439話 お祭り~街門前広場~
海漁ギルドの釣り堀で一悶着あった後、俺たちはデミリー、ドニスと別れて当て物屋にやって来た。
「……また、張り切ったな、ウーマロのヤツ」
今朝までなかった当て物屋を急遽追加してもらったのだが、なぜか他の屋台と同じ形ではなく、プレハブでちょっとした仮設店舗のような豪華さになっている。
「……出店の屋台はすでにすべて出払っていたため、手元に残っていたプレハブの建材を利用して建設したらしい」
と、マグダがいつ得たのか知らないウーマロ情報を教えてくれる。
お前ら、俺の知らないところで結構会ってんじゃないだろうな?
まだ早いぞ!
そーゆーのは成人してから!
「……ハムっ子が逐一教えに来てくれる」
「あぁ、ウチの子たち、マグダっちょが現場に来るとウーマロさんが張り切ってなんかすごいもの作り上げちゃうのが楽しいらしくて、なんとかマグダっちょを現場に呼びたいらしいんですよ……。マグダっちょも暇じゃないって、今度叱っておくです」
「……その上で、ふらりと登場するマグダ」
「それやられると、あたしばっかりなんでも反対する心の狭いお姉ちゃんって思われるですから、甘やかすのは程々にお願いするですよ!?」
ロレッタ「あんたたち、マグダっちょにわがまま言うんじゃないですよ!」
マグダ「……まぁ、マグダは気にしないけれど」
うん、本当だ。
マグダの株だけがぐんぐん上がっていくな、その状況。
「ヤー君、姉様方。とりあえず、中に入ってみませんか?」
「えーゆーしゃ、てんちょーしゃ、はゃく、はゃく!」
バザーの時にメンコくじにハマっていたお子様二人が俺とジネットの手を引いてプレハブの中へと引っ張っていく。
ホントに好きなんだな、メンコくじ。
将来ギャンブルにハマらなきゃいいけど。
「あれ、ござるさんがいるです」
当て物屋の店内に入ると、中にベッコがいた。
「何やってんだ、ベッコ?」
「当て物でござるよ。では、もう一回お願いするでござる」
「はい。一回5Rbです」
安っ!?
10Rbじゃなかったのかよ?
それで原価割れしてないのか?
してないの?
あそー。
ならいいんじゃねぇーの?
5Rbを渡し、中身の見えない箱から紙切れを取り出す。
紙には数字が書かれており、その数字に該当する景品がもらえる。
「17番でござる!」
「おめでとうございます、とっても素敵なメンコがアタリましたよ!」
「どれ……ぬわぁ! イメルダ氏でござるか! これはこれで嬉しいでござるが、目当てのものではござらぬ! まぁ、これはこれで嬉しいでござるが!」
なんか、ベッコがベッコのくせに選り好みしてやがる。
イメルダを引き当てて文句を言うとか、木こりに「へいへいほー」されても知らねぇぞ。
「ヤシロ氏、お話したい気持ちはとめどなく溢れ出てきているでござるが、拙者、まだ目当てのメンコを引き当てておらぬゆえ、しばし店内を見て待っていてほしいでござる」
なんでお前を待たなきゃいけないんだよ。
「カンパニュラたちもメンコ引いてきていいぞ」
「では、お言葉に甘えさせていただきますね。行きましょう、テレサさん」
「ぁい! おねーしゃのおばけ、あてぅ!」
バルバラのオバケ?
そうか、あいつ死んだのか……
な、わけもなく。
おそらくハロウィンの時のコスチュームバージョンバルバラでも存在しているのだろう。
……え、待って。
ハロウィンの時のバルバラのコスチュームって、白ビキニだったよな!?
なんか、おんぶオバケとか言って、なんでかビキニ着てたよな!?
「テレサ、頑張れ!」
「ぁい!」
そして、当たったら見せて☆
「それにしても、すごい量のメンコですね」
と、ジネットが店内をぐるりと見渡して言う。
店内の壁には、無数のメンコがずらーっと貼り付けられている。
これだけの数を展示しても、絵柄被りが一個もないのか。
どんだけ作ってんだよ、ベッコ。
まぁ、作らせたのは俺だけれども。
「壮観だな」
壁一面を埋め尽くすメンコのディスプレイを見て、ルシアが感嘆の息を漏らす。
三十五区には、まだこれだけのメンコはないからな。
「やはり、職人の有無は埋めがたい差となるな……」
ベッコがいるといないとじゃ、その差は歴然だ。
「くれ!」
「責任を取ってお婿さんにしてやるんだったらな」
「不可能な条件を付けるな!」
「不可能とまで言い切られたでござる!?」
そっかぁ、じゃあ仕方ないよなぁ。
不可能なんだもんなぁ。
なんてことをしていると、店のカウンターにいた女性が声をかけてきた。
「改めまして。いらっしゃいませ! ようこそ、行商ギルド・情報紙発行会ダブル協賛の当て物屋へ」
あれ、そうなの?
