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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
第四幕

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456話 少し遅めの朝食の前に

 教会に、婆さん司祭がいた。

 一番乗りで。


「あら、ブラザー・ティム。お早いですね」

「昨夜からわくわくしてしまい、こんなに早く来てしまいました」


 嘘吐け。

 女だらけの教会に入っていきにくいからって、俺を待ち伏せしに早く来ただけだろうに。

 俺がいつ教会に行くか分からんかっただろうし、見つける前に教会に入られては計画が頓挫するもんな。


「教会の子供たちはお元気ですか。たしか、小さい子がいましたね。カルディナとかいう」

「はい。やんちゃ盛りのお転婆娘ですが、上の子たちがしっかりと面倒を見てくれています。いやはや、子供たちの成長は目を見張るばかりで、私も日々助けられていますよ」


 と、ティムが教会モードで話をしている。

 本当に、やれば出来るんだ。

 じゃあ、常に「やる」モードでいとけよ、教会関係者。


「おはようございます、ブラザー。本日は急なお誘いにもかかわらず、遠いところへよくお越しくださいました」

「いいえ、シスター・ベルティーナ。お誘いくださりありがとうございます。あなたにお会いするためでしたら、この程度の距離など物の数ではありません」

「うふふ。相変わらず、お上手ですね」

「いえいえ、本当ですよ」

「ベルティーナを口説くな、このおっぱい末期患者」

「ちょっ!? やめっ、ダメだっつーの! シスター・ベルティーナにそんな不埒な視線、向けるわけないじゃないか! あと、おっぱい患者は卒業したの、ブラザーになる前に!」


 何を寝ぼけたことを。


「一度芽生えたおっぱいの花は、何があろうと枯れることはない!」

「おっぱいを嗜んだ者として、その心意気には賛同するけれども、ホントやめて! 司祭様もおられるから!」

「あらあら、ブラザー・ティムはヤシロさんともう仲良しになられたのですね」


 にっこりと笑って、ベルティーナが俺とティムの腕を掴む。


「では、お二人で仲良く懺悔いたしましょうね」

「はぁうっ!? なんかこーゆー叱られ方久しぶり!?」


 よかったなぁ、憧れのベルティーナに叱ってもらえて。

 なんなら、俺の分も懺悔してきていいぞ。


 ……え、ダメなの?

 いやいや、本人が望んでるんだから……そっか、ダメなのか、ちぇ~。


「では、ヤシロさんとブラザーが懺悔している間に、朝ご飯の準備をしてしまいますね」

「え、待って。そんな長時間に及ぶの、今朝の懺悔?」

「だって、シスターのお顔がそう言ってますよ。ねぇ、シスター?」

「司祭様の前で不埒な発言をするからです」


 と、ベルティーナがほっぺたをぷっくり膨らませて怒る。

 ジネットが笑いながらぺこりと頭を下げて厨房へ向かう間も、ベルティーナは頬っぺたを膨らませて俺を睨んでいた。「むぅ」とか言いそうな顔で。


 その顔を見て、ティムがぽか~んと口を開ける。

 どしたんだ、こいつ?


「シスター・ベルティーナも、そのような表情をされるんですね」

「へっ?」

「なんだか、以前お見かけした時よりも、随分とお可愛らしくなられましたね。まるで、父や兄に甘える妹のようです」

「そ、そんなことは……!」


 ほぉ~。

 ベルティーナが甘えるようになったのは最近なのか。


「ジネットのせいだな。際限なく甘やかし続けるから」

「あらあら。私は、もっと別の誰かが原因だと思いますけれどね」


 と、婆さん司祭が俺の背中をぽ~んぽんと叩く。

 え、なに?

 突然のセクハラ?

 もう20cm下だったらお尻触られてたぞ、今。


「婆さん、痴漢する時は尻を触るのがマナーだぞ」

「そんなマナーはありませんし、司祭様はそのようなことはなさいません! あと、司祭様に無礼な呼び方はダメですよ、ヤシロさん!」

「まぁ、お尻を触るのがマナーなのですね。では、こうでしょうか?」

「司祭様!?」

「うふふ。小振りで可愛らしいお尻ですこと」

「もぅ! 司祭様も懺悔なさってください!」


 おぉ~っと、レアイベント!

 まさかの、司祭と一緒に懺悔だ。


「じゃ、懺悔はプロに任せて――」

「お待ちなさい、ヤシロさん。折角ですから、みなで一緒に朝のお祈りを捧げましょう。それで、今回の懺悔は免除といたします」

「祈り捧げるって、あの、なんかくっそ長いヤツか?」


 礼拝堂に行って、聖霊教会のシンボルの前に跪いて、手を組んで長ったらしい祝福の言葉を述べるんだよ。

 シスター以外は同じ体勢でその言葉を黙って聞いているだけっていう地獄のような時間だ。


 それなら、懺悔の方がマシなんだが?


「さぁ、ベルティーナもご一緒に」

「司祭様、懺悔を誤魔化しましたね?」

「懺悔とは、精霊神様の御前でおのれの心の内をさらけ出し、おのれと向き合うものです。私はいつも嘘偽りのない言葉で精霊神様に語りかけておりますから、それはもう懺悔と同じなのです」

「もぅ、司祭様は……」


 屁理屈なんだろうなぁ。

 でも、言ってることに嘘はないのだろう。

 ベルティーナが反論できずに、「しっかりとお祈りしてください」と司祭に言うにとどめた。


「司祭様まで、あのようなお顔を……どうなっているのでしょうか、四十二区は?」


 ティムが驚いている。

 あ、やっぱ四十二区の空気のせいなのか?

