475話 おぼろにあわただし
「驚いたよ、まったく」
ナタリアが飛び入りしたことで、エステラが戻ってきたことは分かっていた。
案の定というか、ちゃっかりとケーキなんぞを食いながらアルシノエの芝居を鑑賞してやがった。
「20Rbになります」
「はいはい」
おっと?
素直に金を渡してきたぞ?
「あぁ、ゲラーシーからカツアゲしてきたのか」
「しないよ、そんなこと!?」
「……今はまだ」
「ボクの背後に立って、不穏なことを言わないでくれるかい、マグダ?」
じゃあなんだ?
自腹を切ったのか?
「エステラ……お前、どこか具合が……?」
「お金くらい普通に払うよ! っていうか、そんな毎回毎回払ってないわけじゃないからね!?」
イベントの時は、ジネットがついでで出すから厚意に甘えているのだそうな。
イベントじゃない時も、払ってないこと多々あったけどな?
「ボクは、ジネットちゃんに迷惑をかけるようなことはしてないよ」
「はい。いつもご贔屓にしてもらっています」
「えへへ~」と互いの顔を見合わせて微笑む二人。
俺のいないところで金銭の授受が?
なんで俺のいないところでやるんだよ?
「君は、油断するとこちらの懐の中まで覗き込んできそうだからね」
「そりゃ、そんだけ隙間が空いてたら覗きたくもなるだろう!」
「胸の話じゃないし、隙間なんて空いてないよ!?」
「『精霊の――』」
「ナタリア!」
「『――審判』☆」
「そっちにつけとは言ってない!」
俺を抑え込もうとナタリアを呼んだら、まんまと寝返られた領主。
まぁ、分割したら発動しないのはすでに実験済みなので、なんらビビることはない。
「それでも心臓に悪いんだよ! まったく」
「どれどれ」
「なんで、さも当たり前のような顔で、主の胸に手を当ててるの!?」
「本当ですね。すっかすかしています」
「ドキドキだよ、今してるのは!」
「どれどれ」
「ヤシロはそれ以上近付かないように!」
ちっ!
ナタリアと同じノリで行けばバレないと思ったのに!
「ヤシロさん。……もぅ」
おっ!?
懺悔を回避したぞ!?
「なんか今日ツイてる!」
「アルシノエさんやマーシャさんのためにいっぱい頑張ってくださっていましたので。それに、こんな素敵な連絡帳を作ってくださいましたし」
「『エステラさんの乳くらい、いくらでもどーぞ』って?」
「そんなことは言いません! もぅ、懺悔がしたいなら、お聞きしますよ?」
いや、遠慮しておこう。
「ねぇ、それなに?」
「企業秘密だ」
「教えてよ。ボクだってもう陽だまり亭の従業員みたいなものじゃん」
「どこがだ。ろくに手伝いもしないくせに」
「でも、賄いは一緒に食べるし」
「お前、いい性格になったな?」
手伝わないわ、賄いは食うわ、それで従業員面かよ。
それでジネットが嬉しそうってのが、始末に負えないよなぁ。
「じゃあ、ジネットの愛玩従業員枠で」
「なにそれ!?」
「マグダ、教えてやれ」
「……店長にひたすら甘やかされるポジション」
「マグダじゃないか」
「……マグダは、副店長としてテキパキ働いている」
そうだな。
マグダは本当に頼りになるようになった。すごく成長した。
「お前とお前の乳だけだぞ、いつまでも成長しないのは」
「なんで分けたのさ!? 全部ひっくるめてボクだよ!」
「しかし、お前自身は今後成長する見込みが大いにあるが、乳に関しては一切希望がないからな」
「あるわ! 今だって、成長を促すっていうクリームをレジーナに作ってもらっているところなんだから」
「エステラ様。それは絶対に口外してはイケナイことであったと思いますが……まぁ、面白いので止めませんけども」
ナタリアがいい性格しているのは今さらとして……
「レジーナ、エリクサーでも開発したのか?」
「そんな奇跡の調合を実現させな治せへんのかいな、領主はんのちっぱいの呪い」
「呪いじゃないやい」
不貞腐れてエステラが呟く。
おーおー、ジネットに甘やかされてまぁ。
愛玩従業員枠、ピッタリじゃねぇか。
「まぁ、外部からどんな栄養素を塗りたくっても、内部に浸透して成長させる――っちゅー薬は知らへんさかいに、一応、効果があってもおかしくはないんちゃうかなぁ~っていうもんを調合した錠剤を開発中や」
「よし。体に害がないのであれば、ジネットに協力してもらってデータを取ろう」
「まだ大きさせたいんか。自分、短所を補うんやのぅて長所を伸ばしていくタイプ……あぁそうか、データ収集の名目で実測値が欲しいんやね?」
「正解!」
「もう、懺悔してください!」
あ、今日のラッキータイム終わったっぽい。
もう一冊作ろうか、連絡帳?