「そういうことになったのか?」
「うん。お金の大半をその二つの組織が出してくれてね。ボクは売上から一部をもらうだけの役得ポジションだよ」
エステラは権利だけを有し、材料費や運営費、人材費などは全部行商ギルドと情報紙発行会が持っているという。
「情報紙発行会が印刷したメンコも含まれているんだよ」
「あれからいくつか作らせたのか?」
たしか、以前エステラの寝間着姿のメンコを習作として作っていたはずだが。
「ベッコがいくつか原盤を持ち込んでるからね。それらを印刷しているんだよ」
「俺の知らない間に、かなりの量のメンコが投入されたようだな」
「行商ギルドが保管していた在庫分も吐き出してもらったから、結構な量と種類になってるはずだよ」
壁一面に貼られたメンコを見渡せば、その種類の多さに舌を巻く思いだ。
そういえば、一時期ベッコがずっと原盤を彫ってたっけなぁ。
ぶつくさ文句を言いながら。
「……で、なんで制作者のベッコが当て物屋でメンコを買ってんだ?」
メンコの出来栄えや、店のチェックに来たのではなく、ベッコは純然たる客としてこの店に来ているらしい。
さっきから、挨拶もそこそこにくじに夢中になっている。
「これでござる! 20番でござる!」
「20番は、こちらになります」
「いよっしゃー! ようやくノーマ氏を引き当てたでござる!」
ノーマのメンコを引き当ててガッツポーズを決めるベッコ。
「つか、お前はわざわざくじなんぞ引かんでも、自分でいくらでも欲しいメンコが作れるだろうが」
「いやいや、ヤシロ氏。そこはそれ。自作したものと流通している正規品とでは、やはり手にした時の感動が違うのでござる。くじで引き当てるということに、コレクター魂が刺激されるのでござるよ」
そんなもんかねぇ。
作家が、自分で書いた本が書店に並んでいるのが嬉しい、みたいなもんか?
自分家にデータも製品もあるのに、ついつい本屋でも買っちゃう、的な?
浮かれ過ぎだ。
「ノーマ氏を引き当てるのに六回もくじを引いたでござる」
と、今回ゲットしたメンコを見せてくる。
よく見知った顔のメンコが六枚並んでいる。
ミリィ、エステラ、ネフェリー、ナタリア、イメルダ、ノーマ。
B、A、D、E、G、G、か……
『BADEGG』
嫌われ者とか、悪いヤツとか、二度と顔も見たくない相手とか、そんな意味で使用される言葉だ。
「お前、女子たちにめっちゃ嫌われてるな」
「なぜでござるか!? えっ!? そんなことないでござるよね!?」
いやいや。
きっと精霊神からのお告げに違いない。
『ベッコよ、お前、腐った卵みたいなニオイしてるぞ』――と。
「えんがちょ!」
「よく分からない言葉を発して距離を取らないでくだされ!」
えんがちょメガネが近付いてくる。
やだ、ばっちぃわ。
「もし精霊神様の御力が働いているなら、君が引いても同じような結果になりそうだけどね」
「バカモノ。俺が引いたらきっと『IKEMEN』になるに違いない」
「KカップとMカップとNカップなんていないよ、この街には」
じゃあ、きっとまだ見ぬボインちゃんメンコが飛び出してくるに違いない!
「というわけで、まずはジネットを手に入れる!」
「へぅ……っ!?」
『IKEMEN』を完成させるために願った言葉だが、隣で自分のメンコを願われると確かにちょっと照れるか。
……深い意味はないから、そんな照れるな。
さぁ~て、誰が出るかなぁ~っと。
「はい、7番はこちらです」
「ぅわ……ルシアだ」
「なんだその嫌そうな顔は!? 私とて、貴様などに引かれたくて引かれたわけではないわ!」
いや、だって、格差がさ……
希望と現実の格差がさぁ……
希望(Iカップ)
現実(Bカップ)
「……切ない」
「馬鹿なこと言ってないで、次を引きなよ。はい、店員さん。これ、ヤシロの財布から出したお金」
てめ、エステラ!?
なに勝手なことしてくれてんだ!?
ったく。
引かないわけにいかなくなったじゃねぇか。
じゃあ、次のを――ほい!
「わぁ、素敵なメンコがアタリましたよ。はい、どうぞ」
「……エステラかぁ」
「なにさ、その重い溜め息は!?」
「なぁ、店員。この店、ぺったんこしか置いてねぇんじゃねぇの?」
「そんなことないし、ぺったんこ言うな」
「ちゃんと各種取り揃えていますよ。女性も男性も」
男性とか、ハズレもいいとこだな。
「うふふ。きっと、ヤシロさんが領主様たちにとても好かれているんでしょうね」
と、カウンターの女性がクスクス笑い、「こやつが熱烈に望んでおるだけだ」とルシアが俺に責任をおっ被せてくる。
「とにかく、ここいらでジネットを引き当てなければ、平均値が酷いことになる……」
「とんでもなく失礼な発言だね、ヤシロ。あとで説教だよ」
俺を睨みながら、エステラが俺の財布から5Rbを店員に渡す。
ってこら、俺の財布をお前が持ってんじゃねぇよ。
まぁ、引くけども。
「はい、こちらです」
「あ、ロレッタか」
「なんですか、その嬉しくも残念でもない感じのリアクションは!? もっと喜んでです!」
「あ、ロレッタか」
「なんでやり直したですか、そんな無味乾燥なリアクション!?」
なんだろう、この嬉しくも残念でもない感じ。
このメンコ、アタリでもハズレでもなくフツウだな。
「でも、ぺったんこ以外がいることが証明されたから、この次に期待がかかるな!」
この次はDカップか、もういっそのこと一足飛びにIカップが来る気がする!
「よし、エステラ、もう一回だ!」
「はいはい」
エステラが(俺の財布から)金を渡し、俺はもう一度くじを引く。
そして、引き当てたのは――
「おめでとうございます! こちらです!」
「エステラじゃねぇか!?」
「いいじゃないか、別に、ボクでも!」
B、A、C、Aって!?
折れ線グラフだとアップダウンしてんじゃねぇか!
ステップアップしていけよ!
それとも何か?
エステラは裏拍担当なのか!?
二の倍数回目は全部エステラか!?
「なるほどな。やはり、精霊神様の御力が働いているようだぞ、カタクチイワシ」
と、ルシアがにやりと口元を緩めて俺が引き当てたメンコを並べて見せてくる。
「『BACA』だそうだ」
……おのれ、精霊神め。そういうことか。
しょーもないイタズラ仕込みやがって!