 来るヤツ来るヤツ、残念になって帰っていくんだよなぁ。

 で、次に来る頃にはその残念さがパワーアップしてるんだ。


「だからお前も、存分におっぱいではしゃいじゃって構わないんDAZE☆」

「ヤシロさんは、あとで懺悔を追加です」

「いや、でも司祭様がお祈りをすればいいとおっしゃっていましたので」

「そんな改まった口調で言ってもダメです、ヤシロさん」

「どう思われますか、司祭様?」

「追加の懺悔をお受けなさい、ヤシロさん」

「掌返し、早っ!?」

「いいえ、今のは、手のひらを返す前にこぼれ落ちた分ですよ。追加するのですもの」


 んだよ。

 免除だと思って、ちょっとはしゃいだだけなのに。


「では、参りましょう」


 婆さん司祭を先頭に、礼拝堂へ向かう。


 途中、ティムがそっと体を寄せて小声で話しかけてきた。


「お前さん、男だねぇ」

「なんだ? 美少女にでも見えてたのか?」


 ティムは「くははっ」と笑い、「ないよ」と軽く突っ込んできた。


「お前さんのチャレンジ精神には感服すっけどね、実際問題、他のシスターが到着したあとは控えた方がいいんでないかぃ?」


 そこまで言って、前を行く司祭とシスターに視線を向け、さらに声を潜めて囁く。


「……シスター・バーバラっておっかない人がいるから、その人の前では絶対に羽目を外さないようにな」


 シスター・バーバラ?


「あの、穏やかを絵に描いたような干物婆さんが?」

「ちょっ!? お前さん、命がいらないのか!? 肝据わり過ぎてて逆に引くわぁ!」


 いやいや。

 バーバラなんて、シスターの中で、一番何しても怒らない人物だろうが。


「結講羽目外してるけど、怒られたことなんかないぞ?」

「マジで!? ……ついに丸くなった? まさか、あの撲殺シスターが?」


 おい、なんかとんでもない二つ名付いてないか?


「あぁ、そういえば、若いシスターを教会に迎えて、指導してるって言ってたっけ……それで多少は丸くなったんかな?」

「その若いシスターの方が、よっぽど撲殺シスターだけどな」


 モーニングスターの名手だし。


「じゃあ、あれだ。技術を継承したんだ。根こそぎ」

「だとしたら、とんでもねぇな、バーバラ。あとでクレーム入れとこう」

「いやいや、ダメだってーの。眠った魔神を起こすんじゃないよ、マジで」

「何をこそこそしゃべっているのですか、お二人とも?」


 と、ベルティーナに後ろから声をかけられ……あれ?

 ベルティーナは俺たちの前を歩いていたはず。


 気付けば礼拝堂に入っていたわけだが、礼拝堂に入って間もなく俺の後ろに回り込んだ?

 いや、ベルティーナは目の前にいる。


 ってことは、後ろから聞こえた声は……


「お祈りは、始まる前から神聖な気持ちで臨むべきものですよ、オオバヤシロさん。礼拝堂は聖なる場所なのです。もっと神妙にしてください」


 ソフィーだった。


 そして、その後ろには当然。


「お久しぶりですね、ティム」

「しすたぁ、ばーばら……ごぶさた、しております」


 バーバラがにこやかに立っていた。

 にっこりと笑って、ティムに手招きしている。


「私に、何かおっしゃりたいことがあるのかしら?」

「めっそうも、ございません」

「思い出しますね。とんでもないヤンチャ坊主だったあなたに指導をしていた頃を」

「そのせつは、たいへん、おせわに……」

「いくら幼なかったとはいえ、何度言っても懲りずに若いシスターの湯浴みを覗こうとして、よくお尻をぺんぺんしたものです」


 と、当時を再現するように腕を振るバーバラ。


 あれ?

 気のせいかな?

 その振られてる手、何か握ってない?

 お尻ぺんぺんって、普通平手じゃない?

 なに握ってんすか、撲殺シスターさん?


 なんとなく、バーバラの若い頃の話は深堀りしない方がいいんじゃないかと、そんな気がした。




「まったく。いくつになっても、ブラザーになっても変わりませんね、あなたは」

「いや、そんな。シスターの薫陶のおかげで、こうして立派なブラザーになれたのですから、少しくらいは褒めてくださってもいいのでは?」

「まずは、服を着崩す癖を、お直しなさい」


 と、バーバラがティムの襟元に腕を伸ばす。

 ズレた襟を正し、「ぴっ!」と音を立てて法衣の乱れを整えてやる。


 おぉっ!

 さっき完璧だと思っていた着こなしが、ワンランクグレードアップした。

 ちゃんと着るとここまで神聖な雰囲気になるんだ、この服。


「お見事だな、バーバラ」

「うふふ。ヤシロさんにそう言ってもらえて嬉しいわ」

「シスター・バーバラがあんな無防備な笑顔を……本当に何者なんですか? シスターバーバラは、教会の子は皆平等と、誰かを特別優遇したり殊更褒めたりはされない方だったんですよ」


 そういえば、バーバラは教会のガキどもを呼び捨てで呼び、平等に接してたな。

 男女分け隔てなく。

 成人未成年関係なく。


「もちろん、常日頃よりどこかに偏るのではなく、すべてに対しなるべく平等にと思っております。でもね、この人はね、シスター・ベルティーナの『特別』なんですよ」

「もぅ、シスター・バーバラっ」


 うふふと笑うバーバラに、ベルティーナが拳を振り上げて駆け寄る。

 殴るのか!?