「おっぱいの話より、ワタシのお芝居はどうだったのわ?」
と、アルシノエがこちらの輪に入ってくる。
今の今まで、マーゥルに細かいダメ出しを喰らっていたっぽい。
「すごくよかったよ、アルシノエ。見違えちゃった」
「ありがとうのわ、微笑みの領主様」
「わたしも、感動しました」
「店長さんもありがとうのわ!」
その後、マグダやロレッタたちに褒められて、嬉しそうににこにこ笑っているアルシノエ。
その表情には、確かな自信が見て取れた。
「うん。いい顔になったな」
「へ? ……ほんと、のわ?」
「言われてみれば、のわっちょ、自信に満ち溢れていい顔になったです」
「……女は、輝く原石を持って生まれるもの。それが磨かれた結果」
「ホントのわ? いい顔のわ?」
こいつを見ていると、毎日ちゃんと努力しているのが手に取るように分かる。
姿勢や顔つきにもそれが表れている。
「おっぱい体操もちゃんとやっているようで、形が綺麗になったしな☆」
「おっぱいの話から離れてのわ!」
無茶言うな。
「だが、本当にいい演技だった。まだ満点とは言えないが、十分に見せられるものには仕上がっている」
「カタクチイワシ様からのお墨付きのわ!? やったのわ!」
「マーシャはどうだった?」
「うん。及第点~☆」
さすがに、聖女王役ともなると、簡単には絶賛できないか。
「明日の完成式典まで一緒にいて、人魚のこと教えてやってくれるか?」
「うん。アルシノエちゃん、本番まで、気の休まる時はないって、覚悟してね☆」
「のわ!」
「うん。その返事は合格☆」
「のわぁー!」
嬉しそうに諸手を挙げて喜ぶアルシノエ。
初めて会った時の、どこかおどおどした雰囲気は、すっかり見る影もなくなった。
「ほんで、うちはまた客間を追い出されるんやね」
「すみません、レジーナさん」
「あはは。冗談やさかい、気にせんといて」
誰かが泊まる度に、レジーナは客間を追い出される。
そのままジネットの部屋に泊まるか、マグダと一緒に寝るか、マグダがジネットの部屋へ行って一人でマグダの部屋を使うか。
なんにせよ、落ち着かないだろうな。
「俺の部屋使っていいぞ」
「一緒に寝るんかいな? むらむらしてよぅ寝られへんわ」
「俺が下で寝るっつってんだよ」
「アカンアカン。期限が決まっとるならまだしも、無期限でっちゅうことやったら、気疲れしてまぅで」
目に見える影響がなくても、積み重なると大きな陰りが出てくるものだと、レジーナは力説する。
それは、そのままお前のことだろうに。
……とはいえ、まだレジーナを家に帰すのはなぁ。
「ウチの客間なんてどうかな?」
と、オルキオがシラハを伴って陽だまり亭へとやって来る。
「ウーマロ君が客間まで作ってくれていたからね。今は使っていないし、当分の間は君専用にしてもいい。お客さんを招く予定もないしね」
「せや言うたかて……なぁ?」
人見知りするもんな。
「本当に、寝に帰るだけでいい。我々は干渉をしないから」
「あ、いや、イヤやっちゅうてるわけやないで?」
「分かっているさ。君は優しい人だから」
「ねぇ、レジーナさん」
オルキオを残し、シラハがレジーナの前へと歩み寄る。
そして、シワの目立つ手でレジーナの手を握り、にっこりと微笑む。
「迷惑だなんて思わなくていいのよ。私たちが是非そうしてほしいって思っているのだもの」
「ウチが家におっても、メリットなんかあらへんで?」
「そんなことないわ。オルキオしゃんがお留守の夜、あなたがいてくれると、心強いもの」
「それにね、会話を交わさなくても、そこにいるという気配があるだけで、人は安心できるものなんだよ。……もちろん、信頼できる人であれば、だけれどね」
オルキオもシラハも、完全にレジーナを信頼しているということなのだろう。
しかし、そうか……オルキオの家は盲点だったな。
「俺がそっちに泊まるってのはありか?」
「もちろんだよ、ヤシロ君」
「あ、いや待ってんか」
俺が部屋をあければ、レジーナは誰に気兼ねすることなく部屋に籠れる――と思ったのだが。
「陽だまり亭から、自分を追い出すわけにはいかへんわ」
言って、俺の肩を叩き――
「防衛に必要なんは、力だけやないからな」
――なんてことを言った。
マグダがいればセキュリティは万全だが、陽だまり亭を守るには俺もそこにいた方がいいと。
そこまで気を遣わんでもいいのに。
「ほな、堪忍やけど、しばらく御厄介になってもえぇやろか?」
「厄介だなんて思わないわ。本当はね、眠る前に少しお話をしたいなって思っていたのよ?」
「エロい話くらいしか出来へんで?」
「まぁ、それだったら私も嗜みがあるのよ? 昔、まだ私が若いころ、オルキオしゃんったら、外でね――」
「その話は帰ってからにしてくれ!」
嗜んでんじゃねぇよ。
油断も隙もないわ!
まぁ、それはさておき。
「オルキオ、頼めるか?」
「うん、大丈夫。家の守りは万全にさせるよ。もちろん、女性としての危険からも、きっちりと守ってみせるから、信用しておくれ」
オルキオの部下たちが、交代で寝ずの番をしてくれるらしい。
なら、まぁ、安心か。
「……マグダも、意識は向けておく」
「おう、頼むな」
「むふーっ」
番犬よりもはるかに頼れるマグダの頭を撫でておく。
さっさとケリをつけて、レジーナを家に戻してやらないとな。
教会からの抗議を受けて統括裁判所が動いたせいで、レジーナの帰宅はまた見送られることになった。
まったく……貴族ってのは、迷惑な生き物だよ、ホント。
「ヤシロ」
と、エステラが俺を呼ぶ。
夜のピークも過ぎ、あとはまったりとした時間が過ぎていくだけの時間帯。
オッサンどもはここから全力で酒を飲み、ガキどもは眠り、奥様連中は一人の時間を満喫する。
なんでも、この『お一人様時間』が今、流行ってるみたいでな。
化粧水とか使ってスキンケアしたり、メイクの練習とか研究とかしたり、大衆浴場に行ってのんびりと湯に浸かったり。
これまで、家族を支えるためにずっと家事をして大車輪の活躍だったママさん連中は、今になってようやく、自分へのご褒美を得ることが出来るようになってきた。
そういう文化や発想がなかったんだろうな。
バザー辺りから、徐々にそういう考え方が浸透していき、ようやく広がり始めたって感じか。
ティータイムにケーキセットを食いに来ていたママさん連中は、結構時代の最先端を歩いていたわけだ。
そんな変化を見せ始めた四十二区よりも、もっと過激な変化の波に飲み込まれているのが三十五区だろう。
そこで、明日、噴水の完成記念祝賀会が開催される。
除幕式は、完成した時にやっちまってるから、今回改めてということになるな。
「明日は早いから、今日はゆっくり休んでね」
「寝坊したら、私が船で送ってあげるね~☆」
超高速船か?
