435話 着付けて集合
「ヤシロさん。起きてください。今日も素晴らしい朝ですよ」
そんな声に誘われて、俺の意識は覚醒する。
「……あぁ、よかった。ジネット一人か」
「はい。お約束しましたからね」
これで、起きるやいなやルシアにうざ絡みされたら、祭りの本番なんぞ無視してふて寝を決め込んでいたところだ。
「ルシアはまだ寝てるのか?」
「いえ。先ほど起きられて、今はウクリネスさんに浴衣を着付けてもらっているところです」
「来てるのか、ウクリネス?」
まだ日の出前だぞ。
あいつ、年末年始の神社仏閣より忙しい毎日送ってんじゃね?
「みなさん、もうお集まりですよ?」
「みなさん?」
はて?
こんな朝っぱらから陽だまり亭に集まるような話は聞いていないが……
一体誰が集まっているのかとフロアに出てみれば――
「すげぇいっぱいいるんだが……?」
想像以上の人数が集まっていた。
あ、ノーマがいる。
そういや、ウクリネスが責任持って着付けるとか言ってたっけ。
ここで着付けんのかよ。
「ヤシロ。聞いておくれな」
群れの中から、ノーマが抜け出し、嬉しそうな顔で俺の目の前へやって来る。
……何か作ってたんじゃないだろうな?
今すぐ自慢して、褒めてほしいって顔してるぞ、お前。
「睡眠時間を二時間も確保することに成功したさね!」
「お前、昨日なにやってた!?」
手押しポンプの試作品はもう出来たんだから、休めよ!
今日、祭りの本番で、光の行進の東側先頭を引き受けてるだろう!?
祭りではしゃいで、日没まで体力残ってないとか、マジでやめてくれよ。
「ウチの男衆がしつっこくてねぇ。細かいとこまでなんでもかんでも質問に来るんさよ。アタシは今日に備えて早く休むつもりだったのにさぁ……睡眠時間が削られたのは、あいつらのせいだから、叱るならあいつらにしておくれなね。……爆睡のツボでも押されりゃいいんさよ……けっけっけっ」
魔女みたいな声、漏れてまっせ、ノーマ姐さん。
「あぁ、そうだ。この後ミックスジュースのお披露目をするから、ジューサーミキサーについてちょっと説明を手伝ってもらっていいか?」
「あぁ、それならちょうどよかったさね! 実はさ、ハンドルの回転をもっと軽くする工夫を思いついて、昨日の夜ちょこちょこっと改良してきたんさよ!」
「お前、昨日本当に早く休むつもりあった?」
乙女どものせいにして、全力で徹夜する気だったんじゃないだろうな?
見てみろ、お前の後方。
ルアンナが朝っぱらから魂の抜け落ちた顔してんじゃねぇか。
「ルアンナ。ご苦労だったな」
「………………ねぎらってくれるのは、やしろさんだけです」
わぁ、ヤバいヤバい!
燃え尽きかけてる!
目の敵にしてた俺に、素直に感謝しちゃうくらい力尽きかけちゃってるよ!?
「今日は精一杯おしゃれして、存分に羽を伸ばしてくれ。今日、ノーマが何をやろうと仕出かそうと、ルアンナには一切の責任がないって俺が保証するから」
「やったぁぁあー! 自由だぁぁああー!」
なにした、ノーマ!?
あれほどお前に心酔してたルアンナが、こんなになっちゃうような迷惑かけてやんなよ、マジで!
「ノーマと対になる浴衣だから、嫌じゃなかったら、ちょっと一緒に歩いてやってくれ。な?」
「嫌だなんてとんでもない! ……今日はノーマさんを独占……ふふふ、存分に甘えさせてもらいますっ」
あぁ、好きは好きなんだな。
そうだよな。
ノーマは、鍛冶さえ絡まなきゃ最高の女性だもんな。
同性にも異性にも好かれる、本当にいい女だもんなぁ……鍛冶さえ絡まなきゃ。
「それじゃあ、ノーマちゃん、ルアンナちゃん、脱衣所に来てくださ~い」
厨房から顔を出し、ウクリネスがノーマたちを手招きする。
診療所か、ここは。
……診療所なら、睡眠導入剤でも処方してもらってこいよ、ノーマ。
…………あ、呼んでるのがウクリネスじゃムリか。たぶんあいつも『睡眠』って言葉知らないと思うし。
「あ、ヤシロ。おはよう」
ノーマと入れ替わりにフロアに現れたのはエステラとナタリアで、二人は似た系統の色味をした浴衣を着ていた。
ナタリアが後ろに控えることで、エステラの浴衣が一層引き立って見える配色だな。
さすが、いいセンスをしているな、ウクリネス。
「えへへ~、一番に着替えさせてもらっちゃった」
嬉しそうに跳ねながら俺の前へやって来るエステラ。
「やっぱ似合うな、浴衣」
「えっ、そ、……そう? えへへ、ありがと」
和装は、乳がない方が似合うというし。
「まぁ、それを差し引いても、本当に似合ってるぞ」
「何を差し引いたのか……あえては聞かないけれど、やかましいよ」
おっと、思わずぽろり。
「ナタリアも似合うな」
「ありがとうございます」
おや、随分と控えめな。
「今日は他区の領主がたくさん来るからね、朝からちょっと緊張してるみたいなんだよ」
それは、緊張というより、真面目に職務を全うしているってことだろうな。
……普段がひどいからなぁ。ナタリアの息の抜き方は思い切りがいいから。
「あ、ルシアさん、出てきたみたいだよ」
エステラたちから一拍遅れて、ルシアとギルベルタも姿を現す。
二人とも、俺が選んだ柄の浴衣を見事に着こなしている。
とても浴衣初心者とは思えない、堂に入った佇まいだ。
「似合うな、二人とも。それとも、一人一人詳細な称賛が欲しいか?」
「ふん。貴様に歯の浮くような世辞など期待してはおらぬ。似合っているのであればそれでよい」
と、澄まし顔で言っているルシアだが、耳の先が真っ赤なので盛大に照れていることがよく分かる。
俺が選んだ生地で浴衣を作り、それを俺に褒められるのが恥ずかしいのか?