 おぉっ、出たっ「にゃあ~」な猫パンチ!

 いや、あれは『撫で』だな。

 猫撫でだ。


「それより、ティム。お前、バーバラの教会にいたのか?」

「ん? そだよ。まぁ、成人までの短い間だったけどな」


 と、顎を上げて遠くを見つめるティム。


 バーバラの教会ということは、二十四区の教会だ。

 あの教会にいる者は……


「お前、どこか体が……」

「なんだ、お前さんは知ってんのかぃ? 二十四区教会のことを知ってるってことは、相当気に入られてんだねぇ、シスター・バーバラに」


 そういえば、俺らが初めて訪れた時、二十四区の教会は重い鉄の扉が閉ざされていて、中に入ることが困難だった。

 その内情を知っているってことは、それだけ深く二十四区教会と関わった者だって証明になるわけだ。


「実は、目が片方な――」


 と、サングラスを外したティムは左目が白く濁っていた。

 あれは、見えてないな。


「右の方はどうなんだ?」

「あんまりよくはないんだよなぁ、これが。このサングラスは領主様が特別に作ってくださったもので、『目隠し』と視力矯正の両方を担ってくれてんだ」


 目隠しってのは、濁った目を隠すってことか。

 まぁ、他人に見せたいものでもないし、見た相手も気を遣うだろうしな。


「よかったな、三十三区がガラスの加工に長けていて」

「まったく、ありがてぇよなぁ。サングラスなんてモン、ウチの領主様じゃなきゃ考えもつかなかっただろうからなぁ」


 ガラスが高級だと言われているこの街で、日差し避けや目元を隠すためのメガネなんて作ろうとするヤツはいなかったのだろう。

 金がかかるからな。


「貧しいながらも、親兄弟で助け合って生きてたんだが、あたすの目がこうなっちまって、捨てられて……そんで、二十四区教会に拾われたってわけさ」

「家族は?」

「さぁな。探せばどこかにいるかもしれないが、あたすはもう精霊神様の子だ。今さら本当の家族だなんて、興味もないし、話すこともないやーね」


 一度教会に預けた子には、二度と会えない。

 そんな力が働くのではないかと、そんな仮定を聞いたことがある。


 けど、モコカはミケルと会っているし、会おうと思えば会えるのではないだろうか。

 まぁ、本人が望まないなら、会うことはこの先もないだろうけどな。


「一度教会に預けた子には二度と会えない、なんてことはないよな?」

「さて、どうなのでしょうか……」


 と、バーバラが首を傾げる。


「私が知る限り、ただの一人として、元の家族が会いに来たことも、どこかで再会したという子もおりませんでしたから」


 少し寂しそうに、でも落ち着いた面持ちで言う。


「でも、ミケルはモコカに会ってるよな?」


 体力が常人の三分の一しかないアブラムシ人族のミケル。

 二十四区教会で現在も生活しているミケルは、マーゥルのところで給仕をやっているモコカの兄だ。

 あいつらは、手紙のやり取りを頻繁にしており、たまに会うこともあるという。


「ミケルさんは、教会の子ではありませんよ」


 と、ソフィーが言う。

 ……え、違うの?


「ミケルさんは、成人した後、仕事がないと言って教会を頼ってきた方なのです。本来であれば、教会で下働きの者などは雇うことはないのですが、彼は特殊な体質でしたし、本人も働く意欲に燃えていましたので、特例としてお迎えしているのです」


