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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
第四幕

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454話 加速する計画

 午後になり、手紙が集まり始めた。


 領主経由のものはエステラの館へ、シスターが直接書いたものはベルティーナのところへ。

 先ほど、ベルティーナがまとめて数通の手紙を持ってきた。

 今は陽だまり亭でそれを見ている最中だ。


「いや~、ありがとう、オオバ君。エステラから手紙で聞かされた時、思わず感動してしまったよ。いや~、本当にいい子だなぁ、君は」

「手紙読んでるんだよ、実体で絡んでくるな」


 手紙と同時に、デミリーもやって来た。

 エステラが、教会の引き継ぎに役立つかもしれないから、ガキども丸ごと招待してやるよというような内容の手紙を書いたのだろう。

 まんまと釣られて、嬉しそうなえびす顔でやって来やがった。


「四十区教会の子たちは、基本的にいい子ばかりなんだけれど、どうにもやっぱり寂しいみたいでねぇ。新しく来てくれたシスターも悪い人じゃないんだけれど、なかなかどうして難航しているみたいなんだよ」


 まぁ、新メンバーってのはなかなか馴染まないもんだからなぁ。

 まして、自分が好きだった人の代わりに加入したヤツとなると、どうしてもやっぱり反発心が出てしまう。


「一緒に四十二区ツアーを体験できれば、共通の楽しい思い出がたくさん出来て、その経験を経てきっと深い絆で結ばれることになるよ。うん、妙案だよ、オオバ君! さすが、私の友人だ」


 いつから友人になったんだよ。

 有料だぞ、俺の友人権は。サブスク仕様なんで、入金よろしく。


「うん。概ね、ほぼすべての区のシスターが参加してくれるようだね」

「三十五区以外の司祭は?」

「今回は見合わせるようだよ。司祭が集まるのは、やっぱりちょっと避けた方がいいだろうって」


 と、どこかの区から来たのであろう手紙をペラペラさせてエステラが言う。


「なぁ、エスペラ」

「誰がだ!?」


 あぁ、ごめんごめん。目の前でペラペラしてたからつい。


「外周区の教会にいるシスターや司祭でさ、いわゆる教会至上主義派のヤツっているのかな?」

「一概には言えないけれど……」


 ちらりとデミリーを窺い、デミリーからの頷きをもらってから、エステラは私見を述べる。


「ボクの印象では、そうではない人たちが外周区の教会に赴任しているように思えるね」


 そうではない――つまり、教会至上主義者ではない、領民や国民に寄り添う派閥のシスターたちが外周区には多いらしい。


 そりゃそうだ。

 身寄りのないガキを預かって世話を焼くなんて、権力を渇望しているヤツからしたら旨味のない奉仕活動だもんな。


 人のためにって考えられるヤツでなきゃ、やってられないだろうよ。


「それじゃ、盛大にもてなしてやれるな」

「君が張り切ると、どんなすごいことが起こるのかちょっと怖いけどね」


 張り切るのはお前だよ。

 せいぜい、移住者が増えないように注意しとくんだな。


「気に入られ過ぎて、シスターどもが引っ越してこないよう釘を刺しとけよ。これ以上『懺悔、懺悔』言うヤツが増えるのは御免だ」

「言われないよう、常日頃から己の言動を省みることが最優先だよ」


 いやいや、過剰反応や不当な懺悔も数多く存在してるから!


「まぁ、シスターたちが自区を離れるというのは考え難いね」


 と、デミリー。


「彼女たちは、自分たちの行いには責任を持ち、また同時にその生き方を誇りに思っているからね」


 ベルティーナを見ていると、そのとおりなのだろうなと思う。

 絶対出ていかないもん、ベルティーナ。


「ただ、お菓子の国があったら、ちょっと分からないぞ」

「ふふ……その時は、シスターよりも子供たちの方が飛び出していっちゃいそうですね」


 デミリーに茶を持ってきたジネットがさらりと会話に参加してくる。


 なんかもう、領主たちの密会の場所として定着しつつあるなぁ、陽だまり亭。

 他所行けよ、他所。


 なんて俺の祈りが通じたのか、ルシアがこんなことを言い出した。


「デミリーよ。この場所の居心地が非常によいのは理解できるが、陽だまり亭は間もなく混み合う時間らしい。この後各区の領主がやって来る可能性を考えると、場所をエステラの館に移した方がよいだろう」