まぁ、俺は大丈夫だと思うけどな。もっと速い乗り物にも乗ったことあるし。
この街の連中は、ジェットコースターすら乗ったことがないからな。
子供騙しなローラーコースターですら、わーきゃー言って大騒ぎしそうだ。
「ウクリネスが服を届けてくれると思うけど、着替えるのは向こうに着いてからでいいからね」
「また正装させられるのか、俺は……」
「そりゃあ、各区の領主が集まる場所だからね」
「領主だけでやってくれよ、着飾ったり見栄を張り合ったりするのは」
「見栄じゃなくて、見栄えだよ、気にするのは」
大々的に行われる祝賀会の、ほぼ主賓に近い立ち位置になるらしく、みすぼらしい格好で行くとルシアに対する侮辱になるのだそうな。
……面倒くせぇなぁ、お貴族様は。
「めっちゃおしゃれした上で、この上もないような侮辱をしてやろうか?」
「えぇーっ、服装完璧なのに!?」って、ビックリさせてやるのも面白いかもしれない。
「面白いこと考えなくていいから、明日は真面目にやってね」
「もしかして、お前をエスコートとかする感じ?」
「あ、してくれるなら受けるけど?」
「その場合、ルシアは?」
「あぁ、そっか……ルシアさんのエスコートする?」
ルシアをエスコート。
それも、三十五区で?
……ははっ。
領民が絶対大騒ぎする。
目に見えてるよ。
「ルシアかお前の二択なら、エステラを選ぶよ」
そっちの方が無難だしな。
……っていう意味だから、そんな分かりやすく照れてもじもじしないでくれる?
「他意はないよね?」
「ねぇよ」
三十五区民が騒がしくなるのはメンドイ。
それ以上でも以下でもねぇよ。
「……一応、ね?」
と、まだ少し照れの残る顔でエステラが視線を外して、もごもごと口の中から漏れ出る程度の音量で呟く。
「ボクのドレスと、色味を合わせてあるらしいんだけど……ね? 平気?」
招待されたパーティーに、色味を合わせた衣装で出席するってのは、その人とこの人は親密な仲ですよ~と周りにアピールする効果がある。
おそらく、四十二区の領主に合わせることで、俺は四十二区の人間なんだと、そういう意味でのアピールなのだろうが、まぁ見るヤツが見れば「あ、そーゆーことね」と勝手な解釈をされることもあるだろう。
「別に気にしないが、お前の婚期が著しく遅れたとしても、クレームは受け付けないからな?」
「あぁ、いいよ、別に」
さっきまでの、ちょっと可愛らしい照れ顔はどこへやら、エステラの表情が一瞬でしょっぱいものに変化する。
梅干しバイキングの帰りでも、そんなしょっぱそうな顔しないだろうってくらいしょっぱそうな顔だな。
「求婚でも来たのか?」
「釣書、見せてあげようか?」
「いらんわ」
釣書ってのは、まぁ、身上書だな。
この人は誰々の息子さんで、何年に生まれて現在何歳。身長体重はこんなもんで、こんな仕事をしていて、こういう趣味があって、とっても素晴らしい人なんですよ~ってなことが書かれている、プロフィール用紙みたいなものだ。
釣書は見合い相手に送るもので、それが届いてるってことは、ついに我が区の領主様も他所の区の貴族のお眼鏡に適ったというわけだ。
「モテ期の到来、おめでとう」
「あはは~、八割以上が見覚えのある釣書じゃなきゃ、もうちょっとくらいはウキウキできたかもしれないけどね~」
ぱっさぱさの顔のエステラが言うには、以前ルシアと会談した際、休憩中にルシアから「我が館へ嫌がらせのように送り付けられてくる釣書を見せてやろう」と見せてもらった大量の釣書。――の、中にいた人物が八割を占めるのだそうな。
数撃ちゃあたる戦法かよ……
「領主なら、誰でもいいのか」
「そーなんじゃないのー。あははー、バカにしてるよねー」
というわけで、その八割は第一次審査で落選したと。
「残りの二割は?」
「土木ギルド組合の役員の子息と、とある貴族の先代様とか、なかなかバラエティ豊かな顔ぶれだよ。……見る?」
「……やめとく」
とりあえず、ろくなヤツがいないのは、お前の顔を見てれば分かる。
土木ギルド組合役員の血縁者って……確実にトルベック連合を取り込むつもり満々じゃねぇか。
エステラを懐柔できれば、トルベック連合をそのまま吸収して、「土木ギルド組合の春よ再び!」なんて野望を夢見ているわけか。
浅はかな……
で、貴族家の先代様って……、ジジイじゃねぇか!
どこの世界に、貴族家の当主で現役領主を後添えに欲しがる血迷いジジイがいるんだよ。
この世界にいたよ。
ねぇーよ!
エステラのメリット皆無じゃねぇか!
「一応、メリットと言いますか、アピールポイントがございまして――」
と、ナタリアが俺の耳元で囁く。
「『エステラちゃん、マジラブクラブ―EMLC―』の創始者で会長を務められており、エステラ様への愛情なら誰にも負けない――のだそうです」
「なに、その薄ら寒い集団?」
「よく晴れた日の公園に集まって『エステラちゃん、マジいいよね~』と言い合うのが基本的な活動です」
「ファンクラブじゃねぇか!」
しかも、かなり年齢層の高そうな!?