そーゆーとこだぞ、精霊神!
まったく!
精霊神は!
まったく!
「はぅ……」
俺が精霊神に暴言を吐かれている隣で、ジネットが小さな息を漏らした。
「どうした? ハズレのゼルマルでも引いたか?」
「いえ。ゼルマルさんならよかったんですけど……」
え、ゼルマル以上のハズレを引いたの?
誰だ?
「実は……」
と、ジネットが悲しそうな顔でこちらへ向けたのは、『陽だまり亭店長』のメンコ。
つまり、ジネットの絵柄だった。
メンコでは、『ジネット』ではなく『陽だまり亭店長』、『マグダ』『ロレッタ』ではなく、『陽だまり亭店員』という名称でメンコになっている。
一応、個人情報に配慮してな。
まぁ、こんだけそっくりなイラストをメンコにしといて個人情報もないだろって気もするが、実名を晒すのはやめとこうという話になっている。
なので、俺のメンコも『◯◯の英雄』って名称になっている。
……英雄っての、認めてないんだけどな。
しかし、自分のメンコを引き当てたからって、そんなにへこまなくてもいいだろうに。
「可愛い絵柄じゃないか。アタリだぞ、それは」
「ぇっ、あのっ…………ぁりがとうございます。で、ですが、その、そうではなくて、ですね」
自分のメンコにがっかりしたのではないようで、ジネットがメンコをそっとズラす。
どうやら、メンコは二枚重なっていたようで、ズレたメンコの向こうから、もう一枚同じ絵柄のメンコが顔を覗かせる。
「……同じ絵柄が二枚当たってしまいまして」
「ダブりか」
「はい、その――ダブり、です」
で、ちょっと嬉しそうな顔をするジネット。
俺の真似して喜ぶなっつーのに。
『ダブり』くらい、誰でも使ってんだろうが。
「エステラのメンコと替えてやろうか? ダブってるし」
「え、でも、衣装が違いますよ?」
確かに、俺が引いた二枚のエステラメンコは衣装が異なる。
領主姿のキリッとしたエステラと、部屋着のほにゃっとした表情のエステラだ。
とはいえ、どっちもエステラだからなぁ。
それに――
「俺が欲しいのは限界ローアングルのエステラメンコだから」
「それを引き当てたら問答無用で没収するから」
背後から会話に割って入って、傍若無人な宣言を寄越してくるエステラ。
え、なに?
お前って、ガキ大将かなんかなの?
「でも、折角素敵なメンコですし、無理はしないでください」
いや、全然無理してないんだけどな。
エステラのメンコを並べて眺めるような趣味もないし。コンプリートも目指してないし。
「それにわたし、今日はお小遣いをいっぱい持ってきていますので」
と、腕まくりをするジネット。
やめとけやめとけ。
当て物屋で散財するなんて、残念な小学生くらいだぞ。
当て物屋ってのは、『欲をかくと損をする』っていう人生の教訓を、深ぁ~い心の傷と共に教えてくれるような場所なのだ。
「わたしの勘が正しければ、次の次でアタリが出るような気がするんです」
うわぁ、まったく頼りにならないな、その勘。
ジネットの勘が当たるのって、客の入り具合くらいだろう。
……いや、アノ勘だけはホントマジですげぇけども。
え、当たるんじゃね? ジネットの勘。
「んじゃ、次は俺が引くから、その次をジネットが引けばいい」
「いいんですか?」
「次の次で当たるんだろ?」
本当は当ててほしくないんだけどな。英雄メンコなんて。
「俺の勘では、次はFカップ以上が当たる気がするんだ」
「ハズレればいいのに、その勘」
おい、エステラ!
言葉には不思議な魔力が宿ってるんだぞ!
そういうことを口にするなよな!
これでぺったんこが来たら、もう二度と当て物なんかしないからな!
「では、ヤシロさん。お願いします」
「ん。じゃあ、俺の次はジネットな」
「はい。必ず英雄メンコを手にしてみせます!」
意気込みは結構だが、意気込みではどうにもならないからなぁ、くじは。
で、店員女子に金を渡して、くじを引く。
「8181番 ……って、何種類あるんだよ、メンコ!?」
「おぉっ、ヤシロ氏! 強運でござるな!」
「は?」
嬉しそうな顔でサムズアップを突きつけてくるベッコ。
なんか引き当てたっぽいが……まさか。
「おめでとうございます! 大当たりその4、『導く英雄』です!」
「やっぱりか!?」
8181番ってところでぴーんときたよ!
さては、そこまで枚数ないけど、俺の絵柄だからって番号飛ばして8181番にしやがったな!?
ギルベルタが当てたというヤツと同じメンコだが、そもそもこのイラスト、港の洞窟に出た人影はカエルじゃないって、何の証拠も提示せずに人々を言いくるめてるだけだから! 何一つ導いてないからな!
「わぁ、いいなっ、いいなぁ!」
俺が忸怩たる思いで苦虫噛み潰しフェイスをしているというのに、ジネットは俺の周りをくるくる回りながら、普段よりも若干子供っぽい口調で羨んでくる。
「ちなみに、大当たりその1とその2は領主様大集合の大判メンコその1とその2でござる。その3は三大ギルド長のメンコでござるよ」
うん。
そんな説明、今、全然求めてないから。
その1が女性領主が真ん中ので、その2が区の番号順のヤツだろ?