そういえば、ウクリネスが言ってたな、祭りの当日に俺がびっくりするような浴衣にするって。
「ここまで似合うとは思ってなかったから、素直にびっくりしてるよ。本当に綺麗だ」
「せ、世辞はいらぬと言ったであろう!?」
なんか、「もきゅっ」って喉の奥を鳴らして厨房へと駆け込んでいったルシア。
どこ行くんだよ。
お前は厨房に用なんかないだろうが。
今入っていくと、「あ、ノーマの着替えを覗きに行ったんだな」って思われるぞ。
「見てほしい、友達のヤシロ。かわいい、黄色い浴衣が」
浴衣の袖をつまんで、けんけんっぱっと寄ってくるギルベルタ。
「あぁ、すごく似合ってて可愛いぞ、浴衣を着たギルベルタがな」
「……えへへ」
浴衣が可愛いんじゃなくて、それを着こなしてるお前が可愛いんだよ。
「おそろい、微笑みの領主様と」
と、顔の前に縮緬の巾着袋を掲げてみせるギルベルタ。
……あ、照れて顔を隠してるのか、これ。
なにそれ、可愛いんですけど。
「よし、うちの子にしよう」
「そうしたら、三十五区が無法地帯になるよ」
それは困るな。
ギルベルタの貢献って、大きいんだなぁ。
で、領主と給仕長ズを褒め終えたところで、フロアに詰めかけた他の面々に視線を移す。
「パウラとネフェリーも、着付け待ちか?」
「うん。ウクリネスさんがここにいるって聞いたから」
え、待ってパウラ。
その情報、どこ発信で、いつから出回ってたの?
つか、ウクリネスの出張着付けって、いつ決まった催し物?
「私ね、実は昨日自分でチャレンジしてみたんだけど、やっぱり一人じゃ難しかったんだよね。お母さんは着付けとか分からないし」
と、ネフェリーは眉尻を下げる。
……おぉ、あそこ眉毛なのか。
「一応試すのが、ネフェリーっぽいよな」
「だって。どうせなら出来るようになりたいじゃない? でも、お祭りの本番はきちんとした着付けで挑みたいし……まだしばらくはウクリネスさんのお世話になりそう」
「言ってくれりゃ、俺が手伝いに行ってやるのに」
「ヤシロのエッチ」
べーっと舌を見せつけてくるネフェリー。
……いつもながら、お前のアカンベーは心臓に悪い。舌の裏、切るなよ? 自分の口がクチバシだってこと、忘れるな? な?
そして、フロアの端っこには、シラハを中心としたランドリーハイツ一行が固まって待機している。
「お前らも浴衣を着るのか」
「えぇ。ムムさんが勧めてくださってね。それで、みんなで着てみましょうって。生地もみんなで選びに行ったのよ」
シラハの言葉に、各々が自分で選んだという浴衣を持ち上げて見せてくれる。
まだ畳まれた状態だが、なかなかに華やかで、こいつらが全員浴衣に着替えたら、随分と華やかになりそうだ。
カンパニュラとデリアは家で着付けてくるだろうし、テレサもウェラーが張り切っていたらしい。
ロレッタは弟妹の浴衣を着付けてやったあとで、陽だまり亭でジネットやマグダと一緒に着替えると言っていた。
じゃあ、朝に集まるのはこんなところかな~……と、思っていたら、妖精が陽だまり亭に迷い込んできた。
「ぉはょぅ! てんとうむしさん、見て見てっ!」
浴衣を着せてもらって、準備万端なミリィが、ほっぺたをリンゴみたいに真っ赤に染めて巾着袋を前面に押し出しながら俺の前へと駆けてくる。
「ギルド長さんが、サプライズって! てんとうむしさんが協力してくれたのよって言ってたよ!」
そうそう。
浴衣のサプライズがすっかり本人にバレてしまっていた生花ギルドのギルド長に、今からでも出来るサプライズを仕込んでやったんだっけな。
見事に成功したらしい。
ミリィがすごく嬉しそうだ。
「よし、包んでもらおうか!」
「ミリィ、今日は誘拐犯が多発すると思うから、ことさら気を付けるんだよ」
俺を押しのけて、エステラがミリィに警戒を促している。
誘拐犯が多発するような街作りをしてんじゃねぇよ。
領主の怠慢だろう、そんな状況が生み出されるのだとしたら。
まったく反省していない風のエステラに呆れつつ、まもなく始まる祭りの雰囲気が色濃くなっていくのを肌で感じ、俺も少しだけテンションが上ってきてしまった。
「それじゃあ、待ってる間に新作のお披露目と行くか」
「あっ、もうすぐロレッタさんが来られると思うので少し待っ――」
「おっはよーございまーすでーす!」
「来たな」
「ふふっ。ですね」
話の途中でロレッタが元気いっぱいに飛び込んできて、俺とジネットは顔を見合わせて苦笑を漏らした。
「わぁっ、なんかすごい大入りですね!? みんな浴衣の着付け待ちですか?」
「そうなのよ。お邪魔して申し訳ないわね」
「とんでもないですよ! シラハさんたちならいつでもウェルカムですし、みなさんが綺麗になるお手伝いが出来るなら、こんなに嬉しいことはないですよ! ね、店長さん!」
「そうですね」
来た瞬間から騒がしいロレッタを、ジネットは静かに見守り、静かに微笑む。
対比がすごいな。
年齢、一個しか違わないはずなのに、この落ち着きの差よ。
「ロレッタ、マグダを起こしてきてくれるか? マグダの準備が出来たら、新兵器をお披露目するから」
「あぁっ、アレですね! 分かったです! マグダっちょがぱちーっと目を覚ましてやる気MAXでベッドから出てくる起こし方をしてくるです!」
ぱっと厨房へ飛び込んで二階へ駆けていくロレッタ。
俺やジネットが起こすと、マグダはしばらくベッドの中で眠りの余韻に浸りつつ甘えてくるのだが、ロレッタが起こしに行くとぱっとベッドから飛び起きて次の瞬間から楽しむことに意識が切り替わってるんだよな。
やっぱ、親友ってのは一味違うんだろうなぁ。
「ロレッタさんにお願いするのが、一番早く目覚めてくださいますからね」
ジネットも同じ考えのようだ。
「ヤシロさんやわたしは、どうしても甘やかしてしまいますから。おネムのマグダさんが可愛過ぎて」
待て、ジネット。
お前はそうかもしれんが、俺を巻き込むな。
俺はそういうんじゃないから。
俺の場合は、起きた後のパフォーマンスを考えて、アイドリングの時間を有効かつ効果的に取っているだけだから。
「そうですね」
「……何も言ってねぇだろ」
「はい。そうですね」
その、「顔に書いてありますよ」って顔やめてくれる?
