428話 祭りの前に、教会で
ノーマが、教会へ呼び出された。
「な、何かぃね? なんか、物々しい雰囲気じゃないかさ?」
教会の談話室には、ベルティーナとエステラ、ナタリアとジネット、そして俺とウクリネスとセロンとウェンディがいる。
「アタシ、なんか怒られるようなことをしたかぃね……あぁ、ウクリネスがいるなら、何かソッチ系かぃね」
急な呼び出しと顔ぶれを見て若干の緊張をしていたらしいノーマだが、ウクリネスやウェンディの顔を見て肩の力を抜いた。
すごいな、ノーマ。
肩の力を抜いただけなのに「ぷるんっ」って揺れたぞ!?
「実は……ノーマには四十二区の威信をかけた重要な案件を頼みたい――」
「ご、ごくり……」
「とはいえ、そんな緊張するようなことでもないから気楽に聞いてくれ」
「……ほっ」
ぷるん♪
「だがしかし、決して油断なく相応の緊張感を持って――」
「ヤシロ、黙らないと叩き出すよ」
「もぅ、ヤシロさん。懺悔してください」
うわぁ、ベルティーナに言われちゃった。
ジネットと違って有耶無耶にしてくれない懺悔だわぁ、これ。
エステラの冷ややかな目なんぞはどうでもいいが、ベルティーナの微笑みは怖いなぁ。
しょうがない。黙ろう。
「実はですね、ノーマさんに折り入ってお願いしたいことがあるんです」
ベルティーナが代表して、今回の用件をノーマに伝える。
まぁ、なんてことはない。
「光の行進の東側の先頭を任されてはいただけないでしょうか?」
「光の行進の先頭、さね?」
そう。
実はまだ決まってなかったのだ。
西側の先頭は、エステラとベルティーナの強い要望で前回に引き続きジネットが担当する。
東側は、前回光のレンガの生みの親でもあるウェンディが担当していたのだが、ウェンディは双子の赤ん坊を産んだばっかりだ。
まだまだ手のかかるガキどもをほっぽって、結構な時間拘束される光の行進には参加させられない。
たぶん、行進中にマモルとヒカリの「あーっ!」とか「たーっ!」とかって声が聞こえたら、きっと立ち止まって振り返っちゃうだろうしな、この新米ママは。
この間の早朝ミーティングや、今回みたいな会合の時は家に置いてきているようだが、さっさと帰してやらないとな。
つーか、セロンだけ来とけばいいのに、ウェンディも絶対一緒に来るんだよな。
あれか? 片時も離れたくないとかいうふざけた理由か? 埋めるぞ? セロンの方を。
まぁ、今回はウェンディ自らが、自分の口からお願いしたいと言っていたので呼んでいるのだが。
……じゃあセロンは来なくてよかったんじゃね?
やっぱ埋めるか? セロンの方を。
「今回、私の事情により行進の先頭――光乙女をお引き受けできず、ご迷惑は承知の上でノーマさんにお願いしたいと、こうしてお呼び立てした次第なのです」
「いや、ウェンディ。そんなかしこまらなくてもいいさね。あんたんとこは生まれたばかりのヒカリとマモルがいるんだからさぁ」
「本来なら、我々の方がご自宅までお伺いするべきところ、ご足労いただき申し訳ありません」
「セロンも、堅くなり過ぎさね。アタシらの仲なんだから、もっと気楽でいいさよ」
今にも土下座しそうな勢いの堅物夫婦に、ノーマが苦笑を漏らす。
しかし、「アタシらの仲」か……
「セロン、お前、ノーマのやわふわおっぱいに目がくらんで……!?」
「ウェンディも含めたアタシらの仲、さよ!」
「いくら嫁が控えめだからって!」
「ひどいです、英雄様!?」
ウェンディが涙目で自身の胸元を隠す。
「ヤシロ」
そして、エステラが険のある声で俺の名を呼ぶ。
「Cカップは控えめではない!」
「そんなもん、どーでもいいんさよ、エステラ」
「譲れないナニカがあるんですかねぇ」
うふふと、ウクリネスが微笑んでいる。
ちなみにジネットとベルティーナの似た者母娘はそっくりな顔で俺のことをじっと見ている。
わぁ、ほっぺたの膨らませ方もそっくり。
へいへい。
懺悔懺悔。
「それで、いかがでしょうか、ノーマさん?」
ベルティーナが、改めてノーマに問う。
ノーマなら、注目されることにも慣れてるし、どんな衣装も見事に着こなして見せるし、緊張に負けて失敗することも少ない。
これ以上の適任はいないだろう。
「その前に、一つ聞いてもいいかぃね?」
一同の視線を一身に集めるノーマが、俺が感じたのと同じ疑問を口にする。
「『光乙女』って、なんさね?」
そうそう。いつから光の行進の先頭って、そんな名前がついたんだ?
「あの、それは……」
やや焦ったような早口でウェンディがしゃべり出す。
「我が家での呼称といいますか、その……セロンが、前回光の行進の先頭を務めさせていただいた私を見て、汚れなき純白の光を纏う光の乙女のようだった……って、言ってくれて、それから我が家では光の行進の先頭を務める女性を『光乙女』と呼ぶように……すみません、勝手に」
「いや、いい名称だと思うよ。正式採用したいくらいだよ。ね、シスター?」
「そうですね。汚れなき純白の光を纏う光乙女……素敵な名称だと思います。ヤシロさんはどう思われますか?」
「そうだな。5メートルの穴を掘ってセロンを埋めたい」
「なぜですか、英雄様!?」
自分の嫁が可愛過ぎて、ちょっと小洒落た名称生み出してんじゃねぇよ。
で、家でそう呼んでるからって、ついうっかり外でも同じように言っちゃった☆ って?
「幸せ家族か!?」
「いいことじゃないか。やっかまないの」
なぜだ!?
なんでこいつらばっかりが『家族の幸せって、こういう感じですよね』って言わんばかりの幸福感に満たされ続けているんだ!?