見れば分かるっつーの。
これみよがしにカウンター奥の一番目に付くとこに飾ってあるんだから。
つか……
「当たらねぇなぁ、俺の勘もジネットの勘も」
全然Fカップ以上じゃないし、次の次じゃなくて次にジネットの言うところのアタリが出たし。
さすがに、二連続では出ないだろう、これ。
「ジネット。次引くか?」
「はい! 今、いい流れが来ているので、わたしもヤシロさんにあやかってアタリを引き寄せたいと思います!」
いや、流れとかないけどな。
そうして、意気込むジネットがくじを引き、紙を開いて、肩を落とす。
「……また57番です」
またってことは……
「はい。……あの、『陽だまり亭店長』のメンコ、です。……ごめんなさい」
三連続ダブり。
ジネット。
お前、持ってるなぁ。
「しょうがねぇな」
店員が差し出すジネットのメンコを受け取り、先ほど自分で引き当ててしまった忌まわしい、無許可のメンコをジネットに手渡す。
「……え?」
「ダブりはトレードする。それも、こういうメンコの楽しみ方の一つだ」
「えっ、でも、いいんですか? かなりレア度の高いメンコですよ!?」
どこで覚えてきた、レア度とか!?
そんな影響を受けるものとか、ジネットの周りに何かあったか!?
「俺にとっては、こっちの方が激レアなんでな」
自分のメンコに価値なんぞ見出せない。
それよりも、いつもそこにある微笑みを切り取ったような、この安心感を覚えるイラストの方が何倍も価値がある。
それに。
「お前は『必ず英雄メンコを手にしてみせます』とは言ったが、『アタリを引く』とは言ってないからな」
今この場所には、仲のいい連中しかない――なんて油断してるんだろうが、実に危うい発言だった。
『必ず』はマズいよな。
「こんなことでお前を嘘吐きにするわけにはいかないからな」
「あっ……いえ、でも、ここにいるのはみなさん仲良しで――」
そこですかさず、店員にウィンクを飛ばす。
俺の意を汲んでくれたようで、店員は「あ、なるほど」と呟いたあと、精一杯あくどい顔を作って、かなりの棒読みで乗っかってきてくれた。
「わっはっはーっ、陽だまり亭の店長さんの弱みを握ったぞー、これで毎日ご馳走が食べ放題だー、うっしっしーっ!」
うわぁ、なんだろう、そのあくどい顔、ちょっと可愛いな、おい。
で、照れるのね。
注目されると、恥ずかしいか。
「ふふ。ありがとうございます」
ジネットの弱みを握って脅しをかけてきた店員に、なぜかお礼を言って、ジネットは手の中にある英雄メンコをキュッと胸に抱いた。
「では、嘘にならないように、こちらのメンコはいただいておきますね。えっと……とれーど、ですか? それをお願いします」
「あぁ。喜んで」
俺、自分のメンコより巨乳美少女のメンコの方が嬉しいし。
「店員さんもありがとうございました。是非今度お店にいらしてくださいね。ご馳走を、ご馳走しちゃいます」
「えっ、いや、今のは冗談で――」
「まぁ、もらっといてくれ。こっちの思惑に乗ってもらったわけだし」
「えぇ……いいんですか、こんなことで、そんなことしていただいて」
「もちろんです。おかげで、わたしは目当てのメンコを手にすることが出来ましたから」
「ふふ……では、お言葉に甘えて」
ジネットの浮かれように、思わずと言った風に口元をほころばせた店員女子。
その瞳がちらりと俺を見て、また嬉しそうに目を細める。
「店長さんは、本当にオオバさんがお好きなんですね」
「へぅいっ!?」
「大切にしてくださいね、そのメンコ」
「い、いえ、あのっ、それは、大切、には、しますが、ですがそれは、そのっ…………ぁうっ」
何か懸命に言いかけて、結局何も言えなかったジネット。
まぁ、知らない者が見れば、そんな風にも見えてしまうこともあるだろう。
だからな、ジネット。
英雄像とか英雄メンコへの執着、もうちょっと抑えようか?
な?
今回の一件が、多少なりともジネットの自制に役立ってくれるなら、このいたたまれない空気も無駄ではなかったということになるだろう。
……つーか、ここ空気悪いな!
さっさと別の店行こうぜ!
お好み焼きとかさ、食べにさ!
「「粗忽者」」
おんなじような顔をした領主二人から、同じ言葉を言われた。
俺じゃねぇだろ、今のは、どー考えても。
トレーシーからもなんとか言ってやってくれよ。……あ、エステラのメンコが当たって嬉しいの?
今それどころじゃないの?
あ、そー。
で、マーゥルは……う~っわ、シンディ共々温かい目。
うっせぇよ、お前らのその視線。こっち見んな。
……ったく。
「それにしても、本当に素敵なメンコね」
と、カウンター奥の壁にでかでかと飾られている領主勢揃いメンコを眺めて呟くマーゥル。
「おい、エステラ。催促されてるぞ」
「まぁ、ひどいわ、ヤシぴっぴ。そんなつもりはないのよ、エステラさん」
「もちろん分かってますよ、マーゥルさん。いつもの、ヤシロの悪ふざけです」
いやいや。
貴族が「なかなかよい物だな」って言った時は「それを寄越せ」って意味だって昔読んだ小説に書いてあったぞ。
「私も一度、くじに挑戦してみようかしら。大当たりが出ると嬉しいのだけれど」
「エステラ、今のは催促だろう?」
「いや、ただの意気込みだよ。ジネットちゃんも言ってたじゃないか、『アタリを引きます』って」
「散財してしまわないか不安だわ。でも、アタリは絶対欲しいのよねぇ」
「ダイレクト催促!」
「今のは催促でしたよね、マーゥルさん!?」
「うふふ。冗談よ」
楽しそうに笑って、マーゥルはもう一度デカいメンコに視線を向ける。
本当にデカいんだよ、あのメンコ。
絶対メンコとして遊べないくらいにでかい。
これは、あれだな。下敷きサイズだな。
飾る以外に使い道がねぇな、これは。
……うん、イラネ。
「弟が生まれて、二十数年。最近ではもうほとんど感じることもなくなっていた感情だけれど……これを見てしまうとほんの少しだけ思ってしまうわね。『あぁ、羨ましいわね』って」
「よし、じゃあベッコ。ゲラーシーを消してマーゥルに描き変えといてくれ」
「そういうことじゃないのよ、ヤシぴっぴ」
「お安い御用でござる!」
「止まりなさい、丸メガネ」
わぁ、辛辣な呼び方。
ベッコが「丸メガネ!?」とか驚いてるけど、お声掛けいただけただけでも行幸だろ?