「そうだね、内容が内容だったから、きっと直接話をしたいと思う者は多いだろう。エステラ、館を貸してくれるかい?」

「はい。ただ、ヤシロには別で動いてもらう予定なのでボクが対応することになりますけれど」

「あはは。領主自らが対応してくれるのに不満を持つ者はいないよ」


 そりゃそうだ。

 そのはず、なのに、なんでお前はこっちを見てんだ、おい。


「いろんな領主のがっかりした顔が、今から目に浮かぶようだよ」

「内容を完全に把握しているお前がいれば何の問題もない」


 俺がいようがいまいが、そんなもんは些末なことだ。

 領主会談なんだから、領主同士で話しとけってんだよ。


「しかし、統括裁判所まで引っ張り出してくるとはねぇ」


 デミリーが茶を飲んで息を吐く。


「普通なら、十分に効果のある一手だと思うよ。自分の店に調査が入れば、店中を検分されて、終わった話を何度も蒸し返されて、それだけでかなり疲弊してしまう」

「近隣住民へ見せつけて、印象操作をしようという腹積もりでもあろうしな」


 統括裁判所が乗り込んだとなれば、当然噂になる。

 何もしていなくても「何か踏み込まれるようなことをしたんじゃないか?」と第三者には思われる。

 そう思わせることが出来れば連中の勝ちで、調査の結果何もなかったと結論付けられても、その店の評判はガタ落ちで悪評だけがイメージとしていつまでも残り続ける。


 四十二区と懇意になった後も、『湿地帯の大病』という過去のイメージに縛られてビクビクしていた大工が多かったように、な。


「ただ、今回は相手が普通じゃないからねぇ」


 と、デミリーが苦笑を漏らして言う。


「まぁ、レジーナの店は到底普通とは言えないよな。開いてることの方が奇跡みたいな引きこもり店主で、その店主からして普通とは程遠い残念な生き物だからな」

「あはは。まぁ、薬剤師ギルドもさることながら――」


 ぽんっと俺の肩に手をのせて、デミリーが俺の顔を覗き込んでくる。


「君にこんな脅しは通用しないって、知らないんだろうね、彼らは」


 からかうような口調で言うデミリーに、ルシアが乗っかる。


「このような中途半端なちょっかいは、ただ無条件に反撃の機会を与えるだけだ。カタクチイワシを叩くなら、完膚なきまでに叩き潰せるだけの材料を用意して、一気にぐうの音も出ない状況に追い込んで、その上で二重三重に保険をかけてからでなければ、相打ちにすらならぬ」


 どんだけ持ち上げるんだよ、お前は。


「ウィシャートとの対決が楽勝に思えてしまうほどだからな」


 全然楽勝じゃなかったわ。

 かなり綱渡りで、どこか一個でもミスってりゃ俺とエステラは今ごろ揃って湿地帯でカエル生活してたっつーの。


「まぁ、今回は領主の出番はなさそうなので、情報共有をする程度でよかろう。それよりも、シスターの派遣に馬車と寄付をするように口添えをしておかねばな」


 遠い区の教会から来るシスターは、きっと馬車などを利用するのだろう。

 かつてのベルティーナの懐事情を鑑みても、そこまで裕福な暮らしをしているシスターはいまい。

 なら、遠出するだけでも大出費だ。

 節約して徒歩で行こうなんて考えてるシスターがいるかもしれない。


「そうですね。これは外周区と『BU』の各区の連携を高めるための施策だからと、シスターたちの旅を快適にする手伝いをしてあげてくださるようお願いしてみましょう」


 エステラが領主の顔で領主っぽいことを言う。

 要約すると、「お前らは来なくてもいいから金だけ出しとけ」ってことか。

 ならそう言ってやればいいのに。


「それじゃあ、領主たちにはこちらの計画と、今後の予定を伝えちゃっていいんだよね?」

「問題ないだろう。おそらく統括裁判所の方はその計画で黙らせられる。問題があるとすれば、シスター連中の寝床の方だよ」

「それじゃ、そっちは任せたよ」

「ウーマロに言え」

「言っといて。ボクが言うと、彼の邪魔になっちゃうから」


 まともに会話できないもんな、お前らは。

 珍妙な関係に慣れんじゃねぇよ。ったく。


「何かあったらナタリアを寄越すから、回答よろしくね。それから、いろいろと気を付けて」


 ナタリアとギルベルタがいなくなる分、俺にレジーナを守ってろとでも言いたそうな目で見てくる。

 そこまで警戒せんでも大丈夫だっつーのに。

 マグダもいるし、ロレッタだってそれなりには頼りになる。


 何より、まだ実力行使に出るフェーズじゃないからな。

 向こうさんも、トラブルの原因を作ったのが自分たちだとは思われたくないだろうし。



 それから、手短に情報のすり合わせを行い、領主たちはエステラの館へと向かった。

 エステラだけだと若干不安だったが、ルシアとデミリーがいればなんとかなるだろう。



 その後、エステラの館には本当に多くの領主が集まり情報を共有したのだそうな。

 こっちはと言うと、夕方頃にベルティーナに呼び出されて、ちょっと驚く相手からの手紙を見せられた。



 差出人は、三十三区教会のシスターならぬ、ブラザーだった。




「想像以上に早いリターンだな」

「そうですね。あちらでも、少々お話をしたいと思っておられたようですよ」


 先に手紙を見ていたベルティーナが、俺にお茶を勧めてくれる。

 教会で茶を出されるのは珍しい。


「ベルティーナが淹れてくれたのか?」

「私だって、これくらいは出来ますよ?」


 誰も出来ないなんて言ってないだろうに。

 ただ、そこに料理があった時、『作る』と『食べる』では食べるを圧倒的に多く選択しているな~とは思っているけども。


「見に来るようだな」

「はい。ついでにバザーのお話も伺いたいそうです」


 各区の領主が情報を持ち帰った光の行進。

 三十三区は不参加だったので、おそらく光の行進の情報は渡っていないだろう。

 だから、手紙で説明してもそこまで食いつきはよくないだろうと思っていたのだが……そうか、バザーの話が事前に伝わっていたのか。


 バザーをやった際、ベルティーナは教会に報告していいかと言っていた。

 そして、そのまま報告をしたのだろう。

 ベルティーナもガキどもも随分と楽しんでいたから、きっとかなり好印象を与えるような内容になっていたはずだ。


 教会で出来るイベントで、且つ教会への寄付が一気に集まる美味しいイベントだ。

 きっと外周区や『BU』の教会にも共有されていたに違いない。


 そこに食いついてきたか。


「是非とも、四十二区の教会を見てみたいとおっしゃっていましたよ。手紙で」

「手紙読む前に、内容全部分かっちゃったな」

「あ、すみません。ヤシロさんが喜んでくれそうな内容でしたので、嬉しくて、つい」


 俺を喜ばせる情報は、自分の口から言いたくなったらしい。

 こんな顔でよければ好きなだけ堪能してくれりゃいいけどな。


「あ、そうです」


 と、ベルティーナが懐に手を滑り込ませる。



 隠れ巨乳のご開帳!?