贔屓してんじゃねーの、精霊神!
俺にも幸せプリーズ!
「俺も、いってらっしゃいのチューとかいってらっしゃいのむぎゅーとかしてみたい!」
「別に、セロンとウェンディがそんなことをしているなんて、一言も言ってないじゃないか」
「そうですね。むぎゅーはないですね」
「チューはあるの!? っていうか、職場は自宅の敷地内だよね!?」
何を驚いている、エステラ。
セロンとウェンディだぞ?
「こいつらなら、寝室からトイレに行く時だっていってらっしゃいのチューくらいするぞ、きっと」
「まさか、さすがにそこまでは……」
「「なぜご存知なんですか、英雄様!?」」
「してるの!?」
だからな、エステラ。
こいつらは、セロンとウェンディなんだぞ?
「な? 埋めるべきだろ? セロンを」
「いや、さすがに埋めるのは……」
「分かった。3メートルで妥協してやる」
「うーん……3メートルなら……」
「エステラさん、気付いてください。それは全然妥協になっていませんよ」
悩むエステラをジネットが止めて、俺を「めっ」と叱る。
夫婦で「君は光乙女だよ、まいはにー」とか言ってるようなヤツ、埋められて当然だろうが!
あ、ちなみに「爆発しろ」って言わなくなったのはちょっと飽きたからで、別に東京ガスや大阪ガスが提供についたからではない。
協賛者への配慮とか、そーゆーのではない。
「穴に埋めて爆発させよう」
「周りへの配慮のつもりかい?」
エステラがため息を吐き、ノーマは「お外で遊んできなさい」と言われたにもかかわらず中の話し合いが気になって談話室に紛れ込んできた五歳女児にまとわりつかれて軽くあやしてやっている。
「それで、あの、引き受けてくださいますか? ご迷惑なのは、重々承知なのですが」
「迷惑なんて、とんでもないさね、シスター」
ノーマは、基本的に人の頼みを断らない。
頼られるのが大好きな、面倒見のいいヤツだから。
「けど、アタシでいいんかぃね? 自分で言うのもなんだけどさ……ウェンディみたいな清純さってのとは、ちょぃとイメージが違う気がするんだけどねぇ」
そんなことを気にしていたのか。
「ウェンディは清純っぽく見えるけど、すっごいエロいぞ」
「そんなことありませんよ、英雄様!?」
「この中の誰よりもむっつりだ」
「む、むっつりだなんて、そんなこと……」
「じゃあ、ウェンディ、セロン。『プレイ』と言われて思いつくのは?」
「そ、そんなこと、みなさんの前では口に出来ませんっ」
「雪のプレイランド、でしょうか?」
「ごめんなさい、セロン! むっつりな嫁でごめんなさい!」
「どうしたんだい、ウェンディ!? どんなウェンディでも、僕は君を愛しているよ!」
な?
むっつりなんだよ、ウェンディは。
「……ヤシロは、アタシに光乙女をやってほしいのかやらせたくないのか、どっちなんさね?」
あ。
なんか俺のせいでやりたくなくなってきてる的な雰囲気醸し出されてる。
絶対俺のせいじゃないのに。
「エステラとベルティーナからの要望でな、『街道より東に住む獣人族か虫人族の女性で』ってことなんだ」
光の祭りは街道で行う。
ジネットは街道の西に住んでいるので、大通りから東に住む者に任せたい、出来れば獣人族や虫人族の女性で。
そうすることで、「精霊神様はすべての人を分け隔てなく見守ってくださっているのです」ってアピールをしたいのだそうな。
エステラ的には、西側ばっかりをフィーチャーして不満が出ないように配慮したいらしい。
「その条件なら、パウラやネフェリーも該当するけど、あの娘らは出店をやるって張り切ってるからねぇ」
「まぁ、そういうことだ。とはいえ、決して消去法で選んだわけじゃないからな?」
先の条件を提示した時、この場にいる全員が「ノーマがいい」とその名を挙げたのだ。
なんだかんだ、いつも頼りにしてるからなぁ。
「お忙しい中、大変かとは思うのですが、頼まれてくださいませんか?」
手押しポンプの試作品を作っていることを、ベルティーナは知っている。
なので遠慮がちに聞いているが、ノーマならその辺のことをうまくバランスを取ってやってくれるだろう。
「分かったさね。こんだけの人に頼まれちゃ断れないさね。アタシでいいってんなら、どーんと任せておきなね!」
どどんっと、胸を張ってノーマが快諾してくれた。
快諾した際、「ぷるん♪」と揺れた。
ありがとう、ノーマ!
期待通り、いや、期待以上だったよ♪
「それじゃあ、ちょっと衣装を合わせてみましょうか」
ぽふっと手を叩いて、ウクリネスが立ち上がる。
もこっとしたデッカいカバンを引っ張り出してきて、中から純白のドレスを二着取り出す。
「あのっ、ウクリネスさん!? なんだか、前回と大きく変わったような気がするんですが!?」
ジネットが衣装を見て目を見開く。
たしか、前回はもっとおとなしめな衣装だった気がするが、今回のは随分とヒラヒラが追加されている。
「前回の、ミニスカなのに結構際どいスリットが入っている純白の衣装もなかなかよかったぞ☆」
「あの衣装、やっぱりヤシロの意見が色濃く反映されてたよね!?」
「いやいや、デザインはウクリネスに丸投げだったぞ」
「あぁすればヤシロちゃんが喜んでくれると確信していましたよ」
「やっぱりヤシロのせいじゃないか!」
お前の裁定、がっばがばだな。
最初から犯人を決めつけて、後付けで理由を無理やりくっつけてる感じだ。
感じ悪いの!