なんでも、深窓の麗人らしいから、そのおばちゃん。
「それくらい、素晴らしいイラストだということよ」
「マーゥル氏にそこまで言っていただけると、拙者も描いた甲斐があったと誇らしく思えるでござる」
「さすが、ウチのモコカのお師匠様ね」
「なぁ、エステラ。軽くマウント取ろうとしてないか、あの貴族?」
「あはは……」
なに「ウチのモコカ」を強調してんだよ。
「けど、あの大当たりメンコは本当にいい出来ですよね。あたしも是非欲しいです!」
とか、ロレッタが興奮しているのだが……
「半分以上知らないおっさんだぞ?」
「いや、お兄ちゃんは全員と面識があるはずですよ!? あと、他区の領主さんたちをおっさん呼ばわりはマズいですよ、お兄ちゃん!?」
ロレッタは全員知っているらしい。
顔広いんだな、お前。
俺はせいぜい、四~五人くらいしか記憶にないな。
ぺったんと誤差とイリュージョンと……他、少数。
「でも、これだけ豪華なメンコを見たら、今回参加してない三十三区の領主さんが悔しがるかもしれないですね。『自分も入りたかった~』って。あたしなら絶対思っちゃうです」
「まぁ、大丈夫だ」
あとからそんなことを言い出した場合は――
「右上に丸く縁取りしてその中に顔だけ描き足してやればいい」
「その欠席者システム、きっと領主さん相手だと失礼に当たるですよ!?」
「そうか。じゃあ、アレはロレッタ専用にしとくな☆」
「あたしも御免ですよ、その面白ポジション!?」
なんで!?
お前のためにこの街に持ち込んだっていうのに!?
「せっかく俺が、お前のことだけを考え、お前のためだけに導入したシステムなのに!」
「もっと別の、素直にありがたがれる状況で言ってほしかったです『お前のために』って!」
なんだよぉ~。
「なぁ、ロレッタ。だ~っれもいない美しい湖の風景画の右上に丸くお前の顔を――」
「欠席者でもなんでもないですし、ただ邪魔なだけですよ、それ!?」
「でも、美味しいぞ?」
「求めてないです、あたし! そーゆー美味しさは!」
あったらあったで喜ぶくせに。
この欲しがりさんめ☆
「じゃあ、これ。一回ね」
あぁっ!?
マーゥルが俺たちのやり取りに飽きてくじ引きを始めてる!?
最後まで興味持って付き合えよ!
お前発信の遊びだったんだぞ、この一連!
「マーゥル。あのメンコに参加したいなら、右端に丸で囲んで――」
「それを描くのは、あちらの絵師さんかしら?」
「絶体描かないでござるから、そんな迫力満点の笑顔でこっちを見ないでくだされ、マーゥル氏!?」
迫力満点とか、よく本人を眼の前にして暴言吐けるよなぁ、お前。
怖いわ。
「ベッコさん」
「おぉっ、マーゥル氏が拙者の名を呼んでくださるとは。ちょっと嬉しいでござるな」
「あと、二回ね?」
「何がでござるか!?」
迫力満点って言われて、ちょっとイラってしたんだってよ。
仏の顔も三度までらしいな、どうやら。
「さ、ささっ、マーゥル氏! くじを引いてくだされ! メンコの制作者として、アタリが出るように願をかけておくでござるゆえ!」
目に見えない圧力に怯え、ベッコがご機嫌取りに奔走する。
小物だなぁ、こいつは。
くじの入った箱を持って、マーゥルの前で片膝をついてくじの箱を差し出すベッコ。
「あたれ~あたれ~大当たり~でござる」と効果の薄そうな呪文を唱え続けている。
「じゃあ、……これにするわ」
箱に腕を突っ込んで、くじをくるくるかき回し、一枚のくじをつまんで引き上げるマーゥル。
「101番ね」
わぁ、絶対アタリじゃなさそうな番号。
マーゥル、残念。
「101番のメンコは、こちらになります」
と、カウンター女子が差し出してきたのは――『二十四区領主』。
つまり、ドニスのメンコだった。
「引き強いなぁ」
これ、さっき陽だまり亭でマーゥルに没収された、凛々しさ三割増しのドニスメンコじゃねぇか。
「まぁ、大切な物は、観賞用・保存用・布教用と三つ所持しておくといいらしいぞ」
「誰に何を布教するのかしら。……もぅ」
からかってやると、マーゥルは分かりやすく頬を膨らませて――
「じゃあ、これは保存用にしておくわ」
と、ハンカチに包んでメンコを懐にしまい込んだ。
保存用にするのかよ。
大切にされるなぁ、ドニス。
……教えてやったら、この先一生麹と大豆がタダで手に入るかもな♪
「ヤシぴっぴ?」
じろりと俺を睨むマーゥルの目は、拗ねた少女のようで、いつもの威厳は微塵も感じられなかった。
「……こほん。そろそろ次へ行きましょうか、シンディ、モコカ、イネス。ここは少し暑いわ」
俺たちから顔を背けて、マーゥルが当て物屋のプレハブから出て行こうとする。
その間際――
「……にやにやした目でこちらを見ないで、ヤシぴっぴ」
――さっき俺が思っていたことを、そっくりそのまま返された。
自分がやられて嫌なことは、他人にもしちゃいけないって、いい勉強になっただろう。
「いい年して何を照れてんだか」
マーゥルがいなくなってから小声で呟く。
……だってほら、聞かれるとあとでうるさいし。
「で、ジネット」
「はい」
振り返れば、それはもう盛大ににこにこ顔のジネット。
「なんで俺だけ叱られたんだと思う? にやにやしてんのはお前も一緒だろうに」
「わたしは、そんな……。ただ、マーゥルさんが嬉しそうでよかったなぁ~って思っていただけですよ」
そーゆーのが顔に出ると、「にやにやしてる」って判定されるんだろうが。
くそっ、やっぱこの街の連中は美少女に甘いよなぁ。
「大切な方のメンコが手元にあると、ちょっと楽しい気分になりますからね」
と、そっと懐を押さえる。
……ジネットさぁ。
それ、無意識なのかもしれないけど、その懐ってさぁ、さっき俺のメンコをしまったところだよな?