「最近では、資産を切り崩してでも、エステラ様のメンコをコンプリートするのが会の使命だ――とか言っているそうです」
「結構あるぞ、エステラのメンコ」
「はい。小出しに小出しに情報を流して、適度に資産を吸い取らせていただいております」
「どこの区の貴族だ?」
「四十一区です」
「領主にクレーム入れたら?」
「それは、もう少し面白くなってからかと」
遊んどるなぁ。
でもまぁ、やっぱ無礼なんだろうな。
釣書とはいえ、現役を引退した先代当主が、現役当主で、しかも領主で、うら若い美少女に対して「嫁に来い」なんてのは。
「なんでエステラが、老い先短い爺さんの介護を押し付けられなきゃいけないんだっての。な?」
「愛玩動物扱いですね、もはや。我が主を軽んじるのも、大概にしていただきたいものです」
とりあえず、ナタリアはご立腹と。
もしかして、給仕一同がみんな怒ってる可能性もあるな、これは。
「エステラさん、大変なんですね」
「そうなんだよぉ、ジネットちゃ~ん」
「うふふ。よしよし。わたしでよければ、いつでも甘えてくださいね」
ジネットの腰にギューッとしがみ付き、頭を撫でられるエステラ。
「愛玩動物扱いされてんぞ、お宅の主」
「可愛いですよね、ウチの主」
「一番軽んじてるの、お前じゃん」
「いけませんか?」
世間的にはいかんのだろうけど、四十二区的には面白いから問題ないんだよなぁ。
変な街。
「というわけで、ヤシロ様の許可が下りれば、虫よけになっていただければと」
俺は蚊取り線香か。
ネフェリーの方が似合いそうだけども……
「まぁ、それくらいはかまわないが……マジで婚期遅れるかもしれないぞ?」
醜聞はついて回るらしいからな。
ルシアなんか、いまだに婚約破棄のこと言われてるみたいだし。
「婚期などは、こちらの都合で決めます」
ほほぅ。
世界が私に合わせろか。
エステラも偉くなったもんだ。
「ですが、あの方は小心者ですので、陽だまり亭のみなさんにも、色味を揃えたお揃いの小物を身に着けていただければと」
対外的には、男がいるように見せて虫よけをしつつ、内側には「陽だまり亭みんなとお揃いだから! 他意はないから!」と言い訳をすると。
……気苦労が絶えねぇな、領主ってのは。
「まぁ、それでエステラが過ごしやすくなるならな」
「ありがとうございます」
深く、ナタリアが頭を下げる。
人前に出るにも、いろいろ大変なんだな、お貴族様は。
「先にルシアさんに会っておきたいから、ヤシロは早起き、頑張ってね」
「マジか……」
遠いんだよなぁ、三十五区。
マジで、地下鉄でも作っちまおうかなぁ……
いや、やらないけどね?
「ジネットたちは、明日どうするんだ?」
「私たちは朝の寄付を終えてから、向かいます」
「陽だまり亭は?」
「朝だけの営業になりますね。本当に短い時間だけで申し訳ないのですが」
なんか、朝にお弁当販売だけやるらしい。
「すでに情報は四十二区中に出回っているので安心です!」
「……明後日には、『休んでごめんね&三十五区に噴水が出来たってね、ふ~んすぃ~ん』キャンペーンの開催も決定している」
「なにその、『囲いが出来たってね、かっこいー』みたいなキャンペーン?」
「ふ~んすぃ~ん」って……
「何も聞かされてないんだが?」
「ヤシロさんは、ここ数日いろいろとお忙しそうでしたので、こちらで出来ることは、みんなで協力してやっておきました」
ん~、疎外感。
俺、そのうち本当にいらない子になりそう。
「今回は、テレサさんがとっても頑張ってくださったんですよ」
と、紙の束を見せるジネット。
見ればそこには『陽だまり亭のお弁当 おいしくな~れ☆』と書かれていた。
「これ、テレサが?」
「はい。頑張ってたくさん書いてくださいました」
「ひままりてい、おべんとっ! おいちくな~れ!」
なんで書けるのに言えないんだろうな。
言葉の練習も必要だな。
いや、してんだけど、やっぱ筋肉を鍛えるって大変なんだろうなぁ……
いや、文字を綺麗に書けるようにするのも大変だわ!?
……どうなってんだ、テレサの成長パラメーター?
精霊神が「舌っ足らずの方がかわヨい☆」とか言って、成長にマイナス補正かけてないか?
あいつなら、やりかねん。
「前の文字で『おべんと!』って書かれてても、それなりに売れそうだったけどな」
むしろ、そっちを喜びそうな客層が多いからなぁ、陽だまり亭は。
……なんて残念な客層なんだ。
「じゃあ悪いが、明日は頼むな」
「はい。ヤシロさんも、祝賀会、頑張ってくださいね」
「あはは、何言ってんだよ、俺は招待されただけのただの客、いや、主賓のエステラの付き添いでおまけみたいなもんだぞ。何も頑張るところなんてないな~い☆」
「現実逃避は終わったかい?」
逃避じゃなくて、それが現実のはずなんだが?