お前こそ、顔に書いてあるから。
「カンパニュラとテレサにはゆっくり来るように言っといたから、朝食後になるかな」
「いいえ。噂をすれば、ですよ」
ジネットが窓の外に視線を向けると、ちょうどカンパニュラがテレサを連れてやって来るところだった。
「おはようございます、ヤー君、ジネット姉様」
「ぉはよぅごじゃいます!」
おぉっ、テレサが元気いっぱいだ。
「おはようございます、カンパニュラさん。元気なご挨拶ですね、テレサさん」
「おまちゅり!」
「はい。楽しみですね」
「ぁい!」
初めての祭りに、テンションが上りきったまま下りてこないらしい。
誰にどんな話を聞いたのか、期待値がめちゃくちゃ高そうだ。
「ゆっくりでいいって言ったろ?」
「これでも随分とゆっくりだったのですよ。本当は、もっと早くお見せしに来たかったくらいなのですから」
カンパニュラが言うには、浴衣を見てもらってこいとルピナスに送り出されたのだそうだ。
その代わり、夜は一緒に祭りを回ろうと約束してきたらしい。
「お二人とも、とても似合っていますよ」
「ありがとうございます」
「ぇへへ~」
お子様二人の浴衣も、きちんと着付けられている。
大したもんだな、母親連中は。浴衣の着付けなんかしたことなかったろうに、ちゃんと着せられてるじゃないか。
ルピナスは、こういうのマスターするの早そうだし、ウェラーは娘たちのためにって一所懸命覚えそうだ。
そう考えると、あの二人なら納得の出来栄えか。
「二人とも、ちょっと回ってみ?」
「はい」
「まゎう!」
袖を持ち、腕を広げてゆっくりと回転するカンパニュラとテレサ。
その動きを見て、ランドリーハイツの面々も「わぁ~」なんて声をあげる。
「うん。百点満点だ」
「ありがとうございます、ヤー君」
「まんてん? やったぁ!」
教会でのお勉強では、時折小テストが実施されるらしく、『満点』って言葉は馴染みがあるようだ。
まぁ、百点も点数を付けるような大規模なテストはほぼやってないようだが。
精々十点満点か五点満点くらいが関の山だろう。
「はなまる、かいて!」
「いや、浴衣に描いたらウェラーが泣くぞ」
折角綺麗な生地なのに。
ちなみに、はなまるは俺がベルティーナに教えた。
導入以降、物凄い人気でよくせがまれるそうだ。
テストで満点を取った時だけしか与えないようにと言い含めた結果、勉強を頑張るヤツが増えたらしい。
「デリアはまだ家か?」
「マーシャ姉様を港へ送っていくとおっしゃっていました」
「え、マーシャ、デリアの家に泊まったのか?」
「はい。今日は川漁・海漁両ギルドで釣り堀をされるみたいですので。そのご相談と打ち合わせ、あと、浴衣を可愛く着こなす作戦会議をされていましたよ」
「私も、参加させていただいたのですよ」と、昨夜の微笑ましい状況を説明してくるカンパニュラ。
マーシャ、浴衣を着る気か?