「光の祭りを開催するにあたり、シスター立ち合いのもと教会の聖典を見せていただいたんです」
「そうでしたね」
衣装を作る時に、精霊神の衣装をモチーフにしたいとベルティーナに相談したんだよな。
そしたら、なんか古そうな高そうな堅苦しそうな聖典を引っ張り出してきて見せてくれたんだ。
「その中のイラストに一つ、めっちゃミニスカートに見える絵があってさ」
「あれは驚きましたね」
「私も、そのような目で見たことがなかったので指摘されて驚きました」
俺が「これ、めっちゃミニスカートじゃね?」と指摘したら、ベルティーナはなんとか否定しようと頑張っていたが、結局反論しきれなかった、そんな絵があったんだよ。
まぁ、日本で見かけるような美麗なイラストじゃなくて、もっと抽象的で、線も荒くて、おまけに古いから薄れていて、結果そういう風に見えなくもないかな~くらいの絵だったのだが――
「きっと他の神との初デートの時の絵だな」
――と、俺が言ったら、ベルティーナがツボにハマっちゃって。
「そんなわけないじゃないですか」ってはっきり言えなかったんだよ。
なんか、「そう思うと可愛らしく見えますね~」みたいな雰囲気だったなぁ、あの時。
「で、ウクリネスがそのイラストを参考に作ったのが前回の衣装だ」
「スリットは?」
「ヤシロちゃんが喜ぶかと思いまして」
「やっぱりヤシロのせいじゃないか」
もうこの裁判やるだけ無駄だな。
何言っても有罪になっちまう。
裁判官替えてくれ。
「それで、今回は先頭のお二人だけ特別な衣装にしてみようと思ったんです」
「聖典でも、精霊神様のそばには二人の光の御使いが描かれていることが多いんです。ですので、御使い様のイメージに沿うようにと、新しい衣装をお願いしたんです」
ベルティーナからの要望だったのか。
精霊神と人間の間を取り持つ光の御使い――って、それベルティーナのことなんじゃん?
じゃあ、もう一人、どっかにベルティーナみたいなシスターがいるのか?
そいつもやっぱり巨乳を隠しているのか、ベルティーナのように!
「如何ともし難いな」
「君は度し難いけどね」
言葉尻を取っていくな。
うまいこと言った感、醸し出さなくていいから。
「それで、あの……光の御使様は、このようなふわふわしたドレスを身に纏われているのですか?」
「いいえ、ここまでひらひらでは……」
「それは、闇に広がる光をイメージしてみたんです。純白の布ですから、光るレンガの光が反射して淡く幻想的に光を反射するんですよ」
「それは綺麗に見えそうだな」
純白の布なら光をぼんやりと反射させるだろう。
もしかしたら、全身に光を纏った本物の御使いに見えるかもしれないぞ、これは。
「さすがだな、ウクリネス」
「けど、これ……ふわふわしてるのは裾や腰回りだけで、結構体のラインがはっきり出そうさね」
ドレスを広げて持つノーマ。
言われてみれば、フリルがあしらわれているのはスカートの裾や袖の先、肩口と腰回りくらいで、それ以外のところはスラッとしたシルエットの随分細身なドレスだ。
フラメンコの衣装をちょっと盛ったようなイメージだな。
「このシルクの滑らかさが、光と合わさるととても美しい光沢を生み出すんです。その輝きを綺麗に見せるには、これくらいシンプルな方が都合がよかったんです」
光を反射し、滑らかに揺れるシルクのドレスは、まるで流水のように美しく見えることだろう。
何より、腰骨付近にフリルがあるおかげでウェストのくびれはより強調されるし、フリルの下から伸びる脚のラインはしなやかな曲線をいかんなく強調してくれるであろうタイトさで、何より胸元の立体縫いは光乙女二人の弾けんばかりのたわわでたおやかな柔らかい二つの膨らみを存分に見せつけてくれることであろう!
「さすがだな、ウクリネス!」
「さっきより語調が強いさね」
「も、もぅ、ヤシロさんっ。こんなに綺麗なドレスなんですから、変なこと言わないでください」
このドレスを着ることになる二人の視線がむず痒くて気持ちいい。
いいよ、いいよ、そのちょっと照れた感じ。
大好物だよ☆
「サイズはバッチリだと思いますが、一切の不備なく仕上げたいので試着して見せてください」
「はい! お手伝いします!」
「ヤシロさんは談話室から出ないでくださいっ!」
立候補したのに却下された。
着替えは、二階の女子部屋で行われる。
着替えは大勢で見るものではないと、二階に上がるのはウクリネスと光乙女の二人だけだ。
「じゃあ、いい子に待ってるから試着した姿を見たいです!」
「あんた……こういう時ばっかり必死さね」
「うぅ……でも、あんな純粋な、教会の子供たちのような目で言われては……断れませんね」
「いや、アタシは別に平気で断れるけどね……」
「お利口さんに待ってます!」
元気よく挙手をして、真剣に訴えかけたところ、ノーマが折れた。
「はぁ……まぁ、エステラとシスターにも見てもらいたいし、ウェンディにも先輩としての意見を聞きたいからねぇ」
「そんな、先輩だなんて」
「感想を聞かせてあげればいいよ。きっとびっくりするくらい綺麗になってるから、素直な感想をね」
「ハードル上げんじゃないさよ、エステラ……ただの試着さね」
少し照れて、ノーマがドレスを片手にさっさと談話室を出て行ってしまった。
「照れてたね」
「早く着てみたいんじゃないか?」
出て行ったノーマの背中を見送り、エステラが笑う。
「ジネットも着替えてきてください。期待していますからね」
「もぅ、シスターまで……」
ベルティーナにからかわれて、ジネットがうっすらと頬を染める。
「ジネットには実績もあるし、絶対に似合う。俺も楽しみにしてるから、着替えたら見せてくれな」
「もぅ……似合わなくても、笑わないでくださいね」
「笑わねぇよ。ただ、めっちゃ似合ってたら大はしゃぎするかもしれないけどな」
「むぅ……からかってますね?」
ぷくっとほっぺたを膨らませてジネットが睨んでくる。
いや、マジではしゃいじゃいそうだよ。
そのドレス、胸元がすごいことになりそうだから☆
そういえば、白って膨張色だからより大きく見えちゃうかもね☆
「楽しみだなぁ~」
「も、もぅ……っ。着替えてきますっ」
恨みがましそうな目で睨んで、ジネットが談話室を飛び出していく。
照れているようだ。
けどまぁ、本番の前に衣装合わせはしておいた方がいい。
初めての服って緊張するし。