……自分の発言と行動が、見る者にどんな風に受け取られるかってこと、もうちょっと考えような?
な?
マジで!
……ったく。
マーゥルの言った通り、この店ちょっと暑いな。
――と、そんな話をしていた矢先。
「ぃよっしゃあ! ローアングルエステラ様、ゲットです!」
「トレーシーさん、本気過ぎますって!」
トレーシーの全力のガッツポーズにエステラがドン引きしている。
つーかトレーシー、お前、何枚引いたんだよ、くじ。
ネネが物凄い量のメンコ抱えてんじゃねぇか。
買い占める気か?
「私、今まで自分のことを大した領主だとは思えなかったのです。努力はしていましたが、凡庸で、悪癖を抱えた、出来のよくない領主だと…………ですが! いち早く小豆の有用性に目を付けてどこよりも早く増産に踏み切った当時の自分の判断だけは自分で自分を褒めてあげたいです! 小豆需要バンザイ! 陽だまり亭のおかげでまだまだこれから急成長する小豆市場に幸あれ!」
ローアングルエステラメンコを頭上に掲げ、トレーシーが嬉し泣きしながら小豆に感謝を捧げている。
なるほど。
小豆の需要が増えて、利益を相当得たらしいな。
最近、金貨チラつかせてたもんなぁ。
そこまでか、小豆。
すげぇな、小豆。
でも、しょーもないことに使われてるな、小豆の利益。
ほぼエステラ関連に消費されている。
「大切な方のメンコが手元にあると、ちょっと楽しい気分になりますからね」なんて言ってたジネットを見やれば……あ、やっぱ微笑ましく思えるかどうかは人によるんだな。
めっちゃ苦笑してたよ、ジネット。
「あぁ、ここにいたんかぃね?」
マーゥルと入れ替わるように、ノーマがルアンナを伴って当て物屋へと入ってきた。
「どうだ、楽しんでるか?」
「まぁね。朝のうちにこの辺を回っていろいろ食べ歩きもしたんさよ」
「ノーマさんにいろいろ奢ってもらっちゃいました」
ルアンナが嬉しそうな顔をしている。
祭り開始直後は、魔獣も逃げ出しそうな羅刹フェイスを見せつけていたというのに。
「あぁ、この店のせいで私は早朝に死にかけたんですね……」
ちょっと残っちゃってるぞ、羅刹フェイス。
楽しいお祭りなんだから、隠せ、隠せ。
「ゎあ、みんないる」
「わ~☆ ぐうぜ~ん☆」
「ヤシロたちもメンコ買いに来たのか?」
ノーマのあとからミリィと、マーシャとマーシャの水槽を押すデリアが入ってくる。
「俺等はもう買った。結果はまぁ、そこそこだったようだけどな」
カンパニュラもテレサも、お目当てのメンコは引き当てられなかったようだ。
「あたし、お兄ちゃんのメンコを狙ってたですのに、パウラさんが当たったです」
お前は本当にパウラが好きだなぁ、ロレッタ。
「……マグダはレアを引き当てた」
と、ウェンディのメンコを見せつけるマグダ。
ウェンディみたいな地味っ娘が、なんでレアなんだ?
――と、思ったら。
「……こうして、少しでも暗くすると、目がえぐれそうなほど発光する」
「「「「眩しっ!?」」」」
マグダがメンコを軽く手で覆うと、指と指の間から閃光が迸った。
いや、蓄光塗料ってそーゆー感じじゃないから!?
暗くしたところで、そこまで発光しないから、普通!
ウェンディ効果とか上乗せされてない!?
「……トイレに貼っておくと、夜でもヤシロが怖がらなくなる」
「なら普通の光るレンガを置いといてくれ」
トイレ入る度にウェンディに見守られてる感じ、なんか落ち着かねぇわ。
「なぁ、ロレッタ。ヤシロのメンコってどんなのなんだ?」
「えっと……、店長さん」
「はい。これです」
ロレッタにヘルプを求められて、ジネットが懐から『導く英雄』メンコを取り出す。
……俺だと認めたくないものだな、アレを。
「ぅぉおおっ、カッコいい!」
「ゎぁ、てんとうむしさん、すごく凛々しい、ね」
「店長さん、当てたんだ~☆ すごいね~」
「い、いえ、これは……その…………えへへ」
こっち見て、盛大に照れて、誤魔化そうとして失敗しないでくれる!?
全員の目が一斉にこっち向いたじゃん!
「あ、こいつ、なんかやりやがったな?」って副音声、めっちゃ聞こえてきたから、今!