ホタテで釣り堀の中にいてくれるのが一番嬉しいのに。
「ホタ……海漁ギルドの釣り堀は前回に引き続き二回目だな」
「ヤシロさん」
耳聡いジネットから軽い注意を受けるが、思いとどまったのでセーフ。懺悔までは言い渡されなかった。
「お兄ちゃん、起こしてきたですよ! マグダっちょ戦闘モードです!」
「……気力体力、共に充分。今日のマグダに敵はいない」
やはりロレッタが起こしに行くと最速で最高潮になるらしく、マグダは早朝にもかかわらず活き活きしている。
祭りの空気も影響してるかもしれないが。
「それじゃ、新作のお披露目と行くか」
「では、みなさん。お手伝いをお願いします」
「……ミキサーは、マグダがやる」
「あたしもグルグル回しちゃうですよ!」
「では、私とテレサさんは材料の投入係をいたしましょう」
「いっぱい、いれる、ね!」
「ジネット、分量、よろしく」
「はい。お任せください」
ジネットさえブレなきゃ、成功は約束されている。
準備はあいつらに任せておけばいいだろう。
「あぁ、待っておくれな。改良版のミキサーがあるんさよ」
厨房から、ノーマの声が聞こえてくる。
「わぁ! ノーマさん、美っ人ですねぇ、今日は特に!」とかいうロレッタの声が聞こえてくる。
お披露目よりミキサーが勝ったか、ノーマ。
ほんのり残念臭が漂ってくるな。
「ねぇ、ヤシロ」
賑やかな一団が厨房へ入ると、エステラが少々不満そうな顔で俺を呼ぶ。
「新作とか新兵器って、なに?」
「アレ(手押しポンプ)の目眩ましにいろいろレシピを公開するって話したろ? その中の一つだよ」
「レシピを公開するのは、少し前に作ったやつって言ってたじゃないか。新作だなんて、ボク聞いてないよ?」
「今からお披露目してやるから、ちょっと待ってろよ。きっと気に入るから。な、ルシア?」
「うむ。あれの美味さは格別であるからな。きっとそなたも驚くぞ、エステラ」
「えっ、なんでルシアさんが先に知ってるの!? ズルくない!?」
「タイミングが合わなくてな。お前、ずっと忙しそうだったから」
「そりゃ忙しいよ! お祭り直前にあんな物持ち込むんだもん!」
手押しポンプやオイルライター、それからマッチの工場建設なんかも含めて、エステラとナタリアはここ数日ずっとバタバタしていた。
ルシアが知ってるのは、昨日たまたま陽だまり亭に泊まったからだ。
別にお前を仲間はずれにしていたわけじゃない。
ホント、たまたまタイミングが合わなかっただけだよ。
「も~ぅ! 今後は、もっとゆったりとした仕事量をキープしよっと」
あのな、エステラ。
この街って、願望を口にすると逃げていく法則があるっぽいぞ。
俺もよくあるから、そういう経験。
底意地が悪いんだよ、この街を見守ってる精霊神って。
「この後来る領主や貴族連中にもお披露目して、レシピとそれに必要な道具を持って帰らせるから、外周区と『BU』で一気に広めるぞ」
「またボクの仕事が増えそうな案件じゃないか!?」
エステラが盛大にむくれ、それをシラハたちが微笑ましそうに見つめ、笑う。
むぅむぅ文句を垂れていたエステラだが、案の定、ミックスジュースを一口飲んだ途端に機嫌が直って「絶対広めようよ、これ!」と計画に前のめりになっていた。
分かりやすいなぁ、微笑みの領主様は。
「美味しいです!」
「革命です!」
「四十二区、すごいです!」
浴衣に着替えたランドリーハイツの面々が、ミックスジュースを飲んで大はしゃぎしている。
「私、三食これでもいいです!」
うん。
それは、思いとどまれ。
それにしても――
「かなり回しやすくなったな」
「そうさろ? マグダは氷を入れると美味しくなるって言ってたからねぇ。氷を砕くとなるとそれなりのパワーが必要だと思ってね。ハンドルは軽く、でもブレードは力強く回るように工夫したんさよ」
ノーマが改良したという新ミキサーは、俺でも簡単に氷が砕けるくらいにハンドルが軽かった。
これなら、獣人族がいない店でもミックスジュースが売り出せそうだ。
「氷室が飛ぶように売れそうだな」
「そうですね。……ふふ。陽だまり亭にも、つい先日まではなかったはずですのに、もうなくてはならない設備になりましたね」
ミックスジュースを美味そうに飲む連中の顔を見て、ジネットは満足そうに微笑んでいる。
氷室の導入によって、作れる料理が一気に増えたからな。
「中でも、冷やご飯チャーハンは革命的でした!」
炊きたてのご飯で作るチャーハンも美味いけれど、一度冷やした飯で作るチャーハンも美味い。
ガキの頃は、わざわざ冷蔵庫で飯を冷やしてから女将さんにチャーハンを作ってもらっていたくらいだ。
チャーハンの飯を冷やすかどうかに関しては、水分が飛んでパラッとなるとか、家庭用の弱い火力だと逆にベチャッとなるだとか、チャーハンフリークによる論争が絶えない議題ではあるが、ジネットがこうして食いついたのだから、きっと冷や飯で作ると何かしらの作用で美味くなるのだろう。
実際、ジネットのチャーハンは一段階美味さを増した。
今後はチャーハン用に一食分に小分けされた白米が氷室の一角に保管されることとなった。
それがあれば、夜食にちょっとした雑炊なんかも作れるだろう。
わざわざ炊かなくてよくなるのはありがたい。
「チャーハンが食べたくなってきたな」
「ミックスジュースを見てですか!?」