「……動くと思うかい?」
「ウーマロたちが頑張ってくれたからな」
三十五区の秘密の要塞は無事完成した。
乙女たちが大喜びしていたと、ノーマからの手紙に書かれていた。
ノーマも使ってみたいだろうなぁ。
でも、統括裁判所を釣り上げるまでは使用を禁止している。
いろいろ事情があるからな。
「大工に、乙女に、狩人たち。体格のいい面子が次々にあの『要塞』に出入りしているよ。君の言いつけ通りにね」
そして、その噂をどんどん流していけば……統括裁判所の下っ端貴族、オットマンは動きを見せるだろう。
「出来ることなら、新作の公開も明日に合わせたいところだが……」
「さすがに、時間が足りてないんじゃないかな? アルシノエはよくなったけど、向こうはどうだろう? 聖女王と取引していた当時の領主までは、レジェンダーズのみんなも知らないだろうし」
「そこは、先代のモノマネで乗り切ればいい」
史実に忠実である必要はない。
それが、引き込まれるような芝居であればいいのだ。
「芝居はドキュメンタリーじゃなくてエンターテイメントだ。歴史を捻じ曲げてプロパガンダをばら撒こうってんじゃない、史実を参考に観客を楽しませるショーを開催するんだ」
要するに、面白ければなんでもありなんだ。
「とりあえず、ルシアの館に到着を知らせた後、イーガレスの館に突撃して連中を叩き起こすぞ」
「貴族の家なんだけどね、一応」
「あぁ。だからお前んとこと同じような扱いでいこうと思う」
「ウチにも突撃してこないように。……給仕長が排除してくれそうにないから、事前に釘を刺さなきゃいけないんだよね、なんでかね」
じろっと俺を睨むエステラ。
叱るなら、職務怠慢の給仕長を叱れよ。
「レジーナ。お前も俺たちと一緒に来てくれるか?」
「ん~、せやね。給仕長はんと一緒の方が、他のみんなの負担も減るやろしね」
今は、レジーナを無防備にしない方がいい。
薬のレシピが手に入らず儲けの芽が潰えたら、次に考えるのは競合他社の排除だからな。
相手がいなくなりゃ、改良できなくても値下げしなくても、自社の製品が売れ続けるわけだ。
その危険があるうちは、レジーナを一人にはさせられない。
「給仕長はんの負担は増えるさかい、申し訳ないけどな」
「なんの問題もございません」
頼もしく、ナタリアが微笑む。
「二人で、道中の移動時間を素敵で楽しい桃色空間に染め上げましょう!」
「ウチら二人やったら、きっと出来るはずやね☆」
「ごめん、エステラ。ナタリアじゃなくてお前に迷惑がかかるパターンだったわ」
「まったくだよ!」
「じゃあ、二人とも。馬車で頑張ってね☆」
あぁ、マーシャがさっさと離脱を!?
船で送ってくれるとか言ってたのに!
「ギルド長」
――と、海漁ギルドの二足歩行船員、サリサが陽だまり亭に駆け込んでくる。
「高速船の手配、完了しました」
「うん、ご苦労さま☆」
くるっと、マーシャがこちらを向く。
「じゃあ、朝の便は超高速船で、一気にバビューンっと三十五区まで送ってあげちゃうね☆」
「じゃ、ヤシロ、ボクはあとから馬車で行くから、ルシアさんやイーガレスたちによろしくね」
「もぅ、何言ってんの☆ エステラも一緒に行かなきゃダメに決まってるじゃな~い☆」
「やだ! もう二度とあんな怖いのには乗らないからね!」
「だいじょ~ぶ☆ 今回のは、前にエステラが乗ったヤツより速い船だから☆」
「余計ダメだよ!?」
あぁそうそう。
前に海漁ギルドの高速船に乗って、涙目になってたんだっけ、エステラは。
で、その後さらに速い船で送迎される乙女たちを港で見送ってたっけ。
そっか、明日乗るのは、ソレかぁ……
「レジーナ、アルシノエ、ガンバ☆」
「えっ、ウチもそれで行くんかいな!?」
「のわ!? ワタシものわ!?」
そりゃ、そうだろう。
別行動してどうやって守るんだよ?
アルシノエは、明日本番が出来るか見極めるために朝一で通し稽古させる予定だから絶対連れて行かなきゃいけないし。
「まぁ大丈夫だ。どんなに死にそうでも、たぶん死なない。……知らんけど」
「めっちゃ不安になる発言やめてくれへん!?」
「ものっすごい無責任発言のわ!?」
まぁ、ドンマイドンマイ。
……俺なんか、さっきからず~っとマーシャに服の裾掴まれてて、逃げられないって確信してんだから。
道連れ、だ・ぜ☆
「明日、統括裁判所が動くとは限らないが、動く可能性がある以上妥協は出来ない」
そのためにも、ウーマロやノーマには向こうに残ってもらっているんだから。
「短期決戦で行くぞ」
レジーナも、早く家に帰してやりたいし。
俺ものんびりしたい。
「それからエステラ」
「ん? なに?」
釣書がアホほど届くようになったエステラは、きっといつか今回のような遠回しな嫌がらせを受ける日が来るだろう。
悪評を流され、一個一個潰していくのでは埒が明かない、手が足りない、煩わしくて他の仕事に支障が出る!
「そんな時に役立つ、根拠なき悪評をぶち壊す方法を教えてやる。よく見て学ぶように」
「それは、私も興味があるわね、ヤシぴっぴ」
マーゥルがにっこりと微笑み、値踏みするように俺を見てくる。
こいつも、散々悪評垂れ流された口だろうからな。
まぁ、勝手に見て勝手に盗んでいってくれ。
「その超高速船っていうもの、……命の保証はあるのよね?」
「えっ、まさか一緒に乗船するつもりですか、マーゥルさん!?」
顔いっぱいに「やめておいた方が……」って書き殴り、エステラが心配そうにしている。
「だいじょ~ぶ! 私たちがいる限り、絶対事故なんか起こさないから☆」
胸を張り、胸を叩いて、胸を揺らすマーシャ。
ぷるるぅ~ん☆
「マーシャの言うことなら信用できる! 俺は信じるぞ!」
「揺れの大きさで信頼度を決めるんじゃないよ、まったく、君は……」
打っても響かないエステラがなんか言ってる。
そんなもん、大きく揺れたら好感度が上がるに決まってるだろうが!