「あぁ~……ジネットが三枚同じメンコを引いちまってな。さすがにあんまりだったから、俺の引いたメンコの中で一番いらないヤツと交換してやったんだ」
別に、深い意味などない。
「じゃあじゃあ~、他の、これは必要だな~って思ったメンコって、な~に?」
いや、別に他のが必要だったわけじゃなくて、俺のがいらなかっただけなんだが……
「まぁ、こんな感じだ。……精霊神のイタズラでな、引き当てた順に胸のサイズを並べると『BACA』になるってふざけたラインナップだよ」
そんな説明をすると、ミリィは「くすっ」と吹き出し、デリアは「あはは」と笑った。
で、マーシャは。
「よかったね~、ルシア姉もエステラも、ヤシロ君が必要だって言ってくれて~☆」
「そっ、そういうニュアンスの話ではなかったであろう、マーたん!?」
「言葉の意味を歪曲して、小さいことを大袈裟にしないように!」
仲良しの領主二人をからかって遊んでいた。
まぁ、そーゆーこと言うと思ったけど。
「あの、マーシャさん! あたしもお兄ちゃんの『必要』の中に入ってるんですけど、何か言及してです!」
「ロレッタちゃんは~…………別にいっかなって☆」
「スルーは寂しいですよ!?」
「むゎ~!」っとマーシャに飛びつくロレッタ。
暴れんな、水が飛ぶ!
「あぁ、そういえば、マーシャ。人魚の釣り堀に勝手な商品並べんなよ」
「あ、見ちゃった?」
「てへへっ」っと、可愛らしく舌を出して誤魔化そうと試みるマーシャ。
そんなもんで誤魔化されるほど、俺は甘くないっつーの。
「これからベッコを埋めに行くから、徒歩では絶対歩いて帰ってこられない小島に案内してくれ」
「思いの外罰が重いでござる!?」
重い?
当たり前だろう。
まったく、お前は性懲りもなく毎度毎度。
「何卒ご容赦を! 英雄像を認めていただけるのは、拙者にとって何よりの誉れなのでござる! マーシャ氏におだてられ、褒めそやされて、つい……」
なんであんなしょーもないもんに誉れなんぞ感じてんだ、こいつは。
「あの蝋像が、拙者の人生を変えてくれたのでござる。アレがきっかけで、ヤシロ氏とこうして会話を交わせる関係になれたのでござるから!」
「俺にとっては呪物以外の何物でもねぇよ」
ことあるごとにジネットが欲しがるようになっちまって……
「才能を認められず、拙者自身までもがこの腕を信じられなくなり、くすぶり、未来を見失っていた時、あの日の大通りでヤシロ氏の演説を聞いたのでござる。あの日の言葉は、今もこの胸の奥の深いところに突き刺さり、しっかりと拙者の心と体に刻み込まれているのでござる」
「分かります、ベッコさん」
分かるな、ジネット。
はい、離れて~。
もう二歩下がって。
「というわけで、英雄像の依頼だけは、何度叱られようとついつい受けてしまうのでござるよ」
「あはは」と笑うベッコ。
あははじゃねぇよ。
「分かったよ、ベッコ」
「おぉっ! ヤシロ氏がついに理解を示してくださったでござる!」
「今のが遺言ってことでいいんだな?」
「全然理解されていなかったでござる!? 勘違いも甚だしく、拙者、今、ちょっと死ぬほど恥ずかしいでござる!」
「じゃあ、恥ずか死ね☆」
「笑顔で怖い言葉を可愛い語感で告げられたでござるな、今!?」
まったく。
せめて許可は取れっつーの。
絶対許可しないけれども。
「マーシャも、ペナルティー1だからな」
「むむむ~☆ これは、ヤシロ君のご機嫌が直ることをしないとね~☆」
「じゃあ、ホタテ釣りを……」
「あ、エステラ~☆ この懺悔券って店長さんに渡せばいいの~?」
ちぃ!
やっぱりお前も持っていたのか、マーシャ!
で、「あ、それは教会でシスターに渡して」じゃねーんだよ、エステラ!
今回は俺が怒る方なの!
贔屓するなよなぁ、まったくもう……
「呆れたヤツだな……」
「それは貴様だ、カタクチイワシ」
ルシアが常識人ぶった顔をしていたが、言っている意味がよく分からなかったので無視しておいた。
ツーンっだ。
あとがき
宮地です☆
いえ、宮地です( ̄▽ ̄)
いえ、前回、最初の「宮地です」をやっていなかったもので
今回のでチャラにしておこうと思いまして。
人魚釣りなども楽しみつつ、
当て物屋に来ております
当て物、
やりましたよね~
子供のころ、プラモデルくじっていうのがありまして
私が子供のころは、今ほどじゃないかもしれませんが
ガンプラが流行っておりまして
1/60スケールのシャアザクとかドムとかが魅力的に見えたんですよね
で、100円渡してくじを引くと8等とかで
手のひらサイズのしょっぼい箱に入ったプラモデルを渡されて――
兄「すっげぇ! マクロスのバルキリーやん!」
兄は、マクロスっ子。
でも、私はマクロス分からなかったのでもう一回、
今度こそドムを手に入れようと100円でくじを引いて……7等
さっきよりはちょっと大きい箱ですけど、なんか知らないロボットが……
兄「うぉおお!? バイファムやん!? やるなぁ、お前!?」
兄のテンション!?Σ(゜Д゜;)
なんか、くじの代金立て替えてくれました
違うんだよ、兄。
子供のころ、なんかよく分かんないしょっぼい景品が当たって100円無駄にしたよね~って話をしたかったんだよ。
全部換金してくれるじゃん。
天使か、兄!?