ロレッタが「……合うですかね? …………案外ありかも、です?」とか言ってミックスジュースを見つめているが、ねーよ。
ミックスジュースを見て食いたくなったわけじゃないから。
「ジネットちゃん。寄付の後、開店前にまたこの場所を使わせてもらえるかな?」
「はい。そのつもりで準備も進めていますから」
寄付が終わった後、また陽だまり亭に領主や貴族たちが集まってくるらしい。
領主の館でやれよ、そーゆーことは。
「君がいくつものレシピを広げたいと言い出したんじゃないか」
「実際のお料理を召し上がってもらった方が、レシピに対する理解度も増しますからね」
というわけで、今回各区の領主に渡すレシピの数だけ料理が作られることになっている。
メロンクリームソーダとか、結構すごい量になっている。
アイスクリーム作るの大変だったぞぉ~。
まぁ、マグダが率先して楽しそうに作ってたけども。
大福だのコーヒー牛乳だの、かなりの量が準備されている。
それにしても、甘いものばっかだな……
ラーメンを教えた後に登場したものだと、甘味が多いんだなぁ。
蟹鍋とか寿司とかは海魚が手に入りにくい区では広げにくいから今回はパスした。
『各区一斉に』ってのが重要だからな、今回は。
「時にジネット」
「はい?」
「氷室の重要性を語る上で、甘味ばかりでは偏った認識を与えてしまいかねない」
「そう……ですね?」
「そこで、こういう使い方もあるということを示すために、普通の料理、特に、ちょっとスパイシーで味の濃い、それでいて氷室があればこそみたいな料理があると説得力が増すと思うのだが……」
「あっ、なるほど。……ふふ」
俺の顔をじっと見つめたまま話を聞いていたジネットが、何かを悟ったようで、口元を隠して小さく笑った。
「では、冷やご飯を使用したチャーハンもご用意しましょうね。氷室は、甘味だけのものではないと証明できるはずです」
「そうか。それはいいアイデアだな」
俺が頷くと、ジネットはたまらずと言った風に笑い出した。
「悪いな、なんか催促したみたいで」
「はい。催促されて、嬉しかったですよ」
だって、食べたくなったんだもんよ。
「しかしまぁ、ミックスジュースとチャーハンを食いに来る領主ってなんなんだろうな」
「その辺のラインナップは君の選出によるものだろう」
まぁ、そうなんだが。
それにしても、喜び勇んで食いに来るかって話だよ。仮にも貴族連中がさ。
「それに、今回は料理だけじゃないからね」
「連中は祭りも楽しんでいくつもりなんだろ」
「それもだけど、区を越えた共同事業の説明もするつもりだからね」
有港三区のカラーサンドアートや、ルシアやトレーシーのそっくりぬいぐるみなど、区という括りを越えて共同開発して展開していく事業がいくつか生まれた。
駄菓子もそうだな。
「多くの区が賛同してくれれば、それだけ手広く展開できるからね」
「母数が増えれば、コスト削減が出来る部分も出てくるしな」
「そうだね。駄菓子やモンタージュなんかは、多くの区に協力してもらいたいよね」
モンタージュ?
あぁ、そうか。
目や鼻というパーツだけをいくつも作って、犯罪者などの顔をモンタージュで再現しようって試みもするんだっけ?
「犯罪だけじゃなく、似顔絵ぬいぐるみや似顔絵メンコでも、きっと役に立ってくれるよ」
密かに思いを寄せるあの人のそっくりメンコをモンタージュで作って、そっと懐に忍ばせる。そんな使い方を考えているらしい。
「じゃあ、スタンプにしといたら、押すだけで似顔絵が完成するな」
「あ、それはいいね。最安価の似顔絵はそんな感じでいいかもね」
あくまで、雰囲気を伝えるためのモンタージュで、清書はプロにやらせるというのが基本らしい。
果たしているのかねぇ、そんな融通の効く画家が。
ベッコは貸さんぞ。
四十二区で使うから。
「一応、各区にはそれなりの絵師がいるんだよ。犯罪者の手配書を描く仕事もあるからね」
あぁ…………そういや俺も描かれたな、似顔絵。
ちっ、嫌なことを思い出させるな。
「ただ、あまり絵がうまくない絵師もいてね……捕まえてみたら手配書と全然顔が違ったなんてことも結構あるんだよ」
俺の手配書は、生き写しのようにそっくりだったけどな。
「劇場を持っているような大きな区だと、やっぱりそれだけ腕のいい絵師が育ってるよね。ほら、劇場上演のポスターとか、歌姫の姿絵とかで需要もあるし」
なるほど。
俺の手配書を描きやがったのは、大きな劇場を持つ十一区の絵師なんだな。
だからめっちゃそっくりに描かれたのか。
……ちっ、もう一個手前の区で悪事を働けばよかった。
三十区はウィシャートが領主だったから、きっと自分以外の悪党には容赦なかっただろうし、三十区と十一区の間――二十九区…………は、マーゥルが怖いから避けるとして……
「悪事を働くなら二十三区にしとくべきだな」
「悪事を働かないのが最適解なんだよ」
呆れきった目で俺を睥睨するエステラ。
偉そうにふんぞり返るな。
張るほどの胸もないくせに。
「あのぬいぐるみ」
エステラとの話が一区切りするのを待っていてくれたのか、ジネットが俺の前にお茶を置きながら話に参加してくる。
「喜んでもらえるといいですね」
実は、そっくりぬいぐるみを「こういうのも流行らせるから」と宣伝するために一体作ってある。
現物を見れば、その有用性を理解しやすいだろうとエステラに持ちかけ、とりあえず一体作ってサンプルとして提示することに決めた。