「ヤシロさん。お目々が悪い子ですよ」


 思わず身を乗り出してしまった俺のデコを「ぺきょっ」と押して、口をへの字に曲げて俺を叱るベルティーナ。

 だって、急に胸元に手を持っていくから。


 ほら、俺が喜ぶ顔が見たい的な話をしてたところだし。

 何より一番喜ぶし。


 分かったよ……はいはい、懺悔懺悔。


「お見せしたかったのはこれです」


 と、ベルティーナが懐から取り出したのは……俺のそっくり人形だった。


「結局作ったのか?」

「ジネットがプレゼントしてくれたんです」


 誰か一人のぬいぐるみを持つと、教会のガキ全員分を集めたくなりかねないからやめておけと言ったのに。


「折角作ってくれたものですから、無下には出来ませんでしょう?」


 と、言い訳めいた言葉を口にする。

 別に責めやしないけどさ。


「首からぶら下げられるようにしたのか?」

「これもジネットが。その……光の行進の時に身に着けていられるように、と」

「いや、ベルティーナはそんなもんなくても緊張しないだろうに」

「しますよ、緊張。……これでも、大きな催しの時はいつも緊張しているんですから」


 そうなのか?

 全然そうは見えなかったけどな。


「直前まで、屋台で買い食いしてたし」

「それは……、緊張とお腹が空くのは別です」


 結構多くの人間が、緊張で飯がノドを通らなくなるもんなんだけどなぁ。

 やっぱ、相当強いんじゃないか、メンタル?


「じゃあ、今度のデモンストレーションの時は、それを身に着けとくのか?」

「はい、そのつもりです。……構いませんか?」


 だから、なんで許可を求めるのか。


「娘にもらったお守りを、大切な日に身に着けることに許可なんかいるかよ。そうしたいなら好きにすればいい。誰にも止める権利も咎める権限もねぇよ」

「でも、ヤシロさんがイヤだと言うなら、私はやめますよ?」

「イヤじゃねぇよ、別に」


 というか、むしろ羨ましいくらいだ。


「そいつは、俺に似た顔をしているくせに、行進の間ずっと谷間に潜み、おっぱいに密着しているんだろ……代われ、ぬいぐるみ!」

「も、もう! 変なことを言わないでください!」


 ぺちっと、割と強めに頭を叩かれた。

 まぁ、全然痛くないんだけど。

 欲を言えば、叩く時に「めっ!」って言ってほしかった。


「ジネットも首からぶら下げるのかなぁ……いいなぁ、ぬいぐるみ」

「ヤ・シ・ロ・さんっ」


 ほっぺたを「むにゅ~ん」っと摘まれた。

 なんだろう。すげぇスキンシップが増える。ちょっと楽しい。いや、めっちゃ楽しい。


「俺の似顔絵ブラジャー作ったら、みんな着けてくれないかな☆」

「もぅ、叱られたなら少しは懲りてください」


 だって、体罰がむしろご褒美なもので。


 まぁ、そんなことよりも。


「手紙、ありがとうな。これで、外周区と『BU』の教会は全部参加することになる」

「そうですね。こんなに大勢のシスターが一堂に会する機会なんて今までありませんでしたから、少し緊張してしまいます」


 言って、俺のぬいぐるみをぎゅっと握る。

 ……なんかぬいぐるみが体罰を……え、俺のせいで緊張させられてるって無言の抗議?


 あ、ぬいぐるみをぎゅっとすると緊張がほぐれる気がするの?

