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異世界詐欺師のなんちゃって経営術  作者: 宮地拓海
第四幕

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450話 くっつかれる夜

「……ヤシロ」


 マグダが、俺を呼ぶ。


「……マグダも、風邪薬を飲んでみてもいいかと思っている」

「素直に水飴を舐めててくれ」


 わざわざ薬を入れんな。もったいない。


 ジネットの作った『元気おじや』を少し食べ、水飴に混ぜた薬を飲んだハム摩呂。

 それを見て、ちょっと羨ましくなったらしいマグダ。


「……マグダが怪我をした時、水飴のサービスはなかった」

「あん時は、砂糖すらほとんどなかったからな、この店には」

「そうですね。あの時は、マグダさん、苦いお薬を頑張って飲んでいましたよね。えらいです」


 と、水飴を与えるジネット。

 今甘やかすのかよ。


 現在、ロレッタがハム摩呂を寝かせに行っている。

 俺の部屋に。


 まぁ、閉店してロレッタが帰るまでは好きに使えばいい。


「食ってくれてよかったな、元気おじや」

「はい。レジーナさんとナタリアさんを元気にした実績のあるおじやですから。きっとすぐによくなりますよ」


 以前、レジーナとナタリアが風邪で倒れた時にジネットが作ったおじや。

 ただのおじやなんだが、ゲン担ぎのつもりで『元気おじや』と命名したら、それをジネットがいたく気に入ったのだ。


 教会でガキが熱を出すと、ちょっと出かけていって作ってやってるらしい。

 ほんと、マメなヤツだ。


「はい、ヤシロさん」


 そんなジネットにナイフと梨を渡される。

 ……剥いてこいってか?


「ハム摩呂さんがお休みになるまで、そばについていてあげてください。ヤシロさんがいると、きっと安心すると思いますので」


 俺、あいつの血縁者でもなんでもないんだけどな。


「んじゃ、戦力外通告二人組で看病してくるよ」


 俺もロレッタも、いなくても別に店は回るらしい。


「そんなことないですよ」


 なんて言いながら、背中を両手でぽんっと押してくるジネット。

 慰めか、今のボディタッチ?


 俺の場合、背中を叩かれるより、胸を叩かせてくれる方が……


「では、行ってきてください」


 わぁ、目がマジだ。

 俺が何を言おうとしたのか察した顔してるわぁ。


「あぁ、そうだ。バルバラが明日の朝来るかもしれん」

「明日の朝、ですか?」


 今日あったことを掻い摘んで説明する。

 きっとあいつは、生トウモロコシを持ってきて、厨房で湯掻かせてくれって言うに違いないと。


「では、一緒にお料理が出来ますね。楽しみです」

「俺の分だけ、ジネットが湯掻いといてくれ」

「大丈夫ですよ。ウェラーさんの合格が出ているなら」


 自分の子供に激甘のあの両親の判定を真に受けるな。

 バルバラがいいお嫁さんになるとか言ってんだぞ?

 曇った節穴なんだよ、あの両親の目は。


「あれ、でもヤップロックさんのところでは、スイートコーンは作っておられませんよね?」

「あぁ、トットがな――」


 一時期、ハムっ子農場で頻繁に手伝いをしていたトットだが、実は自分の畑を持ってそこでスイートコーンを作るための修行だったのだそうだ。


 それで、試しにやらせてみたところ、予想以上の豊作で、今が食べ頃なんだと。


「まぁ、トットさんが? では、自立もそう遠くないかもしれませんね」

「ヤップロックはフリントコーンとポップコーンを辞めるつもりはないようだし、トットがスイートコーン農家の大黒柱になるかもな」

「そうしたら、バルバラさんとの跡目争いをしなくて済みますね」


 案外、そういうことを考えてトットはスイートコーンに舵を切ったのかもしれないぞ。

 頭いいから、トット。

 あの家族の中で一番。

 ……あ、待て。テレサの方が頭いいか。


 いや、テレサは規格外だから除外していいだろう。

 殿堂入りだ、あの出来のよさは。


「あ……でも、バルバラさんが砂糖工場に嫁がれる……という可能性も、あります、よね?」


 バルバラがゴロッツではなくパーシーを選んだ場合、か。


「その時は、モリーが工場を継ぐから問題ない」

「ふふ。そこは、ご兄妹で決めていただきませんとね」

「いいや、介入する! 砂糖の安定供給のために!」

「うふふふ……ダメですよ、もう」


 と言いながら、くすくすと笑うジネット。

 パーシーが工場長じゃ頼りないってところは、意見が一致していると思うがなぁ。


「では、ハム摩呂さんをお願いしますね」


 話が済むと、ジネットに送り出された。

 んじゃ、特別サービスをしに行ってやるか。


 中庭に出ると、帰ってきた時よりも一段階寒くなっていた。

 もうぼちぼち閉店の時間だな。


 二階へ上がり、自室のドアをノックする。


「ハム摩呂、梨食うか?」

「くう~!」

「こらっ、『食べる』ですよ」


 横になるハム摩呂の隣に座るロレッタが、両腕を振り上げたハム摩呂のデコを『ふぁさ』っと叩く。


「お兄ちゃん、この箱使わせてもらってるです」


 と、俺が以前作った『特に隠しておくことも、大切に保管しておくつもりもないけれど出しっぱなしにしておくといろいろ面倒なので人目につかないように収納しておくBOX』に腰掛けているロレッタ。