ここでガキどもに見せて、「似合う」「綺麗」「素敵」「可愛い」っていっぱい言われておけば、本番もそこまで緊張せずに済むだろう。
ジネットならな。
「あんまりからかい過ぎないようにね」
そんな注意をエステラが寄越してくる。
分かってるよ。
マイナスなイメージを植え付けて、光乙女を拒否されると困るからな。
「大絶賛してやるさ」
「それがプレッシャーにならなきゃいいけど」
苦笑を漏らすエステラ。
ベルティーナも控えめに笑っている。
ジネットのおめかしした姿が楽しみなのは、こいつらも同じだ。
「ただ……」
一つだけ懸念があるとすれば――
「あまりに似合い過ぎていたら、出し惜しみしたくなるかもしれないけどな」
あまりに美しく仕上がり過ぎていたら、もっと控えめな衣装に変更させるかもしれない。
今回の光の祭りは、多くの来賓を招待することになりそうだし。
俺ですら狙われたのだ、おめかししたジネットなんかダース単位で希望者が殺到しかねない。
まったく、貴族が関わると面倒が増える。
「教会主催のイベントで邪な感情を抱くヤツには厳罰が科せられるって、しっかり周知しとかないとな」
と、俺が将来起こり得そうな危険を危惧する発言をすると、エステラとベルティーナが顔を見合わせて笑い出した。
「ヤシロさんは、心配性ですね」
と、警戒心という言葉を知らなそうなベルティーナが笑い、エステラは――
「真っ先に罰を科せられるのは君になるだろうね」
――なんて俺を指さして笑いやがった。
こんにゃろうめ……
ジネットたちが着替えに行って程なく、「ヤシロさん」とベルティーナが俺を呼んだ。
「あの、口外してはいけないアノ件について、少し質問が」
口外してはいけないアノ件?
ここ最近、内密にしなければいけないことが立て続けに起こったせいで、どの件なのかイマイチ分からない。
なので、一番ありそうな話題であろうとアタリをつけ返事をする。
「今日穿いているパンツについてか?」
「違いますっ」
いや、だって、口外しちゃいけないことだろうし。
「あれ、もしかして口外してもいい情報なのかな、ソレ!?」
ならば是非伺いたい!
「ヤシロさんっ」
「むぅっ!」っとベルティーナが睨んできたのでこの辺にしておく。
本気で怒らせると長いんだ、懺悔が。
「しかし、内密の話が多過ぎてな……」
「そうですね。アノこともそうですし、アノこともみだりに口には出来ませんからね」
おそらく、ベルティーナの頭に浮かんでいるのは手押しポンプと見せかけ筋肉の一件だろう。
ライターに関しても、口外はしないでもらいたいが、重要度は低いと認識されているだろうし。
「えっと、内緒ポンプの件で……」
おーっと、それはもうほぼ口にしちまってるようなもんだぞ。
内緒ポンプって……
「あの、シスター」
と、エステラが会話に入ってくる。
「そちらのことは『P案件』、それでトラブルの方は『G案件』と仮称することにしましょう」
『ポンプ案件』と『劇場案件』か?
まぁ、分かるヤツには分かりやすく、知らないヤツにはさっぱり意味が分からないって名称が理想だけどさ。
「では、P案件について、です」
ベルティーナが真剣な表情で言い、エステラも俺の隣で真剣な表情で聞く態勢を整える。
こういう秘密の話って、ベルティーナはあんまりしそうにないんだよな。
なんとなく、隠し事とかしそうにないし。
まぁ、立場上話していないことはいくつもありそうだけど。
「アノ『P』は、教会に設置するわけにはいかないのですよね?」
「そうですね、あまり他人に見せられるものではありませんからね」
「実は、エステラさんにお願いされた通り、内密でという約束の元、信頼できる司祭様に『P』のことをお伝えしたら、司祭様も一度『P』を見てみたいとおっしゃりまして」
「じゃあ、陽だまり亭に設置したヤツを見に来てもらえよ」
「ですが、私がどの司祭様にお話を持ちかけたのかということは、あまり他の方には知られない方がよいと、司祭様はお考えのようなのです」
何かと秘密を多く抱える聖霊教会。
誰と誰が懇意にしているとか、知られない方がいいと考えているのか。
「ベルティーナと懇意にしているなら、ベルティーナと仲良しの俺たちにも便宜を計ってくれよ~」なんて利用されるのを防ぐためだろうか。
とはいえ、結構ベルティーナの伝手でいろんな教会関係者に会ったけどな。
二十四区教会のソフィーとバーバラとか、三十五区教会の司祭の婆さんとか。
「その『P』は、私が持ち運ぶのは少し難しいですよね? もし可能なら、一時的にお借りして、司祭様のところへ持っていこうかとも考えていたのですが……」
「やめといた方がいいな。ベルティーナは工具の扱いが得意じゃないだろ? 設置する時に怪我をするかもしれんし、井戸に落っことして壊すかもしれない」
「そんなに難しいのですか?」
「俺は、設置する時はノーマかウーマロに頼もうと思ってる」
「それは……私には難しそうですね」
というか、手押しポンプを担いで他所の区へ向かおうなんて、無茶だ。
絶対目を引くし、「教会が何かやってる」って勘ぐられる。
その司祭を秘密裏に四十二区へ呼ぶより、よっぽど噂になっちまうよ。
「もし教会が認めるくらいに素晴らしいものだったら、『P』の流通に教会が口出ししてくれる可能性はあるのか?」
手押しポンプの普及に教会が絡んでくれると、王族や強欲な貴族から「もっと作れ」「こっちに製法を寄越せ」「援助してやるから利益を寄越せ」「ウチのを最優先で作れ」などといった横暴から外周区が守られることになる。
新しいパンの普及でもそうであったように、教会が広めるものに対して、貴族は口を挟めないのだ。
「貧民砂糖のパンなど作ってないで、全区で貴族用のパンを作るのだ!」とか言って、外周区に新しいパンが行き届かない可能性も懸念していたのだが、教会はこちらとの約束を守りすべての区、すべての住民にパンが行き渡るように配慮してくれた。
それもこれも、おそらくベルティーナと同じ派閥の偉いさんが動いてくれたからだと思われる。
別の派閥の偉いさんは、「パンの製造を絞って国民をコントロールし、教会の価値を上げるべき」みたいな考え方してるっぽいし、ベルティーナとか三十五区の婆さん司祭が頑張ってくれると、こっちは安心して暮らせるんだけどなぁ。
「ベルティーナが話を持ちかけるのは、三十五区の婆さん司祭だと思ってたんだが、別の人なのか?」
「え………………………………」
ベルティーナが固まった!?