 そうだったのか。

 バーバラの説明は、ちょっと驚くものだった。


 あぁ、でもそうでなければモコカと離れて暮らしてたことになって、あそこまで兄妹仲がいいってことはないかもしれないな。

 きっと、体力のない兄貴と一緒に、二人で支え合って生きていたのだろう。

 だからあんなに懐いてんだな、どっちも。


 っていうか、ソフィーもそうか。

 耳を怪我して聴力が落ちてから、教会の門を叩いたんだっけな。

 で、現在は妹と頻繁に会い、いずれ家に帰ると。


 教会にも、いろんなヤツが集まるもんだ。


「ですので、教会の子たちは、この先も家族に会える可能性は低いでしょうね」


 そこで、きっちりと線が引かれてるのか。

 おそらく、ジネットも……


「けどまぁ、その分お前らがこれでもかって甘やかしてやったんだろ? ならガキどもにとってはそっちの方が幸せだ」


「だったかもな」という仮定ではなく断言してやろう。


「騒がしくて煩わしいけど、楽しいもんだからな、大家族ってのは」


 上の者には責任感が培われ、下の者は盛大に甘えつつ年上を手本に理想の大人を目指して成長する。

 その空間にいた者にしか分からない一体感があり、それはきっと、大人になっても、年老いたあとも色褪せることなく、そいつらの心に深く刻まれていくことだろう。


 バーバラや婆さん司祭が、今でもベルティーナのことを大好きなようにな。


「人生のスタート地点としては、最高の場所だからな、この街の教会は」


 こんだけ甘やかしてくれる親、そうそういないからなぁ。

 何十年と変わらず注がれる愛情。

 どんなに全力でぶつかっても受け止めてくれる包容力。

 そして、性別、年齢、合う合わないを超越して形成される一体感と協調性。


「ここで育ったガキどもに『楽しかった思い出を話せ』って言ったら、一晩じゃ絶対終わらないぞ」


 きっと、どのガキも「あのね、僕はねー!」「あたしが先に話したいー!」って言い出して、尽きることのない思い出話が咲き乱れることだろう。


「そういうのを、きっと『幸せ』って呼ぶんだろうぜ。知らんけど」


 まぁ、ここのガキどもが不幸には見えないからな。

 今日だって、今夜のお泊まりにわくわくし過ぎて、もうすでに騒がしい声が聞こえてきてるもんな。

 礼拝堂を出れば、二階の子供部屋から騒がしい声が漏れ聞こえ、飯の前には廊下をズダダダッて駆け回るガキどもで溢れかえるんだ。


 あいつらを見て「可哀想」とか思うヤツは、きっと感性がおかしいか、他人を見下し自分を上げてマウントを取りたいだけのしょーもないヤツに違いない。


「ティムの家族はバーバラってわけだ。そりゃ、おっかなくて当然だな」


 母親はおっかないものだ。

 特に、やんちゃ坊主だったクソガキの場合はな。


 俺は、とてつもなく優秀なお利口少年だったから、女将さんをおっかないなんて思ったことは…………数回しかない。


「ヤシロさん」


 婆さん司祭が俺を呼ぶ。

 なんだ? と、そちらを見れば、ベルティーナが床に膝をついて祈っていた。

 俺に向かって。


 なんで!?


 と思ったら、バーバラとティムも俺に向かって祈り始めた。


 なに!?

 なんの嫌がらせ!?


「あなたの言葉は、とても優しい響きを持っています。まるで、歴史の書物に記された精霊神様のように」

「やめてくれる? 俺をあんな性根のひん曲がったヤツと一緒にすんの」


 祈りながら超弩級の悪口言うとか、どんなイジメだっつーの。




 なんか、懺悔が免除されて、祈りも俺だけ免除で他のシスター全員で祈りを捧げるってことになった。


 これってもしかして、俺だけ礼拝堂から追い出された感じ?


「あれ? ヤシロさん。もう懺悔が済んだんですか?」

「え、なに? 不服?」

「ふふ。ほっぺたがまんまるですよ」


 ちょっと拗ねたら、それを可愛いと受け取られた。

 まぁ、可愛いからな、俺。


「司祭、シスターがこぞって懺悔はいらないってよ」

「そうなんですか。……何か言ったんですか?」

「さぁ? たぶん、精霊神より俺の方が尊いってことに気が付いたんじゃないか?」

「うふふ。では、ヤシロしん教会が設立されるかもしれませんね」

「やめてくれ、おぞましい……」


 今の小規模新興宗教だけでもうんざりしてるってのに。


「では、この御神体が、信者のみなさんに配られる日が来るかもしれませんね」


 と、懐から俺のそっくり人形を取り出す。

 ……もう持ってんのかよ。


「行進の時に持ち歩く用じゃなかったっけ?」

「今日は大勢のシスターがお見えになりますから、これでも緊張しているんですよ?」

「ソフィーとかティムみたいなのばっかだろ、どうせ?」


 緊張なんか、するだけ損だぞ。

 ベルティーナみたいなウルトラレアなシスターなんか、きっと他にはいないから。


「四十二区は、大当たりだな」

「シスターが聞けば、喜ぶか照れるか、どちらでしょうね」


「ね~」っと、そっくり人形に話しかけるジネット。

 本人無視して人形に話しかけてんじゃねぇよ。


「本物はこっちだぞ」

「え? ふふ、うっかり間違ってしまうほどそっくりですから、気を付けませんとね」


 似ててたまるか、そんなにっこにこ顔の二頭身。

 本体は、きりっと涼しげな目元の八頭身だからな。

 脚、すらぁ~。


「そんなに似てるんなら、行進の時こっそり人形になりすましておいてやろっと」

「え?」

「そうすりゃ、ジネットはうっかり本物の俺を胸元にしまい込むんだ。そしたら行進の間中ずっと谷間に挟まってられるなぁ……」

「もぅ、懺悔してください」

「いや、免除されたんで」

「今から新たにしてきてください」

「司祭より厳しいな、ジネットは」

「ヤシロさんがイケないんです。……叱られてしまいますよ?」

「だから、今のうちに言い尽くしておこうと」

「お口に出さずに飲み込んでください」

「そんなことをして、俺の体の中がおっぱいでいっぱいになったらどうする!?」

「今は違うんですか?」

「……言うようになったな、ジネット」

「毎日ヤシロさんを観察していますから」


 得意げに笑って、「お暇だったらお手伝いしてくださいますか?」と俺を厨房へ誘う。


 そして、懺悔のことをすっかりと忘れる。


 うんうん。

 やっぱりジネットはこうでないと。

 言い返せたと思ってスッキリしちゃってるんだもんなぁ。

 俺の手のひらの上だということも気付かずに……ふふふ、いヤツよのぅ。



 で、厨房に入って驚いた。


「「「おはようございます、ヤシロお兄ちゃん」」」


 ガキどもが、ちゃんとエプロンを着けて、ぴしーっと整列してやがった。

 ……なにやってんの?

 え、今日って母の日?

 お前ら、手伝いなんか全然したことないのに。


「これはどういう状況だ?」

「ふふっ。今日は、いい子にしていた子だけ、陽だまり亭でお泊まりできると、シスターがおっしゃったそうですよ」

「わっかりやすいなぁ、お前ら!?」


 それで、そんな見え見えの「お手伝い大作戦」してんのか?