 そっか、ならいいけど。


「本人をぎゅっとしたら、もっと緊張がほぐれるかもしれないぞ?」

「怒りますよ?」


 両腕を広げて提案してみたが、からかわれてると分かったのか、ベルティーナはほっぺたをぷっくり膨らませるだけだった。

 いつでもウェルカムなのに。


「それで、シスターたちの寝床なんだが」

「はい。ナタリアさんとマグダさんにお話を聞いて、寮母さんたちと検討しました」


 ガキどもを陽だまり亭で預かって、普段ガキどもで埋め尽くされる子供部屋をシスターたちの寝床にしようという案だ。

 足りなきゃ、談話室も寝床にしてしまえばいい。


「参加了承の通知と共に、寝所について提案してみます。おそらく異を唱える方はいらっしゃらないと思いますので、計画はその方向で進めてください」


 参加したいと表明したシスターたちに「いいよ~、待ってるね~」と返事を出すついでに、「雑魚寝だけどいいかな~?」と聞いてくれるらしい。

 イヤだと言うヤツはいないであろうというのがベルティーナの予想だが、もし万が一「雑魚寝なんてムリです」というヤツがいれば、その時は別の寝床を用意してやればいい。


「いざとなったら、ランドリーハイツに部屋が余ってるから、そこを貸してもらうよ」

「もしそうなるのであれば、後日お礼を言いに行かなければいけませんね」

「別にそこまでする必要はないだろう。……ちなみに、ランドリーハイツは虫人族ばっかりが住んでるんだが?」

「何も問題ありません。みなさんと私たちに違いなどありませんから」


 亜人差別をするようなシスターはいない、か。

 なら、安心だな。

 まぁ、ウサギ人族のソフィーみたいなシスターもいるから大丈夫だとは思ってたけどな。


「でもきっと、みなさん教会で泊まることを選択されると思いますよ。とっても楽しそうですから」


 みんなで集まって雑魚寝する。

 上下関係がないのであれば、それはもしかしたら楽しみに成り得るのかもしれないな。


 この街の女子たちも、しょっちゅうお泊まり会しているし。


「一応、ウーマロに言って目隠しとか作ってもらおうかと思ってたんだけど?」

「それには及びませんよ。きっと楽しい夜になります」


 全員がベルティーナみたいな性格だったらな。

 しかし、ベルティーナが必要ないと言う以上、勝手に教会の一室を改造するわけにはいかない。


 最悪、パーテーション的な、簡易の目隠しをすればいいだろう。

 折りたたみパーテーションの準備だけさせておこう。


「その代わりと言ってはなんですが、子供たちのことをよろしくお願いいたしますね」

「ガキどもの外泊はOKなのか?」

「実は……」


 と、困り顔でベルティーナが苦笑を浮かべる。


「今朝の会話を聞かれてしまいまして――」

「お兄ちゃーん! お泊まりいつー!?」

「今日~?」

「明日ー!?」

「……と、このように、みんな期待が抑えられなくなっていまして」


 談話室で話をするからと、一時的に庭に追いやられているガキどもが窓からデカい声を飛ばしてくる。


 聞いてんじゃねぇよ、ガキども。


「騒がしい夜になると思いますが、よろしくお願いしますね」


 にっこりと笑って、とんでもない大仕事を押し付けてくる。

 ……あ~ぁ、絶対騒がしくなるな。

 助っ人を大量投入しなければ。


 とりあえずデリアとノーマとイメルダは確定として、あとは誰を道連れにしようなぁ~。




 寝床も問題だが、もっと大変なのが日程だ。


「開催が早くなりそうなんだが、構わないか?」

「はい。レジーナさんのこともありますし、みなさんの準備が整い次第早急に開催してしまいましょう」


 現在、陽だまり亭に一時避難しているレジーナ。

 とりあえず、教会から薬師ギルドと統括裁判所へ抗議文を叩きつけるまでは陽だまり亭にいてもらうつもりだが、あいつにとっても早々に家に戻れる方がいいだろう。


 出来れば準備の時間をたっぷりと取りたいところだが……


「明日明後日で準備して、明々後日しあさって開催でも可能か?」

「そうですね。今夜中に手紙を書いて、明日の朝一番でお届けすれば、明日のお昼には届くでしょうから……おそらく問題ないと思います」

「事前に開催までの時間はないことは言ってあるんだよな?」

「はい。今回の統括裁判所の通達や、それに伴う教会からの抗議についても説明はしてあります。あ、そうでした」


 ぽんっと手を打って、ベルティーナが席を立ち、談話室を早足で飛び出していく。

 うん、すっごいゆっくりだけど、ベルティーナ目線で言えば「飛び出していく」と言っても間違いじゃない程度の速度だ。


 それにしてもあの仕草、ホント似てるよなぁここの母娘は。

 ジネットとおんなじだもんなぁ、「あ、そうでした」のやり方。


 とか思っていると、ベルティーナが一通の手紙を持って戻ってきた。


「陽だまり亭にお手紙を持っていった後で届いたのですが、司祭様からのお返事です」

「見ていいのか?」

「はい。ヤシロさんへのメッセージもありますよ」


 嬉しそうに言って、俺に手紙を勧める。

 さっと目を通せば、教会としては今回のことを重く受け止めきっちりと抗議をする旨が記載されていた。

 それと一緒に、パンの定義の見直しを始めることになりそうだということも記されている。

 反発が出たが、ピザ生地の販売について説明したところ、反発が弱まったので、いつかパン工房を使用してピザの試食会が開かれることになるそうだ。


「『つきましては、折角多くのシスターが集まる絶好の場において、ピザの存在を周知するためにご協力をお願い致します』」

「わざわざ音読せんでも、ちゃんと読んでるから」


 重要な部分なので、しっかりと伝わるように音読しましたって?