「いや、俺らにも正体を隠すってことは、俺が会ったことのない司祭なのかなぁ~って」
「…………………………」
あれ、フリーズしてる!?
オブジェクトをいっぱい貼り過ぎたエクセルみたいなもっさりした動作になってるけども!?
エクセルは万能じゃないから、チェックボックスや図形の挿入はほどほどにね!
「ベルティーナ?」
「……私はただ、『あまり他人に知られるのはよろしくないですね』と言われただけですので……」
図星だったっぽいな、どーやら!?
やっぱ、連絡した司祭は三十五区の婆さん司祭か。
あの婆さん、結構無茶なお願いも聞いてくれる、融通の利く婆さんだからやりようはいくらでもあると思うぞ。
「……ヤシロさんは、頭がキレ過ぎます」
いやいや、それは不当な八つ当たりだろう。
俺、悪くなくね?
「え~っと、じゃあこうしたらどうだ?」
膨れてしまったベルティーナのご機嫌を窺うために、ちょっとした一案を提示しておく。
「四十二区ではまもなく光の祭りが開催される。だが、それは四十二区が独自で始めたことで、もしかしたら解釈の間違いや勘違いがあるかもしれないし、やり方のまずさから誤った見解を領民に広めてしまう可能性もないとは言い切れない」
教会本部が始めたことではなく、四十二区の光の祭りは、四十二区の領民が独自に精霊神への感謝を形にしたいと始めた祭りだ。
シスターベルティーナの監修があるとはいえ、教会の偉いさんの目で見ればまだまだ拙い部分があるかもしれない。
「そこで、ベルティーナが頼みやすい他区の教会関係者を招いて、第三者的な視点で光の祭りがどういったものなのか、不備や不足はないのか、有意義に開催されているのか、そういった点を見て判断してもらうというのはどうだ?」
呼ぶ人間は、そうだな――
「声をかけやすい司祭や、その司祭が『私よりも早く司祭になっているべき方よ』なんて言っていた年配シスターとかが適任かもしれない。ついでに、年配シスターには付き添いとして力自慢のウサ耳シスターを帯同させておけば道中も安心だろう」
つまり、「光の祭りをやるから視察においで」とあの三十五区の婆さん司祭を四十二区に呼んでやればいい。
以前も、教会が興味を示していると言っていたし、他区のシスターや司祭が視察に来ることに違和感はないだろう。
ソフィーとバーバラは司祭が視察に来ることの目眩まし要員として呼び寄せてやればいい。
ベルティーナからの誘いで、精霊神に感謝を捧げる祭りの視察なら、きっと喜んで参加してくれることだろう。
「で、長旅で疲れた司祭には陽だまり亭で休憩してもらえばいい。ほら、教会は祭りの準備でゴタつくだろうから、近くにある食堂が休憩場所にはうってつけだろう」
そうして、陽だまり亭に招いて、折を見てこっそりと手押しポンプを体験させてやればいい。
そうすりゃ、教会が何かしているなんて思うヤツも出ない。
思われるとすれば、それは四十二区の領民が独自で始めた光の祭りってイベントの視察だと思われる程度だろう。
「なるほど……それは、とてもいい案ですね」
「ただ、ベルティーナが誰に話を持ちかけたかってのはバレバレだったぞって宣言することになるけどな」
「それは…………司祭様はヤシロさんのことを少なからずご存知ですし、悪意ある詮索でもありませんでしたし、きっと私がお叱りを受けるようなことはないでしょう」
まぁ、絶対秘密だと厳令されたわけではないからな。
それがダメだと判断すれば、今回の誘いには乗ってこないだろう。
そしたら、また何か別の手を考えればいい。
それだけのことだ。
「では、急いでお手紙を出しておきますね。遠い区ですので準備にも時間がかかるでしょうから」
婆さんだからなぁ。
遠出して日帰りってのはしんどいかもしれない。
必要があれば、どこかで一泊させてやるか。
「あぁ、でも……偉い人を泊める施設がもうないんだよなぁ」
かつて、ルシアがまだかろうじて他区の領主っぽい振る舞いをしていた時代。
ニュータウンに作ったマンションに宿泊をしていたこともあった。
今では平気な顔して陽だまり亭で雑魚寝してやがるけども、そんな時代もあったんだよ。
ごくごく短い期間な。
数回か、もしかしたら一回。
で、今そのマンションはというと、情報紙発行会の本部になっている。
前会長の……ほら、あの、でっぷりとした、クソ貴族の……あぁ、だめだ、名前を思い出そうという気力すら湧いてこない……まぁとにかく、前会長に高額で貸してやった流れで、会長交代後も情報紙発行会の本部として活用されている。
ルシアもハビエルも、それぞれに宿泊する場所を見つけやがったので、来賓用宿泊施設の建設は進んでいないのだ。
八割~九割ルシアの責任だな、これは。
「宿泊の必要があるかどうかも伺っておきますね」
くすっと笑い、ベルティーナが「お心配りをありがとうございます」と、ふんわり微笑んだ。
「エステラ。もし婆さん司祭が宿泊するとしたら、どこに泊まってもらう?」
「ヤシロ、司祭様を婆さんとか言わないように」
じゃあ、なんと呼べと?