 浅ましいというか、浅はかというか。


「こんなにいられても邪魔なだけだよ」

「ですが、仲間はずれはいけませんから」


 とはいえ、寮母のおばさんたちも苦笑いしてんじゃねぇか。

 厨房狭いし、作業スペース埋まってるし、正直邪魔。


「あのな、なにもいい子ってのはお手伝いするヤツって意味じゃねぇんだぞ」

「じゃあ、何をすればいい子?」

「一人でお留守番はやだー!」


 ちんまいガキと、ちょっと泣きそうな幼女が俺をガン見してくる。

 普段からいい子にしてないから、どういうのがいい子なのかも分からないんだよ、お前らは。


「まず、初めて会うシスターには元気に挨拶をすること。礼儀作法なんかは二の次だ。ガキは元気さえあれば大抵のことは許される。出来るな?」

「「「「はーい!」」」


 うるっせ!


「あと、デカいガキどもは小さいガキどもの面倒をよく見てやれ。遊びに夢中になってばかりじゃなく、たまにでもいい、ちゃんと全員が楽しんでいるのかを確認してやれ」

「どうやるのー?」

「ぱ~っと見渡すだけでいい。誰かが泣いてたり、誰かが足りないと、ぱっと見ただけでも案外気が付くもんだ」


 毎日顔を突き合わせる同じメンバーなら、なおさらな。


 まぁ、ジネットたちが抜かりなく見守っているから、危険なことにはならないだろうが、見守る癖を付けさせるのはいいことだ。

 こいつらの中から子守上手が誕生すれば、この無秩序で騒がしいだけのクソガキどもも、少しは統率が取れるようになるだろう。


「それから、聞いていると思うが、今日は四十区の教会からお前たちと同じくらいのガキ連中が遊びに来る。向こうは知らない場所で、知らない同年代に会うって緊張しているはずだ。お前らも緊張するかもしれんが、ここは四十二区、お前たちの街だ。広い心で、初めて四十二区にやって来たガキ連中を迎え入れてやれ」


 っていう言い方だと、きっと伝わってないだろうから、ここはジネットにパス。


「新しいお友達と、仲良くしてくださいね」

「「「はーーーい!」」」


「これでいいですか?」と、こちらを向くジネット。

 それがなきゃ、満点だったのにな。


「あと、今日と明日はケンカ禁止だ。気が合わないヤツがいるかもしれんが、そんなヤツですら許容してやれる、器のでっかさを見せつけてやれ」

「うつわのおおきさってなにー?」

「おっぱい~?」

「なんで器のデカさがおっぱいの大きさになるんだよ!?」

「「「ヤシロおにーちゃんがいつも言ってるー!」」」

「言ってねぇだろ!?」

「言ってます」


 今日はなんだか、ジネットが辛辣だ。

「子供たちが真似をするので、控えてくださいね」とか言われちった。

 ちぇ~。


「器の大きさとは、優しさのことですよ。イヤなことをされても、きつい言葉で言い返すのではなく、『どうしてそんなことするの?』『やめてね』『悲しいよ』と話をするんです。嫌なことを言われたからと、嫌なことを言い返すのは、とても悲しいことですから」

「だが、それはひっじょ~~~に難しい。なぜなら、すっげぇムカつくからだ。リカルドやウッセなんか、いっつも怒ってデッカい声を出してるだろ? あーゆーのが器が小さいというんだ。今度見かけたら言ってやれ」

「ダメですよ、ヤシロさん」


 ジネットの、よく分からない、別に聞かなくてもよさそうな指摘はスルーする。


「それよりも、デリアやハビエルのように、『そーゆーことは言っちゃダメなんだぞ』って教えてやれるのは、どうだ? カッコよくないか?」

「「「かっこいー!」」」

「ハビエルおじさんは~?」

「「「かっこいいー!」」」

「――というわけだから、今日、諸々よろしくな、ハビエル」

「あぁ、もう、なんだって言ってくれ! 今日は最高の一日になることがたった今決定したからな!」


 なんか、巨体が歩く音が談話室の方から聞こえたから撒き餌をしてみたら、まんまと大物が釣れた。

 いや~。ピザの準備に結構金がかかってなぁ。

 教会は出してくれないし、どうしたもんかと思ってたんだよなぁ。


 あ、ハビエルはエレベーターの動力として連れて行くことが決まっている。

 なので、ピザも食うし、材料費を出してもらってもお門違いではないだろう。


「以上のことを守っている者は、今日ベルティーナに言われた『いい子』に該当するであろう。ただし、それさえ守っていれば何をやってもいいなんて思ってるヤツがいたら、そいつは悪い子だ。きっと今晩は一人寂しく子供部屋で寝ることになるだろう」

