送るのが見えた。


「なんだ?」

「兵士も闇市に噛んでるのでしょうけど、あの先頭に立つ男性の身分が相当高いのでしょうか」


 腐敗政権らしく、兵士の組織崩壊は目に余る。その中で敬礼をされる意図を正確には読み取れなかった。

 それからは特に変わった変化もなく進み、とうとう闇市があるとおぼしき場所へ到着した。


「王城かよ」

「なかば予想してたことでしょ」

「ボスが言ってた」

「ええ、会員制の大きな市場だと、裏にそれ相応の人物なり権力なりあるとは思ってましたが」


 そこに開催場所などを考慮した結果、候補には挙げていた。

 ただし、本当に王族まで絡んで来るとは思わなかった。


「あっちの方角は…」

「兵舎でしょうね。すると、奴隷たちは地下牢にでも収容されるのでしょうか」


 今日はどうやら闇市は開催されないらしい。その様子は兵士や商人の出入りで推測した結果であるが、わざわざ奴隷をこんな王城にまで移送しておきながら、他に会場があるとは思えなかった。

 この日、先の一行を含めて商人の出入りは三つ。二つは馬車でやって来たので、何処かで仕入れてここまで移送したのだろう。

 他には兵士の出入りが少し。例え会員が変装していたとしても、数が少なすぎた。


「場所は分かりました。ここからは再び見張りですかね」


 闇市では表向きに禁じられている奴隷の売買が行われている。そして、この会員制の闇市は恐らく一級品を扱うのだろうからそう開催はされないだろう。

 開催日が分からない以上は見張りながら動きを待つしかなかった。


 動きだしたと思ったら足止め、その状況に焦れはあったがここは粘るしかなかった。

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