 長持ちよりコンパクトだし、使い勝手がいいんだよな、あの箱。


「これ、中に何が入ってるですか? 鍵がかかってるですけど」

「有害図書、やね?」


 で、診察のためにロレッタと一緒に俺の部屋にいたレジーナ。

 あとで空気の入れ替えしとかなきゃ。

 レジーナ、飛沫感染するっぽいし。


「まぁ、有害な絵であることは確かだな」

「そんなの持ってちゃダメですよ!? 店長さんに言いつけるですからね?」


 別に構わねぇよ。

 ジネットは中身を知ってるし。


 ……俺の似顔絵だよ。


 まったく、害しかない。


「ジネットが梨をメッチャ持たせてきたから、お前らも食うか?」

「ほな、呼ばれよかな」

「あたしも、いただくです」

「おねぇちゃん……『たべる』です、やー……」

「『いただく』はいいんですよ!? 『食べる』よりも丁寧な言い方ですからね!?」

「自分はよくて、弟はダメなタイプのやつ、やー……」

「あたし、そんな自分勝手な裁量してないですよ!? いいことと悪いことの線引き、ちゃんとしてるですからね!?」


 ついさっき『食べると言え』って言ったのに『いただく』と言ったロレッタに反発するハム摩呂。


 腕を伸ばして俺を味方に引き込もうとしている。

「ん~……!」じゃねぇっつーの。

 なに甘えてんだ。

 ……まったく。


「言い直せ、ロレッタ」

「全力で甘やかしにかかってるですね、お兄ちゃん!? すぐ図に乗るからほどほどを意識してほしいですよ!?」


 お前だろうが、風邪の時は甘えてもいいってルールをヒューイット家に導入したのは。

 そんなルールに則り、俺が直々に梨を剥いてやる。


「ほい、梨だ。食べろ」

「ぅん。あ~ん」

「……一回だけだぞ。ほれ、あ~ん」

「むしゃむしゃむしゃー!」

「そんな力強く噛まなくてもいいですよ、ハム摩呂!?」

「はむしゃろ?」

「自分の『むしゃむしゃ』がちょっと侵食してるですよ!?」

「んまーい!」

「食べてる時に、大きな口開けないでです!」


 はしゃぐハム摩呂を寝かしつけるロレッタ。

 小さいガキがたくさんいると、姉たちは大変そうだ。


「あの、お兄ちゃん。今日、あたしも陽だまり亭に泊めてもらっていいですかね?」


 そんなことを、ロレッタが言い出す。


「いや、連れて帰ってやれよ。自宅の方が落ち着くだろう?」

「お兄ちゃんとレジーナさんが揃ってるこの空間より療養に適した場所なんて、この国のどこにもないですよ!?」


 んなわきゃないだろうに。


「じゃあ、マグダの部屋でも借りるか? 一緒に寝たいだろ?」

「そうですね……とはいえ、マグダっちょに風邪が伝染うつると申し訳ないですから、マグダっちょには店長さんのお部屋に泊まってもらうです」

「ほな、ウチも付き合おか?」

「いや、レジーナさんはカニぱーにゃとテレさーにゃとの約束があるですから、ハム摩呂はあたしだけで面倒見るですよ」


 と、ロレッタが長女の責任感的なものを見せたのだが。


「やー! おにーちゃんがいぃー!」


 ハム摩呂がそれを嫌がった。

 俺の腹に巻き付いて離れなくなった。


「こら、ハム摩呂。お兄ちゃんに迷惑かけちゃダメですよ!」

「めいわく……?」


 そんな顔でじぃ~っと見上げられてもだなぁ…………はぁ。まったく。


「あんまり移動させるのもよくないだろう。今日はこのままここに寝かせておいてやれ」

「はぅ……ごめんです、お兄ちゃん。ウチの弟が……」


 別にベッドくらい使ってもいい。

 使っていいから、一回離れろ、こら、はーなーれーろー!


「すやぁー!」

「そんな力いっぱい寝んな!」

「薬が効いてきたんやろね」

「こんな全力で眠りに落ちるですか、レジーナさんの薬!?」


 とんでもねぇ副作用だな。

 ……で、離れねぇな、こいつ!