「「「いい子にするー!」」」


 ま、こんくらい脅かしときゃ、今日一日くらいはいい子にしてるだろう。

 とにかく、ぎゃーぎゃー騒ぐからな、ガキは。

 ケンカなんかされると、ギャン泣きするわ、ヘソを曲げるわ、物に当たり散らすわで面倒なことこの上ない。


 なので、あらかじめその辺を潰しておけば、今日一日の俺の負担もかなり軽減されるってもんだ。

 うん。策略家だな、俺って。


「本当に素晴らしい考え方だわ、ヤシロさん。」


 いつの間にか、厨房の前に婆さん司祭がいた。


「今すぐ教会に勧誘したいくらいに」


 そーゆー引き抜きをされて、こんな大袈裟なイベントやる羽目になってんだよ、俺は。


 行き先が変わろうと関係ないの。

 劇場も教会も、お断りだっつーの。




 司祭に続き、ベルティーナやバーバラたちが厨房に入ってきて……多いっつーの。


 なんか俺の演説が素晴らしかったとか、子供たちの教育者に是非講習をしてほしいだとか言われたがまるっと無視をして全員を厨房から追い出した。


 お前らは談話室の掃除でもしてろ。


「さぁ、さっさとやっちまうぞ」

「はい」


 なんでか嬉しそうなジネット。

「みなさんに褒めてもらえてよかったですね、ヤシロさん」なんて、まったく嬉しくもない称賛なんだか小馬鹿にしてんだか分からん言葉を寄越してくる。


 俺はただ、ガキどもが多少なりとも大人しくなるであろう呪いの言葉を投げかけてやっただけだっつーの。


 ほらみろ。

 ジネットに甘えたくて厨房を覗きに来たガキを、ヤギ耳の少女が「邪魔しちゃ悪い子だよ」って抱きかかえて談話室へ連行していった。


 こういう効果があるんだよ、俺の呪いには!


「呪ってやる……」

「うふふ。怖いですね」


 そんな微笑ましいみたいな笑顔で言うセリフかね?


 ……まったく。



 今朝は軽めの朝食だ。

 なにせ、昼は船の上でピザだからな。

 絶対食いまくるもん、ガキども。

 あと、マーシャが張り切ってたから海鮮系もいっぱい出てくるだろうし。


 ちゃんと「昼はご馳走だから朝は控えめな」と通達してあるので、ガキどもももんくはあるまい。


 ももも。


 いや、なんか「ガキどもももんくは」ってやたらと「も」が並んだので、つい。


 今朝は普通に味噌汁と焼き鮭と白米と味ノリと目玉焼きだ。

 ザ・朝食。

 王道中の王道!


 贅沢を言えば、ここに納豆が欲しかったところではあるが。

 まだないんだよなぁ、納豆。


 リベカに頼みたいところだが……いろんな麹が死に絶えそうで……


 納豆菌って、他の細菌を殺しちゃうらしいから。


「他の区のシスターたちは飯を食ってくるんだっけ?」

「はい。さすがに朝食前にお越しいただくのは申し訳ないので、朝食は各自で取っていただく形にしました。……本当は、是非召し上がっていただきたかったんですけどね」


 ほとんどのシスターたちが、移動中の馬車の中で軽く何かを摘まむ程度になるだろう。

 教会関係者だからパンとか?

 いやいや、教会関係者でも、教会からパンが支給されるわけじゃないんだよな。

 昔の四十二区教会ではパンなんか食ってなかったもん。高くて。


 なんだかなぁ。


「きっと、この次からは多少無理してでも日の出前に集まってくるぞ」

「今日を境に仲良くなれるから、ですね」


 いやいや。

 別にそんなつもりも意気込みもないから、腕まくりとかしなくていいから。

 どーせ勝手に懐いてくるんだから……


「そうじゃなくて、一回でもジネットの飯を食えばみんな『また食べたい!』ってなって、期待に満ちた顔でわっくわくしながら押しかけてくるようになるよ」


 前例をいちいち挙げるのがアホらしいくらい前例があり過ぎるからな。

 絶対、今日早く来ているバーバラやソフィーも「手伝いをするためです」とか言いながら、ジネットの飯を期待してるはずだ。


「だから、次回があるならかなり大変になるから、ゆったりしていられる今回は相当貴重……って、どうしたんだ、固まって?」


 なんか、ジネットがフリーズしている。

 ハニワみたいなまんまるな目をして、俺を見ている。


「みんな……ですか?」

「ん? あぁ、まぁ確実とは言えないかもしれんがほとんど全員そうなってるだろ? みんな二回目からはジネットの料理を期待してる」

「みんな……なんですね」


 なんだ?

 やけに食いつくな。


「あの……その『みんな』には、ヤシロさんも含まれます……よね?」


 お……ぅ。

 また、お前は、そーゆー、言葉の端っこを捕まえて……別にそこまで重大な意味とか込めてないってのに…………まったく。


「毎日、今日の夕飯何かな~って楽しみにするくらいには、お前の料理の虜だよ」


 ジネットの飯が食えないってだけで、きっとその日は一日テンションが上がらんだろうな。

 どんなイベントがあろうと、三食の内のどれかはジネットの料理を食ってるからな。

 三食がどれも適わない時であろうと、ちょっとつまめる軽食かおやつが待っていてくれる。


「俺、ジネット断ちしたら、何日も生きられないと思う」


 それくらいには、すっかりと餌付けされちまったなぁ、俺も。

 まったく、天才イケメン詐欺師の俺様としたことが。まったく、やれやれだぜ。


「ぇと……あの…………」


 くはっ……と息を吸って、ジネットが俯きそうな顔を頑張って持ち上げて、俺を見る。


「わたしの、『料理』断ち……です、……よね?」



 ジネット断ち――



「俺、ジネットに会えなくなったら、何日も生きられないと思う」




 ――いや違う!

 そんな重たくて甘ったるい意味なんか込めてないから!