あ、『司祭』でいいのか。
そんな、区別しなきゃいけないほど教会の偉いさんと関わるつもりもないしな。
「ボクの館にご招待してもいいけど、司祭様ならそういうのは嫌いそうだよねぇ」
「嫌うということはありませんが、清貧を良しとされる司祭様でしたらご遠慮されるかもしれませんね」
清貧とか遠慮とか言いつつ、単に教会関係者がどこか特定の区の領主や貴族と個別に懇意にするのはよくないって外聞の話だろ?
領主の館に司祭を招くのは、なんとなくまずいだろうなってのは俺でも分かる。
「じゃ、陽だまり亭で雑魚寝だな」
「うふふ。お話すれば、きっと面白がってくださいますが、もし宿泊されるというのであれば教会に部屋を設けますよ」
え、でも、教会って客間とかないよな?
談話室か子供部屋で寝かせるのか?
それとも、立場が上ならベルティーナの私室に入っても許されるとか?
誰も、教会のガキどもですら滅多に入ることを許されないベルティーナの私室に!?
「俺ですら入ったことがないベルティーナの私室に!?」
「ヤシロさんだけでなく、異性の方は生まれたての赤ん坊でも入室を許可できません」
そうなのか。
なにその聖域?
空気とか、めっちゃ美味そう。
あと、いい匂いしそう。
「ジネットは入ったことがあるんだっけ?」
「はい。私が体調を崩した時は、よく看病をしてくれました。……娘に心配をかけるのは本意ではないのですが」
「他のガキどもの心配を一秒でも早く払拭するためだと思って、思いっきり甘えとくんだな」
「はい。ジネットにも同じようなことを言われていますので、その時は盛大に甘えさせてもらっています」
恥ずかし気ながらも嬉しそうに、ベルティーナは口元を隠して笑う。
ベルティーナの寝間着姿……どんな感じなんだろうな。
「では、ヤシロさんの案を司祭様に伝えておきますね。『P』の件も、よろしくお願いします」
「そうだな。だがこれで、ちょっと急ぐ必要が出てきたな、『P』」
「ノーマには申し訳ないけど、『P』の完成を急いでもらおうか。……徹夜規制、解除、する?」
いやぁ、それはどうなんだろうか……
なんて頭を悩ませていると、いつの間に紛れ込んだのか、レジーナが真剣な表情で会話に参加してきた。
「みんなで【自主規制】話かいな? えぇな~、混ぜてぇや」
「そのようなお話はしていませんよ!?」
「せやかて『ぴー』『ピー』って」
「【自主規制】の音じゃねぇから、それ!」
つーか、どこで流れてるの『ピー』音!?
ないよね、テレビ!?
放送禁止用語の前に『放送』がないよね!?
何をどう翻訳してるの、『強制翻訳魔法』!?
ガキどもがいつ入ってくるか分からない談話室で手押しポンプなどの話は出来ない。
ガキはついうっかり口をすべらせてしまうものだからだ。
だからって、「ガキの前では出来ない、あの『P』の話だよ」とか言ったら、「分かる分かる、エッロい『ピー!』な話やね☆」とか暴走するのが目に見えてるからなぁ……帰ればいいのに、今すぐに。
「お前、何しに来たんだよ」
「置き薬の補充やで。こないだ、火傷の薬使ぅたんやろ? そのついでに教会の方も補充しよう思ぅて寄らせてもろたんや」
『こないだ』? ……あぁ、『この間』か。
そういや、この間火傷の薬を使ったんだっけな。
その補充で陽だまり亭に来て、ついでに教会にも寄ったのか。
なんてタイミングの悪い……
そんなタイミングの悪いレジーナがいる談話室へ、タイミング悪く、なんともボディーラインが「むふふっ」っとくっきり露わになるドレスを身に纏ったジネットとノーマが入ってきた。
「これは、ちょっと……ラインが出過ぎじゃないかと思うさね」
「もう少し、なんとか改良は出来ませんでしょうか?」
スラッとした腰回りの上に、どどーんと大迫力の大きな膨らみを湛えて、二人の御使いが現れた。
精霊神のそばに仕えるという、お乳の御使い。
ん? 光だっけ?