兄弟仲は非常によかったので
可愛がってもらいました。
まぁ、私、可愛かったですからね( ̄▽ ̄)
兄「この緑のヤツ(ワサビ)、メロン味やで。刺身につけて食ってみ?」
宮地(幼)「ほんま!? たべるー! ……かっらぁぁああ!?」
兄「きゃっきゃっきゃっきゃっ!」
……ホント、よくも可愛がってくれたな、兄!?
(# ゜Д゜)きしゃー!
でも、その兄のいたずらで、私は幼いうちからワサビが大丈夫になり、
辛い物全般が苦手な今でも、ワサビだけは大好きという味覚になりました
ちなみに、幼い日の私は、
なぜかペンギンが大好きで、ペンギンの大きなぬいぐるみとかを買ってもらって大喜びしていたんですが
そこに目を付けたのが、いたずら好きな兄。
ちらし寿司かなんかに入っていた
細切り?
薄切り?
のシイタケを私に見せて、
兄「これ、ペンギンのお肉やで」
宮地「いーやぁーー! ぺんぎんさん、かわいそーーー!」(ギャン泣き)
これで、シイタケが食べられなくなりました(マジです)
ほんの五年くらい前まで、本当に食べられませんでした
五年前、急に食べられるようになったんですけども
その理由ですか?
会社で社長と会食するという拷問のようなイベントがありまして
私と社長を含めて四人でランチをいただいたんですが
そのお店で出されたランチが『キノコ尽くし御前』でして……
全品、食べられないキノコだらけ( ノД`)シクシク…
でも、お高いコースだったし、社長の奢りだったので食べないわけにもいかず
宮地「オイシイデスネー!」
と、頑張って食べ――
翌日寝込み
回復したら食べられるようになってました
回復後宮地「……この程度の量、あの日のランチに比べたら……」
「美味しい!」とまではいかないんですが
まぁ、食べられるようにはなりました。
以前は、一口食べると気分が悪くなって立てなくなるくらいダメでしたので
最近ではキノコ全般、エリンギとマイタケ以外は大丈夫です☆
……エリンギとマイタケは、味が濃い!
次の克服目標はその二種ですね!
小学生の時嫌いだった食べ物トップ3
1位 シイタケ(克服)
2位 納豆(今は大好き)
3位 ナス(煮びたし最高!)
全部克服しました!
偉い!
ちなみに、小学生の時の好きな食べ物トップ3は
1位 トマト
2位 桃
3位 梨
こちらは、変わらず大好きです☆
でも今だと
1位 トマト
2位 巨峰
3位 イモケンピ
かもしれません
イモケンピの驚異的躍進!?Σ(゜Д゜;)
最近、シャインマスカットより巨峰が好きなんですよね~
今年は近所のスーパーでピオーネを見かけていないので
巨峰がブドウ界で独走状態です
ちなみに、トマト好きなのも兄の影響なんです
ウチの兄、トマトが嫌いで
でも、ウチの親戚の家、畑でトマトを作っていて
夕飯の時、テーブルに毎回冷やしトマトが並ぶんですね
くし切りにしたフレッシュなトマトが
で、親戚の目を盗んで兄が
兄「拓海、トマト好きやろ? 俺の分もやるわ」
宮地(幼)「兄、めっちゃやさしい! ……あれ? ぼくトマト好きやっけ? まぁ、好きなんやろうな、兄がそー言ぅてるし。っていうかお祖父ちゃんのトマトうまー!」
これが毎食続きまして
祖父母も「なんや、拓海はトマト好きなんか? ほないっぱい食べ!」っていっぱい食べさせてくれて
たぶん、あのころの夏休みが楽しくて好きなんだと思います
思い出補正込みで
トマトとキュウリとトウモロコシとナス
お祖父ちゃんの畑で採れる野菜はどれも美味しくて
ものっすごい大量に食べさせてくれるんです
トウモロコシとか、でっかい寸胴でいっぱい湯掻いて
塩振ってかぶりつくんですが、これが美味いんです!
キュウリは裏山の小川で冷やして丸かじりです!
何もつけなくても美味しい!
ナスはそっと横によけて――
トマトが美味ぁーーーい!\(≧▽≦)/
……いや、ごめんって、ナス
だって君、ぬか漬けにした時、噛むと歯とこすれて「きゅいっ」ってヤな音させるやん?
あと、あの年齢の子供にとって、紫ってバイ〇ンマンか毒の沼地の色なんですよ~
だから、紫の食べ物とか、ちょっと……
でもブドウは好きー!(≧▽≦)/
うん、ごめんって、ナス。
今では大好きだから、
煮びたし、最高です☆
田楽、極上です☆
味噌汁に入れるとちょっと色濁っちゃうけど、美味しいですよね☆
案外、カレーに合うからびっくりです
揚げナスカレー、あいつはピンチの時に颯爽と駆けつけてくれる謎の味方みたいなポジションです。
たまに出会った時の「ラッキー!」感はすごいです。
お得感の塊です。
今回は期せずして兄との思い出話に花が咲いてしまいました
いい大人になって会う機会は減りましたが、
兄も元気でやっているといいな(*´ω`*)
祖父母がいなくなって、畑は手放したらしいですが
またあのころのような田舎の夏休み体験をしたいですね~
と、九月に入ってもまだまだ暑い時期に思い出しあとがきしてみました☆
残暑が厳しいですが
皆様、お体に十分お気を付けてお過ごしください
水分補給は「のどが渇いた」と思う前に口を湿らせる程度に行い
随分巨乳は「ガン見したい」と思う前にチラ見しちゃいましょう☆
がぶ飲みもガン見も、危険ですからね☆
m9っ(☆>ω・)ばきゅん☆
次回もよろしくお願いいたします
宮地拓海