「そう、料理断ちだ! 美味いから! 他所で食うより断然!」

「そ、そうですか。それは、あの、してやったり、ですね」


 あははと、ぎこちなく笑うジネット。

 

「おにーちゃんたち~、まだ~ってシスターが呼んでるよ~?」


 そこへヤギ耳少女がやって来て俺とジネットの肩が同時に跳ねる。


 ……くっ、寮母のおばさんたちに一部始終全部見られて、なおかつ今現在くすくす笑われてるのがいたたまれない。


「よく来たな! 実はな、自主的にお手伝いをしに来てくれるいい子を待っていたんだ。一番にやって来たいい子は確実に陽だまり亭お泊まり会に参加決定だな~」

「ホント!? やったぁ~!」

「そ、そうですよ。大きなお風呂にも入り放題です」

「うん! じゃあ、ご飯運んじゃうね!」

「うふふ。それじゃあ、私たちもいい子に運びますね」

「二人はゆっくりしてていいですからね」


 えぇい!

 によによしながら余計なことを言って俺たちの隣を通っていくな、寮母のオバハンども!

 躓け!

 躓いてコケて、足グネれ!


「まったく……」

「えっと……陽だまり亭の準備をマグダさんたちにお願いしてきてしまいましたので、何かご褒美を考えなければいけませんね。その、お手伝いが出来るいい子ですから」

「あいつらの場合、それが仕事なんだから、そんなもん用意しなくても問題ねぇよ」


 マグダとロレッタは陽だまり亭で待機しつつ、この後のクルージン他の準備を進めている。


 ――というていで、レジーナの護衛を頼んでいる。


 レジーナは、間違っても人が集まる教会になんか来ないしな。

 ガキが多いところも苦手だろうし、ちょっとふざけると真面目な顔で叱ってくるシスターの大勢集まる場所になんか来るはずもない。

 そもそも、教会に来るとあいつ消滅しかねないし。

 完全無欠に腐属性の生き物だし。


「まぁ、適当にやりながら、適当にのんびりしてるだろうよ。飯も腹いっぱい食ったし」


 ピザの試食、大盛り上がりだったからな。


「俺たちも、ガキが飯を食っている間はのんびりさせてもらおう」

「そうですね。ゆっくり出来るのはここが最後かもしれませんし」

「この次は、全部終わってシスター連中が帰った後だな」

「ふふ……とっても先の予定のように聞こえますね」


 ホント……果てしなく遠い未来のようだよ。


「あっ、ここにいたんだ」


 エステラが厨房に顔を覗かせる。

 今日のイベントのために一度館に戻って着替えてきたエステラ。

 やっぱり、予想したとおりにピンクが入った服を着ている。

 今回は少々おとなしめではあるが。


 そんなエステラが、へにゃっと笑う。


「さっきあんなにピザを食べたのに、ジネットちゃんの顔を見たらちょっとお腹すいちゃった。何か軽く摘まめるものをもらってもいいかな?」


 こいつももしかしたら、緊張してんのかもしれない。

 緊張すると、変に胃が動いてぐるぐるいうんだよなぁ。

 食べ過ぎはダメだが、軽く摘まんで胃を黙らせるのは効果的だろう。

 大勢のシスター連中の前で腹を鳴らすわけにもいかないしな。


「では、軽い物をお作りしますね」

「ごめんね」

「いいえ、全然」


 にっこり笑って作業台へ向かうジネット。

 その背中を追いかけて耳元で囁く。


「ほらな?」

「へ、なんですか?」

「みんなが期待しちまうんだよ、お前の手料理」


 そう言うと、ジネットは「くすっ」と吹き出し――


「そうですね。新発見です」


 と、可笑しそうに笑った。


「え、なんの話?」

「みんな、ジネットの料理が好きだって話だよ」

「そりゃそうだよ。だって美味しいもん」


 誰憚ることなく言い切って、「楽しみだなぁ」と満面の笑みを浮かべるエステラ。


 まったく。



 変なヤツがやたらと集まってくるの、ジネットのせいって可能性も出てきたな、これは。

 つか、濃厚だ。うん。







あとがき




この季節ならではのあとがきを書き上げた結果、

そのネタに使ったモノが、

ウチの地元特有の風習だったと分かり、


たった今、あとがきが丸ごと一本没になった――



宮地です……

宮地です……

宮地です…………


(´;ω;`)くすん




まさか、アレがウチの地元独特の文化だったなんて……

そりゃあ、オフラインの人に「アレ知ってる?」って聞いても「きょとーん」とされるわけだよ!


一応、ちょっと気になってソレを検索したら、

ウチの地元の名前「ばばーん!」って出てきちゃいましたよ!


他の、どんなもので検索かけても画面に名前が出てこないようなクソ田舎のくせに!



……さすがに、書き過ぎたので、没です


下手したら、地元の人なら



地元民「え? あのくらいの年代で、あの時あんなことしてたのって……あっ、『宮地拓海』って◯◯さんとこの◯◯ちゃんか!?」



ってバレちゃうかも!?



地元に帰れなくなっちゃう

(*ノェノ)きゅっ


( ̄▽ ̄)「ままー、おっぱいの人だよー!」

(# ゜Д゜)「こらっ、見ちゃいけません!」


宮地「えぇ……(´・ω・`)」



地元がアウェーになってしまう!?




というわけで、

違うお話をしましょう。


え〜っと…………髪切った?



……ダメだ、トークの引き出しがなさ過ぎる。



え〜っと、

本編では若かりし日のシスターバーバラのお話と、ブラザーさんを少し掘り下げた感じですかね


というか、

なんか教会に人がいっぱいいる感じがしますね、これだけで


陽だまり亭チームはジネットしかいないんですが、なんか密度がすごい気がします。


シスター率ですかね?