この事業に一枚噛みたい領主はアイデア料として最初にある程度の金を納めてもらい、それを元手に各区に工場を建設。並びに技術者の育成を行う。
顔パーツや獣特徴パーツも、各区で専属に作ってもらえばコストも抑えられる。
目だけをひたすら作る工場とか、獣特徴を様々用意する工場とかな。
で、エステラが頭を悩ませたのが、モデルを誰にするのかということだった。
だが、そんなもんは最初から決まっている。
一番影響力があり、なおかつ別の領主も一緒に釣り上げられるのはあいつしかいない。
「マーゥルさんぬいぐるみ、とっても可愛く出来ましたから」
はい、これで『BU』は一網打尽で釣り上げ決定。
どこの領主があの二人のやる気に水を差せるってんだよ。
「ホント、ヤシロは他人の急所をよく理解しているよね……」
呆れ顔でため息とともにもたらされたエステラのその言葉は、称賛として受け取っておくとしよう。
「おぉ、これは華やかだねぇ」
教会への寄付を終え、再び陽だまり亭へ戻ってきた俺たちに続いて、各区の領主やギルド長連中がどやどやと陽だまり亭へ集まってきた。
あ、ロレッタは教会に残ってガキどもの着付けの手伝いをしてくれている。
寮母のおばさん連中だけだと、ちょっと心許なかったんでな。
ジネットも着付けは出来るんだが、ジネットにはこっちの領主連中を納得させるために料理を振る舞ってもらわなきゃいけないので貸し出せなかったのだ。
で、陽だまり亭に集まってきた貴族連中は、浴衣姿で準備ばっちりの女子たちを見て頬を緩めている。
ランドリーハイツの面々はもう帰ってしまったが、ノーマやルアンナは残っているし、デリアも浴衣姿でやって来た。
エステラとルシア、それに両給仕長も浴衣姿で待機している。
陽だまり亭のフロアは、なんとも華やかな雰囲気に包まれている。
「とってもよく似合っているわ、ジネットちゃん」
「ありがとうございます、マーゥルさん」
寄付前に、ジネットたち陽だまり亭一同も浴衣に着替えていた。
もちろん、ちゃんと絶賛しておいたぞ。
全員、驚くほど似合っていたからな。
「ジネットちゃんの浴衣は、ヤシロがしばらく見惚れてしまったほどなんですよ」
「まぁ、そうなの、ヤシぴっぴ?」
「記憶にねぇな」
「うふふ。そう。記憶が飛ぶほど見惚れちゃったのね」
勝手な解釈をするな、マーゥル。
ほらみろ、お前がからかうからジネットが真っ赤に茹で上がっちまったじゃねぇか。
いじめるなよ、ジネットを。
「ヤシロ、顔が真っ赤だよ」
「お前は胸元が真っ平らだぞ」
「うるさいよ」
「そっくりそのまま返してやるよ」
ほんのちょっと、ストップウォッチじゃ計測できないくらいのわずかな時間言葉に詰まっただけだろうが。
それをこれでもかと誇張しやがって。
「マーたんも浴衣なのだな、今日は」
「うん、そうなの~☆」
水槽の中で新作浴衣を見せつけるマーシャ。
ルシアの表情筋が緩むのも納得の可愛い浴衣だ。
もっとも、『浴衣風水着』だけどな。
よく思いついたな、こんな水着。
胸元が『合わせ』っぽくなっていて、柄なんかもすっげぇ浴衣っぽい。
でも生地は水着だからべったり張り付くこともない。
ふっくらとして見えて、でも浴衣っぽい。
見事だ、ウクリネス!
「俺、今日は釣り堀に没頭する!」
「今回、私は生簀に入らないよ~☆」
なぜだ!?
釣り堀の存在意義がなくなるじゃないか!
「なんのための釣り堀だ!?」
「魚を釣るための釣り堀だよ~☆」
くぅ!
もしもの時のためにって、結構お小遣い貯めておいたのに!
「ヤシロ! 今回は、あたいたち川漁ギルドも一緒に釣り堀やるんだぞ」
「水着でか?」
「……ん? 鮭に水着着せるのか?」
ちぃ、期待できそうにないな、そっちも!
と、そんな話をしているところへ、褐色Dカップの給仕長を引き連れてイベールがやって来た。
「相変わらず賑やかだな、この店は」
「よっ、悪事を働きやすい二十三区の領主様」
「どういうイメージだ!? 我が区で悪事をのさばらせるような真似はさせぬぞ」
だって、たぶんろくな絵師いないだろ、お前んとこ?
指名手配されても「それ、俺じゃなくね?」ってシラを切り通せそうじゃん。
「それなりに腕のいい絵師が居りますよ、我が二十三区にも」
と、デボラが俺を睨む。
ジトッとした目で。
……めっちゃ見てくるじゃん。
いや、見過ぎ、見過ぎ!
「……イネスさんとは、バザーやお泊まり会と楽しそうな交流が多くあったようですね」
「そこは、お前んとこの領主に言えよ」
主(領主とは言っていない)にくっついてきた結果、何かと交流が増えたんだよ、イネスとは。
あんまり出てこないんだもんよ、二十三区領主は。
「お泊まり……いいなぁっ!」
「そこが一番羨ましかったのか」
領主の許可が下りたらいいんじゃねぇの?
ここの家主は絶対嫌とは言わないし。
「デボラは浴衣を持ってきたのか?」
「いえ。今回は視察ですので」
「えぇ~、二十三区の領主様って、遊び心な~い。お祭りで給仕長に浴衣も着せないだなんてな~」
「分かった分かった! デボラよ、服屋へ赴いて好きな浴衣を選んでくるとよい。四十二区の服屋であれば、おそらく対応してくれるであろう。……あのヒツジ人族の店主殿は、おそらく我々領主よりも稼働時間が長いであろうからな」
さすが領主。
正確な情報を得ているようだな。
だが、まだ甘い!