 要するに、光の行進をする時にもう一度ピザを焼けってことか。


「折角だから港でシーフードピザでも焼くか」

「シーフードピザは革命でした。……ですが、あまり人目のあるところでは」


 やっぱり、教会が正式決定するまでは秘密なんだな。

 ……まぁ、パン食い競争の時とか、もう四十二区民全員が知ってんだろってくらい堂々と焼いてたけどな、パン。


「そうだ。折角だから船に乗ろうぜ」

「船、ですか?」

「あぁ、船だ」


 以前、ベルティーナは一度だけ船に乗ったことがある。

 まだ一般客を乗せるには至っていないが、そうなればベルティーナはガキどもと一緒に乗りたいと言っていた。


「他所から来るシスターたちに港の有用性を見せつけ、外部からの横槍を防ぐ防波堤になってもらおう」


 どうせ、貴族連中が突っついてくるとしたら、今は港関連になるだろうからな。

 薬へのちょっかいが封殺されれば、難癖を付けやすいのは新しく始まったモノ、港関連だ。


 難癖をつけようと思えばいくらでも出来る。

「本当に安全なのか?」

「海の魔獣を刺激したらどうする?」

「人が多くなれば、それだけ犯罪が増えるのではないか?」

 なんて具合にな。


 ウィシャートも、あの手この手で難癖を付けて港の工事を遅らせようとしていた。


「全区のシスターが『港はいいところだ』と思えば、港に対するとんでもない難癖を叱ってくれるだろ? 『何も知らずに滅多なことを言うもんじゃない!』って」

「我々に、そこまでの力はありませんが、好きな場所を悪く言われると悲しくなりますよね」


 悲しいじゃなくてムカつくって方に感情が向いてくれればいいんだけどな。

 まぁ、ベルティーナにはムリだよな、ムカついて相手を叩き潰すなんて。


 でも、ソフィーやバーバラでさえ、気に入らない相手には容赦しないタイプだ。

 ソフィーは鈍器を、バーバラは手斧をうまく操れる。……恐っろしい集団だな、おい。


 そんな連中が徒党を組めば、貴族相手でもそれなりの牽制にはなるだろう。


「港で楽しむ連中の顔を見せてやれば、少なくともそこが犯罪の温床だなんて噂を振り払ってくれるだろ?」


 遠い区にいて、港を見たこともないヤツなら「そうなのかぁ」ってなんとなく信じちまうかもしれないが、実際の港を見ておけば、そこが楽しいところだと理解できる。


 もちろん、犯罪の温床にならないように努力する必要はあるが、知りもしないヤツが無責任にばら撒く噂に揺らぐことはなくなるだろう。


「それに、四十二区の港にある洞窟は、カエルが出ただの、呪いを受けるだの言われた場所だ。今回の視察からは外せない場所だろ?」

「そうですね。四十二区には、誰かに指を差されるような後ろ暗いところはないと、みなさんに見ていただくのはいいことかもしれませんね」

「で、船で外界へ出て、そこでピザを焼けば――誰にも見つからずに存分にピザを堪能できるぞ」

「それは素晴ら…………こほん。一度、司祭様にご相談してみます」


 危うく釣られかけ、寸前で踏みとどまったベルティーナ。

 でも、婆さん司祭に言えばそれが実現するだろうな~って、期待に満ちた表情は隠せていない。


「ただ、ガキどもも一緒に連れて行くことになるから、方便も考えないとな」

「そうですね……私は、そういうのは苦手なのでおまかせしても構いませんか?」

「教会が検討している新しいパンの試食会だと言っておけばいい。美味しかったら教会にレシピを渡して、いつでも食べられるようにしてもらおうな~ってさ」

「……ふふ、そうですね。なにも難しく考えずに、真実をそのまま伝えればいいんですね」


 真実だが、真実ではない、って感じだな。

 試食は試食だが、大手を振って行うわけにはいかないものではある。

 なので、船の上でこっそりと、な。


「ジネットに言ってやらなきゃ、あいつランチのメニューを考えてるから」

「では、それの分のお腹も空けておかなければいけませんね」


 いやいや、ジネットの案はなしにしてもらって……って言いたかったんだけど、食いそうだな、全部。

 なんにせよ、ジネットに相談だ。


 あとは、鉄製のオーブンを船に持ち込む準備をしないとな。

 ほら、石窯で作るのは教会の規則に思いっきり違反することになるからさ、万が一にも海漁ギルドが責められないように逃げ道を残しておかないと。

 何より、船に積み込むなら鉄オーブンの方が楽だし。


 ただ、規定外とはいえ非常にグレーゾーンなので司祭の許可のもと、司祭の監視下で行うものとする。


「前回、ピザを食べられなかった方は喜ばれるかもしれませんね」


 ベルティーナ的にも、パウラたちが同行する前提のようだ。

 まぁ、保護者は多い方が安全だしな。


「んじゃ、クルージングランチとピザは決定の方向で話を進めておくから、ベルティーナは手紙をよろしくな」

「はい。今夜中に書いて、明日の日の出前に速達で出しておきます」


 結構な量になると思うが、頑張ってもらおう。

 さっさと終わらせたいからな。

 薬師ギルドと統括裁判所が次の動きを見せる前に。


「あと、ガキどもの抑え込みも頼む」

「船のお話、聞こえちゃったでしょうか?」

「あっち行けって言っといたからなぁ……『よいこはきっと聞いてないだろうなぁ。もし聞いてた悪い子がいたら、そいつは当日お留守番かもなぁ』」


 俺がデカい声で言うと、廊下からドタンバタンとでかい音が聞こえてきた。