「ちょーなーん!」

「はいはーい!」


「なんか、いろいろ迷惑かけちゃったから鶏小屋の修繕しとくね!」と中庭で作業をしていた長男を呼び寄せる。

 弟に対して実力行使する時は、やっぱ男兄弟を頼るに限る。


「引き剥がしてくれ」

「あらら……お兄ちゃんが甘やかし過ぎるからぁ」

「甘やかしてねぇわ」

「いや、めっちゃ甘やかしとったやん」

「ハム摩呂の要求、全飲みでしたよ、お兄ちゃん」


 バカ、分かってねぇな。


「無駄を省いた結果だ」


 どーせ言うこと聞きゃしねぇんだから、このくらいの年齢のガキなんて。

 抗うだけ無駄だ、無駄。

 体力と時間のロスは看過できん。それだけだ。


「で、ロレッタ。どうする? 今夜泊まってくか?」

「そうですね……ハム摩呂が夜中に起きて寂しがるといけないですから……」

「ほな、この部屋にお泊まりやね☆」

「この部屋は無理ですよ!? マグダっちょのお部屋を借りるですから!」

「で、マグダはジネットの部屋に泊まるから、ロレッタはマグダの部屋で一人な」

「なんで出てっちゃったですか、マグダっちょ!? ハム摩呂がいないならあたしと一緒でいいじゃないですか!?」

「いや、もう決まったことだし」

「まだ最終決定前でしたよ!?」

「でも、マグダ、耳がいいから」

「ちょっと下に行ってくるです! こういう時ほど有能っぷりを発揮するですからね、マグダっちょは!?」


 部屋を飛び出していくロレッタ。

 せいぜいフロアでイジられてくるといい。


「ちゃんと手洗いうがいをしてから厨房に入るので、ご心配なくでーす!」


 と、中庭からデカい声が聞こえてくる。

 いちいち言わんでも、ジネットが廊下で待ち構えてて、その辺はちゃんとやってくれるから。

 消毒液も導入したしな。



 さて、また賑やかな夜になりそうだ。




 結局、長男をもってしてもハム摩呂は引き剥がせず、仕方なく俺はハム摩呂を膝枕ならぬ腹枕して寝かせてやっている。

 地味につらいな、この体勢。

 腹にガキが巻き付いて、時折締め付けてくるんだ。


 呪いの装備品か、こいつは。


「ハム摩呂、お兄ちゃんといる時が一番落ち着くみたいなんだよね」

「もっと頑張れよ、血縁者」

「いや、お兄ちゃんを超えるのは無理だよ」


 苦笑いを浮かべる長男。


「お姉ちゃんとお兄ちゃんは特別。それが、僕ら弟妹の共通認識だから」


 そんなもんに俺を勝手に含めんな。


「特にハム摩呂はお兄ちゃんが大好きだからね。たぶん、今夜一晩は離れないと思う」

「あ~ぁ、次女だったらちょっとは楽しかったのに」

「あぁ……あいつはやめといた方が……それなら、不服かもしれないけど、長女の方がまだ……」


 わ~ぉ、しょっぱい顔。

 普段家でどんなんなんだよ、次女。

 あと、不服とか言ってやんな。

 あれでもなかなか人気あるんだぞ、店では。


「ちなみに、お前的にヒューイット家で一番可愛いのは誰なんだ?」

「えっと、それは僕以外で?」


 おぉ~っと、まさかの自分大好きっ子!?


「優劣はつけられないなぁ~。ウチの弟妹、みんな可愛いし」


 こいつもやっぱ、ロレッタ系か。

 弟妹、大好きっ子め。


「ハム摩呂。あんまお兄ちゃんに迷惑かけるなよ」

「むぅ~……」


 長男が前髪を揺らす程度の弱さで頭を叩くと、眠っているハム摩呂が鳴いた。

 なんだ、その鳴き声。


「ね? 可愛いでしょ?」

「分かったから、可愛いを押し売りしてくんな」


 愛が重いんだよ、お前ら弟妹は。


「そういえば、お前もハム摩呂って呼ぶんだな」

「あはは~。なんかもう、数年そう呼んでるから、ついついクセで」


 数年って、俺がハム摩呂ってあだ名をつけてから、そんな言うほど時間経ってないだろうが。


「ちなみに、ハム摩呂の本名ってなんていうんだ?」


 ふと疑問にも思ったことを聞いてみる。

 ハム摩呂は俺が勝手につけたあだ名で、当然ハム摩呂には本名がある。


 長男なら知っているだろう。


「え…………本名? ……え? あれ? ちょっとまって…………本名? ん?」

「いや、覚えててやれよ、お前らは!?」


 なにド忘れしてんの!?


「いや、ちゃんと知ってるんだよ! けど、なんかもう、この顔を見るとハム摩呂って名前が浮かんできちゃって……なんかもう、ハム摩呂でいいかなって」

「本人、認識してないけどな」


 毎回毎回「はむまろ?」って聞き返してくるし。


「いや、でも、こいつ。本名はもっと認識してないよ。一年半くらい前に名前呼んだら、一切反応せずにスルーして目の前通り過ぎていったもん」


 もっと名前呼んでやれよ!


「ちなみに、お前の本名は?」

「いや、なんていうのかな……今さら名乗るの、ちょっと恥ずかしい」


 照れて前髪さわさわしてんじゃねぇよ。

 成人してる男なのに可愛いじゃねぇか。ズルいぞハムスター人族。


「それじゃあ、僕はそろそろ帰るね。家で待ってる弟妹が心配してると思うから」

「妹、連れて帰ってやれよ。店の手伝いはもう十分だって」

「うん。ただ、あいつらが帰りたがらないかもしれないなぁ。陽だまり亭は憧れの職場だから」


 元気に働く妹の姿でも思い浮かべたのか、ちょっと嬉しそうで、ちょっと困ったような表情を見せる長男。

 なんか、こういう顔を見てると、こいつもちゃんと兄貴やってんだなって思ってしまう。


「……え、なに?」

「いや、デカくなったなと思ってな」

「そ、そう? あんま変わんないと思うけど?」


 自分の体を見回して目をくりくりさせる長男。

 見た目はさほど変わってなくても、長女に代わって家を守り、弟妹の進む道を示して先を歩いてきた時間分、こいつはちゃんと大きく成長している。


「初めて会った時はクソガキ丸出しで、穴落としでムキになって大はしゃぎしてたのにな」

「一番ムキになってたのは、お兄ちゃんじゃん!? 絶妙なフェイントとか使ってきてさぁ、僕と次男を同士討ちさせてまとめて突き落としたりさぁ、大人げないこと平気でやってたよね!」