まぁ、どっちかだ。
確かに、俺としてはとっても眼福ではあるのだが……この姿を衆目に晒すのは……どこぞの馬の骨や有象無象に晒すのは、惜しい。
そして――
「なんて破壊力の『おっP』やろか」
――こういう不埒者もいるからな。
うん、悲しいけど、ちょこっとだけ修正させてもらうとしよう。
「……なんでレジーナがここにいるんさね?」
「そこの二人が、キツネの鍛冶師はんの『おっP』を素早くぷるんぷるんさせたいとかいう話をしてはったさかいに」
「してないよ!?」
「そこの二人」と、俺共々指をさされたエステラが抗議の声をあげる。
「ノーマが深く関わる『P案件』の話をしていたんだよ、ボクたちは」
「アタシは、おっぱい案件になんか深く関わった記憶がないけどねぇ」
「違うのになぁ! もう、レジーナのせいで!」
この流れで『P案件』とか言われたら、確実に『パイパイ案件』だと思っちゃうよな。
まさしく、「レジーナのせい」で。
「試作品の完成を急ぐことになりそうだって話だよ」
「試作品……『P』……あぁ、アレかいね!」
ようやく正解に思い至ったノーマ。
その目が、エステラを見つめる。
「けど、急ぐとなると……ねぇ? 分かるさろ?」
「……残業規制はある程度緩和するよ。ただし、徹夜はなるべくやめてね」
「分かったさね! なるべく控えるさね!」
あぁ、控える気ねぇな、こいつ。
あとでルアンナにきつく言い聞かせておこう。
「ウクリネス」
「はいはい」
ジネットたちから遅れて、ウクリネスが姿を現す。
「修正よろしく」
「では、こちらのケープをお使いください」
言って、ジネットとノーマに短いケープをかけてやるウクリネス。
ケープを付けただけで、あんなにもセクシー過ぎたドレスが品のある美しいドレスに雰囲気を変えた。
あるなら最初から使っとけよ。
「こちらは素敵ですね」
「きれーでしょ!?」
「かわいいよね!」
ベルティーナの称賛に呼応するように、どっから湧いて出たのか、ちんまい少女たちが元気よく談話室へと飛び込んできた。
「着替えを覗きに来てた娘たちさね」
「えっ!? そーゆーのアリだったの!?」
「なしですよっ、もう!」
なんだよ~、誘えよなぁ~。
ヤギ耳のお前には、結構優しくしてやってるだろうが、俺。
気ぃ利かせろよなぁ。
「この娘たちは、教会で光の行進を迎え入れる役割を担ってくれることになっているんですよ」
前回、光の行進は勝手に教会内へ入っていったが、今回は教会の前で待ち構えている二人の精霊(という設定の教会の女子二人)が教会内へ光の精霊を導き入れるらしい。
前回、ちょっともたついたんだってさ。
見てる方は、全然そんなの気にならなかったけれど。
まぁ、滅多に教会に来ないヤツには、どっちに進めばいいのか、どこに何があるのか分からないかもしれない。
行進の途中にオロオロも出来ず、そこそこ不安もあったかもしれない。
そういう細かい部分は、回を重ねて改善していくしかない。
手始めに、今回は受け入れ側にテコ入れした感じか。
「じゃあ、お前らも可愛い衣装着せてもらえよ」
「うん! ヤシロお兄ちゃん、絶対見に来てね!」
「おっぱいが『ぼーん!』ってしてるならな」
「「懺悔してくださーい!」」
二人揃って言って、二人一緒に俺の頬をつねりやがった。
……誰に似たんだ、ガキども。
「懺悔を強要するヤツが増えている……」
「君のせいでね。少しは反省して自重したまえ」
エステラが呆れたように肩をすくめる。
俺じゃなくて、教会の教育方針に問題があるんだと思うけどなぁ、俺は。
「今度の行進の練習の時は、衣装は身に纏いませんよね?」
「そうだね。この次着るのは本番になると思うよ」
今回は領主やギルド長を招待するので、一応練習をしておこうということになった。
急遽決まって、行進に参加する者に即通達された。
開催は明日。
タイトなスケジュールだ。
その他にもいろいろ決めておくことと調整しておくことがある。
三十五区の司祭も招くことになりそうだし、こりゃあ、祭り本番まで慌ただしくなりそうだ。
そんな俺の懸念はズバリと的中し、祭りの準備は想像以上に慌ただしく、想像以上に大盛り上がりしながら、四十二区全体を巻き込んで進んでいった。
俺はと言うと、出店を出す店の連中にアドバイスを求められたり、警備体制について連日会議を重ねたり、来賓への対応をエステラやマーゥルと検討したり、その合間を縫うように手押しポンプの試作品を作成したりしていた。
本当に慌ただしく、あっという間に時間は過ぎ去り……気付けば祭りの前日になっていた。
ハビエルやメドラは前乗りし、ルシアも当然のような顔で陽だまり亭に宿泊すると大荷物を抱えてやって来た。
「ランドリーハイツに住む者たちの付き添いも兼ねているのでな」
なんてもっともらしい理由を口にしていたが、だったら陽だまり亭じゃなくてランドリーハイツに泊まればいいのに。
そして、四十二区は街全体が祭り直前の興奮に飲み込まれていった。
あとがき
腕がパンパンです
宮地です
いえ、ちょこっと断捨離をしておりまして
その話はまた後程☆
さて、今回は放送禁止用語回でした。
あれ?
違いましたっけ?
なんか「ピー」「ピー」いってた気がするんですが
おっP!
セーフ!( ̄▽ ̄)
倫理的にも教育的にもセーフ!( ̄▽ ̄)
いやぁ、この話が次回じゃないのが惜しまれます!
だって、ねぇ?
次回は、四日後ですし
四日後っていえば、皆様大好きなあの記念日ですし!
次回は8月1日公開!
全国一斉おっぱいDAY!
\(≧▽≦)/
世界の中心でパイと叫んでも叱られない日です!
そんなめでたい日に皆様と一緒におっPのお話で盛り上がりたかったですね~
大いに盛り上がったおっPのお話で盛り上がりたかった!
あ、えぐれ尽くしたおっPの話題がいいよ~という皆様は向こうにそれ専用のラウンジをご用意しておりますので、同志一同で語り明かしてください。
私も、あとで顔を出しますので
いやぁ、両派閥に属していると大変ですね~
もう、おめでた過ぎるので豪勢にPティーしたいですね!
シャンPでカンPして
間寛Pさんの「かい~の」を皆様でご一緒に!
いやぁ、今回のお話が次回じゃないのが悔やまれます☆
Pに引っ掛けていろいろ遊べましたのに~
(*´ω`*)
まぁ、今回は前夜祭みたいなものですね
本番を楽しみに待ちましょう
一発でアカウントBAN! されちゃうようなおっぱい祭りをお送りいたしま――
運営さん「……じぃ~」
――せん!
残念!
次回も健全に行きたいと思います!
えぇ、今回と同様にね☆(あっぶね、アカウントなくなっちゃうところだったわ)
さて、前回コパイロットのコパちゃんに本文の誤字発見と要約をしてもらったわけですが、
今回もいろいろ手伝ってもらっております
たぶん、誤字は減ってるんじゃないかなぁ……と
減ってるといいなぁ……
減…………
滅せよ、誤字!(# ゜Д゜)くわー!