「そのヒツジの服屋なら、今ここにいる!」
「さぁ、デボラちゃん。素敵な浴衣に着替えましょうね」
厨房から顔を出し、「おいでおいで」と手招きするウクリネス。
「……なぜおるのだ?」
「イベントの日にあいつが店に閉じこもってるわけないだろう。ここにいれば、綺麗どころが集まってくるって学習したっぽいからな」
「つくづく、理解の埒外にあるな、四十二区は」
二十三区領主イベールが深いため息をつく。
エステラ、言われてるぞ。
「では、マーゥルさんたちも着付けをしてしまいましょう」
ウクリネスがその場にいる領主たちを手招きで呼び寄せる。
ルシアが先に浴衣に着替えているので、他の連中も着替えてしまえってことらしい。
「皆様の分は、先立っていただいたご注文通りに仕上がっておりますので」
マーゥルやトレーシーはあらかじめ浴衣をオーダーしておいたらしい。
マーゥルはもちろん、トレーシーもこういう時は本気だからなぁ。
エステラにいいところを見せようとして。
「エステラ様にアドバイスをいただいて選んだ浴衣なのです。これはもう……愛の共同作業と呼ぶのにふさわしいのでは!?」
「もうそれでいいからさっさと着替えてこいよ。あとがつかえてんだよ」
ネネにトレーシーを押し付けて厨房へと追いやる。
今日は風呂場の脱衣所が衣装部屋仕様に改造されているので、淑女の皆様も人目を気にせずお召し替えが出来る。
さすがウーマロ。仕事が早い。
……なんか死にそうな顔してたけど。
祭りの準備に奔走している中での追加注文だもんな。
しかも、領主対応だから手も抜けない。
うん、鬼畜発注だな★
ウーマロ、ドンマイ☆
「ちなみに、ウクリネスに男物の浴衣の作り方を教えたところ、当然のように量産されているんだが……着てみたいヤツはいるか?」
一応、というか、男領主どもに見せるために俺もすでに浴衣に着替えている。
こういう出で立ちになるぞと示しておけば、自分が着た時の姿も想像しやすいだろう。
「着替える際、貴重品は俺が厳重に預かっておいてやる(返すとは言っていない)」
「貴様に預けるような危険な真似が出来るか!」
「エステラ。お前んとこで管理できないのか?」
ゲラーシーとリカルドが食って掛かってくる。
どーせ大した物持ってないくせに。
「馬車に保管して、イメルダの館に預けておくといいよ。今日はハビエルがベテランの馬番を連れてきてくれてるから、泥棒になんか入らせないはずだよ」
「任せておけ! ウチの馬番は腕っぷしも強いからな。ゴッフレード程度のゴロツキなら返り討ちにしてやるさ」
がははと、ハビエルが豪快に笑う。
「ウチからも若手を数名派遣するよ。これだけ領主が集まるとなれば、万が一があっちゃいけないからね。木こりに任せっきりじゃ心許ないしさ」
と、メドラが「木こりだけに責任を被せるわけにはいかない」と配慮をしてくれる。
「じゃ~ぁ、木こりと狩人の綺麗どころが水槽タクシーしてくれるなら、ウチの若いぴちぴちした娘たちも派遣しちゃうよ~☆」
マーシャも護衛に名乗りを上げるが、ハビエルとメドラが酸っぱい顔をしている。
「人魚の水槽を押すのか……」とか「はしゃいだ人魚の制御なんか出来るもんかい……」とか不満を垂れつつも、三大ギルドによる警護という体裁を保ってくれるハビエルとメドラ。
さすが、図体に比例して器がでかい。
……人魚に付き合わされる木こりと狩人、ガンバ!
「それでは、ワシも着用させてもらおうかな、その浴衣とやらを」
ドニスが「マーゥルとおそろい☆」と顔に書きつつも威厳たっぷりな顔で言う。
……器用なことしてんじゃねぇよ。
そんなドニスに、俺は秘密兵器を持って話を持ちかける。
「ドニス。この後、全員の支度が終わったら話をするんだが……ここに、マーゥルのそっくりぬいぐるみがある」
「言い値で買おう!」
毎度あり☆
でも、これはお前にやるわけにはいかないんだ。
こっそりプレゼントする用じゃなくて、大々的に宣伝する用だから。
お前が持って帰ると、外聞がな?
お前はそーゆーの気にするだろ?
「だから、お前が買って、マーゥルにプレゼントしてやってくれ」
そういう流れで話を持っていく。
「材料費と手数料を二十四区が持ってくれたってことでさ」
「ふむ……して、見返りに何を求める?」
さすがドニス。
俺がなんでこんな話を持ちかけたのか、よく分かっているようだ。
「マーゥルが、ドニスには筋を通しとけって言ってたからな。今後のための投資だ」
「それだけか?」
もちろん、そんなわけもなく。
「三十三区領主に会いたい。仲介を頼めるか?」
「直接ヤシぴっぴが動くか……分かった。詳細は後日詰めるとして、顔つなぎは約束しよう」
ちょっと、いろいろ欲しくなってきたので、さっさと三十三区領主をこっちに引き込んでおくことにする。
なので、ドニス、よろしくな。
あとがき
中学のころ、担任を「看護婦さん!」と呼んだことがある
宮地です☆
「お母さん」って間違うヤツはたまにいたんですが、
なんで私はあの時「看護婦さん」と言ってしまったのか?
担任(女性)「なんでやねん!」
宮地「あ、すみません。エロいことを考えていたら、つい」
担任(女性)「フェチに走るのが早い!」
宮地「そんな叱られ方、初めて!?」
十三歳のころ、でしたっけねぇ
( ̄▽ ̄)
ちなみに、
先生に「看護婦さん!」って言っちゃったヤツ、私以外にも数名おります
ナース大好き学級か!?Σ(゜Д゜;)
さて、今回はそんなナース、
女性看護師さんのお話です
結構前になるんですが、
健康診断を受けまして
何十年もずっと同じ病院の方が会社まで来てくださって、
ありがたいことに会社で健康診断が受けられるんですね
で、定期的に新人さんがやって来るんですよ
研修とかなんでしょうかねぇ?
以前も新人さんがいて、職場の先輩が泣かされておりましたけれども
今回、私は三番目に受診というか、診断してもらったんですが
採血の時、
二個前の人が腕を出しているんですが、注射器を持った若い女性の看護師さんが、めっちゃ首を傾げているんですね
「あれ? おかしいなぁ? たしかこの辺に……あれぇ?」
みたいな感じで
あ、言ってませんよ?