「バカヤロウ! 大人だからこそ負けるわけにはいかなかったんじゃねぇか! ガキが大人に勝てると思うなよ!」

「そーゆーとこ、全然変わってないよ、お兄ちゃんは!」


 あの時は未成年で、でもトルベック工務店が大量に引き受けてくれて、そん中でもこいつらは他の仕事に行かずに大工だけに集中して取り組んできた。


 今じゃすっかり、ヒューイット家の頼れるナンバー2だ。

 次男がナンバー3だな。

 次女は三女とセットでナンバー4か。


「守ってやれよ。弟妹と、ついでに長女も」

「うん。任せといて」


 自信に満ちた笑みで胸を張る長男。

 デカくなったもんだ、本当に。


「いざとなったら、すぐお兄ちゃんを頼りに来るから!」

「俺は高いぞ」

「大丈夫、払える!」


 財力あるからなぁ、こいつら弟妹は。


「まぁ、風邪引いたとか、そんな程度ならいくらでも言ってこい」


 なんだかんだ、こいつらの「お兄ちゃん」をやって、もうかれこれ幾年月って感じだしな。


「えへへ~。今度は僕が風邪ひこ~っと」

「ウーマロに雷落とされるぞ。『体調管理も仕事のうちッス!』とか言って」

「うはぁ~、言いそう~」


 絶対言う。

 あいつ、ルックスで騙されてるけど、ものっすごいパワハラ上司だもん。


「ごめん、二人とも。ちょっと静かにしてんか」


「しっ」と、レジーナが人差し指を立てて俺たちを黙らせ、ハム摩呂の鼻先に耳を近付ける。


「……うん。呼吸が楽になったようやね」


 確かに、さっきまでしていた、喉が掠れるような音がなくなっている。


「薬が効いてきたんやわ。あとはたっぷり寝て、たっぷり汗かいたら、明日には良ぅなっとるわ」

「そっか。レジーナさんが言うなら、安心だね」


 ほっと安堵の息を漏らす長男。


「お~ぅ、もぅれつぅ~ん!」

「だから、なんなの、それ!?」


 懲りねぇな、こいつは。

 はぁはぁしないっつーのに。


 お前は、天丼を見逃せない病なのか?


「それじゃあ、お兄ちゃん。ハム摩呂をよろしくね」

「おう。気を付けて帰れよ」

「うん」


 と、長男が部屋を出て行こうとしたところで、部屋にロレッタが飛び込んできた。


「ちょっと聞いてです、お兄ちゃん! マグダっちょが、『……マグダの部屋は自由に使っていい。マグダは今日店長と一緒に寝るけれど。ロレッタはどうぞ一人で広々と、いえいえ遠慮せずに、いえいえ、どうぞどうぞ』って、頑なに一緒に寝てくれようとしないです!」


 あぁ、やっぱり、こっちでの会話を聞き取って、そういうイタズラに舵を切ってたか。

 ホント、大好きだよな、マグダはロレッタが。


「じゃ、広々使わせてもらえ」

「陽だまり亭にお泊まりして一人ぼっちとか、どんだけ寂しいですか!? こうなったら、あたしも客間でレジーナさんと一緒に寝るです!」

「あ、大丈夫、間に合ぅてるさかいに」

「笑顔でやんわり拒否られたです!? ぅわ~ん、弟からもなんとか言ってやってです!」

「え~っと、まぁ、その……お兄ちゃん、長女のこともよろしく、ね?」


 そいつは、ちょっと出来ねぇ相談だな。


 つーか、ロレッタ。

 弟に気ぃ遣わせんなよ。

 しっかりしろ、長女。



「あ、そうだ。長男」


 帰る準備を整えた長男を呼び止め、ハム摩呂にしがみ付かれながらざっと描き上げたイラストを五枚渡す。

 レジーナにも確認してもらったので、まぁ似ているだろう。


「これをベッコに渡しといてくれないか。量産しといてくれって」

「これ、誰? 女の人が……五人?」


 その認識は誤認だ。


「五人だけに!」

「やかましいで」


 あれ、レジーナ疲れた?

 ツッコミがすっげぇおざなり。

 ちょっと寂しいぞ☆


「俺たちの話を聞いてどこぞの貴族に密告したスパイ女だ」

「えっ、スパイ!? この人が?」

「見た感じ、普通の女の人に見えるですけど……あ、でも、ちょっとこの辺イヤミな貴族っぽさ出てるですね」


 おう、出してみた。

 よく気付いたなロレッタ、俺の小さい遊び心。


「一般人のフリしてはったけど、まぁ、隠しきれへん気品みたいなんはあったわなぁ」

「姿勢がよすぎるんだよ。野良仕事してて、ここまで姿勢が綺麗なヤツなんかいねぇよ」


 職人も農家も、結構無理な体勢でいることが多いからな。

 そういう連中の姿勢が悪いとは言わないが、あのスパイ女ほどピシッとした姿勢ではない。


 この女は、頭頂部に水の入った花瓶を載せても落とさず歩けるタイプだろう。

 そこまでの姿勢のよさなんぞ、貴族以外には求められない。


「ロリーネがすげぇピシッとしてるだろ?」

「あぁ、三十七区の! 確かに、ロリーネさんは姿勢が物凄くいいです。背骨が鉄で出来てるのかってくらいピシィーッてしてるです。……あれ、でも、アルシノエさんはそうでもないですね?」