そんなコパちゃん、
今回はこんな指摘をしてくれました
「セロンを埋めるぞ」など一部表現は比喩的でユーモアとして書かれていますが、場に応じてやや穏やかな表現にすることも検討できます。
穏やかな表現に!?
出来るの!?
「セロン埋めるぞ」を!?
コパちゃん「セロンさんを、深く掘った穴(当然底面にはふかふかのマットを敷きその上にふわっふわのラグを敷いてあります)の中に横たえて、上からそっと優しく土をかけていきましょう」
Σ(゜Д゜;)いや、やってること同じ!?
結局埋められてるよ、セロン!?
優しく埋められてるよー!
なかなか面白い子です、コパちゃん(*´ω`*)
さて、腕がパンパンマンな宮地です。
カバ「おなかがすいたよー、パンパンマーン!」
パンパンマン「あぁ、腕、重っ。なんもしたくねぇ」
Σ(゜Д゜;)元気何倍だよ、お前!?
たぶん0.2倍とかでしょうね
五分の一。
で、なんで腕がパンパンかといいますと、
断捨離をしておりまして
二十代~三十代のころに集めまくったDVDとかフィギュアとかを処分してしまおうと
五年ほど前に
一度大々的な大処分大会を開催したんですよ
その時は十代~二十代のころに集めていたCDとか漫画とかをごっそり処分したんですね。
あの時は、ブック〇フさんに持ち込もうかと思ってまとめてみたところ
段ボール4箱になって挫けたんですよね(^^;
こんなもん、持って行けるかと。
車の免許もなかったですし
仮に持って行って「買い取れません、持って帰ってください」とか言われたら困るな~って
なので、もう捨てちゃおうと思ったんですが
もう手に入らないであろう初回限定版のCDとか、
ン十万したブルーレイBOXとかもあったので、売っちゃおうと思いまして
段ボールに詰めて送ると、査定して買い取ってくれるというところがありましたので
そこにえ~い、って送ったんですね
……結構いい値段になりまして(*´ω`*)
で、かなりすっきりしたと思っていたんですが、
今回、
前回の大処分大会で「これは残しておこう」と厳選されて勝ち残ったお気に入りたちも
ついに手放す時が来たのだと、ごっそり処分することにしました
だって、前回から五年間、まったく見聞きしませんでしたしね(^^;
で、厳選された物しか残ってないから大した量じゃないだろう……と思っていたのに
結局段ボール四箱ですよ
Σ(゜Д゜;)減ってる気がしない!?
で、さすがに荷物が多いんで、
「こんなもん、売れないよね~」という物はもう捨ててしまおうと袋にまとめたんです。
ガチャガチャの景品とか
古いフィギュアとか
ウェハースのシールとか
でも、念のため、ネットで買取価格を検索してみたら……
メッチャ高値ついてるんですけど(・_・;
シール、コンプリートで1800円!?
……ヤバい、
これの前のシリーズ、ウェハースだけ食べてシール無造作に捨ててた……
ウェハース、大好きなんです!
で、今回はイラストが可愛くなってたからなんとなく捨てずに置いておいたら
コンプリートしていて……
1800円!?Σ(゜Д゜;)
伊達にあの世は見てないっすね……
さらに、
古ぅ~いフィギュアが1500円とか2600円とか、4000円とか!
こんなにするのか、お前ら!?
箱やパーツが捨てられない人なので、全部揃ってたのが幸いしましたね
どれくらい捨てられない人かと言うと……
掃除してたら、壊れて廃棄処理したノートパソコンの説明書と保証書とか出てきましたからね(^^;
本体もうないのに、説明書は残ってるって……捨てられない性格はダメですね(笑)
そして、もっとも驚いたのが!
ガチャガチャ!
めっちゃハマって、第二弾から全シリーズコンプリートしてたヤツがあるんですよ
発売したら即コンプリートさせてたヤツが!
見た目は子供――のキャラを全員縮ませたような感じのヤツなんですが
その中の一つ、
第6弾、全種コンプリートで、
6800円!
一個400円ですよ!?
6個で2400円!
2.5倍以上になってますやんか!?
なんでこんなに高額で?
と、販売のページを見てみると……
中古品 15900円……(゜_゜ )
15900円!?Σ(・ω・ノ)ノ!
捨てなくてよかった(・_・;
誰か、必要とする人の手に渡りますように
というわけで、
「アレも売れんじゃね? コレとかどーよ?」
と、もりもり段ボールに詰め込んで
じゃあネットで買取予約をしようかな~と思ったら
「何が何個入ってるか、状態の良し悪しもチェックして記入してね☆ あ、それから、記入した順番に箱に入れといてね☆」
先に言え!(ノ゜Д゜)ノ⌒┻━┻
いや、先に読まなかった私が悪いんですが……
箱、開けましてね
中身、全部出しましてね
ジャンル別に、分けましてね
数、数えましてね
状態、確認しましてね
腕、パンパンですよね(☆>ω・)そりゃしゃーない!
とにかく、頑張った甲斐もあり
お部屋がかなりすっきりしました
もう溜め込みませんよ(*´▽`*)
ミニマリストでも目指してみましょうかね~
……いえ、ミニマムストじゃなくて
ペッタン娘愛好家じゃなくて!
え?
向こうにそれ専用のラウンジを用意してあるから
同志一同で語り明かせって?
しょうがないですねぇ~
じゃあ、今夜は朝まで語り明かしましょうか~!
\(≧▽≦)/
あ、大っぱい愛好家の皆様、
そちらにも、あとで顔を出しますので
いやぁ、両派閥に属していると大変ですね~
激しくデジャブ!?Σ(゜Д゜;)
次回もよろしくお願いいたします!
宮地拓海