 やっぱ盗み聞きしに来てやがったか。

 クソガキどもめ。


「これで、当日までは口をつぐむだろう」

「うふふ。悪い子にはお仕置きが一番効きますね」


 楽しそうに笑って、ベルティーナが「子供たちのことは任せてください」と請け負ってくれた。


「旅支度で注意するとこはありますか?」

「まぁ、船に乗るっつっても数時間だ。風邪を引かないように温かい格好をさせてくるくらいでいい」

「はい。分かりました。詳しくは、いろいろ決まってから、改めて伺いに行きますね」

「あぁ、ジネットに伝えとく」


 ジネットが張り切って、アドバイスとお世話をするだろう。


 とりあえず、教会が動いてくれそうだと分かり一安心だ。

 んじゃ、こっから一気に準備を進めてしまおうかな。




「というわけで、クルージングでピザだから、もろもろ準備よろしく」

「めっちゃくちゃ走り回らなきゃ間に合わないじゃないか!?」


 ベルティーナとの話を終え、陽だまり亭に「こんな楽しそうなことになったぞ」と伝えてから、エステラの館にやって来た。

 おーおー、まだ結構残ってるな他所の区の領主ども。

 さっさと帰らないと日が暮れちまうぞ。

 まぁ、もう間もなく暮れるけどな。


「貴様は、決まっていたことの何段上を行けば気が済むのだ、カタクチイワシ!? 外周区と『BU』の全シスターを乗せてクルージングして、ピザを食べるだと!?」

「お前の区の司祭様からの、圧力がた~っぷり込められたラブレターのせいでそうなったんだよ」

「厄介なモノにばかり気に入られるな、キワモノイワシ!」


 おい、いいのか、その発言?

 方々にケンカ売ったことにならないか?

 特に、ほら、そこの、なんでかしれっと領主の群れに混ざってる二十九区の怖ぁ~いオバサマ貴族とか。

 つか、なんで当たり前の顔してそこにいんの、マーゥル?


「そのようなとんでもない規模になるのであれば、我々領主も同行して事の成り行きを見守る必要が出てくるではないか」

「いや、そこまで大人数になるのはいろいろ面倒だし、何より毒物が蔓延しやすい土壌かどうかの調査だという建前が意味をなさなくなるからお前らは来るな。シスターと俺たち四十二区の者だけで決行する」

「海上で食べるピザなど、美味いに決まっておるではないか!」


 そりゃそうなんだろうけど、そんな本音をぶつけてくるなよ、貴族様よぉ。


「領主が徒党を組んで船に乗り込んだら、謀反の意図有りだって宣伝するようなもんだろうが。妙な勘違いはされたくないんだよ」

「じゃあ、領主じゃない私なら、参加してもいいわよね?」

「領主でもシスターでも関係者でもないのに、なに名乗り出てんの、マーゥル?」

「だって、近々お誘いしてくださるお約束でしょう? クルージング?」


 ここでそれを持ち出してくるのか!?


「……エステラ」

「君の仕出かしたことだよ。最後まで責任を取るように」


 俺に何の責任があるというんだ?


「んじゃ、いろいろと骨を折ってもらうことになるから、覚悟しとけよ」

「まぁ、嬉しい。こんな何の力もないオバサンを頼ってくれるのね」


 って、お前が言った瞬間、真っ白な顔して「いやいや、ないない」って声揃えてた領主が何人いたか数えたか、今?

 過半数だぞ、過半数越え。


「で、なに? 鉄のオーブン? そんなの、どこにあるのさ?」

「以前ノーマが――」



『石窯で焼くのがイケないなら、鉄でオーブンを作っちまえばいいんさね!』



「――って」

「……何やってんのさ、ノーマ…………アウトだよ、完全に」


 石がダメなら鉄で、なんて、教会に真っ向からケンカを売る行為だからな。



「許可なく女の子に触るのは痴漢だからね!」

「じゃあ、舐める!」



 みたいな、「何言ってんのお前!?」案件だからね、それ!?


 いや、ほら、ピザトーストの時に作ったオーブンがあるじゃん?

 あれを見て、思いついちゃったらしいんだよねぇ……

 今は、金物ギルドのノーマ工房の堅牢な金庫の中の奥深くに厳重に封印して乙女どもに厳しく監視してもらってるんだ。

 ……見つかったら連座だぞって脅してな。


「……ヤシロ、ちょっと行って、ぱっと言って、持ってきてもらってよ」

「そんな大それたことを、俺ごときが出来るかよ」

「今の今まで、君の権限でボクに秘匿してたくせに!」

「だって、いつか使えるかもって思ったんだもん!」

「『もん!』とか言っても可愛くないよ!」

「そんなことねぇよ! なぁ、リカルド!?」

「なぜ俺に振る!?」


 いや、お前バカだから条件反射で「うん」とか言うかと思って。

 まぁ、仮に「うん」って言ってたら前歯へし折ってたところだけど。


「はぁ……なんでボクがこんな重たい仕事を……やっぱり、君を自由にしたのがイケなかったんだ。レジーナのことがあるからって陽だまり亭を任せなきゃよかった。踏ん縛ってでもここに閉じ込めておけばよかった!」

「『エステラにキズモノにされてお婿に行けなくなった』って言い触らすぞ」

「あぁ、だったら責任持ってボクがもらってあげるよ! ボクの抱えてる目の回るような激務を全部押し付けてあげるから有難く執務机にかじりつくんだね!」

「落ち着くのだ、エステラよ」

「怒りで八つ当たりしているんだろうけどね、エステラ。その発言は、これだけ多くの領主の前でするようなものではないんだよ。ほら、深呼吸をして、私の顔を見て、そうそう、吸って~、吐いて~」