「アルシノエは、自分に自信がなくて背を丸めて生きてきたようなヤツだからな」


 貴族っぽくないんだよなぁ、アルシノエは。

 っていうか、イーガレス家は全員。

 語尾も『のわ』だし。

 どんな貴族だよ……


「それで、こっちの四人は誰です?」

「同一人物だ」

「えっ、これがですか!?」


 他の四枚は、スパイ女の別バージョンというか、普段はこんな格好してんじゃねぇかな~っていう予想図だ。


「潜入する時は地味な感じに変装するだろ? だから、逆算して普段はこんな感じだろうって姿を予想して描いたんだよ」

「なるほど~。これだと、完全無欠に貴族さんですね」


 どのレベルの貴族か分からないから、いろいろな衣装で描いてみた。

 豪華なドレスに、控え目のカクテルドレス、薬師関係者かもしれないから白衣にタイトスカート、あとはスパイ的な仕事を担う家の可能性も考えて機動性重視の服装の四枚だ。

 髪型も、服のグレードに合わせてポニーテールやらハーフアップやら縦ロールやらを揃えてみた。


「これをエステラや他の領主に見せれば、誰か見覚えがあるってヤツがいるかもしれない」


 他区の貴族の顔までは知らないかもしれないが、もし知っているヤツがいればめっけもんだ。


「そしたら、そいつの家にベッコを派遣して一族全員の似顔絵を作成して拡散させれば、こいつらは四十二区に潜入することが出来なくなる」

「ハムっこネットワークの出番ですね! やるですよ、弟!」

「うん! こっそり知らせて、罠に追い込んで、心胆寒からしめて、二度と逆らわないようにするんだね!」


 え、なに、その発想……怖。


「いや、お兄ちゃんのやり方をトレースしただけだよ!? 前にやったじゃん! オレオレ詐欺の時に!」


 以前、情報紙を見てカンタルチカを詐欺にかけようとした馬鹿が、四十二区に

潜り込んだことがあった。

 それを、四十二区総出で返り討ちにしてやったんだよなぁ。


「……ノーマが怖かった」

「お兄ちゃんがやらせたんでしょ!? ノーマさんいい人だよ!」

「ほほぅ、長男は巨乳派か」

「そうじゃなくって! ノーマさん、見かける度に話しかけてくれて、お菓子とかくれるから」


 お前、成人してもまだお菓子とかもらってんのかよ……

 つーか、ノーマ。やっぱりまだハムっこに負い目感じてんのか。

 スラムに偏見を持ってたのは、別にお前だけじゃなかったろうに。

 まぁ、そこを割り切れない不器用さが、ノーマっぽいけどな。


「あと、ウチの棟梁と対等にやり合えるの、ノーマさんくらいだから!」


 変な方向の尊敬もされてんだな。

 その二人がやり合ったせいで、一体何人の大工が大地に身を沈めることになったか……


「俺も対等にやり合えるぞ。尊敬しろ」

「いや、お兄ちゃんは……圧勝するじゃん」


 あれ?

 圧勝してるのに尊敬されてない感じ?

 なんかやーなのー。


「まぁ、とりあえず、そこまで急がないけど早く対処した方がいいから、このイラストを明日の朝ベッコのところに持っていって、明日の朝までに量産して持ってくるように伝えといてくれ」

「お兄ちゃん、作業時間忘れてる! 朝言われて朝持ってこいは無理!」


 あっはっはっ、おいおい、長男~。


「ベッコとウーマロに不可能なんてないんだぞ?」

「あぁ……棟梁がたま~に『バカなんじゃねぇーの?』みたいな無茶な納期を言ってくることあるけど、やっぱりお兄ちゃんのせいだったんだ……」


 おいおい、辛辣だな、長男。


「よし、分かった。明日ウーマロに、お前が修繕した鶏小屋のチェックをさせてダメ出しさせよう」

「ちょっ、待って! そこまで全力でやってないから!」

「バカモノ。他人に使用させるものは、常に本気でかからなくてどうする」

「しまったぁ、お兄ちゃんは棟梁より厳しい人なんだった!」

「あとで俺も見とくな☆」

「ちょっ!? 今日、徹夜で直していいかな!?」

「ほら、これ持って早く帰れ。妹たちも風呂入って早く寝なきゃだろ」

「うゎあああ! 絶対あそこのヤスリ掛け甘いって言われる! 釘も二ヶ所失敗してるしぃ~!」


 甘い箇所が分かってるのに放置するなんて、まだまだだな。

 叱られて、揉まれてこい。

 その分、お前はいい大工になるから。


 あと、その抜けきってないハムっこ精神、叩き直してもらえ。

「ま、いっか」が強過ぎるんだよ、お前ら弟妹は。


「あぁ……今日絶対眠れない。不安で眠れない……」


 いや、お前らは不安だろうがなんだろうがしっかりと眠れる。

 そーゆーヤツらだ、お前らハムっこは。


「なんなら、妹と一緒に泊まっていくか? 一人ぼっちのロレッタが余ってるから、マグダの部屋で一緒に寝ればいい」

「おぉっ、それはナイスなアイデアですよお兄ちゃん! 弟はメンズですが、まだまだ女の子には興味を持っていないお子様ですから、マグダっちょのお部屋に泊めてもおそらく何の問題もないですし、何もしないようにあたしが見張っておくですから、マグダっちょも安心です! それじゃあみんなで一緒に寝るですか、弟!?」