信頼とは、すなわち好感度だ!
同じ内容の話でも、好きな人と嫌いなヤツが口にしたのではその信用度は雲泥の差を生むだろう。
「つまり、揺れの大きさは信頼の大きさなのだ!」
「マーシャ、途中でうっかり落としても構わないからね」
「やだ~、うっかりしちゃいそう☆」
こらこら、そこで怖い話をしないように。
超高速船より、女子の密談の方が怖いっつーの。
間もなく陽だまり亭が閉店を迎えるという時間帯。
俺とレジーナは先行組なので、先に風呂に入ることになった。
「じゃ、レジーナ」
「ほんま好っきゃな、そのボケ。何遍やっても覆らへんっちゅうのに」
個別に入るらしい。
……ちぇ~っ。
「では、レジーナさん、お先に入ってください。ヤシロさんは、申し訳ないんですが」
「あとでいいよ。髪の量が違うからな」
レジーナは、髪を乾かすのも大変だ。
光るレンガみたいに、温風を吐き出し続けるレンガとか、セロンが開発しないだろうか?
そしたら、ドライヤーがスゲェ簡単に作れるのに☆
……ま、無理だわな。
なんだよ、温風を出し続けるレンガって。
レンガである意味がないだろうに。
「……マグダもご一緒する」
レジーナが風呂へ向かおうとすると、マグダがレジーナにくっついた。
「……一人だと、きっとレジーナが寂しがるから」
「いや、そいつは基本一人で過ごす生き物だから、寂しがることはないんじゃないか?」
「……では、訂正する。レジーナ一人だと、ちゃんと洗わない可能性があるので見張りが必要」
「確かに!」
「まんまと説得されてもぅたなぁ、自分」
レジーナは一人でのんびり入りたいかもしれないが……あ、大丈夫なのか。そうか。
視線が合うと、レジーナが「かまへんで」みたいな目をした。
レジーナは、何気にマグダに甘い。
まぁ、マグダに懐かれたら誰でもそうなっちまうんだけどな。
ジネット然り、メドラ然り。
俺は違うけども。
「……あと、おそらくたぶん、レジーナは一人で寝るのも寂しがるだろうから、今日だけは一緒について行ってあげてもいい」
「一緒にって、オルキオのところへか?」
「……そう」
そうって……
なんか、妙に寂しがってるな。
一瞬微妙な空気が流れ、マグダの耳が微かに垂れる。
いやいや、拒否してるんじゃなくて、なんでだろうって疑問の間だから、これ。
「そら助かるなぁ」
そんな沈黙を、レジーナが破る。
「一人は好っきゃけど、独りぼっちは嫌いやねん、ウチ」
「……分かる。マグダも、孤高の女狩人ではあるけれど、孤独を愛するわけではない」
いつから孤高の女狩人になったんだよ、お前は。
常に誰かにべったりじゃねぇか。
けど、これはマグダなりの気遣いなのだろうな。
「確かに。知らない場所に泊まる時ってのは、やっぱ慣れ親しんだ場所とは違うもんな。落ち着き加減とか」
「まぁ、せやね。船の上では、よぅ寝られへんかったもん」
「ウチの船のこと? 居心地悪かった?」
「いや、その前の船の話や」
マーシャの船では、マーシャと同室だったもんな。
結局全員スイートに集まったんだけども。
自分の船じゃないと分かり、胸を撫で下ろすマーシャ。
ゆっさり。
「うっさい」
鋭いエステラ。
「そういえば、わたしはあまり自室以外で寝泊まりすることがありませんね。三十五区のシラハさんのお屋敷と、マーシャさんの船くらいでしょうか?」
「それじゃあ、今度ジネットがマグダの部屋に泊まりに行くといい」
「それは、今まで試してみたことがありませんね」
「……マグダなら、いつでもウェルカム」
「では、今度お邪魔させてもらいますね」
「マグダっちょがお泊まりに行くなら、あたしもご一緒したいところですけども……むむむ」
ロレッタが難しい顔をしている。
やめとけ。明日遠出するんだから。
「お前は帰って、ハム摩呂の明日の準備でもしてやれ」
「そうですね。ウチからも弟が招待されてるですから、みんなの準備をしてあげるです」
ハムっこたちは、三十五区の噴水の工事に大きく貢献した。
その感謝を込めて、祝賀会に招待されている。
結構な大所帯になるな。
「では、今日は大人しく帰るです。カニパーにゃとテレサーにゃは、あたしがこの後送っていってあげるですから、安心してです」
カンパニュラは、ロレッタの家とは反対方向だろうに。
「じゃあ、頼む。マグダ、レジーナを風呂で洗ってきてくれ」
「……合点承知の助」
「え、待って。ウチ汚れ物扱いなん?」
マグダに手を引かれてフロアを出て行くレジーナ。
厨房に入る直前、マグダが――
「……あとでお願いがある」
――と、レジーナに言っていたのが聞こえた。
お願い?