「穿いたら脱いで~」

「うるさいヤシロ!」

「あぁほら、こっちを見て! 私だよ、君のオジ様だよ~」

「余計な茶々を挟むな、アホクチイワシ!」

「エステラ様! 私、執務は割と得意な方です! 是非先ほどのセリフを私にも!」

「ややこしくなるから、そなたも引っ込んでおるのだ、トレーシー!」

「姉上、止めなくてよろしいのですか?」

「今触れると、火傷するわよ」


 ルシアとデミリーが暴走するエステラを取り押さえ、トレーシーが割とぞんざいに足蹴にされて、ゲラーシーはマーゥルの陰に身を潜めた。

 ドニスは我関せず。

 リカルドは……あ、ドニスが肩を掴んでる。

 関わるなって合図か。

 リカルドも、ちゃんと再教育受けてるんだな。


「楽しい楽しい四十二区巡り……そんな軽い気持ちでいたのに」

「オオバが絡んで、そんな楽な仕事で終わるわけがないだろうが」

「分かってるよ! 一回ボク抜きでヤシロと二人で仕事をしてみなよ! そうしたら君もこの大変さが分かるよ、リカルド!」

「イヤなら突っぱねればいいだろうが」

「イヤどころか、最高の提案だから困ってるんだよ! 絶対に断れない激務が押し寄せてきてるからね!」

「あ、そうだ、エステラ。ジネットが『わぁ、それはとっても素敵な計画ですね! わたしも今からとっても楽しみです! エステラさんには、わたしに出来ることがあればなんだって協力しますからとお伝えくださいね』――だそうだ」

「ジネットちゃんの期待は絶対に断れなくなる追い打ちだって分かってて言ってるでしょう、君!? まったく、君という男は!」


 ぷりぷり怒りながら「どうもありがとうね!」と感謝なんだか怒りなんだよく分からない感情をぶつけてくるエステラ。


「えっと……マーシャに連絡して、船の手配と、ノーマのオーブン……は、ヤシロに押し付けるからいいとして、あとピザの準備は、正式に教会の許可を取ってからの方がいいよね?」

「まぁ、その辺は断られない案件ばかりだから、ちょっと心臓に悪いだけで体力的な負担はほとんどないだろう」

「心労は、ダイレクトに体力をすり減らすって知らないのかい、君は?」

「それよりも、ここで他人事みたいな顔してる領主ども。……今回の件が終わったら、ピザが出回るから準備しといた方がいいぞ」

「そもそも、そのピザというのは何なのだ、オオバ?」


 アホのリカルドが俺を睨む。

 ピザも知らんのか?


「リカルド、ピザって十回言ってみ?」

「あぁ? ピザぴざピザぴざピザぴざピザぴざピザぴざ」

「ここは?」

「ヒザだろ?」

「ヒジだろうが」

「だぁぁあぇい、ちきしょう! それがなんなんだよ!?」

「ピザってのは、この国に激震を起こす、革命的な食い物だ」

「お前……そんな大袈裟な…………ってわけでもなさそうだな、エステラの顔を見る限り!?」


 エステラが、ピザを思い出して物凄く幸せそうな顔をしている。

 こいつ、美味そうに食うからなぁ。

 物の美味さを伝えるのにはもってこいの顔だな。


「まだ、そんな隠し玉があったのかい?」

「教会が許可すれば、一気に広がる。脱法パンの比じゃないくらい、世界が変わるぞ」

「もうなんだか、少し怖いよ、オオバ君……」


 デミリーが胃の辺りを押さえて体をくの字に曲げている。

 ……あ、ごめん、眩しいからもうちょっと体起こしてくれる? そうそう、そんくらい。


「ピザの詳細と、教会には教えない一味違うレシピが欲しい領主様は、ご協力よろしくね☆」

「……邪悪な」


 と、二十三区のイベールが呟く。

 聞き逃さなかったからな?


 とにかく、他所の区のシスターを大量に招待するにはいろいろ金がかかるんだよ。

 寄付、よろしくね~!


 とりあえず、マルゲリータとシーフードとジェノベーゼとジャーマンポテト辺りをエサに領主を釣り上げとくか。

 ……ジャーマン…………うん、もういいよ、地名とかなんだって。好きなように翻訳してくれ『強制翻訳魔法』



 そんなわけで、その場にいた領主と、事情があってその場にはいられなかった領主からそこそこの金を分捕って、俺たちは豪勢な四十二区ツアーを計画立案実行するのだった。







あとがき




どうも、ピザ大好き宮地です!

もうピザが好き過ぎて、1年に4~5回は食べてます☆


 Σ(゜Д゜;)頻度低っ!?


あんまり食べる機会がないんですよねぇ

イタリアン行くとパスタ食べちゃいますし、お寿司

あ、お寿司いきましょうか(≧▽≦)


お寿司いいですよ、お寿司!

回ってても全然気にしませんし

なんなら、私たちの席以外のすべてのお客さんが醤油差しペロペロしてても気にしません!


 Σ(゜Д゜;)その店はイヤだな!?


というわけで、お寿司のお話でした☆


あ、ピザでしたね。


ここでようやくピザが認められそうです

長かったね、ベルティーナさん(*´▽`*)

ヤシロが教会の司祭を巻き込んで動き出してるので、内心わっくわくでしょうね


発案者権限で作り放題にでもなれば、歓喜の舞が見られるかもしれません



ベルティーナ「舞います!」

♪ピ~ザ\(*´▽`*\)三(/*´▽`*)/ピ~ザ♪



そういえば、中学生のころ学校に来ていたアメリカの先生に「ピザ十回言って」ってヤツやった話しましたっけ?


まぁ、仮にどっかでしていたとしても皆様すっかり忘れていることでしょう!

では、もう一度お話しいたしましょう!

爆笑間違いなしの超面白いエピソードを!


 Σ(゜Д゜;)ハードルめっちゃ上げてくるやん!?