この後、もっとやって来たらどうなるんでしょう?


しかし、異物感がすごいですね、このブラザーは。


出来ることなら、「この人変なんです!」とかしたかったんですが、さすがにそれはやめまして……


でも、過去にはそんな悪戯をやらかしていたようです


わぁ、親近感(*´▽`*)



ノリが軽いので若造に見えてるかもしれませんが、40代のおっさんですので!

ブラザーは、おっさんです!


パーシーみたいな軽さがありますが。


……あ、パーシー知りません?

影薄いですからねぇ〜


ざっくり説明すると、パーシーというのは、

道端に落ちてる松ぼっくりのような生態をした生き物です。


くっつき虫のようなしつこさも兼ね備えております☆



あっ!

この前、河原を歩いていたら、

知らない間に、ズボンの裾にくっつき虫がびっしりと!


気付いた瞬間「ぎゃぁぁあ!?」って言いましたよ。

もう、びっしりで!


くっつき虫、

場所によっては、引っ付き虫とかいうんでしょうか


オナモミなどに代表される、人の衣服や動物の毛にくっついて生息範囲を広げる、

活動型植物です。



オナモミは有名ですが、

今回やられたのは別のやつ!


ヌーブラみたいな形したくっつき虫です!

ヌスビトハギっていうんですけどね!

ご存知ですか!?


くっつかれたら「お前かぁ!?」って思い出すかもしれません。

ヌーブラ型くっつき虫です。


全然、草むらとか歩いてないのに、気付いたらびっしり付いてるんですよ!


散歩道を出て、

なんかちくちくするな〜って

パッと足元を見たら――


Σ(゜Д゜;)「ズボンにヌーブラがいっぱい!?」


ちっとも楽しくなかったです……


私、たぶんですけど、

数ある植物の中で、ヌスビトハギが二番目に嫌いもしれません。

一番は、コセンダングサです。


こいつもくっつき虫なんですけどね!

細くて、先端が二股で、それはもう、

びっっっっっっっっっっしりとくっつくんですよ!

草むらとかに座って立つと、

お尻にびっしりと!


私の美尻にびっしりと!



美っ尻!

\( ̄▽ ̄)/




……えぇ、まぁ、これ言いたたかっただけなんですが、


いえいえ、

コセンダン!

キク科で、花の状態まではまだ綺麗なんですよ。


まぁ、綺麗と言っても

あとの蛮行を知っているこちらとしては、全然愛でられないんですけども、

やつらは、秋に牙を剥く!



子供の頃、

少し走るだけで汗だくになる夏が終わり、

過ごしやすい風と、温もりを感じる柔らかい日差しという最強の気候を誇る秋!


駆け回るじゃないですか、

子供ですから!


思う存分野山を駆け、

原っぱを抜け、

ちょっとした丘の斜面を上から



ごーろごろごろごろごろごろ!

\(≧▽≦)/\( ≧▽)/\(  ≧)/\(   )/\(≦  )/\(▽≦ )/\(≧▽≦)/



って転がり落ちるじゃないですか!

子供ですもの!


そしたら、

体操服のような、柔らかい生地の服の全面に


びっっっっっっっっっっっしり!

美っっっっっっっっっっっっ尻!


くっついてるんですよ、トゲトゲのくっつき虫が!

コセンダングサが!


これが、まぁ〜〜〜〜取れない!

手で払っても痛いだけで、まったく取れないんです

取るには、摘んで遠くへぽいっとしないといけないんですが、

びっしりついてると、その作業も雑になって

摘んで、引っ張って、ぽいっ――ってしたやつが思いの外飛ばなくてまた服に「くっつーき!」ってっ!


(# ゜Д゜)うがぁぁあーーーーー!



それで、なんとかかんとか全部取って

くたくたになって家に帰って、居間にゴロンってしたら



たくみ「いだぁぁああ!?」



めっちゃチクチクするんですよ!

取れてないんです!

背中とか、ももの裏とか!

見えにくいところ!


それが、生地を通り越して、

刺さるんです!



(# ゜Д゜)うがぁぁあああーーー!



…………はぁ、はぁ、と、まぁ

そんな確執があり、今でも共演NGとさせていただいております


コセンダングサで生計をお立てになられている方には申し訳ありませんが

共演NGです


 Σ(゜Д゜;)コセンダングサで生計立てるってなんだ!?

 Σ(゜Д゜;)河原に生えてる雑草だぞ!?


いえ、でももしかしたらってこともありますので

一応、すみません


あっ、待ってください!



「京都 コセンダングサ いっぱい 原っぱ ゴーロゴロゴロゴロゴロ」検索――っと!


……あぁ、よかった

地元の名前出てきませんでした

(*´▽`*)


書き始める前に調べられればいいんですが、

書いてるうちにどこへ転がるか私自身にも予測が立たないもので

(^^;


というわけで

秋の話題、くっつき虫でした☆


 Σ(゜Д゜;)もっと他にあったはず!?

 

この次はもう少し素敵な話題で秋を語りたいですね


次回もよろしくお願いいたします!

宮地拓海

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― 新着の感想 ―
どうも。たくみ君の話をありがとうございます。ひっつき虫(オナモミ)は私も苦労しましたが……ヌーブラって(゜ロ゜;ノ)ノ モミにヌーブラ……宮地先生、懺悔してください。 それはそうと、ジネットさんの料…
何度でも読みたくなる話し。
>>地元の名前出てきませんでした 京都言うてはるーーー!!!???
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