言ってませんけど、言ってそうな感じでめっちゃ小首を傾げてたんですね
で、
「ま、いっか」
みたいな感じで針を刺そうとして
あ、言ってませんよ?
言ってませんけど、言ってそうな感じで針を刺そうとしたんで
二個前の人が「いや、まって!」って逃げたんですね
その気持ちは分かります
あの雰囲気で「刺しますね」って言われたら私でも逃げます(笑)
で、二個前の人は隣にいたベテラン看護師さんに採血してもらいまして、
次、私の前の人です
職場の先輩なんですが、この人、血管細いって前から言ってたんですよ
「何回か失敗されてる」って話してたんですよ、以前
そしたら、案の定、
若い看護師さん、血管見つけられなかったようで
バッシバッシ叩く。
「親の仇か!?」っていうくらいに先輩の腕をバッシバッシ叩くんですね
叩いた後で、小首傾げる
血管出なかったんだね!?
って分かるくらいに小首を傾げる。
そして、「ま、いっか」って雰囲気で針を刺す
先輩「いってぇ!?」
看護師さん「すみません! もう一回行きます!」
先輩「待て待て待て!」
「すぽん!」って抜いて「サクッ!」っと刺そうとしてました(笑)
いや、笑いごとじゃないんですが
で、先輩もベテランさんの方へ。
そして、私ですよ
私、小学生のころから
注射する人ほぼ全員に「刺しやすい!」って言われる
注射初心者向けな血管してるんです
ちょっと腕を下げると、腕の欠陥がぼっこぼっこ浮き上がってくるくらいに
中学生のころ、「ドラゴンボールのマネ!」って言って
血管浮かび上がらせていたくらいに
まぁ、中学の時一回、血管が硬かったのか、
注射針を跳ね返したことがありましたけれども。
看護婦さん(当時)が「きゃっ!」って言って違うとこに刺さっちゃったんですよね、一回。
アレは、点滴を手の甲の血管に挿す時でしたか……
で、「硬っ」ってぼそっと愚痴られまして
いやいや、負けるなよ、針……(^^;
かくして、
新人御用達の血管を持つ男
宮地の出番ですよ。
初回から二回失敗して、明らかに緊張してる看護師さんの前に座って
腕を出したんですね
そしたら、その看護師さんが「うわっ」って小さい声で言ったんです
宮地「どうしました?」
看護師さん「すみません。すごく刺しやすそうな血管だったので」
宮地「よく言われます(笑)」
看護師さん「もう、毎回宮地さんならいいのに」
宮地「こっちはそんな何回も血を抜かれたくないんだが?」
そんなに採血されたら干からびちゃうゾっと☆
で、ちょっと落ち着いたのか、看護師さんの表情も柔らかくなってきたので
「頑張ってくださいね」って言ったら「はい!」って元気出してくださって――
看護師さん「じゃあ、ぶっすり……間違えました。チクッとしますね」
宮地「どんな間違い!?」
針を刺す時「チクッとしますよ~」とか言う人は多いですけど
「ぶっすり行きます!」って言う人は初めて!
思いとどまったって?
顔が思いとどまれてなかったよ!?
でまぁ、さすが私の血管
一発で成功して、看護師さんがすっごいほっとしたような顔して
「出来ました」って
……いや、確実に出来るようになってから来いよ
研修か?
卒研ですか、これ?
で、いつも言われるヤツがなかったので
念のために聞いてみたんです。
宮地「親指を握り込むのってやらないんですか?」
看護師さん「あぁっ、それ刺す前にやるヤツです!?」
出来てないよー!?
卒研、落としといて、この人!
うっかり忘れてんじゃねぇーよ!
「いや、でも、やらなくても血管出てたから」じゃないんだわ!?
宮地「ちなみに、あれって、なんのためにやるんですか?」
看護師さん「あ、あれは。親指を握り込むことで腕の筋肉が収縮して、動………………静脈? を浮かび上がらせるんですよ」
宮地「不安だな、今の間!?」
大丈夫!?
今針を刺してる血管合ってる!?
動脈か静脈か、こっちは分からないけれども!
なんか、自動車の仮免取る時に「路側帯と車道外側線の違いって分かります?」って聞かれた時を思い出しました。
ちなみに、路側帯と車道外側線は、どちらも車道の外側に引かれた白い線なんですが、
車道の隣に歩道がある場合は車道外側線といい、歩道がない場合は路側帯と呼びます。
路側帯は歩行者が通る場所なので車は絶対に侵入してはいけません
車道外側線は、車道という扱いなので車が入ってもいい場所になります。
一時駐車する時とか、左折する時とかに入っていい場所かどうか、そこが明確に異なります!(どやぁ!)
って、ちょっとした質問にドキドキした感じの顔してましたね、あの時の看護師さん(^^;
気持ちは分かりますよ、
今後も頑張ってね
というわけで、
私の血管は新人さんでも注射しやすいそうなので
全国の注射が苦手だという若い女性看護師のみなさん!
集まれ集まれ~!
\(≧▽≦)/
ナース服に囲まれて揉みくちゃにされてみた~い!
……もれなく全員注射器持ってますけどね(・_・;怖っ
そんな妄想をするから
担任の女性教師に「看護婦さん!」とか言っちゃったんでしょうねぇ~
(ここで冒頭につながるというテクニック!)
( Σ(゜Д゜;)いや、それ前回も聞いたわ!)
天丼(同じボケを二回すること)です☆
今回、本編で触れられませんでしたけど、
浴衣姿が可愛くて、ミックスジュースが美味しいお話でした☆
また、関西の喫茶店のミックスジュースが飲みたいです(*´ω`*)
子供のころ喫茶店で飲んだやつが美味しかったなぁ~(*´▽`*)
次回もよろしくお願いいたします☆
宮地拓海