中学の時、マイク(仮)っていう英語の外部講師がいたんですが

当時、いいともで十回クイズが流行り出した時代で

「絶対アメリカじゃまだ流行ってないぜ!」って、マイクを引っ掛けてやろうという話になりまして、

で、せっかくなのでピクニック(紙パックの飲み物:80円)を賭けようということになりまして……


宮地「絶対引っかかる!」

友人A「いや、アメリカ人やぞ? ピザの本場やから引っかかるわけないやん!」

友人B「なに、その理屈!? 関係ないやん!?」

友人C「俺、マミーがいい」

宮地「ピクニックやっちゅーとんねん!」


みたいなことがありつつ、

マイクを廊下で見つけて、みんなで駆け寄っていったんです


宮地「ヘイ、マイク!」

マイク「おー、たくみ~! はわゆー?」

宮地「ないすとぅーみちゅー!」

マイク「HAHAHAHA! ないすじょーく!」

友人A「外国人にウケとる!?」

友人B「無敵か!?」

友人C「吉本いけ!」(←関西ではすぐ言われる)


とか、ありつつ


宮地「マイク! ピザって十回言って!」

マイク「おーけぃ。いんぐりっしゅ、ぷりーず」

宮地「ぅ……ぇっと……ぴざ~って、じゅっかい、いって~?」

友人A「メッチャ日本語!?」

宮地「しるぶぷれ~?」

友人B「知らんけど、たぶん英語ちゃう、それ! 知らんけど!」

宮地「しらんぶぷれ~?」

友人C「そーゆーのはいらん」


とかありつつ!


 Σ(゜Д゜;)余計な小ボケを挟むな!

 Σ(゜Д゜;)オチ見えてるから、さっさとやって!


宮地「ピザ十回!」

マイク「おーけぃ! ぴっつぁ、ぴっつぁ、ぴっつぁ――」

友人A「おぉっ! 発音がめっちゃいい!」

友人B「プロのアメリカ人になれんで、マイク!」

友人C「吉本いけ!」

宮地「吉本、プロのアメリカ人募集しとらへんがな!?」


とかありつつ!


マイク「――ぴっつぁ!」

宮地「マイク、(ヒジを指しながら)ここは!?」

マイク「えるぼー!(*´▽`*)」



……めっちゃ、天使のようなきらきらした顔してましたよねぇ



結論:日本人にしかやっちゃダメ



ちなみにマイクの後に来たナンシー(仮)に、

「私が何を言っても、続いて『お味噌汁』って言ってね」ってゲームをやったこともありまして、


「美味しい」

「お味噌汁」

「朝には」

「お味噌汁」

「よそ見する」

「おそみしる……あっ!?」


みたいたゲームです。

知ってます?

ちょっとマイナー?

やってたんですよ、いいともで!


 Σ(゜Д゜;)ちょいちょいいいともで情報得てるけど、学校行ってる時間だよね、いいとも!?



あ、知らない人のために、

昔、平日のお昼に笑っていいともって番組があって、

日曜日には、一週間分をまとめた増刊号っていうのが放送されてたんですよ

それが人気で私もよく見てました



友人A「みーやーじー、あーそーぼー!」

宮地「あ、ごめん。今日はいいとも増刊号があるから身動き取れないんだ」

友人A「一日を割くほどの予定かな、それ!?」



みたいなね?


で、ナンシー(仮)にやってみたんです、お味噌汁ゲーム



宮地「ヘイ、ナンシー!」

ナンシー「おー、たくみ~! はーわーゆー?」

宮地「いえす、あいむ、ふぇいます、てにすぷれーやー!」

ナンシー「HAHAHA! ないすじょーく」


とかありつつ!


宮地「ナンシー、これから私が何言っても、続けて『お味噌汁』って言ってね?」

ナンシー「おーけぃ!」

宮地「今朝何食べた?」

ナンシー「すくらんぶるえっぐ!」

宮地「天然か!?」

ナンシー「お~ぅ! そーりぃ~!」


とかありつつ!


宮地「朝ご飯は?」

ナンシー「みそすーぷ!」

宮地「お前らは歩み寄る姿勢がないのか!?」


マイクもナンシーも、ちっとも日本語しゃべってくれない!


ちなみに、「お味噌汁って言って」って言わせてみたら

何も引っ掛けてないのに「おそみしゅる」って言ってましたのでゲームは不成立でした


ナンシー……


あ、ちなにみ、外部講師のお二人が仮名なのはプライバシーとかは関係なく

私が一切名前を憶えていないからです☆


でもなんか、マイク顔とナンシー顔してましたよ、二人とも、うん。



というわけで、

今回は、ちょこっと国際的なお話でしたね☆

ほら、英語の話でしたし!


いやいや、めっちゃいんぐりっしゅ!


これはもう、『異世界詐欺師』も海外から注目されちゃうかもしれませんよ。

ね~(*´▽`*)



というわけで、告知


『異世界詐欺師』で学ぶ日常英会話!


的なヤツを、現在コツコツ準備しております。

近日公開!

もしよかったら見てみてね☆


次回もよろしくお願いいたします!

宮地拓海

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― 新着の感想 ―
ヤシロくんには貴族になってほしくないんだよな 領主とは相対する立場で引っかき回しててほしい
パストラミたっぷりな「アメリカン」のビールにマッチするジャンクな味もお忘れなく?
ピザ美味しいですよね~。 隣町にイタリアンの食べ放題でパスタやピザが数十種類に季節限定もあるので、たまに行きます。というか、読んでで行きたくなってきた…  
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