「…………いや、いいや」

「なんで断るですか!? 折角長女たるあたしが、弟の不安な夜を少しでも快適にしてあげようと優しさを見せているですのに!」

「もう大人なんで」

「むぁー! そのちょっと壁作る感じ、イくないですよ!? 姉弟に成人も既婚も関係ないです!」

「いつまで一緒に寝るつもりなの、長女!?」

「あたしが寂しくなくなるまでです!」

「一生じゃねぇーか!?」


 すぱーんっとロレッタの頭をはたく長男。

 家では、こんな感じなんだろうなぁ。

 わぁ、騒がしい。


「じゃ、妹連れて帰るんで」

「せめて妹は残していってです! 出来れば妹の方から『お姉ちゃんと一緒がいい~』って言わせるように誘導しといてです!」

「妹をコントロールするとか、不可能だよ!」


 いや、そこは諦めんなよ。


「分かった。じゃあ妹も預かるから、長男はイラストをよろしくな」

「うん。妹が泊まるなら、今からベッコさんとこ行ってくるね」

「いや、行くのは明日の朝で」

「……なんで無駄にベッコさんを酷使したがるの、お兄ちゃん?」


 そんなもん、その方が面白いからに決まってんだろうが。


「お兄ちゃんは、『納期が鬼でござるよ!?』って飛び込んでくるござるさんを見たいんですよ」

「さすが両翼……注がれる愛情が重い」


 そんな事実はねぇぞ、長男。

 だからそんなすっぱそうな顔をするな。


 結局、長男は一人で家に帰ることになり、妹二人がロレッタと一緒にマグダの部屋で眠ることになった。





「ヤシロさん」


 こんこんと、部屋のドアが控え目にノックされる。


「どうですか、ハム摩呂さんの様子は?」


 そっと開いたドアからジネットが顔を覗かせる。


「入っていいぞ」

「では、お邪魔します」


 ジネットだけなんだよなぁ、許可するまで入ってこないの。

 他のヤツは、こっちがいいと言う前に入ってくる。

 ロレッタなんか、ノックもせずに飛び込んできたからな。


「まぁ、……うふふ。幸せそうな寝顔ですね」

「俺の海より広い心に感謝すべきだよな、このくっつき虫は」


 もぞもぞと、何度か体勢を変えたハム摩呂だが、ずっと俺にしがみ付いたままだ。


「レジーナさんも、お疲れではないですか?」

「ウチは何もしとらへんし、くっつかれてもおらへんさかいな」


 長男やロレッタがいて騒がしかった時は、完全に気配を消して部屋の隅に座っていたレジーナ。……ちょっとは絡んでこいよ。

 長男が帰り、ロレッタが仕事に戻った後は、普通に俺の部屋で雑談なんかをしていた。


「悪いな。店、全然手伝えなくて」

「いいえ。今日のヤシロさんはハム摩呂さん係ですから」


 そんな仕事もあったのか、陽だまり亭。

 まったく利益を生んでないけどな。


「お夕飯をお持ちしようかと思うんですが、何か食べたいものはありますか?」


 ピークが過ぎて、少し落ち着いてきたのだろう。

 とはいえ、そんな手の込んだものを作らせるのもな……


「パスタって残ってるか?」

「はい。すぐにご用意できますよ」

「んじゃ、ナポリタンを頼む」

「承りました。少々お待ちください」

「食堂店員か」

「食堂店員ですよ」


 そりゃそうか。

 なんか、注文を聞かれた時みたいな雰囲気だったから、つい。


 そういや、俺が客としてここに来たのって、最初の一回だけなんだよな。


「客として来た時は、注文を聞くってシステムがなかったんだよな」

「むきゅっ!? あ、あれは……ちょっと、うっかり忘れただけですもん」


 ジネットも覚えていたか。

 ほっぺが薄紅色だ。


「レジーナさんは、何がいいですか?」


 あ、話逸らした。


「ほな、そのエピソードの詳細を一つ」

「そんなメニューは取り扱っていませんっ!」


 むきーっと、両手をぶんぶん振るジネット。

 レジーナが「ほわぁ~」って顔で癒されてる。

 別料金取れるな、これは。


「自分がパスタ食べるんやったら、ウチもパスタにしよ」

「お気遣いは無用ですよ。なんでも食べたいものをおっしゃってくださいね」

「いや、気遣いっちゅうか……、人が食べてんの見たら自分も食べたくなるやん?」

「ふふ、それは、ちょっと分かります」


 いや、お前は食わせるばっかりで食べないじゃん。

 あ、それともあれか?

 なんでもかんでも食べたがる母親が身近にいるからってことか?


「では、何がいいですか?」

「えっと、あの……あれ、なんやったかぃな?」


 食べたいものがあるらしいが、名前が出てこない様子のレジーナ。

 パスタの名前って、ド忘れすると出てこないんだよな。

 カチョエペペとかアーリオオーリオとか。

 ペスカトーレも、ふと忘れるとマジで出てこなくなる。

 言い慣れてないヤツにはボンゴレやカルボナーラもスッとは出てこないだろう。


「えっと、たしか……ペロペロお乳~ノ……あぁ、せや! ポィンポィンチッチーノや!」

「ペペロンチーノだよ!」

「もぅ、全然違いますよ、レジーナさん!」


 なんでそこで「懺悔してください」が出ないんだ、ジネット!

 贔屓はよくないぞ!


 っていうか、どういう覚え方してんだ、レジーナ!?

 ペロペロお乳~ノって!?

 ちょっと素敵じゃねぇか! 新商品として推薦してみようかな!?


「懺悔してください」


 ほらぁ~、また俺ばっかり~ぃ!