そのために二人きりになりたかったのか。
はてさて、どんな願いなのやら。
「ということなんだが、いいか、オルキオ?」
「もちろん大歓迎だよ」
厨房へ視線を向け、オルキオがそっと口を開く。
「きっと、レジーナさん一人だと私たちに気を遣い過ぎてしまうだろうからね」
「マグダちゃんがいてくれたら、みんなの話題はマグダちゃんに集中するわね。とってもかわいいもの」
オルキオもシラハも、客が増えて嬉しそうだ。
孫が遊びに来る前のジジババみたいだぞ、お前ら。
優しそうなジジババだこと。
「明日は我々も祝賀会に招待されているんだ」
「よかったら、ご一緒してもいいかしら?」
「もちろんです。では、馬車で向かいますか?」
「ウチの船を使って☆」
移動手段の話になり、マーシャがジネットに訴えかける。
「ヤシロ君やエステラたちのとは違う、ちゃんとした船を用意するから☆」
「待ってマーシャ。ボクたちのはちゃんとしてないの?」
「大丈夫、沈みはしないから☆」
「大丈夫の基準が緩過ぎないかな、君!?」
不安だなぁ、超高速船。
まぁ沈まないなら、なんとかたどり着けるだろう。
「じゃあ、ボクたちも準備があるからもう帰るよ」
「明日は港に集合でいいか?」
「私は通り道だから、こちらに寄らせてもらうわ」
と、マーゥル。
早朝に押しかけんなっつーのに。
「ボクも寄らせてもらうよ」
お前もか、エステラ。
「では、何か温かい物を用意しておきますね」
「ありがとう、店長さん」
「ありがとね、ジネットちゃん」
そうやって甘やかすから、こいつらはことあるごとに陽だまり亭に集まるんだぞ?
ジネットはきっと、野生動物とかにエサを与えてしまうタイプだ。
その危険性を、今度じっくりと教えてやらねばいかんな。
『餌場を覚えると、毎日来るようになるんだぞ』
『では、毎日美味しいご飯を用意しないといけませんね』
……ダメだ。
説得できる気がしない。
「それじゃ、おやすみ、ジネットちゃん。ヤシロ、寝坊しないようにね」
「寝てたら、置いていってくれていいから」
「分かった。簀巻きにして船首に吊るしてあげるよ」
何を分かったんだよ、お前は?
エステラとマーゥルが揃って帰路に就く。
家帰ってすぐに寝て、早起きしてまた陽だまり亭にやって来るのか。
ご苦労なこった。
「ロレッタ。たぶんこの後はもう客は来ないから、その二人を早めに帰してやってくれ。お前もそのまま直帰していいから。弟の準備、手伝ってやれ」
「分かったです。じゃあ、また明日です。お兄ちゃん、道中気を付けてです」
「お前らもな」
丁寧なあいさつを寄越してくるカンパニュラと、一緒に遠出できると嬉しそうなテレサに気を付けるように言い含めて、三人を見送る。
「じゃあ、私たちも」
「レジーナさんとマグダちゃんに、いつでも来てねと伝えておいて」
オルキオとシラハも、先に家に戻っていった。
そして、気付けば客もいなくなり、フロアには俺とジネットだけが残った。
「あっという間に二人きりだな」
「こういう時間って、不意にやって来ますよね」
ふふっと笑いながら、テーブルを拭き始めるジネット。
俺も手伝うか。
「しかし、なんだろうな?」
「何がですか?」
「マグダのお願い」
マグダがレジーナに頼みたいことなんて、何かあるだろうか?
「あ、もしかしたら、あれかもしれませんね」
言って、ジネットがパタパタと厨房へと駆け込む。
しばらくして、連絡帳を持って戻ってきた。
「えっと、たしか……」
と、ぱらぱらページをめくっていく。
おいおい。今日一日で随分と書いたな、おい!?
何ページ書いたんだよ、お前ら!?
「ありました、ここです」
と、ジネットが開いて見せてくれたのは、マグダの文字が並ぶページだった。
『店長の字はキレイで、よき。マグダもいつか店長のような文字を書けるようになる。もし、綺麗な字が書けるようになったら、その時は、ママ親にお手紙を書いてみるのもいいかもしれない。……いや、書こうと思う』
その内容を読んで確信した。
「これだな」
「でしょうね」
マグダは、字が上手くなりたいのだ。
というか、綺麗な字で手紙を書いて、「綺麗に書けるようになったね」と褒めてもらいたいのだろう。
ここ数日、突然降って湧いたような手紙ブームが起こり、マグダもたくさん手紙を書いていた。
宛先は、マグダをよく知る者たちばかり。
多少字が雑でも、マグダを知っていればそれも許せる。
そもそも、下手ではないからな。子供っぽい字ではあるけれど。
でも、遠く離れた大好きな母親に手紙を書くのなら――
「綺麗な字で書きたくなったんだろうな」
「レジーナさんは、テレサさんに綺麗な字の書き方を教えてあげましたからね」
「なるほど、それでレジーナにお願いしたいのか」
手紙を書くのが楽しくて、返事をもらうのが嬉しくて、きっとそれで満足していたのだろう。
この文章を、自分で書くまでは。
けど、文字にしちまったら、自覚しちまったら、書きたくなるよな。
「それじゃ、届ける方法を考えないとな」
「そうですね。何か、いい手段があればいいのですけれど」
普通に出しても届かないだろう。
マグダの母親は、バオクリエアで隠れ潜んで住んでいるはずだから。
第二王子に届けるのが無難かもしれないが……他国の一般人の子供からの手紙を王族に送るってのもな。
レジーナの名前を使うのも、危険が伴う。
はてさて……
「どうしたものかな……あ~ぁ、次から次へと、悩みが尽きねぇよ」
「ふふ。マグダさんのおねだりにはめっぽう弱いですからね、ヤシロさんは」
そんなことはないけどな。
まぁ、何か考えるさ。
あとがき
どうにもこうにも、宮地っつぁん☆
宮地です。
ミリィ的に言うと みゃじ です☆
見てくださいましたか、『スキルマ剣姫と歩くトラットリア』のMV
貼っちゃいます☆
(≧▽≦)つ【 https://www.youtube.com/shorts/BYYX8sIMHFU 】
あとCMもあるよ☆
その1 https://www.youtube.com/shorts/PxsL1AUJ2FQ
その2 https://www.youtube.com/shorts/nnUEO6Yy4kI
いや、ここが一番見ていただけている場所なので
ここぞとばかりに……はい、すみません。
ちょっと浮かれております。
えへへ(〃´∪`〃)ゞ
で、ですね、こういうのを作っていると
「異世界詐欺師で作ってほしい」と、言っていただけるんですが……
キャラがね(^^;
書籍版のイラストは当然使用できません。
なのでやるとしたら、
イラストのないキャラ
キャルビンとかベッコとかウッセとかモーマットとか
で、作るか
Σ(゜Д゜;) 一切魅力を感じない!?