「では、すぐお持ちしますが……ヤシロさんは食べられそうですか?」


 腹に巻き付くハム摩呂を見て、ジネットが困り笑顔を浮かべる。


「大丈夫だ。爆睡してても体を動かすと――」


 試しにハム摩呂の尻の下に手を入れて持ち上げると、ハム摩呂は体をひねって俺の腕にすっぽりと収まり、引き続きすやすやと寝息を立てた。


「――状況に応じた姿勢で睡眠を続けるから」

「素敵な特技ですね」


 こいつらにとってはな。


 折角なので、ハム摩呂を膝の上に乗せて、飯が食いやすい体勢を取っておく。

 こいつら、全身もふもふだから、膝に乗せてると大型のネコみたいなんだよな。

 ……ちょいちょい撫でたりしてしまう。


 もっふぁ~。


「気持ちよさそうですね」

「撫でてみるか?」

「よろしいんですか?」

「一宿一飯の恩を返してもらえ」

「ふふ、では――」


 ジネットが、俺の膝の上で丸まるハム摩呂の頭を撫でる。

 もふもふ。


「とっても気持ちいいですね」

「これくらいの役得がないとやってられんからな」

「では、思う存分堪能してくださいね」


 にっこりと笑って、ジネットが部屋を出ていく。

 ドアが閉まると同時に、レジーナがしょーもないことを聞いてくる。


「くっついてんのが弟はんやのぅて、妹はんやったら、どこを撫で撫でしたらえぇんやろ?」

「胸は期待薄だから尻か腹だな」

「頭ちゃうんかぃな」

「もぅ、ダメですよ。懺悔してください」


 さっき閉まったドアを開けて、ジネットが顔だけを覗かせて懺悔を言い渡してくる。

 残り香ならぬ、残り懺悔とか……


「レジーナのせいで」

「まんまと策略にハマった自分のせいや。大人しゅう懺悔しとき」


 納得できないまま、適当に懺悔を済ませる。


「おっぱい以外に目移りしてすみません。真っ平でもおっぱいを中心的に攻めていくようおのれを戒めます」

「今頃、懺悔が届いた精霊神はん、『いや、そうやないがな!?』って盛大に突っ込んではるんやろうなぁ」


 んなわきゃない。


「……こんな穏やかな日常を、滅茶苦茶にされたら、堪ったもんやないな」


 ぽつりと、真面目なトーンでレジーナが呟く。

「あまりにも度が過ぎるなら潰してやろうか」……なんて、そんな物騒なことを考えていそうな鋭い視線が、一瞬だけ顔を覗かせた。

 すぐに霧散したけど。


 こいつの場合は武力衝突ではなく、市場戦争だろうな。

 薬師ギルドが立ち行かなくなるまで薬を市場に吐き出し、薬師ギルドよりも高品質の薬を安く大量にばら撒くのだろう。


 でも、それをすると武力衝突に発展する。

 そうすれば、薬を求める者が増えてしまう。

 レジーナは、自分の店に客が来ることを嫌がるからなぁ。

 人付き合いが苦手とか、出不精とか、引っ込み思案なんて理由じゃない。


 薬を必要としなければいけない者がいることが、好きじゃないのだろう。


 みんなが健康で健やかであればいい。

 そんなことを考える薬屋だからな、こいつは。

 商売あがったりだろうに、そうなったら。


「作戦を考えるのは、スパイ女の素性が割れてからだな」


 声をかけると、思考の中に籠りかけていたレジーナが、はっとこちらを向く。


「あの女が、領主の駒なのか劇場の関係者なのか、それが分かればどう動くかを決めやすい」


 領主の駒であれば、おそらく防御に徹してやり過ごすことになるだろう。

 薬師ギルドを潰すのは、まだ早い。


 だが、劇場関係者であれば……

 忠告を無視してちょっかいをかけてきているのだとするならば……


「一個くらい劇場がなくなっても、代わりはたくさんありそうだし、大丈夫だろう」


 さすがにちょっと、怒っちゃうぞっと。



 そして、その噂のスパイ女の素性が分かるのは、意外とすぐだった。







あとがき




あとがき大好き、宮地です☆

ガッキーと呼んでもいいですよ


(☆>3・)/あなたも私もポッキー!


……あ、それガッキーの前のやつだ!?

Σ(゜Д゜;)世代がブレブレ!



えっと、本編は……うん

ハムっ子が思いっきり書きたかったんです


あと、梨が食べたかった。

秋ですからね。


あ、私

梨の皮剥きうまいんですよ☆

実は小5のころ――あ、もういいですか?

(・_・;


長男くんはしっかりと大人になり

でもハムっ子でもありつつ

頼れる一面を見せたり見せなかったり(笑)


ヤシロお兄ちゃんがいる時だけは、長男じゃなくなるんですよ

やっぱり、一番上の姉と兄が一番頼りにしてるんですよね、ヤシロお兄ちゃん(笑)



そして、最近マグダがちょこっと大人になってきたせいで、甘やかし不足なんじゃないの、ヤシロパパ〜?

――と、お感じの皆様!


ヤシロパパの甘やかしターゲットは、無限におりますのでご安心を!


まぁ、マグダもまだまだ甘えますけどね☆



ほい

というわけで、


急に寒くなってきましたね(そーですね)

なんか、11月下旬の寒さらしいですよ(そーですね)

明日の朝、氷点下らしいですよ(そーですね)

んなわきゃない(笑)



……はっ!?

最近の令和っ子が分からない、懐かしのお昼休みネタを!?


いえ、なんかね、最近ちょっと昔のことを思い出すことが多くて

で、なんか思い出した後って浸りたくなって、

ゆーちゅーぶとかで「懐かしの昭和の〇〇」的なものを見たりするんです

昔のCMとか懐かしのアイテム紹介とか、「こんなのあったね~」的な動画を。


たぶん、その影響かと(そーですね!)


で、動画といえば

一時期、断捨離にハマった時に断捨離系の動画を山のように見て

「こうすれば断捨離は捗るよ☆」的な動画をいくつかブックマークしたんですね

で、ブックマークを見てみたら

お菓子作り系動画「ズラー」

糖質制限系動画「ズラー」

レシピ系動画「ズラー」

体幹鍛える系動画「ズラー」

DIY系動画「ズラー」

ミニチュア制作系動画「ズラー」

プラモデル塗装動画「ズラー」

断捨離系動画「ズラー」※NEW!



 Σ(゜Д゜;)いや、まずブックマークの断捨離が必要だわ!?