もしくは、
ネット用のキャラデザインとして
新規に描き起こすか――しかないんですよね
まぁ、その辺は慎重に考えつつ、何か面白いことが出来ないか模索していければと思います
まだもうちょっと、時間はかかりそうです。
なにせ、試しにキャラを作っても、全然納得できないんですもの
書籍版のイラストが素敵なのでねぇ~
見劣っちゃってねぇ~(^^;
ミリィは奇跡的に可愛く出来たキャラなんです
あの奇跡がもう十連発くらいしたら、何か作れるかもしれません
Σ(゜Д゜;) 奇跡を、十連発!?
とりあえずは、
また他作品で何か作ります。
次は……『彼女と僕の口外法度』あたりですかねぇ~
(*´ω`*)
で、
MVって、ミュージックビデオ、もしくは、ミュージックヴィジョンの略なんですよね
もう、ビデオじゃないですからねぇ(^^;
ビデオって知ってます? 若者たち?
昔はそういう記録媒体を使っていたんですよ。
そうそう、
モザイク除去機っていう、ビデオデッキとテレビの間に繋ぐ謎の機械とかあったんですが、全然除去できませんで……アレは一体、なんだったのでしょうか……
Σ(゜Д゜;) そんな、心霊番組の再現VTRの締め方みたいに!?
MVというからには、
ミュージックがなければいかんわけですよ。
現在はSUNOという音楽生成AIを使って曲を作っているんですが
これが結構いい曲作ってくれて、
自分の歌詞が歌になるって、楽しいですね
公開していない曲が、もうすでにめっちゃあるんですね
完全に趣味なので、それらは今後も公開しないと思いますが
公開用の曲は、ちゃんと真面目に作詞しますし
えぇ、パイオッツァーとか、超真面目に作詞しましたし☆
♪山は偉大さ 胸を借りる 谷間も時には必要さ
心に刺さる、いい歌詞ですね
(ノω<)泣いて、いいんやで
で、
出来た順番にi-pod touchに放り込んでいるんですが
えぇ、まだi-pod touch使ってるんです、数年前に生産終了したのに☆
……予備、買い溜めときましょうか?
小さくていいんですよ、i-pod touch
でまぁ、出来た順だとなんというかこう、美しくないわけで、
ならばとプレイリストを作って順番を決めて
続けて聞く時に飽きない、邪魔にならない、気持ちのいい曲順、
そもそもの選曲とか、そういうのをするわけなんですが……
アルバム作ってるみたいで
楽しい(*´ω`*)
宮地「カウン〇ダウンTVをご覧の皆様、ナマステ。新しいアルバムが出来たので、少しずつですが聞いてください」
みたいな、アルバム紹介とか妄想しちゃって!
(≧▽≦)
……あ、すみません、ちょっとネパールで放送されているバージョンになっちゃいましたね
うっかりうっかり
いえ、それでですね
プレイリストを見て、「これアルバムだったらアルバム名付けなきゃな~」って思いまして
とりあえず、ファーストアルバムに『ベストアルバム』って名前を付けてみたんです
Σ(゜Д゜;) 一枚目でベストアルバム!?
で、まだまだ曲があるので、二枚目、三枚目と作っていくわけですが、
二枚目は、一枚目のベストをさらに超えろという意味を込めて
『ブーストアルバム』にしてみました
(;゜‐゜) ん、ちょっと嫌な予感……
そして三枚目、
ブーストのその上、野生の本能を剥き出しに
ありのままのパワフルな楽曲という意味を込めて
『ビーストアルバム』にしました
(;゜Д゜) 近付いてきてる、近付いてきてるぞ!
そして四枚目は
『バストアルバム』
\(≧▽≦)/
Σ(゜Д゜;) やっぱりか!?
ベ→ブ→ビ→バ
という流れで作っていけば、なんとも美しい☆
そして五枚目は、前作『バストアルバム』を最大限リスペクトして
もう『おっぱい』っていう名前にします
宮地拓海、ニューアルバム『おっぱい』
Now on sale
……か、かっこいい(≧▽≦)
いつか、音系即売会に『おっぱい』を引っ提げて殴り込みに行きます☆
警備員さん「止めろ! そいつを会場に入れるな!」
宮地「離せ、私には、おっぱいを待っているおっぱい仲間がいるんだ!」
警備員さん「つまみ出せ!」
部下警備員「「「おっぱいを!?」」」
宮地「いゃん、このつまみん坊☆」
(予定は未定です)
で、本編なんでしたっけ?
あぁ、おっぱいがぷるるぅ~んな話でしたっけ
まぁいつものことですね☆
えっと、マグダがまたちょっと成長を垣間見せました
盛大に甘えながらも、
ちょっとずつ、大人になっていってますね、マグダ
こういうの、なんか、……尊い(*´ω`*)
いつか、両親に会わせてあげたいですね~
そんな日が来ることを待ち望みつつ、
今回はこの辺で――
Σ(゜Д゜;) 綺麗に締めようとしても、今回のあとがき『バストアルバム』だったからね!?
次回もよろしくお願いいたします。
宮地拓海