基本的にブックマークとかしなかったんですよ、昔は、

見たい動画はその都度検索していたんですが、

めっちゃ美味しい蒸しパンのレシピ動画がありまして

それを頻繁に作ってた時期があって、

いちいち検索するのが面倒になってブックマークしたんです


それ以降「あ、これは見返すな」ってヤツはブックマークをするようになり……取っ散らかりまして(^^;


しかも、ブームが過ぎると一切触れもしないという

蒸しパン、五年くらい作ってないですね

もうお菓子作りの道具一個も残ってないです

ケーキ型とかシリコンのケーキカップとかいっぱいありましたのに


で、お菓子作りの次に糖質制限のブームが来て

で、糖質制限レシピ動画がずらっと並んでて

その後半から、普通に美味しい料理の動画があって、糖質を制限しないレシピが増え

そのブームが過ぎた後、体幹を鍛える系の動画、プランクのやり方とかスクワットの正しい姿勢とか、そういう動画が並んでおりまして、



 Σ(゜Д゜;)ダイエットの挑戦と挫折の記録が延々と!?



食って、痩せて、食って、痩せてってしてました、ブックマークが(笑)


そこからはなんかモノ作りをよく見ていたようですね

廃屋を買ってリフォームする系から始まり、粘土細工作ったり、ミニチュア作ったり、フィギュア作ったり、プラモデルの塗装をしたり

あぁ、そういえば私も一時期、

塗装用の簡易コンプレッサー使ってガンダムの色縫ってたなぁ~って

自分の過去が垣間見える惨状になっておりました

(^^;ブックマーク一覧が長い長い!


というわけで、少し整理しました

うん、すっきり☆


で、そんな中、

「たった三つの材料で出来る超簡単パン」

的な動画があったんですよ。

まぁ、よくある系統の動画なんですが、

なんでこれをブックマークしてたんだろう? って、思いまして

作った記憶がないんですよね

ブックマークするのって、分量を覚えるのも書き留めておくのもめんどくさくて

「その都度動画見りゃいっか」って思ってるものなので

作ったことがない動画がブックマークされてるのは変なんですよ


知らないうちに間違ってブックマークしちゃったのかな~と、

三年ぶりくらいにその動画を見てみたんですね


なんか、洗い物出さないように、ボウル一つで作るっていうコンセプトで

一個のボウルに粉入れて、液体入れて、ベーキングパウダー入れて~


 (・_・ )……うん、全然見おぼえない


で、こねて、こねて~


 (・_・ )……うん、まったく覚えてない


ラップして、しばらく寝かせます


 (・_・ )いや、ラップは道具に含まれないんかい。まぁ、洗い物にはならないか


そして、三十分寝かせた生地がこちらです!


 (・_・ )まぁ、素人的には三十分のベンチタイムが出てきた時点で『超簡単』ではなくなったけどな


生地を寝かせたら、作業台に粉を広げてくっつかないようにして生地を伸ばしていきます


 Σ(゜Д゜;)いや、そんなパンを捏ねるためだけの広々とした作業スペース、普通のご家庭にはねぇよ!?

 めっちゃパン作りに特化したキッチンやないかい!?

 ほんで、今使ってるそのボウルから生地を綺麗に取り出すための道具何!?

 へぇ~、それで生地とか小さくカットできるんだ~

 あ、スクーパーっていうの、その道具?

 ボウル一つで出来るって設定どこ行った!?

 うわぁ~、そしてフライパンで焼くんだね~

 ボウル一つで出来るって設定どこ行った!?

「ほら、こんなに簡単♪」って、やかましいわ!

 Σ(゜Д゜;)



いやぁ、もうですね、

「すっげ!?」ってなるくらいに立派な作業台で、

黒く輝く大理石的な、美しい作業台なんですけど

幅が150~200センチくらいあるだろうっていう巨大さで

そこに「ぶわ~!」って粉撒いて、

パン種を細く長く伸ばし始めた時点で「いや、無理!」ってなりまして

どこのご家庭に、パンを120cmほども伸ばせる作業台がありますか!?



で、面白くてブックマークしたんでしょうね、きっと

( ̄▽ ̄)久しぶりに見て久しぶりに笑いました


ブックマークの理由、見つけちゃった☆



そんなもん、

面白いあとがきの書き方を教えますよ~って言って

「面白い着眼点で面白い物を見つければ、面白いあとがきが書けますよ☆」

っていうようなものですからね!


そもそも、その「面白い着眼点」ってヤツが欲しいんだっつーの!



とりあえず、

簡単パンの動画は、また三年後くらいにすっかり記憶から抜け落ちた頃を見計らってもう一回楽しみたいのでブックマーク残しておくことにします

( ̄▽ ̄)三年後が楽しみだ♪


皆様も、なんかもうすっかり忘れている昔好きだったものとか見返してみると楽しいかもしれませんよ


異世界詐欺師の過去回とか、たまには読み返してみましょうかね~



次回もよろしくお願いいたします

宮地拓海

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― 新着の感想 ―
更新ありがとうございます♪いやー、ハムマロさんだけでなく、ハムっ子長男まで蔵出ししていただけるなんてー…感謝の極み!ありがとうございました!ハムマロさんの本名気になる所ですが、やはり知らないことがあっ…
作業台に粉打って伸ばしてる時点でめっちゃ掃除が大変なやつやんww 洗い物の範囲には入らんのか?ww
この日常と陰謀が同時に進む感じがいちばん異世界詐欺師読んでるなって感じして好き おっぱいの話してる時はぶっちぎりで殿堂入りです
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